2020年1月31日 (金)

時評=住まい選びの条件 「防災最優先」は困難

1月29日付け静岡新聞に下記寄稿をしました.「防災最優先で暮らせますか?」と書かずに,「防災最優先で私は暮らせません」と書いて自己保身を図っております.

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時評=住まい選びの条件 「防災最優先」は困難

 今年も年度末が近づいてきた.新たな年度からは新しい土地で暮す予定の方もおられよう.賃貸,持ち家,いずれにせよ新たな住まいを選ぶとき,どのような条件を考えるだろうか.まずはどの程度のスペースが必要か考えねばならない.予算がどれくらい,も重要だ.勤め人なら勤務先へのアクセスは重要なポイントになる.生活面からは,商業施設など日常的に利用する施設へのアクセスも考慮する必要があろう.子供のいる世帯なら,学校へのアクセス,あるいはその学校の評判なども気になろう.


 災害に対する安全性を考える人もいるかもしれない.地震は専門でないので詳しく分からないが,地形等から「地震に対して安全性の高い場所」を判断することはなかなか難しそうだ.ただ,建築基準が大きく変わった1981年以前とそれ以降の建物では,地震の際の被害の程度が変化していることは知られており,築年数は判断材料となりそうだ.洪水・土砂災害については本欄でも繰り返し触れているように,「起こりうるところで,起こりうることが発生する」が基本である.ハザードマップ等で危険箇所となっている場所や,河川の近くなどを避けるといった判断もあり得る.「避難の仕方を確認」より,「そもそも避難しなくても良いような場所を選んで住む」事も重要だと思う.


 しかし,これら条件を満たす物件を探すことは極めて困難だろう.不動産関係のサイトで希望条件を増やすと,数千件の候補がたちまち数件程度に絞られる,といった経験のある方もいよう.災害の危険性がある居住地も少なくない.たとえば山梨大学の秦康範先生の解析によると,洪水の浸水想定区域(大河川周辺を中心に指定)の居住者だけでも2015年時点の全人口の28%に上るという.防災の諸条件を考慮となると,候補物件数は更に限定的となろう.


 筆者はこれまで何度となく転居を経験したが「防災最優先」で住まいを選べたことなどない.住まい選びに限った話ではないが,日常生活のあり方を「防災最優先」で構築することは少なくとも筆者には困難だ.我々一人一人が,考えられる危険性を知った上で,何を優先するかを考え,危険性も受け入れつつ暮らしていく事が重要ではなかろうか.

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2019年12月30日 (月)

2019年台風19号等による人的被害についての調査(速報 2019年12月30日版)を公開します

当方ではこれまで,風水害犠牲者の発生状況についての調査を継続的に行っています.今回の台風19号についても同様な調査を実施中で,すでに11月12日現在の速報を当ブログで公開しています.

http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2019/11/post-ca0bcc.html

その後の調査結果を反映するとともに,加筆を行った資料を公開します.

2019台風19号等による人的被害についての調査(速報 2019年12月30日版)

主な加筆事項は下記です.

  • 10月25日の千葉県などでの大雨による犠牲者13人を集計対象に追加(このため表題を「台風19号等」に変更)
  • 「洪水」で「屋内」犠牲者の内訳(建物階数,浸水深など)を追加
  • 避難行動ありの犠牲者の内訳を追加
  • 犠牲者発生場所(屋内)と都市地域の関係を追加

更に下記の集計結果を追記した資料を公開します(2020/01/10,01/11訂正と追記)

2019年台風19号等による人的被害についての調査(速報 2020年1月11日版)

主な加筆事項は下記です.

  • 5年ごとの年代別犠牲者数
  • 外力別犠牲者の年代構成
  • 遭難場所別犠牲者の年代構成
  • 屋内犠牲者の外力別年代構成(2020/1/11追記)
  • 屋内犠牲者に限定した土砂災害危険か所と浸水想定区域との関係(2020/01/11一部訂正)

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白河市表郷.通行中の車が洪水流に流され,1人が死亡したと推定される現場付近.2019年12月21日撮影.

