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2013年10月21日 (月)

「土砂災害警戒情報の9割以上が空振り」は言い過ぎ

土砂災害警戒情報の9割以上が空振りである,という報道をもとに,オオカミ少年であるという例によっての批判をする向きがあるけど,どうも違和感があります.

「土砂災害警戒情報の9割以上が空振り」という報道は,国交省資料,たとえば http://goo.gl/J9Lqm が元と思います.この資料では確かにその主旨のことが書いてあり,報道が偏向しているとは思わないです.この資料には「土砂災害警戒情報を発表したときに、人および住宅に被害があった土石流またはがけ崩れ等が発生した割合を示す災害発生率は、この4年間の平均で約4%であった」とあります.つまり,かなり大きな被害が出た土砂災害に対する的中率が4%ということ.したがって,道路の法面が崩れたとか,沢から土砂が出て道路や田畑に堆積したといった「災害」は含まれていません.的中率を相当厳しめに定義すると4%,ということです.

先の資料を私が見たのは,気象庁「土砂災害への警戒の呼びかけに関する検討会」の第一回でした.そのとき.的中率4%とはあんまりだと思ったので,私は「土砂災害警戒情報の評価結果は、土砂災害発生の定義が都道府県の委員会で基準を決めたときの定義と比較して厳しくなっているように思える。この結果、基準作成段階で想定している比較的軽微な土砂災害が除かれていて、空振りの数値が多くなっている。土砂災害警戒情報の利用を検討するうえでは、軽微なものも含めた検証も別途行い、より多角的に評価を行うべき。」と発言しました.

また,同検討会の報告書には「このように、市町村等を単位として評価した場合は空振りが多くなるという結果がある一方で、土砂災害警戒情報が広い地域で発表される降雨事例を見ると、多くの場合は対象地域内の何処かの場所で土砂災害が発生している。」との記述もあります.

どうも,土砂災害警戒情報(に限らず各種防災気象情報)に対しては,実態以上に「空振り感」が強いのではないかと思うことがあれます.このことについては今後定量的に検討したいと思うけど,情報利用者側も,過剰に「当てにならない」という思い込みを持たない方がいいのでは,とも思います.

岩手県の土砂災害警戒情報の基準策定には私も関わったので,気になって,運用開始直後は発表地域にぶらぶらと確認に行ったものでした.たしかに「人および住宅に被害」とまではなかなか行かないけど,道路に土砂が出ているくらいのことはちょっと走るだけでも見かけることが多かったと記憶しています.

ちょっとした土砂流出でも,運悪くそこに人がいれば人的被害になることもあります.ちょっとした土砂流出だけなら記録に残らないから,こういうものも「空振り」にされてしまいます.やはり,土砂警が出るくらいの雨は,それなりの雨であるわけで,簡単に「何も起きなかった」と決めつけない方がいいと思います.

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