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2012年6月27日 (水)

「豪雨の災害情報学 増補版」の刊行ご案内と著者割引販売のお知らせ

2008年に「豪雨の災害情報学」という本を上梓しましたが,今年2月頃に版元の在庫がなくなり絶版となりました.増補版発行の準備を進めていましたが,このたび刊行されました.

古今書院web内の紹介記事
http://goo.gl/t1eJr

増補版では新たに第8章を設け,初版刊行後の災害事例について記述を加えています.

第8章「豪雨の災害情報学」その後
8.1 豪雨災害時の人的被害に関する研究の進展 -平成18(2006)年7月豪雨など-
8.2 やや特殊な豪雨災害犠牲者の発生 -2006年10月7日岩手県葛巻町-
8.3 避難したことによる犠牲者の多発 -2009年8月佐用豪雨災害-
8.4 「ゲリラ豪雨」は防災上の脅威となるのか
8.5 東日本大震災

第1章~第7章の目次はhttp://goo.gl/XZMGl をご覧ください.

以下の方法で版元に申し込んでいただくと,著者割引(2割引+送料無料)で購入いただけますので,どうぞご利用ください.

  • この本の編集担当の古今書院 関 秀明 さんまでメールにて御連絡下さい.
  • メールの件名は「豪雨の災害情報学 注文」としてください.
  • 割引条件は、著者の紹介かつ以下の注文フォームを利用した場合に限ります.
  • 注文受付時に返信メールが届きます。代金は、本に同封されてくる郵便振替用紙で後払いになります。1週間以内に古今書院様に送金願います。

-----【注文フォーム】-----
1. この情報を知った媒体名を以下から選んでください
(a)disaster-i.net(牛山のホームページ)
(b)豪雨災害と防災情報を研究するdisaster-i.net別館(牛山のブログ)
(c)牛山のツイートから(@disaster_i)
(d)牛山個人から直接紹介
(e)その他[       ]

2. 送付先
郵便番号:
住所:
電話番号:
 ※メール便にて届きます

3. 注文の書名・冊数
『豪雨の災害情報学 増補版』    冊
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2012年6月25日 (月)

個人でもできる降水量の測り方 -やや正確に-

 ある程度正確な降水量を、簡単に観測するための道具として、いろいろな簡易雨量計が提案されているが、市販されているものはないようである。筆者が試作した簡易雨量計は、科学実験用のポリエチレン製ロートの管の部分に、カーステレオなどの防振用として市販されている粘着テープを巻きつけ、清涼飲料水の1.5リットル入りペットボトルに取り付けたものである。これに貯まった降水を、100mlメスシリンダーで計測し、次式によって降水量に換算する。

 P=(V/πr^2)*1000

  P:降水量[mm]
  V:観測値[ml]
  r:ロートの半径[mm]

 この簡易雨量計は、一般的な転倒ます式雨量計との比較観測の結果、降水量10mm以上の場合では、転倒ます式雨量計に対する観測誤差が±10%以内となった。降水量の少ない時には、転倒ます式雨量計の観測値にもばらつきが生じ易いことを考えると、この簡易雨量計は豪雨時などにまとまった雨量を観測するには十分実用的である。しかし、簡易雨量計の観測値を元に月降水量や年降水量を算出するには注意が必要である。

 簡易雨量計の材料のうち、ロートとメスシリンダーは理化学器材専門店のほか、薬局などで購入できる。店頭に揃えている薬局は多くないようであるが(96年5月に長野県伊那市内で調査したところ、薬局薬店全27店中、常備は1店のみ)、取り寄せることは多くの場合可能なようである。学校の理科担当教員に問い合わせることも有効かと思われる。

 なお、降水量は、測器による誤差以上に、測器の置かれている条件による観測値への影響が大きな問題となる。屋上などの高所や、障害物に囲まれた場所などでは降水量がかなり少なめに観測される場合がある。なるべく見通しのいい平らな場所で観測することが望ましい。これは、簡易雨量計であれ、市販されている雨量計であれ、同様の注意点である。

Srgpart
簡易雨量計の材料
Srg
比較観測中の簡易雨量計

関連記事:降水量って何ですか

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個人でもできる降水量の測り方 -ごく簡単に-

 もっとも簡単な降水量の観測方法としては、茶筒などのような、円筒形で底が平らなの容器を屋外に出して降水を貯め、貯まった降水の深さを定規等で計測する方法が挙げられる。しかし、1mm単位を正確に読み取ることはなかなか困難である。また、円筒形の容器というものも、意外に身近なところには無い物である。たとえば、洗面器などは、多くの場合上面が底面より面積が大きい形状をしているので、降水観測には不適である。

 阪神大震災後に、神戸地区の灘五郷酒造組合加盟の酒造メーカー各社から、日本酒のワンカップのラベルに目盛りを書き込んだ「目盛り付コップ酒」(通称:ワンカップ雨量計)が市販されたことがあった.ラベルの位置の制約により、20~30mm程度の強い雨でないと観測できないのが残念だが、これも一つのアイデアではあろう。残念ながら「ワンカップ雨量計」は、最近ではほとんど見かけることがなくなった.

 しかし,似たようなものは自作できる.ワンカップを活用するのであれば,ワンカップの底面が0になるように,カップの側面に定規をあて,1cmごとに水平方向にマジックなどで線を引けば,10mmごとに目盛りのついた簡易雨量計となる.

