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2012年9月22日 (土)

日本自然災害学会を終えて

9月17~19日の間,弘前大学を会場に第31回日本自然災害学会学術講演会が開催されました.当方関係では,下記4件の発表を行いました.

横幕早季・牛山素行・大森康智・佐津川貴子・増田俊明,防災実務者を対象とした人材育成講座の構築〜ふじのくに防災フェロー養成講座第一期を終えて〜,第31回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,pp.9-10,2012年9月18日.
http://disaster-i.net/notes/2012JSNDS-y1.pdf

横幕早季・牛山素行,日本自然災害学会災害情報委員会によるツイッタ—活用の試み,第31回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,pp.89-90,2012年9月18日.
http://disaster-i.net/notes/2012JSNDS-y2.pdf

牛山素行・本間基寛・横幕早季・杉村晃一,陸前高田市・気仙沼市における東日本大震災による人的被害の特徴,第31回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,pp.191-192,2012年9月19日.
http://disaster-i.net/notes/2012JSNDS-u.pdf

杉村晃一・牛山素行・横幕早季・本間基寛,岩手県山田町における東日本大震災による人的被害の特徴,第31回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,pp.129-130,2012年9月19日.
http://disaster-i.net/notes/2012JSNDS-s.pdf

このうち,横幕さんの「日本自然災害学会災害情報委員会によるツイッター活用の試み」の発表に対し,「日本自然災害学会学術発表優秀賞」が授与されました.おめでとうございます.

また,今回の学会に関係するツイートを,下記にとりまとめました.

自然災害学会オープンフォーラム終了までの関連ツイート
http://togetter.com/li/375144
第31回自然災害学会学術講演会(9月18日)
http://togetter.com/li/375230
第31回自然災害学会学術講演会(9月19日)
http://togetter.com/li/375736

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2012年9月 8日 (土)

9月6日付け静岡新聞の記事について(反論)

9月6日付け静岡新聞の記事(本稿最後に引用)ですが,私のコメントに関し,意図と異なる書かれ方になりましたので反論を書いておきます.

この記事を読むと「(牧之原市で行われたワークショップ的取り組みは)素人のみの計画策定でありけしからん.俺様のような専門家を加えて議論をすべきだ」という感じにも読み取れます.とんでもない話で,私はこんなことは言っていません.

この取材に対しては,ワークショップ的な取り組みに関しての質問があったので,一般論として素人のみの計画策定になりかねないという課題があり,住民「だけ」でなく,市町村職員(防災担当),市町村技術系職員,県,気象台,国交省などのさまざまな専門的視点を持った人が加わった議論がのぞまれる,と回答しました.

牧之原市の取り組みについて私は詳細を知っているわけではないですし,取材でも詳細は知らされませんでした.したがって,一般論としてコメントをしたまでです.しかし,牧之原市の取り組みに「課題がある」と読めそうな記事になってしまいました.

「専門家」という言葉の意味もすり替えられてしまいました.研究者だけが「専門家」だなどとは全く思っていません.

報道記事に関してはよくあることですが「やられた」という感じです.

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住民自ら津波防災プラン、市計画に反映へ 牧之原市沿岸各地区
2012/9/6 静岡新聞

 将来予想される巨大地震に備えようと、市民自ら防災計画を作る取り組みが8月末、牧之原市で始まった。津波で浸水する恐れのある市沿岸部の市民が「津波防災まちづくり計画」を策定する。東日本大震災後、市民主導の防災計画作りは全国でも行われていて、防災の専門家は「専門家の視点も必要」と提言する。
 同月27日夜、仕事を終えた会社員や主婦などが市内で行われた「津波防災まちづくり計画男女協働サロン」に顔をそろえた。「道幅が狭い」「ブロック塀が崩れる恐れ」「近くに高台がない」―。机に広げられた地図に、参加者が避難経路で気になった点をメモに記して貼っていった。
 市は2011年秋、市民と協働してまちづくりを推進する自治基本条例を施行。条例に基づき、巨大地震の津波で浸水するとされる市沿岸部5地区は、市民でつくる「津波防災まちづくり計画策定委員会」を設立。策定委員会は各サロンでの議論を元に、本年度末中に計画を作る。
 計画には避難マニュアルの策定や避難場所の設定のほか、避難階段や津波避難タワーの整備などを市に要請することも盛り込む。各地区の計画は市津波防災まちづくり計画に反映されるという。サロンに参加した松浦康雄さん(68)は「命を守る真剣さが出ていた。行政と一体になっていくことが大切」と手応えを感じた。
 静岡大防災総合センター副センター長の牛山素行准教授は「地域の意見を取り入れる利点はあるが、素人のみの計画策定になりかねない」と指摘した上で、「さまざまな専門的視点を持った人も加わった議論が望まれる」としている。

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2012年9月 7日 (金)

竜巻などの災害情報-実態踏まえ改善議論を

一月遅れになってしまいましたが,8月9日付け静岡新聞「時評」欄に下記記事が掲載されました.空想的な「わかりやすい情報」を夢想するより前に,まずは実態把握が必要だと思っています.

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時評=竜巻などの災害情報-実態踏まえ改善議論を

 今年5月6日に,茨城県,栃木県で竜巻が発生し,死者1名,住家の全・半壊286棟などの被害を生じた.この災害を契機に気象庁は「竜巻等突風予測情報改善検討会」を開催し,7月27日に報告書がとりまとめられた.筆者はこの検討会に参加し,気象庁と共同で竜巻等の気象情報に関するアンケート調査を実施する機会を得た.

 

日本で竜巻が起こることは決して珍しい話ではない.気象庁の「竜巻から身を守る」というリーフレットを見ると,全国沿岸部を中心に発生記録があり,1991~2008年の間では年平均約13個が確認されている.ダウンバーストやガストフロントと呼ばれる激しい突風も含むと,年平均発生回数は数十回に及ぶ.人的被害を伴う竜巻も,2011年奄美大島(死者3名),2006年北海道(同9人),2006年宮崎県(同3人)など,希なことではない.しかしながらアンケート結果を見ると,5割以上の回答者が竜巻等の突風の1年あたり発生回数は10回以下との認識だった.竜巻がそれほど珍しい現象ではないことはあまりよく知られていないようである.

 

竜巻などが発生しやすい気象状況となった場合,気象庁から「竜巻注意情報」が発表される.5割の回答者がこのことを知っており(情報の名称が「竜巻注意報」だと思っていた者を含む),名称は認知していないが竜巻に関する情報が出ることを知っていた回答者まで含むと8割に上った.竜巻発生の可能性を告げる情報が出されること自体は,かなり多くの人が認知していた.竜巻注意情報は1県当たり1年間に10回程度発表されるが,そのうち実際に竜巻が発生するのは数年に1回程度で,身の回りで本当に竜巻が発生することは滅多にない.この程度の精度であることを説明した上でも,6割以上の回答者が「竜巻注意情報は自分にとって役に立つと思う」と回答し,「役に立つとは思わない」との回答は1割程度にとどまった.現在の竜巻注意情報は精度が低すぎて使えない,とまでは思われていないようだ.

 

近年は災害が起きる都度,「情報が分かりにくい」「役に立たない」といった「課題」が指摘され,「改善」ということで情報の名称や内容が変更されることがよくある.しかし,その「課題」の根拠が,実はごく限定的なエピソードであったということも珍しくない.災害情報の「改善」に当たっては,情報がどのように使われ,情報利用者がどのように認識しているのかといった,実態調査を踏まえた議論が重要である.

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