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2007年8月24日 (金)

陸前高田市にて聞き取り調査

本年3月27日付本欄でも紹介しましたように,現在,岩手県大船渡地方振興局との共同研究として,「中・高校生を主な対象とした地域防災連携アクションプランに関する研究」というテーマでの調査研究を進めております.

3月27日付本欄
http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_c4f4.html

研究テーマが漠然としていますが,いまのところ,中高生やその親世代など,「住民参加型防災活動」になかなか参加が得にくい世代にも参加してもらえるような,防災ワークショップなどの「住民参加型防災活動」を企画する事を中心に考えています.

まずは,調査対象地域を決め,その地域における災害に対する認識などを把握した上で,「住民参加型防災活動」のあり方を考えたいと思います.

「活動」としての意義はともかく,残念ながら「ワークショップの企画」では,「研究」になりませんので,「調査対象地域における災害に対する認識の把握」を,過去の類似調査などと比較することにまずは力点を置きたいと思っています.また,現在ある様々な情報や,なるべく広い立場の「技術者,専門家の知見」を盛り込んだ防災ワークショップのあり方についての事例研究ともなればと思っております.

今月に入り,この調査研究の対象地域として,陸前高田市内のある地区が固まってきましたので,昨日8月23日に現地で関係する方への聞き取り調査を行ってきました.

防災ワークショップなどの住民参加型防災活動は,一種の流行になっていますが,多くの問題を含んでいると思います.

牛山素行,豪雨災害を対象とした防災ワークショップの現状と課題,平成19年度砂防学会研究発表会概要集,pp.10-11
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/20070523sabo.pdf

私自身の過去の企画も,反省点が多々ありました.今回は,ともかくじっくりと,できる限りのことを取り組んでみたいと思っています.

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地図表示のテスト

Google Mapsのブログ等への貼り付けがさらに簡単になったようなので試してみます.

滝沢駅周辺図


拡大地図を表示

Googleマップ、ブログやWebに簡単に貼り付けられる新機能を追加(Internet Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/08/22/16658.html

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2007年8月22日 (水)

岩手県内で初の土砂災害警戒情報発表

200708221724h 本日8月22日10時30分,岩手県花巻市,西和賀町を対象に,土砂災害警戒情報が発表され,同日15時45分に解除されました.今年,岩手県内で土砂災害警戒情報が運用されるようになって初めての発表となりました.東北地方を横断した,寒冷前線に伴う豪雨によるものでした.

岩手県総合防災室の資料によりますと,この豪雨による人的被害,家屋の被害はないようです.また,道路の通行規制も生じていないようです.

大雨、洪水警報発表に伴う対応状況
http://www.pref.iwate.jp/%7Ehp010801/index/saigai08-22-1700.pdf

岩手県内では,避難勧告などの動きはなかったようですが,この情報がどのように運用されたかに関心が持たれます.直接調べる事ができるかどうかは分かりませんが,可能な範囲で情報を集めたいと思っています.

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2007年8月21日 (火)

災害調査・長さを測る

災害調査において,何を「測る」かは専門分野によるが,比較的共通する項目として,「なんらかの長さを測る」がある.例えば,泥流の流れた距離を測る,崩壊した斜面の幅や高さを測る,洪水による浸水の深さを測るなど,測るものの規模も様々である.

何かを測る上では,測量関連の知識や道具がある程度役に立つ.ただ,測量というと,誤差を補正したりして,精密に測らなければならないというイメージがある(これは筆者のように学生時代に中途半端に測量を学んだものの思い込みかも知れないが)が,災害調査の場合は,ラフな値でも必要十分であることが多い.

例えば,崩壊の幅や破堤した堤防の長さなど,水平方向の長さの情報は(よほど局所的に厳密な検討をするのでない限り)最小単位1m,誤差±5m程度,洪水や津波の浸水痕跡など,鉛直方向の長さ(深さ)の場合でも最小単位0.1m,誤差±0.2mくらいが得られれば,ほとんどの用途は満たすであろう.

