人的被害の面から
今回の地震災害について,筆者の立場から着目すべき点は何かをいろいろと考えていましたが,一つのポイントは人的被害の発生の仕方についてが挙げられると思います.
総務省消防庁の第21報(6/15 18:30発表)によると,今回の人的被害は,死者9名,行方不明者13名となっています.自宅で被災して死亡または行方不明となったと見なせるのは栗原市の駒の湯関係者のみで,ほとんどが外出中,旅行中に遭難したものと考えられます.
「住民ではない人」が遭難しているケースが案外多く,「住民ではない人」は,年齢などにかかわらず「災害時要援護者」的な性格を持っていることは,豪雨災害に関する筆者の研究でもたびたび指摘しているところです.ハード防災対策は,「住民」も「住民でない人」も隔てなく効果を発揮しますが,災害情報などのソフト防災対策は,主に「住民」が念頭に置かれており,「住民でない人」への対応は難しいものがあります.
今回の事例と共通する,
・山間部での地震災害とそれに伴う土砂災害
・山間部の観光客や作業中の人などが多く遭難した
という特徴を持つ事例としては,1984年の長野県西部地震が挙げられます.この地震では,長野県王滝村で御嶽山が山体崩壊と言っていいほどの大規模な崩壊(崩壊土量約3600万m^3)を起こしたのをはじめ,各所で斜面崩壊を生じました.死者不明者は29名で,その内訳は温泉旅館の流失(消滅というべき状況でした)により4名が不明,移動中やキノコ狩りなどの最中に行方不明となった人が11名,川沿いの生コン工場従業員など作業中に不明となった人が13名などで,ほとんどの犠牲者が「住民でない人」でした.
地震災害の場合,豪雨災害以上に「住民でない人」への対応は困難なものがあります.しかし,「教訓」として考えていかなければいけない課題であることも確かです.
参考文献
全国防災協会編:わが国の災害誌 第4編,2004.
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