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2010年7月12日 (月)

最近の大雨について

一部メディアの報道を見ていると,連日日本各地で「記録的な豪雨」が発生し,大変なことになっているかのような印象を受けそうです.しかし,客観的に見て,本年はまだ「記録的な豪雨」が多発している状況ではなく,「豪雨による災害」も多発している状況にはないと筆者は考えています.

目立って報道されている,鹿児島県南大隅町で発生した土石流は,崩壊の規模,生産土砂量などはかなり大規模なものであることは間違いありません.しかしながら,社会的に大きな被害にはつながっていません.この事例に限定せず,今年になってから鹿児島県で発生した豪雨による被害として,鹿児島県から発表されているものは以下の通りです.

7/3~5 死者2名,全壊3棟,半壊1棟,床上浸水1棟
6/18~23 死者無し,全壊無し,半壊無し,床上浸水3棟

つまり,「避難に成功したから被害が目立たないのではないか」と思うかも知れませんが,その面も否定はしませんが,そもそも家屋の被害自体が比較的軽微で,「避難 したから被害を免れた」とは言い切れない状況にあります.

降水量自体も,まだそれほど「記録的」にはなっていません.2010年1月1日から,7月8日までの時点で,全国AMeDAS観測所のうち統計期間20年以上の観測所を対象に集計すると,降水量の最大値を更新した観測所は次の通りとなっています.

1時間降水量 5箇所
北海道・上富良野,岩手県・荒屋,長野県・大町,鹿児島県・吉ケ別府,鹿児島県・佐多
24時間降水量 3箇所
北海道・森野,兵庫県・福崎,鹿児島県・上中
72時間降水量 2箇所
鹿児島県・川内,鹿児島県・東市来

地点数自体,あまり多くはありません.また,短時間降水量の記録更新と,長時間降水量の記録更新が同時に発生した地点もありません.

被害の面で見ても,鹿児島県に限らずそれほど目立った被害は今のところ発生していません.大きな被害が発生し始めたときは,消防庁ホームページに被害等の総括表が掲載されますが,今年は豪雨災害についてはまだ掲載事例はありません.

繰り返し主張していることですが,「たいしたことがないから大丈夫」といっているのではありません.毎年発生する災害事例と比較してそれほど激しい状況になっていない段階で,繰り返し繰り返し「記録的」「災害多発」などということが適切でないと言いたいのです.本当に「記録的」で激甚な災害が発生しそうになったときに,その警告が「またか」と軽視されてしまうことを懸念しているのです.

九州南部では「長雨」が続いていることは確かです.鹿児島県内の本土側のAMeDAS観測所のうち,6箇所(八重山,東市来,輝北,喜入,内之浦,佐多)では,2010年6月の月降水量が,1976年以降の最大値を更新しました.「6月の月降水量としての最大値」ではなくて「通年の月降水量としての最大値」の更新です.

月降水量などの非常に長い積算降水量が多いだけでは,洪水,土砂災害には直結しませんが,その後に,1時間,24時間などの降水量が「記録的」になると,危険性が高まります.警戒を怠ることのできない状況であることは確かです.

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