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2006年11月28日 (火)

防災シンポジウム(福岡市にて)

熊本にある崇城大学環境建設工学科の森山聡之先生などが中心となって,「NPO法人 防災ネット研究所」が立ち上げられ,11月26日に設立記念シンポジウムが行われました.

NPO法人防災ネット研究所 設立趣旨のご案内と参加のお願い
http://www.0disaster.net/modules/wordpress/index.php?p=5

防災シンポジウムのご案内
http://www.0disaster.net/modules/wordpress/index.php?p=6

牛山は,同NPOのメンバーではありませんが,森山先生とは以前からいろいろと一緒に仕事をさせていただいているご縁もあり,記念シンポジウムにて「災害情報による人的被害軽減量の推定」というタイトルで講演をさせていただきました.

防災への取り組み方は様々です.研究や技術開発という切り口からの取り組みであっても,やはり「仲間作り」がたいへん重要である,ということをあらためて実感いたしました.

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2006年11月16日 (木)

津波避難者は意外に多かった可能性も

はじめにお断りしておきますが,私は津波の専門家ではありません.津波からの避難に関しては,これまでにいくつか調査研究をした経験がある者です.

昨日11月15日20時15分頃,千島列島付近を震源とするM7.9(11月16日12時気象庁資料,当初M8.1)の地震が発生し,これにより,津波が発生しました.気象庁では,20時29分に,北海道太平洋沿岸東部,オホーツク海沿岸に対して<津波警報>を,北海道太平洋沿岸中部,北海道太平洋沿岸西部,北海道日本海沿岸北部,青森県太平洋沿岸,岩手県,宮城県,福島県,茨城県,千葉県九十九里・外房,千葉県内房,伊豆諸島,相模湾・三浦半島,静岡県に<津波注意報>を発表しました.

気象庁の津波予報 第一報
http://www.jma.go.jp/jp/tsunami/200611152029/focus.html

その後,22時43分に小笠原諸島に対して津波注意報が発表されました.

津波は,北海道オホーツク海側と,日本列島のほぼ全域の太平洋側で観測されましたが,結果的に,検潮所で記録された津波の最大波高は北海道の浦河,十勝港などの0.6mが最大でした.

気象庁 2006年11月15日20時15分ころの千島列島の地震について
http://www.jma.go.jp/jma/press/0611/15b/20061115.html

気象庁 2006年11月15日20時15分ころの千島列島の地震の震源要素の更新と津波の観測値について
http://www.jma.go.jp/jma/press/0611/16a/20061116.html

16日11時現在の消防庁資料や,その後,14時頃までのネット上の報道などから見る限り,幸い,特に被害らしい被害は起きなかったようです.

消防庁 千島列島を震源とする地震による津波について
http://www.fdma.go.jp/detail/696.html

相変わらず,「○千世帯対象に避難勧告が出されたが,避難したのは○十人」といった事象が報道されています.比較的詳しい記事を挙げてみると.

岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m11/d16/NippoNews_14.html

北海道では,時事通信によると,「指示の対象者は2市村の557世帯1748人、勧告は21市町村5万3676世帯12万9652人に上った。道に入った報告によると、避難所に身を寄せたのは1万3354人が身を寄せた。」とのこと.

時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061116-00000054-jij-soci

災害直後に出てくる「避難者数」は,行政機関が指定した避難場所に入った人の数です.従って,「何らかの避難行動をとった人」(知人宅へ避難した,屋外に避難したなど,あらゆる形態を含む)は,これよりかなり多くなると見て差し支えありません.筆者が過去に実施した洪水災害に関する調査では,「何らかの避難行動をとった人」は指定避難場所に避難した人の数倍はいたと見られる,という結果もあります.また,2003年7月の三陸南地震を対象とした当方の調査では,「何らかの避難行動をとった人」全てを合わせて1割程度でした.

2003年5月26日「三陸南地震」時の住民と防災情報(基礎資料)
http://www.disaster-i.net/notes/200305e-qr.pdf

特に,北海道では今回,津波警報が出たから,ということもあるとは思いますが,それにしても,直後に出てきた避難者数が対象人口の1割に達しているのは,案外多かったのかもしれません.