 

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2019年12月 6日 (金)

時評=直近の災害事例に強い関心 広い視点から議論を

11月14日付け静岡新聞に下記寄稿をしました.目先で起こった災害事例のことばかりに注目し,振り回された議論をするのはいかがなものか,という,みなさまのお気持ちに沿わない内容です.

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時評=直近の災害事例に強い関心 広い視点から議論を

 10月12~13日に日本列島を通過した台風19号は,本県をはじめ全国で死者・行方不明者87人(11月3日消防庁資料)などの大きな被害をもたらし,今なお各地で発災後の厳しい対応が続いている.

 この台風では特に洪水の被害が目立った.筆者の調査では,洪水で流されたり河川付近を通行中に転落するなど,水関連の犠牲者は63人で,犠牲者中の7割を占める.筆者の1999~2018年の風水害犠牲者1259人の調査では水関係犠牲者は42%なので,本事例の水関係犠牲者はかなり多かったと言える.また,床上・床下浸水家屋の合計は6万8千棟に上る.床上浸水などの指標の意味は時代ととも変化し単純な比較はできないが,この台風による浸水関係の家屋被害は最近20年間で最大規模となる可能性が高い.

 筆者は10月末に静岡県,神奈川県などに居住する人を対象に調査を行ったが,台風上陸前日に「自宅が暴風による被害を受けるかもしれない」とイメージした人は静岡で6割,神奈川で7割に,「自宅が数日以上にわたって停電するかもしれない」とイメージした人は静岡,神奈川とも6割弱に上った.一方,洪水可能性がある付近に居住と推定される回答者でも「自宅が洪水による被害を受けるかもしれない」とイメージしたのは静岡で3割,神奈川で4割ほどだった.暴風を心配した人に対し,洪水を心配した人は比較的少なかった印象がある.この理由は明確には分からないが,9月上旬に房総半島などを襲った台風15号の暴風による家屋損壊や,長期停電が印象に残っていたのかもしれない.

 災害に対する関心は時間とともに急速に低下する事はよくいわれ,たとえば京都大学の矢守らの研究ではその低下速度は5年で10分の1,10年で100分の1といった見方もある.これは,直近の災害事例に対しては強く関心が持たれるが,少し前の災害に関しては薄れていく可能性も示唆している.

 自然災害は様々な様相を見せる.大きな災害が起こった直後は,その直近の災害に目を向けた議論が活発になりやすいが,直近の災害に見られた「課題」は,災害に関わる「課題」のあくまでも一つに過ぎない.目先のことばかりにとらわれず,広い視点からの議論が重要だと考えている.

 

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2019年11月13日 (水)

2019台風19号による人的被害についての調査(速報 2019年11月12日版)を公開します

※この資料の加筆版を公開しました.(2019/12/30)

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当方ではこれまで,風水害犠牲者の発生状況についての調査を継続的に行っています.

http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-b96593.html

今回の台風19号についても同様な調査を実施中です.調査自体はまだ進行中ですが,災害発生から1ヶ月となりますので,現時点までの調査結果を簡単にとりまとめたので公表します.

主な要点は以下の通りです.

  • 人的被害の概要
    • 犠牲者数は近年の事例では2011年台風12号,2004年台風23号と同程度
    • 家屋被害は1999年以降で最大規模だが,家屋被害(社会に加わった外力の規模)に対し人的被害が少なかった可能性も
  • 犠牲者発生の原因外力
    • 「洪水」「河川」の比率が,近年の風水害としてはかなり高い
  • 犠牲者発生場所
    • 近年の風水害に比べ「屋外」犠牲者の比率がやや高い
    • 「屋外」犠牲者中では「車内」での犠牲者の比率がかなり高い
    • だからといって「車は危険だから避難は徒歩で」ではない.人も車も簡単に流されてしまうから,風雨が激しいときの屋外行動をなるべく避けることが重要
  • 避難行動
    • 「避難行動あり」犠牲者率は近年の他の風水害と同程度
  • 災害危険箇所と犠牲者発生場所
    • 「土砂」犠牲者数は相対的に少なく,傾向についてはなんとも言えない
    • 「洪水」「河川」犠牲者の5割強が浸水想定区域内.近年の風水害よりはむしろ範囲内が多い
    • 「洪水」「河川」犠牲者のほぼ全員が地形的に洪水の可能性がある「低地」で発生.近年の他の風水害と同傾向
  • 地形分類図の活用を
    • 浸水想定区域の整備には時間がかかる.すでにある地形分類図が,「洪水」「河川」犠牲者発生位置をほぼ的中させている.情報としての課題は多いが,積極的活用(関連情報整備,読み解ける人材の育成等)を図れないか

