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2006年11月16日 (木)

津波避難者は意外に多かった可能性も

はじめにお断りしておきますが,私は津波の専門家ではありません.津波からの避難に関しては,これまでにいくつか調査研究をした経験がある者です.

昨日11月15日20時15分頃,千島列島付近を震源とするM7.9(11月16日12時気象庁資料,当初M8.1)の地震が発生し,これにより,津波が発生しました.気象庁では,20時29分に,北海道太平洋沿岸東部,オホーツク海沿岸に対して<津波警報>を,北海道太平洋沿岸中部,北海道太平洋沿岸西部,北海道日本海沿岸北部,青森県太平洋沿岸,岩手県,宮城県,福島県,茨城県,千葉県九十九里・外房,千葉県内房,伊豆諸島,相模湾・三浦半島,静岡県に<津波注意報>を発表しました.

気象庁の津波予報 第一報
http://www.jma.go.jp/jp/tsunami/200611152029/focus.html

その後,22時43分に小笠原諸島に対して津波注意報が発表されました.

津波は,北海道オホーツク海側と,日本列島のほぼ全域の太平洋側で観測されましたが,結果的に,検潮所で記録された津波の最大波高は北海道の浦河,十勝港などの0.6mが最大でした.

気象庁 2006年11月15日20時15分ころの千島列島の地震について
http://www.jma.go.jp/jma/press/0611/15b/20061115.html

気象庁 2006年11月15日20時15分ころの千島列島の地震の震源要素の更新と津波の観測値について
http://www.jma.go.jp/jma/press/0611/16a/20061116.html

16日11時現在の消防庁資料や,その後,14時頃までのネット上の報道などから見る限り,幸い,特に被害らしい被害は起きなかったようです.

消防庁 千島列島を震源とする地震による津波について
http://www.fdma.go.jp/detail/696.html

相変わらず,「○千世帯対象に避難勧告が出されたが,避難したのは○十人」といった事象が報道されています.比較的詳しい記事を挙げてみると.

岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m11/d16/NippoNews_14.html

北海道では,時事通信によると,「指示の対象者は2市村の557世帯1748人、勧告は21市町村5万3676世帯12万9652人に上った。道に入った報告によると、避難所に身を寄せたのは1万3354人が身を寄せた。」とのこと.

時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061116-00000054-jij-soci

災害直後に出てくる「避難者数」は,行政機関が指定した避難場所に入った人の数です.従って,「何らかの避難行動をとった人」(知人宅へ避難した,屋外に避難したなど,あらゆる形態を含む)は,これよりかなり多くなると見て差し支えありません.筆者が過去に実施した洪水災害に関する調査では,「何らかの避難行動をとった人」は指定避難場所に避難した人の数倍はいたと見られる,という結果もあります.また,2003年7月の三陸南地震を対象とした当方の調査では,「何らかの避難行動をとった人」全てを合わせて1割程度でした.

2003年5月26日「三陸南地震」時の住民と防災情報(基礎資料)
http://www.disaster-i.net/notes/200305e-qr.pdf

特に,北海道では今回,津波警報が出たから,ということもあるとは思いますが,それにしても,直後に出てきた避難者数が対象人口の1割に達しているのは,案外多かったのかもしれません.

さすがに,津波に関しての書き込みをしたブログは相当数に上っています.また,避難勧告対象地区の方で,実際に避難したらしい書き込みもいくつか見られました.例えば下記など.

http://blogs.yahoo.co.jp/mqsrm643/23741179.html
http://v5dreamyoakemae.seesaa.net/article/27586555.html

避難勧告対象地区で実際に避難した人の生の声というのはたいへん貴重で,ネット上で容易にこのような情報が得られるようになったことはたいしたものだと思います.ただ,ブログに限りませんが,ネット上の個人の書き込みは,基本的に「どこで」という場所の情報を得ることが困難です(安全上,個人の住所を推測させるような書き込みはすべきでありませんから,当然のことです).避難する車の渋滞の写真が載っている,

http://blogs.yahoo.co.jp/kitakyushiu1946/60338.html

などはたいへん興味深く,このような写真の位置情報が分かれば,より情報としての価値が上がるのですが,これは,何ともしがたいことです.

ネット上で,あらかじめ組織されていない不特定多数から,災害時の状況についての情報を集めることができる,という指摘は一部にあり,その可能性は以前より高くなったと思います.しかし,あまり過剰な期待を抱くのもどうかと思います.このような情報の使い方についての知見を重ねていく必要があると思います.

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