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2011年6月17日 (金)

東日本大震災による死者-年代構成の特徴-

 1999年以降の日本の災害では,総務省消防庁が発表する事例毎の資料に,県別の死者・行方不明者数が示され,その別表として個々の遭難者の遭難場所(市町村名),年齢,性別が表記されており,ここから遭難者の年齢,性別に関する集計を行うことができた.しかし,東日本大震災においては,消防庁資料にこのような情報が収録されていない.一方,従来の災害では発表されたことがなかったが,今回の災害では警察庁から「今回の災害でお亡くなりになり身元が確認された方々の一覧表について」(警察庁,2011;以下では「一覧表」と言う)として,身元が確認された死者の発見場所(県のみ),氏名,年齢,性別,住所(大字程度)が公表されている.そこで,6月6日現在の「一覧表」を用いて,犠牲者の年代,性別を集計した.「一覧表」には,行方不明者,および身元不明の遺体については含まれていない.また,遺族がホームページでの犠牲者の公表を希望しない場合には掲載していないケースもある(宮城県警察本部,2011).これらの結果,6月6日現在で警察庁が発表している死者数が15373名であるのに対し,「一覧表」に示された犠牲者数は12843名(死者数の83.5%,死者・行方不明者数の54.5%)となっている.したがって,ここで行う集計は,今回の犠牲者の半数強程度を対象とした検討結果であることに注意が必要である.
 今回の犠牲者のほとんどは岩手,宮城,福島県(以下では「3県」と言う)に集中している.「一覧表」を元にした集計では,3県の犠牲者のみを対象とする.
 「一覧表」を元に犠牲者の年代構成を10歳毎に集計し,2005年国勢調査の値を元に3県の年代構成と比較したのが図 3である.比較のため,兵庫県(2005)をもとに,阪神・淡路大震災時の犠牲者について同様な図を作成した.東日本大震災の犠牲者は,全人口の年代構成と比較し60代以上の構成比が高く,50代以下で低くなっている.全犠牲者(年齢不明を含む)の63.1%が60歳以上,44.7%が70歳以上であり,高齢者への偏在が見られる.阪神・淡路大震災時にも同様な偏在が見られるが,60歳以上は58.3%,70歳以上が39.3%であり,東日本大震災の方がより偏在している.2004~2010年の日本の豪雨災害による犠牲者387人を元にした集計(牛山ら,投稿中)では,60歳以上64.7%,70歳以上48.6%であり,東日本大震災とよく似た傾向が見られる.阪神・淡路大震災では,20代の犠牲者構成比がやや高くなっていることがよく知られているが,東日本大震災ではそのような傾向は見られない.
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図 3 東日本大震災及び阪神・淡路大震災による犠牲者の年代構成

[参考文献]
兵庫県:阪神・淡路大震災の死者にかかる調査について(平成17年12月22日記者発表),http://web.pref.hyogo.jp/pa20/pa20_000000016.html,2005(2011年6月14日参照).
警察庁:今回の災害でお亡くなりになり身元が確認された方々の一覧表について,http://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/mimoto/identity.htm,2011年6月7日参照.
宮城県警察本部:身元が確認された犠牲者の方々,http://www.police.pref.miyagi.jp/hp/jishin/itai/kakunin/itai_kakunin.html,2011年6月14日参照.
牛山素行・高柳夕芳・横幕早季:近年の豪雨災害による犠牲者の年齢構成について,自然災害科学,(投稿中).

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