無論,測定値の精度は,調査目的によっても変わってくることには注意しなければならない.しかし,上記程度の精度であっても,量的な情報が得られているのと居ないのとでは,災害調査報告としての価値に大きな差があると言っていい.長さに限った話ではないが,災害調査報告では,簡単な指標で構わないので,量的な情報を盛り込むことを心がけたい.

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2007年8月16日 (木)

「国内最高気温更新」と言ってよいものか

ここ2週間ほど,東日本から北日本を中心に高温状態が続いていますが,本日8月16日は各地でかなり高い気温が記録されました.気象庁HPの「今日の全国観測値ランキング(8月16日) 15時30分現在」をみますと,

埼玉県 熊谷 40.9℃ 14:42
岐阜県 多治見 40.9℃ 14:20

という記録が見られます.この記録を元に,「国内最高気温が更新された」という報道が一斉に為されました.

<国内最高気温>40.9度 岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市(毎日) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000044-mai-soci

埼玉・熊谷も40・9度 日本最高に並ぶ(産経) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000925-san-soci

多治見と熊谷で40・9度…74年ぶり国内最高気温(読売) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000005-yom-soci

この情報は,間違いというわけではありません.「日本の気象官署及びAMeDAS観測所における最高気温」は,1933年7月25日の山形における40.8℃ですから,これを更新したことは確かです.しかし,これより高い気温がいくつか記録されていることも確かであり,よく知られているところでは,1923年8月6日の徳島県撫養における42.5℃という記録があります.

この撫養の記録を「非公式の記録」と呼んでいる例が散見されますが,同意できません.この記録は,区内観測所と呼ばれる,AMeDAS観測網展開(1970年代中頃)以前に,気象庁が各地の役所や個人などに委託して観測を行っていた観測所で記録されたものです.気象庁と全く関係のない組織が独自に行っていた観測というわけではありませんし,昔の気象庁の刊行物(「観測所気象月報」など)には部内のデータとして掲載されていたものです.

気象庁HPの,「ホーム > 気象統計情報 > 過去の気象データ検索  > 歴代全国ランキング」には確かにこの記録は載っていません.しかし,このページに載っているものが「公式記録」で,それ以外は「非公式」だなどということは,気象庁HPには書かれていません.

このページの掲載条件としては,「全国の現在観測を行っている観測所について、観測開始または移転等により観測環境が変わった時からの観測史上1位の値を地点ごとに比較し、大きい順(または小さい順)に上位10位を示しました。」とありますから,AMeDAS化の際にほぼ全てが移転・観測環境が変化した区内観測所のデータが載っていないのは当たり前のことで,「公式」とか「非公式」といった次元の話ではありません.百歩譲って,区内観測所が「気象庁の職員により直接管理された観測所ではないから,非公式観測所」だと考えるとしても,やはりこのページに掲載されている記録のみが「公式記録」であるとは思えません.「気象庁の職員により直接管理された観測所」であり,現在は全廃された,「気象通報所」の記録が,このページには収録されていないからです.このページに収録されているのは,電子化されたデータ,と言った方がよいかと思います.

ちなみに,この記録は「気象庁監修 気象業務支援センター発行 気象年鑑」には掲載されています.

無論,今日が記録的な暑さだったこと自体を否定するつもりはありません.また,昔の百葉箱での気温観測では,晴天時には気温が高めに出る傾向があるという問題もあり,撫養の記録を無条件で現代の記録と比較することにも難しい面があります.ただ,区内観測所の記録のような,先人が汗水垂らして蓄積してきたデータがあっさり踏みにじられる(無視される)ことに対して,どうしてもやりきれない思いがする,というだけです.

昔のことや,目立たないことがあっさり忘れられる,というのは,なにも数十年も前の話だけではありません.ここ数日のメディアだけを見ていると,「今年は猛暑,地球規模で暑い」という印象が持たれそうです.