2019台風19号による人的被害についての調査(速報 2019年11月12日版)

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2019年11月12日 (火)

11月5日栃木県内現地踏査雑感

11月5日,栃木県内現地踏査.こちらは鹿沼市草久で,県道の陥没部分に車が転落し,1人が犠牲となった現場.道路付近は浸水したようには見られない.河川沿いの道路だが,河川の護岸が損壊しているわけではない.よくある形態ではなく,ちょっと私にはメカニズムが分からない.

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鹿沼市奈佐原町.この付近の河川内の車の中で1人の犠牲者が確認されている.位置はよく分からないが,上流側のどこかで川に転落したのかと思われる.自宅から会社の様子を見に行ったらしいとの報道もあり,これは時々見られる被害形態.

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栃木市薗部町.遭難場所は分からないが,この付近では,避難途中(徒歩とみられる)に洪水に流された1人が水路内で発見され死亡が確認された.付近の永野川には破堤も見られ,ところにより1m前後の浸水がみられた.破堤箇所付近でも流失家屋は確認できない.

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栃木県足利市寺岡町.避難途中の車が流され,1人の犠牲者が生じた地点付近.旗川と出流川の間に位置するが,両川が上流の各所で越流し,平地部分の広い範囲を水が流れていた状況と思われる.出流川に向かってやや低くなっており,浸水深が深くなったものかもしれない.
付近では一部で家屋への浸水が見られるが,流失したと思われる家屋は見られなかった.避難途中の遭難であったというのも痛ましいところ.

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この付近は浸水想定区域(想定最大)はギリギリ範囲内くらい,計画規模では範囲外.[重ねるハザードマップ]

地形的には扇状地で,旧河道とも読めるようだ.洪水の影響を受けうるところ.[重ねるハザードマップ]

 

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2019年11月 3日 (日)

11月1日宮城・福島県内現地踏査

11月1日,宮城県,福島県の台風19号被災地を現地調査.宮城県丸森町千刈場.阿武隈川,支流・内川の合流部付近で,1人の人的被害が発生.付近の浸水深は道路面から1.4m前後.流失家屋は見られない.

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浸水想定区域(計画規模)であり,想定浸水深も概ね想定に近い規模だろうか.[重ねるハザードマップ]

付近は氾濫平野,自然堤防が混在する地域で,地形的にも洪水の影響は受けうる地域.[重ねるハザードマップ]

11月1日,宮城県丸森町竹谷.阿武隈川支流新川の近く.付近の2箇所で計2人の人的被害が発生.この写真付近の浸水深は道路面から2.0m前後.この地点の東側水田付近では3m以上のところも.流失家屋は見られない.

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この付近は,浸水想定区域(計画規模),浸水想定区域(想定最大)ともに範囲外となる.[重ねるハザードマップ]

しかし,地形で見ると氾濫平野で,洪水の影響は受けうる地域.「洪水に見舞われるはずもない場所」ではない.[重ねるハザードマップ]

この話についてはこちらも
http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-da6534.html


11月1日,宮城県丸森町上林西.阿武隈川支流五福谷川がこの地点の西側で大きく流路を変えて流下し,県道を洪水流や土砂が覆った.通行中の車で1人の人的被害が発生.

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この付近は,浸水想定区域(計画規模),浸水想定区域(想定最大)ともに範囲外となる.しかし,地形で見ると旧河道及び氾濫平野で,洪水の影響は受けうる地域.現在の五福谷川は谷を抜けたところで北側に流下しているが,旧河道の位置に沿って東側に流下したと思われる.[重ねるハザードマップ]

五福谷川に沿ってやや上流側に移動したところ.山地河川洪水の様相が見られ,新たな流路や,自然堤防の形成が見られるか.

