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2012年12月25日 (火)

防災フェロー養成講座第三期受講生 まもなく募集開始です

 静岡大学防災総合センターでは,文部科学省の科学技術戦略推進費による地域再生人材創出拠点の形成事業「災害科学的基礎を持った防災実務者の養成」として,静岡県と連携して,「ふじのくに防災フェロー養成講座」の人材養成プログラムを平成22年度から実施しています.

 本講座は,自治体や企業等で災害に関する実務に従事している方をおもな対象に,災害発生後の「危機管理ノウハウ」にとどまらず,災害の事前予防を目指し,地域の災害特性を理解し,災害に関わる科学的情報を読み解ける,実践的応用力を身につけた人材を育成することを目標とします.

 具体的には、i)最新の災害科学基礎知識(地震、豪雨などの自然科学的知識にとどまらず、災害時の人間行動など人文社会科学的知識も含む)修得を目的とする講義、ii)災害科学に関わる現地踏査、文献、データ収集、観測などを通じて得られた各種データの読解・処理作業などを行う実習・演習、iii)担当教員の個別指導(修了研修)を通じ,災害科学的基礎を背景とした実践的応用力を養います.受講者には,最終的に自らの課題をとりまとめ,学会など外部での発表を義務づけます.

 講義・実習,とりまとめた課題の発表などが達成された段階で,静岡県より「ふじのくに防災フェロー」の称号が付与されます.

 本講座の第三期(平成24~25年度)受講生の応募を,2012年12月28日~2013年1月14日の間受け付けます.詳しくは,下記のページをご覧ください.

ふじのくに防災フェロー養成講座
http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/sbosai/fellow/

募集要項
http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/sbosai/fellow/H24/H24-all.pdf

  • 本講座の受講は,静岡県内在住者に限らず,全国どこに在住している方でも受講を受け入れます.第二期では東京都,岐阜県在住の受講生の方を受け入れました.
  • この講座はいわゆる「防災好きな人」を対象と考えていません.防災に関する業務に現役の実務者として携わっている方が対象です.「自主防災組織」は「業務」とは考えていません.
  • 行われる講義実習は,講演会のように講師の話を聞いていれば良いという形式のものではありません.計算,作図など,数値や物理的・質的データを用いた作業を伴います.
  • 講義実習の中で,高校程度の数学,物理等の基礎知識が必要となる場合があります.
  • 講義実習の中で,災害発生時の対応についてのテクニック,ノウハウといった内容はほぼ皆無です.防災に関わる自然科学,社会科学的な基礎知識が主な内容となります.
  • 修了研修の成果は,学会等の学外の専門的な場で発表することを義務づけます.「活動報告」は学会での発表対象になりません.また,専門的な場では「熱心に取り組んだ」ことは格別評価の対象になりませんし,「熱い思い」はあっさりと批判されることもあります.

今年も積極的なご応募をいただければ幸いです.

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2012年12月 9日 (日)

12月7日津波警報時の避難について考えたこと

2012年12月7日17時18分頃,三陸沖を震源とするM7.3の地震が発生し,17時22分に気象庁は宮城県に津波警報,青森県太平洋沿岸,岩手県,福島県,茨城県に津波注意報を発表しました.

験潮所で最も大きい津波を観測したのは宮城県鮎川でした.瞬間的ですが潮位偏差にして約1m,TP基準の潮位でも0.9mくらいが観測されました.これは日常の潮位変動の幅を十分越えており,付近を精査すれば標高で1m以上の所に浸水痕跡が認められるかもしれません. http://t.co/YFpA8uKa

大船渡 http://t.co/PFSPFCjI では確かに津波が観測されているけど,潮位自体は通常の潮位変動の範囲内です.仙台新港も同様.大きな津波が観測された場所はある程度限定的だったようです.しかし,これはあくまでも結果的にそうだった,ということです.

今回の津波は,所によっては十分人的被害を生じうる事例だったと考えられます.特に,昨年の地震・津波の影響により,地盤沈下,防潮堤の損壊などが生じていることを考えると,避難勧告の有無にかかわらず,宮城県付近では,海岸線付近のみならず居住地域付近でも津波からの避難行動を取った方がよかった事例だと私は考えます.

NHKによると,宮城県内では自治体が確認した避難者が17700人程度とのことです. http://goo.gl/Zfyed この数をどう見るかはなかなか難しいところです.たとえば,2010年チリ津波時,宮城県内で自治体が把握した避難者数は約12300人(消防庁19報)でしたから,これと比べるとあまり変わっていないように見えます.

無論,現在の宮城県付近の沿岸部は,津波により海岸近くの居住者が激減していますから,2010年の状況と直接退避はできません.海岸近くで,津波警報等が出た際に避難した方がよい人口というのが,あまり明確に決められないというのが現状かと思います.

非常におおざっぱな推定ですが,東日本大震災時の津波浸水域内の人口が,宮城県は331902人 http://goo.gl/vFQyE で,2012年11月現在の宮城県内の仮設等への避難者は112689人 http://goo.gl/WsI4z とされています.この差が津波浸水域内の現在の人口だとみなすと,おおむね20万人くらいというところでしょうか.昨年の津波到達域を,「津波警報等が出た場合に避難した方がよい範囲」とみなすと,極めてざっくりした値として,宮城県内で津波の可能性がある時に避難の対象となる人口はオーダーで言うと10万人規模といえそうです.

この過程を前提にすると,避難者17700人は,(一般的な災害時の避難率と比べると)多いとも少ないとも言えない感じになりそうです.

ただ,実質的な意味での避難者は,自治体把握の避難者の少なくとも数倍規模存在する,というのが2010年チリ津波時の当方の調査結果 http://goo.gl/jlJCQ です.ますます話が不明確になりますが,少なくとも「避難者が非常に少なかった」とは言えなさそうに思います.

もう一点関心事.報道等からの印象では,車での避難者がかなりいたように感じられます.車でのの避難はいろいろと議論がありますが,是非の議論は別として,実際には少なからぬ人が車で避難し,それを制限することは難しいだろう,ということは現実として受け止めるしかなさそうです.

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