さすがに,津波に関しての書き込みをしたブログは相当数に上っています.また,避難勧告対象地区の方で,実際に避難したらしい書き込みもいくつか見られました.例えば下記など.

http://blogs.yahoo.co.jp/mqsrm643/23741179.html
http://v5dreamyoakemae.seesaa.net/article/27586555.html

避難勧告対象地区で実際に避難した人の生の声というのはたいへん貴重で,ネット上で容易にこのような情報が得られるようになったことはたいしたものだと思います.ただ,ブログに限りませんが,ネット上の個人の書き込みは,基本的に「どこで」という場所の情報を得ることが困難です(安全上,個人の住所を推測させるような書き込みはすべきでありませんから,当然のことです).避難する車の渋滞の写真が載っている,

http://blogs.yahoo.co.jp/kitakyushiu1946/60338.html

などはたいへん興味深く,このような写真の位置情報が分かれば,より情報としての価値が上がるのですが,これは,何ともしがたいことです.

ネット上で,あらかじめ組織されていない不特定多数から,災害時の状況についての情報を集めることができる,という指摘は一部にあり,その可能性は以前より高くなったと思います.しかし,あまり過剰な期待を抱くのもどうかと思います.このような情報の使い方についての知見を重ねていく必要があると思います.

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2006年11月15日 (水)

自然災害学会終了

11月11~12日と,日本自然災害学会に参加してきました.11月10日付記事 でも書きましたように,この学会は,自然災害に関わる,ハザード研究者(理工学系研究者)と,人文社会科学系研究者が交わる,数少ない機会です.今回は,3会場で,おおむね2会場がハザード系,1会場が人文社会科学系でセッションが構成されていました.数年前までは,ハザード系研究者ばかりだったのですが,ここ数年,人文社会科学系の方が元気がよくなっているような印象を持ちます.これはこれで結構なことだと思うのですが,今度はハザード系のセッションの活性度が今ひとつ,という状況にもなっているように思います.

なお,今回の当方の発表の予稿集は,下記に公開しました.

牛山素行・國分和香那,平成18年7月豪雨の特徴[PDF],第25回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,pp.99-100,2006年11月12日.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/2006JSNDS2.pdf

学会に参加した印象をブログに挙げる人もちらほら出てきました.今回の自然災害学会に関しては,下記など.

FUJIMOTO Lab.
http://quake1.sblo.jp/article/1715753.html

ついでに,先日の日本災害情報学会についても調べてみましたところ,知人のブログが見つかりました.

湘南お天気相談所
http://blog.shonan-tenki.com/tenki/2006/10/post_173b.html

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2006年11月11日 (土)

葛巻町災害に関しての報道

10月6日から7日にかけての岩手県葛巻町などでの豪雨災害(主に人的被害)に関しての当方のコメントが,NHK盛岡放送局の,11月10日18時05分からの「おばんです岩手」で放送されました.この災害については,

2006年10月6日~7日の北東北などの豪雨災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20061007/

岩手県で人的被害の可能性
http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_57a7.html

葛巻町被災地現地踏査
http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_9695.html

でも触れてきましたが,1名が,川に転落し,死亡するという被害を生じています.この災害では,

(1)一旦避難したが,その後避難所を出て,遭難している.
(2)犠牲者が遭難したことに,3日間誰も気がつかなかった.

という特徴があります.(1)は時折見られる状況ですが,(2)は個人的には初めて知った状況です.いずれも,即効的な対策が考えにくい,という共通点もあります.災害対策の道の遠さをあらためて実感する事例となりました.

この災害に関しては,

広報くずまき 2006年11月号
http://www.town.kuzumaki.iwate.jp/q/1811/index.html

に比較的詳しい記述があります.

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2006年11月10日 (金)

11/13-14日本自然災害学会

日本自然災害学会平成18年度学術講演会およびオープンフォーラムが,11月12日(日)から14日(火)の間,群馬県桐生市にて開催されます.

日本自然災害学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsnds/
平成18年度学術講演会.オープンフォーラム
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsnds/contents/20061113/

牛山は,11月14日に,「平成18年7月豪雨による災害の特徴」のタイトルで発表の予定です.当方が行った今年の災害に関する調査に関しての学会発表はこれが最初となります.発表内容は,おおむね,

牛山素行・國分和香那,2006:平成18年7月豪雨による災害の特徴,自然災害科学,Vol.25,No.3,(受理済み).
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/2006JSNDS.pdf

としてとりまとめているものに近いものとなる予定です.