この記事など完全にその論調.
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070813-00000933-san-soci

Tem5dhi00_2 Tem30dhi00 5日平均気温で見ると,東日本,北日本での平年偏差が非常に高くなっています.しかし,西日本太平洋側などはそれほどのことはなさそうで,厳しい暑さは「地球規模」どころか,「全日本」ですらなさそうです.更に,30日平均でみると,ほとんど平年並みの所ばかりのようにすら見えてきます.今年の7月が比較的低温だったためです.

「実感と違う,データを使ったごまかしじゃないか」と思うかも知れませんが,気候統計とはこういうもので,逆に言えば,「目先の印象の影響を受けやすい我々人間に知恵をつけてくれるために気候統計が存在する」と言ってもいいでしょう.

今年は6月が全国的に高温傾向,7月が逆に低温傾向でした.週間予報では,今週末以降は暑さが和らぐようですから,このまま行きますと,今年の夏季(気候統計では6~8月)全体は,「記録的な暑さ」というような状況にはならないのではないかと思います.

6月の天候(気象庁)
http://www.jma.go.jp/jma/press/0707/02a/tenko0706.html
7月の天候(気象庁)
http://www.jma.go.jp/jma/press/0708/01b/tenko0707.html

人間は忘れやすいものです.それは仕方がありません.また,広い範囲に目を行き届かせるということも容易なことではありません.私自身,けっして人に偉そうなことが言える者ではありません.しかし,だからこそ自戒を込めて言いたいのです.あと少し,ほんの少しでいいのです.◆時間的に,空間的に広い眼を持ちたい◆

ここ数日,過去の豪雨災害による人的被害の整理分析をしていました.あとほんの少しでよいから,時間的・空間的に広い眼で自然(災害)をみていたら・・・,と悔やまれる事例をいくつも見ました.今日の記事がいつにもまして感情的なのは,このためかも知れません.失礼いたしました.

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2007年8月13日 (月)

サーバの一部停止と復旧

8月10日夜から,8月13日午前にかけて,本学の計画停電により,当方管理の一部サーバの一部が停止していました.ただし,影響としては下記の2点だけでした.

・リアルタイム豪雨表示システムのデータ更新の停止
・リアルタイム豪雨表示システムの過去データ表示の停止

昨年の停電時は手違いがあり,この間のメール受信も停止してしまいましたが,今年はdisaster-i.net宛のメール受信は影響を受けていません.ただし,当方のiwate-pu.ac.jpアドレス宛にメールを送信された場合はこの間受信が停止していました.

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2007年8月11日 (土)

改訂・緊急災害調査の心得(6)

◆「できる範囲のことをする」ことが重要

 緊急災害調査では,調査時間も,資料整理・報告までの時間も限られていることが多い.したがって,あれもこれもと欲張った調査をするのではなく,情報収集,現地踏査とも,できる範囲内で得られたものを最大限に活用するよう努力するのが基本であろう.幸い,近年は多量のデータを迅速に入手することが容易になっている.災害直後に,インターネット上に掲示されている程度の情報を,あらためて相手方に電話をかけてFAXや郵送を依頼するような行為は,現代では迷惑行為であると断言できる.
 現代は,基礎的情報,被害情報,学会の動きなど多くの情報がインターネットを通じて流通するようになった.もはや,災害関連の情報は,特別な人のところに「集まる」のではなく,「集める」時代になったと言っていい.「できる範囲のことをする」とは言っても,その「できる範囲」は大きく広がっていると言えよう.

◆参考となる図書

 災害調査全般については,「自然災害調査の基礎」(水谷,1993)が,ほとんど唯一の良書である.洪水,土砂災害,地震,火山など幅広い災害事象ごとに,資料収集から現地調査などの方法を概説している.
 このほかは,それぞれの分野ごとの「調査法」に関する図書のなかから,その災害調査に関連する事項を探索して,参考にするということになる.筆者自身が参考になると思う図書としては,以下のものが挙げられる(発表年順).拙著も含まれているが,ご容赦いただきたい.

