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2010年1月 3日 (日)

ワークショップ企画や災害調査に役立つ地域調査演習

古今書院から刊行されている月刊誌「地理」の2009年1月号から,「ワークショップ企画や災害調査に役立つ地域調査演習」という連載記事を掲載させていただいておりましたが,同12月号で完結しました.記事の一覧を以下に挙げます.

  1. 防災ワークショップとは,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.1,pp.46-53.
  2. 地域調査の基礎資料をさがす,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.2,pp.49-53.
  3. 対象地域の位置と人口の概要,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.3,pp.112-116.
  4. 対象地域の略図を作る,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.4,pp.91-95.
  5. 地域の自然条件を調べる その1 地形,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.5,pp.107-114.
  6. 地域の自然条件を調べる その2 気象/河川,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.6,pp.76-81.
  7. 対象地域の自然災害に関する調査 その1,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.7,pp.113-115.
  8. 対象地域の自然災害に関する調査 その2,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.8,pp.112-115.
  9. 現地での調査,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.9,pp.111-116.
  10. 現地での調査 その2,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.11,pp.51-55.
  11. 聞き取り調査,月刊地理,古今書院,Vol.54, No.12,pp.92-98.

「これのどこが住民参加型ワークショップのやり方なんだ,難しいことばかり並べやがって」と,不快に思われる方もいるかもしれません.私の立場は,連載のはじめに書きましたので,以下に挙げておきます.

ちなみに,私なりの「ワークショップのやり方」については,昨日の記事で紹介した下記文献がそれにあたります.

牛山素行・岩舘晋・太田好乃,2009:課題探索型地域防災ワークショップの試行,自然災害科学,Vol.28,No.2,pp.113-124.
http://www.disaster-i.net/notes/2009JSNDS28-2.pdf

なお,この連載は,再構成して著書として刊行するべく,ただいま準備中です.2010年夏ころまでには刊行される見込みです.

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●連載のはじめに

 この連載記事は,広い意味での住民参加型防災学習活動(防災ワークショップ,DIG,図上訓練などを広く含む)を企画する立場の人が,企画立案にあたって対象地域について理解を深めるために行う地域調査の方法について解説するものである.「防災ワークショップのやり方」ではなく,「防災ワークショップをやるための事前調査のやり方」についての記事である.同時に,本連載の内容は,災害発生後に行われる災害調査に際して,対象地域の概要を調べる場面でもほぼそのまま利用できるはずである.あるいは本誌読者に対しては,「初歩的な地誌作成の手引き」という説明の方がご理解を得やすいかもしれない.読者の専門分野はあまり限定せず,防災ワークショップの企画や,災害調査に携わるほぼすべての人が対象と考えている.したがって,本誌読者にとってはあまりにも常識的な内容も含まれるかもしれないが,地理を専門としない人に対する説明資料の一つとしてご一読いただければと考えている.
 すでにワークショップ企画を経験された方の中には,「ワークショップをやるために,対象地域についての調査なんて必要なの?」と思われる方もいるかもしれないが,筆者は「程度の差はあれ,絶対に必要」と断言する.防災ワークショップは,「どこでも同じような方法で,素人でも簡単にできるイベント」ではない.災害とは,地域固有の災害に対する「素因」(地形,気候,人口など)に,引き金となる「誘因」(地震動,豪雨,津波など)が作用して発生するものである.したがって,災害を対象としてワークショップ等の取り組みをする以上,それぞれの地域の災害に関わる特性(素因)を知った上で行わなければ,せっかくの取り組みが深まらないばかりか,場合によると災害科学的な知見から見て誤った見解を,「参加者の合意事項」としてとりまとめてしまう危険性すらはらんでいると思う.防災ワークショップ企画には,入念な情報収集と準備が必須であると筆者は考える.本連載は,その準備のための参考資料を目指している.より実践的な資料とする意図から,本連載では各節ごとに,説明した事項を報告書等にとりまとめることを想定した「演習」とその「作例」,補足説明としての「解説」を掲載することにしている.
 地域調査は,それ自体を目的とすることも可能で,深めようと思えばいくらでも深められる.しかし,本書で目指すのは,あくまでも防災ワークショップの企画や,災害調査の導入部で,対象地域の概要を簡潔に把握するための地域調査であり,そのための必要最小限の内容を紹介しようと考えている.読者によっては,物足りなく感じることがあると思うが,それぞれの専門分野や調査の目的に応じて,深めていただければと考えている.
 現代の日本は,災害あるいは防災に関する様々な情報の整備が著しく進んでいる.これらの情報を最大限に活用し,単なる思いつきに過ぎない「気づき」からは卒業することを目指すべきではないか.災害による被害軽減を図る上で,本連載が役立てることを祈念している.

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