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2011年6月17日 (金)

東日本大震災による死者・行方不明者 -3県以外・原因別犠牲者数-

岩手・宮城・福島の3県以外の犠牲者の分類

(1)原因別犠牲者数
 既に述べたように,東日本大震災に伴う死者・行方不明者は,その多くが津波に起因するものである可能性が高い.しかし,死者・行方不明者の発生原因に関する数値的なデータは6月上旬時点では公開されていない.内閣府(2011)には,東日本大震災の犠牲者の死因として,溺死92.4%,圧死・損壊死・その他4.4%,焼死1.1%,不詳2.0%とあるが,出典は「警察庁資料より内閣府作成」とあり,実数のデータはわからない.
 筆者は,地震災害や豪雨災害による犠牲者について,新聞報道や現地調査を元にデータベース化し,原因や発生状況についての解析を行ってきた(牛山ら,2009;牛山ら,2010など).しかし,このような手法では今回の震災による犠牲者に関する集計を行うことができない.試みに,先に用いた「一覧表」の死者のうち約300名について氏名を検索語として報道記事を検索したところ,個別的な遭難状況などが記事になっていたケースは数人程度しか確認できなかった.ただし,岩手,宮城,福島の3県以外の死者・行方不明者については,報道記事を元にした調査でおおむね個別の遭難状況が確認できたので,以下に挙げる.
 総務省消防庁(2011)によれば,東日本大震災に伴う,岩手・宮城・福島以外の各県における死者は66名,行方不明者4名,計70名である.これだけでも,日本の地震による直接的犠牲者数としては1995年阪神・淡路大震災以降最大である.なおこの70名には,3月11日17時20分頃の余震,4月7日の余震,4月11日の余震に伴う死者がそれぞれ1名ずつ,計3名が含まれている.以下ではこの70名について集計を行う.
 原因別の分類法は,牛山ら(2009)で用いた定義に若干加筆を行った表 2を用いた.原因別では津波によるものが最も多く26名(37%)となっている.これはすべて茨城及び千葉県での犠牲者である.津波の次に多いのは倒壊(15名)となった.ただし,表 2にみるように,ここでいう倒壊はかなり広い内容が含まれている.阪神・淡路大震災で多く見られた,住家が倒壊し,その下敷きとなって死亡したケースは1例も確認できなかった.内訳は,天井の落下によるものが5人,橋梁や立体駐車場の落下によるものが3人,外壁や瓦の落下が3人,納屋などの非住家建造物の倒壊によるものが2人,家具や図書の落下が2人などである.2008年岩手・宮城内陸地震で顕在化した,地震に伴う土砂災害に起因する犠牲者は3名で,それほど多くない.ただし,この集計には含まれないが,福島県白河市では12名が地震起因の斜面崩壊で死亡している.また,土砂災害に近い現象として,福島県須賀川市でも農業用貯水池の崩壊によって洪水が発生し10名が死亡している.4月11日の余震では,斜面崩壊によって福島県いわき市で3名が死亡している.これらを合算すると東日本大震災に伴う土砂災害による犠牲者数は少なくとも28名に上る.地震起因土砂災害の犠牲者の多かった事例である2008年岩手・宮城内陸地震時の23名を明らかに上回っており,けっして少ない数ではない.

表 2 遭難原因の定義
T2

F13
図 13 3県以外の原因別死者・行方不明者数

[参考文献]
内閣府: 東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会(第1回)配付資料,http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/higashinihon/1/index.html,2011年6月1日参照.
総務省消防庁:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第126報),http://www.fdma.go.jp/bn/higaihou/pdf/jishin/126.pdf,2011年6月6日参照.
牛山素行・太田好乃:平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震による死者・行方不明者の特徴,自然災害科学,Vol.28, No.1, pp.59-66,2009.
牛山素行・高柳夕芳:2004~2009年の豪雨災害による死者・行方不明者の特徴,自然災害科学,Vol.29,No.3,pp.355-364,2010.

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