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ただし,この付近での流失家屋は意外に限定的と思われる.少なくとも下記の写真付近には流失した住家はないようで,写真南西側,川の上流側には数世帯程度流失家屋が見られる.[地理院地図]

11月1日,福島県いわき市平赤井諸荷.夏井川の近く.1人の人的被害が発生.付近の浸水深は道路面から2.2m前後.流失家屋は見られない.

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付近は,重ねるハザードマップでは浸水想定区域(計画規模)のいずれにもなっていない.土地分類基本調査では自然堤防で,地形的にも洪水の影響は受けうる地域.[重ねるハザードマップ]

福島県いわき市平平窪.夏井川の近く.付近ではそれぞれ別の場所で4人の人的被害が発生.付近の浸水深は道路面から2.5m前後.嵩上げしている家屋もみられ,そうした家屋での浸水深はやや浅い.流失家屋は見られない.

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付近は,重ねるハザードマップでは浸水想定区域(計画規模)のいずれにもなっていない.土地分類基本調査では自然堤防と谷底平野が混在する地域で,地形的にも洪水の影響は受けうる地域.[重ねるハザードマップ]

 

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10月31日福島県内現地踏査雑感

10月31日,福島県内の台風19号被災地を現地調査.福島県須賀川市館取町.阿武隈川支流釈迦堂川の近くで,少なくとも2人の人的被害が発生.付近の浸水深は道路面から3.0m前後で,1階天井に達する程度.流失した家屋は見られない.

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付近は氾濫平野,自然堤防,旧河道が混在する地域で,地形的にも洪水の影響は受けうる地域.[地理院地図]

浸水想定区域(計画規模)であり,想定浸水深も概ね想定に近い規模だろうか.[重ねるハザードマップ]

福島県郡山市大町二丁目.阿武隈川支流逢瀬川近くで,少なくとも1人の人的被害が発生.こちらも浸水深は3m前後で,1階天井に達する程度.流失した家屋は見られない.

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付近の浸水したとみられる範囲は氾濫平野で,地形的にも洪水の影響は受けうる地域.[地理院地図]

浸水想定区域(計画規模)であり,浸水深は計画規模の想定浸水深よりは深く,想定最大と比べると想定の範囲内というところだろうか.[重ねるハザードマップ]

福島県本宮市本宮字南町裡.阿武隈川および支流安達太良川近くで,この地区では少なくとも3人の人的被害が発生.浸水深は3m弱.やや嵩上げした家屋も見られるが,1階床上から天井に近い程度の浸水.流失した家屋は見られない.

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付近の浸水したとみられる範囲は自然堤防,氾濫平野,旧河道が混在し,地形的にも洪水の影響は受けうる地域.[地理院地図]

浸水想定区域(計画規模)であり,想定浸水深も概ね想定に近い規模だろうか.[重ねるハザードマップ]

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2019年10月31日 (木)

2019年台風19号災害時の災害情報に関するアンケート【2019/10/29速報版】

当方では,台風19号による影響を受けた,神奈川県,長野県,静岡県の一部を対象に,台風接近前後の対応や,防災情報に対する認識などについての調査を実施しました.主な結果は以下のようになります.

  • 警戒レベルの数値と,避難勧告等の言葉の関係を適切に認知は3~4割
  • 「災害発生情報」という言葉は,レベル1や2と認識の回答が4割で,危険性の高い情報と受け止められていない可能性
  • 「狩野川台風に匹敵」という情報は8割前後の回答者が聞いていた.狩野川付近で大きな被害というイメージにある程度つながった可能性
  • 居住市町村での被害は神奈川,静岡では6割程度がイメージ.長野では3割程度
  • 自宅の停電,暴風の被害は比較的多くの回答者がイメージ,洪水をイメージした回答者は少
  • 実際には特別警報が発表されていない地域でも6割前後が発表と認識
  • 台風上陸当日の外出予定を何らかの形で取り止め・変更した回答者は,神奈川,静岡では8割以上が実施だが,長野では6割程度