学術講演会は会員外でも参加できます.また,オープンフォーラムは広く一般の方も対象としたものですので,ご関心をお持ちの方はいかがでしょうか.

オープンフォーラムは私は残念ながら行けないのですが,群馬には工学部の片田先生,教育学部の早川先生という二人の個性的な方がいます.このお二方が,オープンフォーラムでは講演される予定になっています.

早川由紀夫の火山ブログ
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-61.html

近年,災害に関する大学等の付属機関,各種研究グループが,以前より増えてきたように感じます.無論,それは喜ばしいことなのですが,分野的,地域的にそれぞれ独立的になりやすく,横の交流(連携とまでは言いません)がなかなかできていないように感じます.「災害研究は分野横断的に・・・」などということは,伊勢湾台風以来50年以上延々と言われ続けている気がしますが,それだけ根の深い問題なのでしょう.

どこが「本拠」になるか,というのはいろいろ難しい問題だとは思いますが,その歴史の長さから考えて,自然災害学会は日本の災害研究の「共通語を語る場」になりうる最有力の場だと思います(自然災害学会自体の歴史は25年ほどですが,その前身組織は伊勢湾台風以来).ここでこんな事を書いていても何の解決にもなりませんし,自然災害学会にどうしてもこだわるとまでは言わないのですが,ともかく,災害に対処しようとする研究者,技術者が,「共通語を語る場」が発展することを願ってやみません.

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2006年11月 7日 (火)

佐呂間町竜巻災害

本日11月7日13時25分頃,北海道佐呂間町若佐付近で竜巻が発生し,工事現場の宿舎などにいた,少なくとも9名が死亡した模様です.情報源は,主に読売新聞より.

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061107it04.htm

私は,竜巻は専門からかなり遠いので,詳細なコメントはできませんが,竜巻自体は日本でも多くはありませんが,けして珍しいものではありません.しかし,これほどの人的被害を生じた例はかなり希だと思います.竜巻については,気象庁のページに簡潔な統計が示されています.

被害のあった竜巻資料(気象庁)
http://www.data.kishou.go.jp/bosai/report/tatsumaki/index.html

ここからも,1971年以降で4名以上の人的被害を生じた例は確認できません.林・石川(2001)によれば,日本においては「人的被害は33年間で死者は16個の竜巻についてのみ発生し,その合計は19名で」(33年間とは1961~1993年)です.更に古い時代の記録については確認できないので留保しますが,1971年以降で最大の人的被害を生じた竜巻災害であることは確実であり,わが国の近代自然災害史上に残る事例となってしまったものと考えられます.

参考文献
林泰一・石川裕彦:積乱雲に伴う強風,防災学ハンドブック(京都大学防災研究所編),朝倉書店,2001.

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2006年11月 2日 (木)

防災ワークショップ研究会

当方では2006年4月より,国土交通省岩手河川国道事務所,財団法人東北建設協会と,「防災ワークショップの効果検証と効果的実施に関する共同研究」を実施しています.本日11月2日,同共同研究の研究会が岩手河川国道事務所で行われました.

今回の研究会では,研究会メンバー外の話題提供者として,富士常葉大学環境防災学部の小村助教授,群馬大学工学部の片田教授をお招きし,災害図上訓練DIGの現状や,多様なハザードマップを用いた住民・行政のよりリアルな災害に関する認識共有の実施例に関してのお話を伺いました.また,当方からは,この共同研究の中間報告として,岩手県内を対象として実施した防災ワークショップの実施状況に関しての調査結果などを報告しました.

先週の気象学会や災害情報学会,本日の研究会でも共通して指摘しているのですが,ワークショップなどの住民参加型の防災活動に対して,「専門家」や「技術者」は,それぞれの専門性に立脚した批判的検証をもっと積極的にやらなければならない時期に来ていると思います.防災ワークショップは,確かに,盛り上がっておもしろい.しかし,「誰でも簡単にできる活動」にとどめてしまっては,本来の機能を損ねる事になると思います.

なお,本日の研究会については,NHK盛岡放送局の,11月2日18時10分からの「おばんです岩手」などで報道されました.

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