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2011年6月 8日 (水)

津波警報「改善」は,客観的な根拠にもとづいた議論が重要

NHKニュース 津波警報の改善 勉強会初会合 http://nhk.jp/N3w55cbg

津波高さ予想、廃止意見続出=「過小評価で逃げ遅れ」―気象庁の警報改善勉強会 http://bit.ly/iAeXd8 どうか,今度こそ客観的な調査結果に基づく「情報改善」が行われることを強く強く祈念します.

津波予報を「*m」といった数量的な情報で出すことには私もあまり共感できません.(若干の海面変動)→津波注意報→津波警報→大津波警報という3(あるいは4)ランクの情報で何がいけないのかと思います.その意味で,今回行われようとしている「情報の改善」は賛成です.

しかし,「改善」するならば,「この情報によって具体的にこのような弊害があり」,「こう改善するとこのような効果が期待されるので」といった「改善の根拠」を客観的に調べ上げた上で実施してもらいたいと思います.

近年,目立った災害が起こるたびに「情報の改善」がいわれ,「何か」が実施されます.しかし,その改善の根拠(こういう情報が出されてこういう行動が取られたので人が亡くなった,とか)や,なぜそのように改善するのかという具体的な根拠が挙げられていないように感じています.
 

私自身も各種の公的委員会に参加させていただいたこともあるので偉そうなことは言えませんが,この種の「改善」を議論する各種委員会では,無論真剣な議論はなされるのではありますが,場合によると,そこに参集した委員のみなさんの「意見」で結論がまとめられる事があると感じます.もちろん,「意見」がなければ議論はまとまらないわけですが,「客観的な調査結果」を元にした「意見」であって欲しいと思います.時間的,あるいは人員や予算的制約の下であることはよくわかっていますが,それでも,もう少し何かできないものかと.
 

たとえば,数年前に行われた,河川の水位の呼称を「わかりにくいから」ということで「改善」したことを,私は未だに納得していません.これについては, http://goo.gl/gvUpr に少し書いたことがあります.河川水位の呼称「改善」も,旧来の呼称の何がいけなくて犠牲者が出たのか,新たな呼称は旧来の呼称に比べて,人の行動にどのような変化を与えるのかといった資料は提示されなかったように思います(知らないだけかも知れないけど).

私はこれまでに行ったいくつかの調査で,「かなり大きな津波予報の数値が示されないと逃げる人が少ない」という結果を得ています.一例としての資料(pdf)→ http://goo.gl/pRTAh

だから,私自身は,この結果を根拠として,「量的津波予報は避難行動を抑制する可能性がある」と指摘できます.

しかし,先の記事にあった「最初の予想や第1波の高さ20~30センチの観測情報で安心し、逃げ遅れた犠牲者が多かった」(いた,でなくて,多かった,と)ということは,少なくとも私には明解には言えません.

また,どういった情報提示ならば人は逃げてくれるのか,というのも難しい問題です.難しいですが,「おもいつき」ではなくて,「何らかの調査結果」にもとづいた「新たな情報」(あるいは今までのままでいいという結論でも)を出すことは可能だし,方法はあります.

避難行動を構成する要素はさまざまあり,いろいろな角度で調べれば調べるほどきりがなくなります.したがって,あらゆる角度から検討すべきだとはいいません.何かに焦点を絞ることが重要です.しかし,何かを変えるならば,その変える部分については,「なぜ変えるのか」「どう変えたらどうなるのか」について,量的でも質的でも良いので,データを示した上で行うべきだと考えます.

もちろん,私自身もこの問題には取り組みます.

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