池谷浩:土石流対策のための土石流災害調査法,山海堂,1980.
松村和樹ほか:土砂災害調査マニュアル,鹿島出版会,1988.
水谷武司:自然災害調査の基礎,古今書院,1993.
正井泰夫・小池一之編:卒論作成マニュアル,古今書院,1994.
新井正:水環境調査の基礎,古今書院,1994.
牛山素行ほか:身近な気象・気候調査の基礎,古今書院, 2000.
佐藤郁哉: フィールドワークの技法,新曜社,2002.
大谷信介ほか:社会調査へのアプローチ 第2版,ミネルヴァ書房,2005.

 「調査法」は人により,対象により,様々である.災害調査にとって何より重要なことは,「調査法の教科書」を絶対視せず,その時々の調査目的に応じて,「この目的のためには何を調べればよいか」を考えることであろう.

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2007年8月10日 (金)

災害時の人工衛星活用に関する検討会

8月8日,JAXA(宇宙航空研究開発機構)主催の,「災害時の人工衛星活用に関する検討会」に,検討会委員として出席させていただきました.

私はリモセンや衛星とは縁遠いところにいますので,普段と違う分野の話題を聞くことができ,大変有意義でした.

衛星などの新しげな技術を,防災面でどう使うかについては,イメージ先行な部分があるように感じています.「こんなこともできます,あんなこともできます(ただしたくさんの仮定条件付き)」ではなくて,本当に必要なこと,本当にできそうなことは何なのか,という視点が重要ではないかと考えています.

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2007年8月 7日 (火)

改訂・緊急災害調査の心得(5)

◆現地で(2)  -人の話を聞く-

 被災地の行政機関,被災者などから話を聞くことによって有益な情報が得られることは間違いないが,トラブルに遭遇する可能性も高い.怒鳴られたり,なぐられたりするくらいのことはあるものと覚悟した方がよい.まず,相手が会話に応対できる状態かよく見極めて,手短に話を聞くよう心がけたい.また,名札を着用したり,所属機関名のついたヘルメットをかぶるなどして,自分の素性を相手にはっきり理解してもらえるようにすることも必要であろう.

 行政機関も,災害発生直後は混乱を極めており,災害後少し時間がたってから(災害の規模や機関にもよるが,1週間~1ヶ月後くらい)たずねることが望ましい.どうしても災害直後に話を聞きたい場合は,役所内のカウンターでの立ち話程度にとどめておき,後日電話や文書であらためて尋ねるなどの方法をとった方がいいだろう.

◆現地で(3) そこでしか入手できない資料を探す

 これは,条件的に可能であればのことであるが,「現地でなければ手に入らない資料」,あるいは,「現地の方が簡単に手に入る資料」の入手にも気を配っておきたい.最近では「現地でなければ手に入らない資料」は減りつつあるが,それでも現地ならではの資料は少なくない.現地の役所や避難所で配布,掲示されているが,ネット上には出てきていない「お知らせ」や,「被害状況報告」などは代表例だろう.もらって差し支えのないものはなんでももらってくるくらいの気持ちでいた方がいいだろう.

 「現地の方が簡単に手に入る資料」の例としては,その地域の地史など郷土資料が挙げられる.この種の資料は,現地の図書館に立ち寄ることができれば,必ず集積された棚があるので効率よく参照できる.遠隔地でも,図書館の相互貸借や国会図書館の利用などの方法で参照できないわけではないが,非常に手間がかかるし,予想外の資料を発見することはほとんど期待できない.

◆現地で(4) 測る

 緊急災害調査の主な目的の一つとして,何かを「測る」事が挙げられる.何を測るかは,それぞれの調査者の専門分野,関心の内容によってまったく異なるが,共通して言えることは,「すぐに消えてしまう情報を優先的に測る」ということであろう.たとえば,洪水などの浸水痕跡は,1週間も経過するとほとんど分からなくなってしまう事も珍しくない.調査目的に応じ,計画的に「測る」事が重要である.