調査結果概要スライド - 20191031report.pdf

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2019年10月29日 (火)

2019年台風19号による家屋被害と人的被害

2019年台風19号の被害について,10月28日現在の消防庁資料を元に,死者・行方不明者数と主な家屋被害の関係を散布図にした.消防庁資料には10/25の豪雨による被害が合算されているが,同じ資料に内数が示されているので除いてある.まだ数値は大きく動くと思われ「なんとも言えない」が正直なところだが,台風19号による被害は,近年の主な風水害と比較して,家屋の被害規模の割には犠牲者数が少ない事例だった可能性もある.

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降水量はその量的な意味が地域によっても大きく異なるし,人がたくさんいるところか否か,ということでも被害の出方は変わってくるので,降水量の多寡だけで洪水・土砂災害の「規模」を表すことはなかなか難しい.一方,家屋は「避難」できないし,人がいるところには家屋も多くあるわけだから,家屋の被害の大小は,個々の洪水・土砂災害事例において,「社会がどの程度激しい外力を被ったか」という指標の一つになり得るだろう.この散布図はその意味で作成してある.

ただし家屋被害の指標である「全壊」などの意味や判定の仕方は時代とともに変化していて,それぞれの数字の大小関係をそのまま比較する事は適切でない.近年では床上浸水を全半壊に判定し直すケースが多く見られるので,長期的な比較には「全壊+半壊+床上浸水」の合計を見るのが良いと思われる.このあたりについて詳しくは下記に記述してある.

牛山素行:日本の風水害人的被害の経年変化に関する基礎的研究,土木学会論文集B1(水工学),Vol.73,No.4,pp.I_1369-I_1374,2017.
http://www.disaster-i.net/notes/20170317_0229.pdf

 

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2019年10月24日 (木)

洪水ハザードマップの補完としての地形分類図とその問題

台風19号災害で,洪水関連の犠牲者の一部が,洪水浸水想定区域の範囲外で発生したのでは,という見方がある.この見方については現時点ではまだなんとも言えないけど,こうしたケースがこれまでの災害で少なくないことはたびたび指摘している.

洪水ハザードマップを保管する情報として有力だと考えられるのが地形分類図だと思うのだけど,地形分類図はいろいろ面倒くさい.現状でまあ普通の人にも勧められそうなのは,地理院地図の「地形分類(自然地形)」かと思うけど,これは整備範囲がハザードマップのありそうなところに限定されていて,洪水ハザードマップが未整備のことがよくある山地中小河川がカバーされない.

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本州以南のおおむね全国を縮尺1:50000でカバーしているのが,重ねるハザードマップで見られる「土地分類基本調査(地形分類図)」なんだけど,これが強烈で,県によって凡例は違うわ,用語は違うわ,図幅の境界で整合しないわと.さまざまな歴史的経緯によって作られてきた図ということもあって,仕方がないことだ,と受け止めているけど.でもこれが出てきたときは本当に感動した.地理院,水資源局でこの件推進したみなさんには本当に心から拍手を送りたい.

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地形分類図は,その種類によって同じ地域についても記述内容が全然違うなんて事も珍しくなくて.もうどう説明していったらいいかわからない,というのが非力な私の感想.以下はその一例.

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水関連の犠牲者で,浸水想定区域内で遭難した人は4割程度にとどまるけど,地形で見ると低地での遭難者が9割以上.地形分類図的情報はある意味飛躍的に危険情報としての精度を高められるとも言っていいだろうから,なんとか活用したいところではあるけど.

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1:50000の地形分類図だと,境界部とか小さな谷とかでは判別が難しいケースもあって,この分類ではそういうところは自分自身で判読したりしているので,そう簡単に使えるとは広く言えないところが弱いけど.なお,この件については現在投稿中の論文で詳しく記述.

こうしたことがあるので,これらの図を単にデジタル化して,広くいろいろなサイトの情報と重ねてしまうというのは,あまりにも危険で,やるべき,と声高には言えない気がしている.

 

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