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2011年7月16日 (土)

今年の梅雨期の豪雨災害が少ないことは「普通のこと」ではない

今週初めに全国が梅雨明け.今年は梅雨期終わりの時点までで豪雨災害による犠牲者が1人も出ていません(見落としがあるいはあるかも知れませんが).喜ばしいことであることは間違いありませんが,「異常なこと,驚くべき事」であると言っていいと思います.

気象庁資料(2009,2010は消防庁)をもとに集計した,6~7月の豪雨による被害の経年変化.6~7月の梅雨期に死者・行方不明者が0だったのは1971年以降だと1994年だけです.以下,1992:1人,2001:2人. http://twitpic.com/5qc6qy

ちなみに,年間の被害の経年変化は http://t.co/LoNrW4J となります.豪雨による死者・行方不明者は最近40年以上にわたって一貫して減少傾向で,近年は年間100人以下の年が多くなっています.

無論,物的被害も含めて,全く被害が出ていないということはありません.今年5~7月の豪雨災害(住家の全壊または床上浸水が発生したもの)を対象に,新聞報道で発生場所,月日を特定し,各県webで公表されている被害を抽出してみました.

  • 秋田県「6/23からの大雨」.全壊1,床上148.7/11現在県資料.
  • 新潟県「6/23~26の大雨」.全壊0,床上3.6/27現在県資料.
  • 新潟県「7/4~5の大雨」.全壊0,床上1.7/11現在県資料.
  • 石川県「7/4の大雨」.全壊0,床上5.7/5現在県資料.
  • 鹿児島県「6/15~22の大雨」.全壊1,床上1.6/30現在県資料.
  • 熊本県「7/6大雨」.全壊0,床上9.7/8現在県資料.
  • 熊本県「6/18~21の大雨」.全壊0,床上1.6/22現在県資料.
  • 熊本県「6/11~12の梅雨前線豪雨」.全壊0,床上4.6/15現在県資料.
  • 神奈川県「6/30大雨」.全壊0,床上1.6/30現在県資料.
  • 岩手県「6/23大雨」.全壊0,床上2.6/25現在県資料.
  • 愛媛県「6/21大雨」.全壊0,床上2.6/21現在県資料.

仮にこれらを合計すると,住家の全壊2棟,床上浸水177棟.データソースが異なるので単純比較できませんが,住家被害も近年の中ではかなり少ないと言えます.

死者・行方不明者が生じなくても,まとまった規模の家屋被害が生ずれば消防庁から集計値が公表されます.今年はそういう事案がまだありません.その意味でも,梅雨期までの状況について,例年に比べれば,被害が少なかったと理解されます.

被害がゼロではありませんから,被害を受けた当事者にとっては「被害が少ない」という指摘は受け入れがたいと思います.あくまでも,全体の中での比較の話であり,現に生じた被害を軽視するつもりはありません.

今年の梅雨期に豪雨による犠牲者が出ていないのは,「よかったこと」ではありますが,「これがふつう,あたりまえなこと」ではありません.「大きな被害が生じていないことの異常さ」にはなかなか目が向けられてもらえないようですが,これは異常なことです.「梅雨明け」したからといって豪雨災害の脅威が去ったわけではありません.今年の豪雨災害の被害の少なさは異常です.これが普通のことだと考えず,十分に注意を払う必要を感じます.

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