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2011年6月17日 (金)

東日本大震災による死者・行方不明者 -津波浸水域と被害の関係-

 沿岸部に被害が集中していることから,犠牲者の多くは津波による犠牲者であることが考えられる.市町村別の津波浸水面積(国土地理院,2011)と,死者・行方不明者の関係を散布図にすると図 10となり,相関係数は0.662でかなりの相関が見られる.大まかな傾向としては,外力としての津波の規模が大きかった地域で,大きな被害が生じたと考えてよさそうである.
F10
図 10 市町村別津波浸水面積と死者・行方不明者の関係

 津波と犠牲者の関係をもう少し詳しく検討するために,津波浸水域内に限定した人口に対する死者・行方不明者の比を計算した(図 9).ここで津波浸水域内の人口としては,総務省統計局(2011)が,国土地理院の公表した津波浸水範囲と,2010年国勢調査の人口を用いて集計,公表した値を利用した.津波浸水域人口に対する比でも,最も高い値は岩手県大槌町で,14.50%だった.以下,岩手県陸前高田市,宮城県女川町で10%を超えている.被災地人口の1割前後が犠牲になることは,近年の日本の自然災害としては極端に大きな被害であることは間違いない.しかし,今回の津波到達範囲では家屋等の構造物が完全に倒壊,流失しているケースが多い.これだけ激甚な外力が加わったにもかかわらず,犠牲者は津波の影響を受けた範囲にいたと思われる人の1割前後だったと見ることもできる.つまり,大半の人は何らかの形で津波から逃れ,生き残った可能性が高い.犠牲者の発生状況については,今後様々な角度からの検証が必要だが,少なくとも「津波到達範囲にいた大半の人が逃げ遅れて遭難した」という状況ではなかったと推定される.
 また,津波が到達してもほとんど犠牲者が生じなかった市町村が存在する一方で,到達範囲内の1割以上が遭難した市町村が存在するなど,地域によって影響の現れ方がだいぶ異なることも注目される.様々な要因が影響していることが考えられ,今後の課題である.
 なお,これは人口統計値を元にした集計なので,津波到達時に本当にその範囲にいた人の数とは乖離があると考えられるが,特に被害の大きかった市町村は中心市街地が壊滅したケースが多く,むしろ被災時(昼間)の人口は国勢調査の人口より多かった可能性もある.今後何らかの補正,推定は行う必要がある.
F9
図 9 市町村別死者・行方不明者数の津波浸水域人口に対する比

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