東日本大震災犠牲者(東北3県以外)の原因別分類・4月30日時点
筆者はこれまで,豪雨災害を中心として自然災害の犠牲者の発生状況に関する調査研究をしてきました.
http://disaster-i.net/research4.html
もともとこの研究の発端は津波災害についてでしたし,地震災害についても一部同様な手法での研究を行っています.
東日本大震災では,その被害規模があまりに大きいことから,従来と同様な手法ではこのような調査研究を行うことは困難です.そもそも,発災後まもなく2ヶ月になろうとしていますが,いまだに死者・行方不明者数は変動しつつあります.4月30日の警察庁資料によれば死者・行方不明者数は25681人で,これは4月20日の27754人より2000人ほど少なくなりました.これは全く奇異なことではなく,発表される被害が発災直後から次第に増え,やがてピークを迎えてその後減少するのは一般的に見られることですが,これほど極端に増減することは極めて異例です.
しかし,被害が特に大きい岩手・宮城・福島以外の各地では,死者・行方不明者数については大きな変動が見られなくなってきました.これら3県以外の死者・行方不明者数は相対的に少ないことから,従来と同様な方法での集計も可能と思われますので,4月末時点のデータをもとに検討してみました.
基礎となるデータは,消防庁の「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)(第115報) 4/30」です.ここに示された市町村別の値をもとに,各県の公表資料,報道記事をもとにデータベース化し集計しました.
3県以外では,北海道,青森,茨城,栃木,群馬,埼玉,千葉,東京,神奈川の9都道県で,死者64名,行方不明者4名,計68名の被害が生じています.いわゆる関連死がほとんどカウントされていないので,ほぼ地震による直接的な犠牲者数となります.また,3月11日夕方,4月7日,4月11日の余震による死者各1名・計3名が含まれています.
これだけでも,近年の主要地震災害である2008年岩手・宮城内陸地震(死者・行方不明者23名),2004年新潟県中越地震(地震に直接起因する死者・行方不明者は24名)などを大きく超えていることになります.
これら犠牲者を原因別に分類すると下図のようになります.
分類法は,筆者の既往研究である,
牛山素行・太田好乃,2009:平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震による死者・行方不明者の特徴,自然災害科学,Vol.28, No.1, pp.59-66.
http://goo.gl/lX06S
に,あらたに「津波」と「落下」を加えたものとしました.
東北3県以外で集計しても「津波」が多く,全体の1/3程度を占めます.これに次ぐのが「倒壊」です.ただし,建物が完全に倒伏してその下敷きになったと見られる犠牲者は2~3名で,落下した天井に当たったと思われるケースが4~5名,橋梁や立体駐車場の落下に巻き込まれたものが3名,屋外で瓦や壁の落下に巻き込まれたものが3名,家具や本の下敷きとなったものが2名となっています.
「その他」はいわゆるショック死4名,いろいろな状況での転倒5名,酸素吸入器の停止2名,有毒ガス吸引2名,などです.「落下」6名の内4名は茨城県東海村火力発電所工事現場での遭難者です.「土砂」は栃木県那須烏山市での2名と,茨城県つくば市筑波山での落石事例です.
今回の震災の犠牲者が津波に大きく偏り,建物倒壊に伴う犠牲者が限定的だということは現地を見ればだいたい推察できますが,東北3県以外の傾向からもその傾向は見て取れそうです.
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