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2007年7月15日 (日)

梅雨前線及び台風4号による豪雨

200707141224h_2 200707131224h200707151224h_1   先週末(7/6頃)から,西日本を中心に,梅雨前線の活動により断続的に豪雨が発生していました.また,13日頃からは,台風4号の接近により,梅雨前線の活動が活発化すると共に,台風本体による降雨も続きました.

梅雨前線および台風4号による一連の豪雨等による被害は,7月15日17時40分発表の総務省消防庁の「平成19年7月5日からの梅雨前線及び台風による被害状況(第15報)」によると,死者・不明者6名,住家の全壊18棟,半壊18棟,一部損壊168棟,床上浸水205棟,床下浸水1610棟となっています.

消防庁災害情報(リンク先のファイルは順次更新されます)
http://www.fdma.go.jp/detail/742.html

災害は当事者にとっては「被災した」か「被災しなかったか」の決定的に異なる二つのうちのどちらかであり,その災害事例全体としての「規模」はあまり関係がありません.外野の観察者が災害の「規模」をうんぬん言うのは,当事者にとっては不愉快なことであろう事は重々承知しています.その上で,いささかの後ろめたさを感じつつ書きますが,今回の豪雨による被害は,比較的大きくならなかったように思われます.

最近20年間(1986年以降)の全国主要豪雨災害・全国イベント別
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/d-table.html

人的被害は6名で,ここ数年の豪雨災害の中でも特筆されるような規模ではありません.また,今のところ全てが「河川または用水路に転落」という遭難形態であり,災害をもたらす外力そのもの(ハザード.例えば,洪水や土石流など)による犠牲者ではないようです.

「早期の避難の効果で人的被害が軽減されたのでは?」という見方もあるかも知れませんが,全壊家屋数(屋内に人がいれば人的被害に結びつく可能性がある),浸水家屋数なども,いまのところ近年の事例と比較して目立って多いということはなく,「人はうまく逃げたが,家屋の被害は甚大であった」という状況であるようにも思われません.このあたりは,今後数が増えてくる可能性もありますので断言はできませんが.

実は,外力そのもの(ここでは降水量だけに注目します)もそれほどまでは大きなものではありませんでした.

降水量最大値を更新したAMeDAS観測所
7月11日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/11/now-e.html
7月12日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/12/now-e.html
7月13日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/13/now-e.html
7月14日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/14/now-e.html
7月15日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/15/now-e.html

上記期間中の更新観測所数(統計期間20年以上)は,
1時間:8箇所,24時間:5箇所,48時間:4箇所,72時間:1箇所
となっており,近年の豪雨事例と比べてけして多くありません.また,複数の長さの降水量を記録したところはかなり少なく,24時間降水量と48時間降水量を更新したのが高知県の窪川と千葉県の勝浦の2箇所,1時間と24時間を更新したのが宮崎県の西都の1箇所でした.

あえて言うとすれば,(特に陸上での)外力が比較的大きくならず,そのことも手伝って,被害もそれほどは大きくならなかった,というのが今回の事例の特徴ではないでしょうか.

無論,これはあくまでも結果論です.たとえば,九州南部で豪雨が続いていた頃,レーダーで見ていますと,海上に優勢な豪雨域があるが,陸地にはその一部しかかかっていない,といった状況が見られましたが,これなど,あと少し雨域がずれていれば結果が大きく変わった可能性があります.

「最強の台風」と盛んに言われましたが,まずそもそも「(7月としては)最強の台風」です.

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000015-maip-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000006-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000000-maip-soci

そして,その台風によってもたらされた外力は,近年の豪雨事例と比べてもけして「記録的」と言えるほどのものではありませんでした.その結果の被害です.「最強の台風なのにこの程度の被害って,気象庁は大げさじゃないの」とか,「最強の台風なのに対策が進んでこの程度の被害ですんだ」とかいった印象が出てくることを懸念しています.

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