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2007年7月 7日 (土)

九州方面での豪雨

200707071224h 7月6日より,熊本県などを中心に,梅雨前線の活動によりやや強い雨が続いています.量的に降水量が多いところとしては,7日16時20分現在の72時間降水量が,熊本県の俵山で529mm,阿蘇山で419mm,甲佐で416mmなどとなっています.値だけ見ますと大きそうですが,ちなみに俵山の72時間降水量上位記録は下記のようになっています.

725mm 1987/7/20
704mm 1997/7/10
656mm 1982/7/14
降水量の「激しさ」を,絶対量だけで理解できないことがよく分かると思います.また,豪雨はここ数年に起こってばかりいるわけではないこともよく分かると思います.

今回の豪雨によるAMeDAS観測所の観測開始以降(1979年以降,統計期間20年以上)最大記録を更新した観測所数は,7日16時現在で以下の通りです.

7月6日 1時間:1 2時間:2 24時間:0 48時間:0 72時間:0
7月7日 1時間:1 2時間:0 24時間:2 48時間:0 72時間:0

詳細は下記からもご覧いただけます.ただし,7日分は7月8日02時頃以降にご覧いただけます.
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/06/now-e.html
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/07/now-e.html

6日に1時間降水量を更新したのが熊本県の大金峰,2時間降水量を更新したのが大金峰と甲佐です.7日の24時間降水量の更新も甲佐です.AMeDAS観測所の位置は,ネット上では気象庁のページ,

http://www.jma.go.jp/jp/amedas_h/map62.html

が見やすいでしょう.いずれの観測所も,上で挙げたもっとも量的に多い降水が記録された俵山とは別の場所であることがわかると思います.

被害状況は,消防庁の7日18時の資料によると,熊本県を中心に,死者不明者1(愛媛県),全壊5,半壊1,床上浸水36棟,床下浸水451棟とのこと.テレビでは,孤立した集落からの救出の様子がよく伝えられていますが,これは熊本県美里町のようです.7日10時0分付けの毎日新聞によると,「熊本県中部の美里町早楠、坂本、洞岳、葛之尾地区では計約130世帯が橋の流失などで孤立」とのことです.

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070707-00000000-maip-soci

地図で見ると,これらの地区は,緑川水系の上流域で,南北方向に流れる小さな谷が東西方向に並ぶ,別々の流域に位置しており,どこか一カ所の主要な道がとぎれたのではなく,複数の箇所で崩壊,落橋などが発生した状況かと思われます.


http://base.alpslab.jp/?s=250000;p=32/35/14.26,130/53/24.2

熊本日日新聞にも記事があります(無料登録制)

http://kumanichi.com/news/local/index.cfm?id=20070707200028&cid=main

これによると,家屋の損壊,浸水などの被害が出ているのも,やはり緑川流域の山都町,美里町,甲佐町,熊本市など(熊本市は緑川流域だけではありませんが)が中心のようです.

先に挙げたAMeDAS大金峰,甲佐は美里町の近傍です.降水量が単に多かったところではなく,「その地域にとって激しい降水量が記録されたところ」で災害が発生したことを示しているように思えます.このことは珍しいことでも何でもなく,いつもいつも繰り返されている,ごく当たり前のことです.本欄ではしつこいくらい述べていますが,降水量は,量そのものではなく,「その地域にとってどの程度激しいか」を見ましょう.それを見るための情報はもういろいろとあります.

「一日に**ミリ以上降ったら災害が起こりやすい」などといった,一見わかりやすそうだけど的外れな「教訓」は,もうやめていただきたいものです.


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