 一昔前は,「災害調査=Hazardに関わる何らかの物理量を測ること」であり,その「測定」の結果を整理して,Hazardのメカニズムを解析,説明するのがすなわち「災害研究者」であったようなイメージを筆者は持っている.現代でも,Hazardのメカニズムを「解明」する事はもちろん必要なことであり,今後も取り組まれるべきだと思うが,災害そのものを観察する事にももっと力が注がれるべきではなかろうか.Hazardを観察するだけではなく,災害そのものの姿を明らかにするためには,なにを「測」ればよいのか,これについては,筆者にもまだ明確な方向が見いだせていない.

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2007年8月 6日 (月)

改訂・緊急災害調査の心得(4)

◆現地で(1) -まずたくさんの事実を見る-

 現地では,まずは可能な限り多くのものを見ることを心がける.カメラ,ビデオ等でなるべく多くの映像に残しておくといいだろう.撮影は過剰だと思えるくらい多くしておく方がよい.現地では多くのものを見たつもりでいたのに,映像に残っていなかった,ということがしばしばあるためである.筆者の場合,災害直後の現地調査では,1日あたり100~200枚程度の撮影を行っている.

 いまさら言うまでもないことだが,このような場面では撮影枚数を気にしなくてよいデジタルカメラが必須であろう.どのようなデジタルカメラがよいかは,調査目的や,調査者の慣れなどによるので一概には言えない.筆者の場合は,極力小型軽量で,手ぶれ防止機能に優れたものがよいと思っている.工事現場用の防水・防塵性に優れたものも魅力があるが,概ね大きくなってしまうので筆者は使用したことがない.通常のデジカメもそう簡単には故障しないと思うが,最も可能性があるとすれば落下による破損,水没であろう.これに対しては,カメラにストラップをつけて首からかけておけば概ね防ぐことができる.究極の故障対策としては,予備のカメラを持つことも考えられる.

 

手ぶれ防止機能は,薄暗くなってもそれなりの写真が撮影できる点が魅力的である.災害調査では,広い範囲を撮影したいことが多いので,ストロボだけでは効果が期待できない場合が少なくない.また,手ぶれ防止の代わりに高感度化しているタイプのカメラ(あるいはフィルム)もあるが,高感度で暗いところを撮影すると,非常に汚くなるので,あまり奨められない.

 撮影場所はこまめに記録しておくことが望ましいが,限られた時間では手が回らないことも多いので,地図上に移動ルートを書き記しておくだけでもよい.GPSを持っていれば,自分の移動ルートと時間を自動的に記録でき,撮影場所を記録することもできるのでさらに便利である.

 なお,被災家屋や被災者個人を撮影対象とするときは,相手の承諾を得るなど,細心の注意が必要である.どうしてもやむをえないとき以外は,遠景にとどめるなどの工夫が必要だろう.

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2007年8月 5日 (日)

盛岡周辺の巡検

本日は,研究室の学生を連れて盛岡周辺の巡検をしてきました.主な踏査地は以下の通り.

  • (北上川)船田橋水位観測所
  • 渋民総合運動公園と電子基準点
  • AMeDAS好摩
  • 好摩地区の段丘,土石流危険渓流
  • 大更地区から見る岩手山と火砕流台地
  • 大更地区の流れ山
  • 岩手山御神坂土石流
  • (雫石町)岩手県北部地震で地表に現れた篠崎断層
  • (雫石川)御所ダム
  • 盛岡市上太田の霞堤

天候がいささか不順で,所々で雨に降られましたが,なんとか一日で予定の場所を巡ることができました.

1人で巡検の案内をするためには,それなりにいろいろな場所を踏査し,資料を集めておかなければなりません.昔から,いろいろな先生方に巡検に連れて行っていただいたものですが,いざ自分でやる段になりますと,あの先生方が如何に偉大であったかをしみじみと感じます.盛岡に来て2年あまり,ようやくなんとか人を連れて巡検ができるようになりました.まだまだ拙い限りですので,ますます精進していきたいものです.

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2007年8月 3日 (金)

台風0705号

8月2日から8月3日にかけ,台風0705号が西日本を通過し,3日夕方時点では北陸地方の日本海側付近を通過中です.

