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2006年7月13日 (木)

「最多記録」表現には慎重に

本日配信の共同通信の記事にこのようなものがありました.

東北南部と北陸で大雨 福島・西会津で最多記録

 梅雨前線が停滞している東北南部と北陸にかけて13日、局地的に激しい雨が降った。<中略>福島県の西会津では、正午すぎまでの1時間雨量が31・0ミリと、7月の時間雨量としては1976年の観測開始以来、最多となった。<後略>
(共同通信) - 7月13日18時22分更新

間違いではないものの,「記録」あるいは「最多記録」という言葉の安易な使用法の例だと感じました.AMeDAS西会津の,過去の1時間降水量の上位記録は以下のようになっています.

●過去の記録上位3位
統計期間:1979-2005
○1時間降水量[mm]
40:2001/08/24
40:2002/10/01
37:1995/08/02
○24時間降水量[mm]
223:1995/08/03
138:1981/06/22
133:2005/08/10

31mmはこの観測所の過去の1時間降水量の上位記録に及びません.「7月の1時間降水量としては」やや大きな値が観測されましたが,この地域として「記録的な1時間降水量」が観測されたわけではありません.豪雨は,春~秋のどの時期にも発生しえます.特定の月の記録だけと比較して大小を議論しても,少なくとも災害情報としてはあまり意味のある話ではありません.

ちなみに7月13日18時現在,AMeDAS西会津の24時間降水量は99mm.24時間降水量で見ても,全く「記録的」なものではありません.

ついでながら「最多」という言葉もおかしな感じです.「最多」では「頻度が高い」といった意味合いになりそうです.降水量の記録は「年最大1時間降水量」のように,「最大」を使う方が一般的のように思います.気象気候の分野では「極値」という言葉も使いますが,これは専門用語でしょうね.「多雨」という言葉は使います.これは,時空間的に分布している降水量の中で量的に多かった期間(例:「今年は多雨傾向」)や場所(例:「××地方は多雨地帯」)を指すときに使います.逆に「大雨傾向」とか,「大雨地帯」とは言いません.今回のケースでは,ある観測所で記録されているいくつかの「大きな降水量の記録」のなかで「最も大きい記録」ということですから,「最大」の方が適当だと思われます.

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