« 2015年3月 | トップページ | 2015年7月 »

2015年6月22日 (月)

日本の年降水量について

 以前から要確認だと思っていた「日本の年降水量の平均」について簡単に調べたので以下にメモ.「日本の年降水量の平均」は自明のように思えるけど意外に難しい.
 
 気象庁関係の資料では,「日本の年降水量の平年値」という値は明示的には確認できない.似たような情報としては,ホーム > 各種データ・資料 > 地球環境・気候 > 地球温暖化 > 気温・降水量の長期変化傾向 > 日本の年降水量 http://goo.gl/Vspl3y がある. これは国内51地点について,各地点の年降水量平年値に対する各年の平年偏差を,各年ごとの平均したものなので,「日本の年降水量平年値がいくらで,今年の年降水量平均値との差はいくら」というものではない.
 
 いくつかの文献には「日本の年平均降水量は1690mm」の記述が見られる.出典は国土交通省「日本の水資源」 http://goo.gl/8JpCnv 「年平均降水量は1690mm(1981年から2010年)の全国約1300地点の資料をもとに国土交通省水資源部で算出)」とある.1690mmの算出法は明示されていないのだけど,実用上の指標としては「日本の水資源」を出典として「日本の年平均降水量は1690mm」と説明して何も問題は無いと思う.ただいちおう雨量使いとしては何となく気になるので,自分でも確認してみた.
 
 気象庁の「平年値2010」から集計すると,AMeDAS観測所で年降水量平年値が得られるのは1134ヶ所で,これを単純に平均すると1724mmとなる.AMeDAS平年値は1981-2010年に統計年数8年以上で欠測年数が統計期間の20%以下とされているので,少し統計期間の短いデータも含まれている.より厳密に統計年数30年の観測所のみで年降水量を平均すると,980ヶ所,1717mmとなる.
 
 AMeDAS平年値から単純計算すると「日本の水資源」の1690mmと微妙に異なる数字となる.「日本の水資源」では「全国約1300地点の資料」とあるので,おそらくAMeDASを使っていると想像されるけど,もしかすると国交省観測所を使っているかもしれない.いずれにせよ,その差はわずかで,多少の定義の相違によってこれくらいの差は出てくると思われるので,1690mmが正しくて1724mmは間違いとか,そういった話では無い.
 
 そもそも,正確な「日本の国土全体の平均的な年降水量」などを出すのは極めて困難で,あまり細かな議論をしても意味は無い.このことについては,先に挙げた気象庁の頁に関連しても「世界と日本の気温、降水量の経年変化に関して、よくある質問」 http://goo.gl/WIRuZX として説明がある.
 
 この「細かな議論をしても意味が無い」ということを専門外の人にいかに納得してもらうかが,とても難しい課題とは思うが.
 
 用途によるが「自分の居住地の年降水量は全国平均の比べてどのくらいだろう」などと考えるときのおよその目安としての「日本の年降水量」は,「約1700mm」くらいに表現するのが適切ではないかと思うが,どうだろう.

続きを読む "日本の年降水量について"

|

2015年6月17日 (水)

2015年6月16日岩手県紫波町付近での豪雨関係メモ

2015年6月16日,岩手県に記録的短時間大雨情報が発表された.

-----------------------

岩手県記録的短時間大雨情報 第1号

平成27年6月16日16時46分 盛岡地方気象台発表

(見出し)

16時30分岩手県で記録的短時間大雨

紫波町付近で約100ミリ

-----------------------

土砂警や記録雨がでても,全国ニュースになる被害は出ない事も多い.しかしこの場合でも「全く何の被害も起こっていない」訳ではないことが少なくない.「ニュースで報じられない=被害がない=この情報ハズレ」ではない事に注意が必要.ただしこれは「マスコミが報じない・隠してるぞっ」という話ではない.

6月17日付け岩手日報によると,この豪雨で下記の被害が発生したとのこと.

  • 紫波町上平沢で住家1棟が床下浸水.強風で屋根がはがれた非住家も.
  • 紫波町内のガード下2箇所が冠水し乗用車など4台が水没.人的被害は無し.
  • 紫波町では6月16日5時15分、6地区の3571世帯1万1480人に避難勧告を発令,1時間15分後に解除。
  • 15時44分~18時39分に最大628戸が停電.

土砂災害警戒情報は,1640に花巻市,紫波町に発表され,1805に両市町ともに解除された.素早い.まあ,これなら・・・ pic.twitter.com/uSt2j1CaqC

NHK盛岡の報道によれば,紫波町教育委員会は大雨・洪水警報が出されたことを受け町内小中学校すべてに対し児童生徒や教職員を建物の中に退避するよう指示,その後雨が弱まったことから小学校では保護者に児童を迎えに来てもらったり、集団下校させたりする措置を取ったとのこと.

これは,急激に発達した豪雨による災害時の対応として,とても現実的だと感じられた.

紫波町内の一部では突風による被害も発生した模様.なお,竜巻注意情報は,1625に1740までの者が発表されており,更新はなかった.goo.gl/4dzJgU pic.twitter.com/txguoHFStF

【速報】岩手紫波町付近で1時間100ミリの記録的大雨!現地住民は大騒ぎ - Togetterまとめ togetter.com/li/835491 @togetter_jpさんから

岩手での突風・竜巻,内陸でも沿岸でも,決して過去にないわけではない→ 気象庁 竜巻等の突風データベース > 都道府県別の事例一覧 goo.gl/S3wrTM

最近の岩手県での記録的短時間大雨情報は,2014/7/6(盛岡市北部),2013/8/9(雫石町),2010/12/23(宮古市東部)の3事例がある.

最多降水量を観測したAMeDAS紫波の観測値.2時間程度の現象だったこと,1時間降水量は確かに大きいが,3時間降水量以上は格別大きな値となっていないことがわかる. pic.twitter.com/t7lQAQWKp9

2015/6/16 24時の48時間降水量分布と,6/12~16の5日間の最大1時間降水量分布.最大値更新観測所には×印.48時間降水量は最多の紫波でも100mmに満たず,降水が記録された範囲自体もごく狭い.1時間は紫波のみで既往最大値を更新. pic.twitter.com/UlZEhOcn0v

48時間降水量は,AMeDASに国土交通省観測所を追加して書いてもあまり印象は変わらない. pic.twitter.com/O6TC7EHfG0

土砂災害警戒情報&記録的短時間大雨情報&竜巻注意情報,という状況はやはり軽視してはいけないことがあらためて認識された.

|

« 2015年3月 | トップページ | 2015年7月 »