 なお、降水量は、測器による誤差以上に、測器の置かれている条件による観測値への影響が大きな問題となる。屋上などの高所や、障害物に囲まれた場所などでは降水量がかなり少なめに観測される場合がある。なるべく見通しのいい平らな場所で観測することが望ましい。

Onecup1
「ワンカップ雨量計」の外観(菊正宗)
Onecup3
ラベルの拡大図

関連記事:降水量って何ですか

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2012年6月19日 (火)

6月18日から台風情報として伝えられる風速の数字が大きく感じられるようになります

気象庁では従来,台風などの情報の中で「予想される最大風速」として10分平均風速を主に発表してきました.しかし,最大瞬間風速と建物の被害との関係が明らかになってきたとのことで,2012/6/18から気象情報の中に予想される最大瞬間風速も併記することになりました.しかし,そういう情報が出ればメディアは「より大きな値」である最大瞬間風速を強調して使うことは目に見えています.さてどうなるのか・・・

http://togetter.com/li/323322

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2012年6月17日 (日)

明治三陸地震津波から116年

1896年6月15日,岩手県沖を震源とするM8.25の地震が発生し,揺れは軽微だったものの大規模な津波が発生し,岩手県沿岸全域と宮城県沿岸北部を中心に,死者21959人の被害を生じました.近代以降2番目に大きな人的被害を生じた,いわゆる「明治三陸地震津波」です.

私は宮城,岩手に足かけ7年住んでいましたが,防災という分野に関わっていたせいかもしれませんが,「明治三陸」というのは,とてつもなく巨大で,恐ろしい現象というイメージを持っていました.

さて,本年6月15日は,明治三陸地震津波の発生から116年目に当たります.6月15日から16日にかけて,明治三陸地震津波に関する報道を有料検索まで広げてみましたが,

東京新聞 http://goo.gl/tjdNB
IBC http://goo.gl/MMniF
岩手日報 http://goo.gl/WRCed

の3件を確認したのみでした.

明治三陸地震津波の犠牲者は約2万2千人.近代以降に日本で発生した自然災害の中では2番目に人的被害の大きいまさに「巨大災害」です.しかし,この巨大災害も116年目の今日では発生日に取り上げられることもほとんどありません.これが現実です.

「マスコミが報じないだけで地域の人は覚えている」とも考えられますが,現実はなかなか厳しいです.たとえば,2008年に筆者が陸前高田市内で行ったアンケート調査では,明治三陸地震津波を「聞いたこともない」という回答が,大人で17%,中高生で35%という結果でした.
調査結果概要 http://goo.gl/OvF8N
調査結果詳細 http://goo.gl/4ssdY

どんな災害も「忘れない」「語り継ぐ」には大きなカベがあります.多くの人が忘れてもいいような都市構造,社会構造を目指すしかないように思います.そして,それは大変地味で根気のいる仕事.「啓発・啓蒙(今ならアウトリーチ?)」などと唱えることでは解決しそうにないと思います.

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2012年6月15日 (金)

「竜巻等突風予測情報改善検討会」第一回に提出した意見書

牛山も参加している気象庁の「竜巻等突風予測情報改善検討会」 http://goo.gl/M03eM

第一回検討会は欠席させていただいたので,「意見」を文書で提出しました.上記ページ内で公開されてます(PDF)
http://goo.gl/2VMRM

以下に上記の文書を再掲します.
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1.2007~2008年度の議論を踏まえた検討を
2006年9月に宮崎県延岡市,同11月に北海道佐呂間町で人的被害を伴う竜巻災害が相次いだことなどを契機として,気象庁は2007~2008年度にかけて「突風等短時間予測情報利活用検討会」を開催し,様々な議論を行ったと聞いております.同検討会での検討成果は,「竜巻注意情報」および「竜巻発生確度ナウキャスト」等のリアルタイム情報の整備や,リーフレット「竜巻から身を守る ~竜巻注意情報~」,冊子「竜巻などの激しい突風に関する気象情報の利活用について」などの作成につながっているものと理解しております.

今回あらたに「竜巻等突風予測情報改善検討会」が開催されましたが,竜巻等突風災害については2007~2008年度の検討会において,すでにかなり議論が積み重ねられているのではないかと思います.現時点において,「竜巻などの激しい突風に関する気象情報の利活用について」等の資料の内容を根本的に改変する必要性に迫られているとまでは言えないのではないかと私は考えています.時間的な制約もありますから,当時行われた議論を十分に踏まえた上で,前回の検討会以降に新たに生じた問題点,あるいは新たに可能となった技術や情報に絞った議論を進めることが重要かと思います.

2.根拠にもとづく改善が重要
今回の検討会において議論が必要かと思われるポイントは,個人的には下記ではないかと考えています.
a)気象情報→雷注意報→竜巻注意情報,という段階的な情報発表方法の妥当性
b)「竜巻注意情報」という呼称の妥当性
c)竜巻注意情報の発表対象地域が府県単位であることの妥当性
d)竜巻注意情報等,突風に関する情報についての知識普及や伝達方法のあり方

検討に当たっては,情報利用者の認識や考え方についての実態を,社会調査等何らかのかたちで調査した上で議論を進めることが必要かと思います.仮に,情報の呼称や制度を改変するのであれば,特定のエピソードや,漠然とした期待感に依拠することなく,「このように改変すればこのような効果が見込まれる」といった,具体的な根拠にもとづくことを目指すべきかと思います.ただし,災害情報においては「利用者の意見や意向が常に正しくそれに従う必要がある」とは私は考えません.利用者の考えを踏まえつつ,技術的に妥当な情報を構築する必要があると思います.
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災害情報の呼称や中身をいじるのならば,その情報がどう認識,利用されているかの実態を踏まえた上で議論すべし,というのは従来から私が言ってきたことではあります.しかし,いざそういった検討会の当事者になると,限られた期間中に実施するのはなかなか大変です.

とはいえ,「実態調査を踏まえよ」と言ってきた手前,今回の検討に係る調査は私自身も取り組みたいと思っています.いずれ,検討会の中で何らかの公表ができると思います.

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