8月3日12時現在の総務省消防庁資料によれば,この台風による被害は,死者・行方不明者0名,住家の全壊0棟,半壊4棟,床上浸水2棟,床下浸水133棟などとなっています.いつも書きますように,被災した当事者にとっては災害の規模の大小などはありませんが,全国的な規模という観点で見ますと,結果的には,比較的軽微な被害であったと考えられます.

人的被害がほとんどありませんでしたが,住家の被害がごく僅かであったことから,「早期の情報によって被害が軽減された」という状況であるとは考えにくいと思います.降水量などのHazardの規模(外力の規模)が比較的小さかった結果かと思います.例によって,AMeDASの更新観測所を示しますが,2時間降水量の最大値を更新した観測所が6箇所(統計期間20年以上)とやや目につきますが,24時間降水量などの長時間降水量の更新は8月2日に北海道の稚内,8月3日に大分県の温見,熊本県の大金峰の3カ所で見られたのみでした.

2007/8/2の降水量最大値更新観測所
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/08/02/now-e.html
2007/8/3の降水量最大値更新観測所
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/08/03/now-e.html

私自身としては,8月2日深夜から3日未明にかけて,周防灘付近での満潮時に台風が最接近することになったことから,高潮が発生することを最も懸念していました.結果的には,最も多くの浸水被害が発生した山口県宇部市で,床下浸水14棟という規模でした.

宇部市 台風5号情報
http://www.city.ube.yamaguchi.jp/saigai/2007_8_2.html

私は,災害の規模をことさらに過小評価する意図はありません.当事者の方に対しては大変言いにくいことながら,被害規模には大小があり,その大小には,「外力規模の大小」がかなり関係しているということを,その都度確認しようしているものです.「『記録的』な台風という割にはたいしたことないじゃないか」という油断をしないように,我々は気をつけていかなければならないと思っています.

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2007年8月 2日 (木)

改訂・緊急災害調査の心得(3)

◆調査計画を立てる・準備する

 災害の大まかな発生状況が理解でき,自分自身が何らかの調査活動を行う必要があると考えたら,具体的な調査計画を立てることになる.まずはっきりさせる必要があるのは,グループ調査をするのか,単身調査かである.グループ調査は,現地での活動の際にお互い助け合えることや,移動を効率よくできること,資料収集の効率が上がることなどメリットが多いが,日程調整が必要で迅速に動けない場合があることや,必ずしも自分が見たい場所を回れないこと,現地へ迷惑がかかりやすいなどのデメリットがある.単身調査の場合は何かと自由が利くことがメリットである.

 次に,移動手段を決める必要がある.このあたりは,調査者自身の事情や,必要な機材の多寡などの関係もあり,一概には言えないが,多くの場合は自動車の利用が中心となるだろう.無論,ほとんどの場合,災害直後の被災地の道路事情は混乱を極めているので,特に都市部の災害を調査しようとする場合は,公共交通や徒歩で移動できる範囲をまずは計画するという方向性もある.道路状況などの把握も,事前情報収集の範囲内である.

 筆者の場合,被災地に最も近い大都市まで航空機,新幹線などの公共交通機関で行き,そこでレンタカーを借りて現地入りするというスタイルがほとんどである.これは,筆者の災害調査では迅速性が最優先されることと,筆者自身が長距離の自動車運転が苦手なためである.一例として2004年の「平成16年福井豪雨」の際の筆者の行動を示す.なお,当時筆者は仙台在住であった.

7月18日
午前 福井県内で豪雨発生
午後 降水記録,被害記録の整理.筆者の観点からも「大規模」事例と判断.現地調査の準備,交通機関予約手配.
7月19日
6時頃 仙台発,東北新幹線で東京へ
11時頃 羽田発,空路,小松空港へ
12時頃 小松空港着,レンタカーで福井市内へ
13時頃 福井市内着,以降,付近を車&徒歩で移動
16時頃 現地(美山町付近)発
17時頃 小松空港着,17時半頃小松発,空路で仙台へ
18時半頃 仙台空港着

 この時の現地調査では,被災直後の現地観察が主たる目的で,訪問すべき箇所としては以下の付近を考えていた.

・福井市街の足羽川破堤箇所
・破堤箇所周辺の観察,浸水深などの記録
・足羽川中流域谷底平野部の被災状況
・山間部の土砂災害の状況

 このときの現地調査の状況は,下記に整理してある.

平成16年7月福井豪雨災害 研究関係情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20040718/

 現地への携行品は,自分の専門分野に応じた機材のほか,地図,カメラ,野帳,雨具,食料,飲料水(水筒)などが挙げられよう.専門的な調査での地図というと国土地理院の地形図を考える人が多いかもしれないが,災害調査では,広範囲の地図をまとめて携行しやすく,各種の施設や目標物を確認しやすい冊子体の道路地図も案外便利である.飲食物は忘れがちであるが,災害直後は都市部であっても飲食物が入手しにくい場合もあるので,現地調達を前提とせず,軽い登山をするくらいのつもりで用意した方がよい.服装は作業着やスポーツウェアなどがよい.活動的になれることはもちろんだが,現地にいる人と同様な服装になることによって,無用な心理的摩擦を避ける意味もある

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2007年8月 1日 (水)

改訂・緊急災害調査の心得(2)

◆まずは動かず情報収集

 緊急災害調査には,迅速性が重要である.しかし,災害発生(あるいは開始)直後は,まずは自分の本拠地に腰を据えて,でき得る限りの情報収集を行い,「どこで,何が起こっているのか」を掌握することが必要である.かつては,災害直後の情報源はテレビ,新聞程度しかなかったが,現在はインターネットでかなりの情報を得ることができる.インターネット上の定番的なページの参照や簡単な検索で分かる程度の情報を得ずに闇雲に現地に行くのは,無駄足が多くなるといってももはや過言ではない(無論,調査目的にもよるが).

 まず見るのはいわゆる「ニュース」である.現代では,「ニュースを読む」とは,紙の新聞を読むのではなく,Webサイト上のニュース記事を読む事と理解してよく,災害時のニュース参照は特にそうなってきた.「災害時の紙の新聞記事をスクラップにする」という活動は,以前は意義があったが,現代ではもはや無駄な労力だと思う.ネット上に載らないローカル記事を保存するという意味に限定すれば意義があるが,全国紙の「紙」の記事をスクラップすることはもはやお奨めしない.そんな時間があるのならば他のことをした方がよい.

 全国紙の記事は,Yahoo!やgooなどのニュースページを見れば,無意識のうちに「比べ読み」できる.特定のキーワード(被災地の細かな地名など)が把握できれば,ニュース記事に限定した検索が効果的である.Yahooならばニュースページ内の検索窓で「ニュース記事」だけを対象に検索する.Googleならば Googleニュースからの検索をする.災害時のニュースとしては,地方紙の記事が大変有用である.YahooやGoogleから地方紙の記事も検索できるが,うまく引っかからない場合や,引っかかりすぎて逆にたどり着けないこともある.地方紙自身のサイトを直接見た方が手っ取り早いことも多い.

 web上のニュース記事は,一定期間が過ぎると消されてしまうことが多く,短いケースでは1日と保存されないことがある.参照した記事は電子的に保存すべきである.筆者の場合は,PDFとテキストの2形式で保存することが多いが,このあたりはそれぞれの環境や慣れにもよるところだろう.

 全国の被害状況の概要は,総務省消防庁サイトの「災害情報」ページに掲載される,災害事例毎の統括表が「原典」と言っていい.

総務省消防庁「災害情報」ページ (2007年)
http://www.fdma.go.jp/bn/2007/index.html

 ここには都道府県別の集計値が載るので,市町村毎の被害状況を知りたいときは,被災地の都道府県庁サイトを参照する.掲載方法や「探し方」は県によって大きく異なるが,全く発表されないということはまずなくなったので,ちょっと探して見つからないからとあきらめず,「必ずある」と確信を持って探す.他にも,内閣府防災担当,国土交通省河川局などのサイトにも詳しい被害状況などの情報が掲載される.

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