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2015年10月 1日 (木)

案外奥が深い「降水量」 捉えにくい「激しさ」

9月17日付け静岡新聞「時評」欄に掲載された筆者の寄稿記事です.台風18号が日本に接近中,浜松付近の浸水災害が起こる前日,鬼怒川の破堤氾濫が発生する前々日頃に執筆した原稿です.この直前までの,今年の豪雨災害の「少なさ」にかえって恐怖を感じて書いたものでした.やはり,雨は侮れません.
 
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時評 案外奥が深い「降水量」 捉えにくい「激しさ」
 
 天気予報や各種気象情報で毎日のように聞く言葉に「降水量」がある.当たり前のように使っている言葉だが,これが案外難しい.
 
 地面に降った水が、しみこんだり,流れたりせずに,そのまま地面に溜まったとした場合の水の深さをmm(ミリメートル)単位で計ったものを降水量という.貯まった水の体積や容積を測るものではない.雪などの固体で降った場合は、それを溶かした水の深さを測ることになる.雨量という言葉もよく使われる.降水量という場合は雪なども含めたものであり,雨量というのは液体の水で降ってきたもののみを指すが,厳密には使い分けられていない.専門的には主に降水量という.
 
 降水量は,その値が示されても,その値の「激しさ」をとらえにくいのではなかろうか.気象庁の「雨の強さと降り方」という表によれば,1時間降水量20~30mm程度で「強い雨(どしゃ降り)」であり,地面一面に水たまりができる,車のワイパーを速くしても見づらいといった状態になる.この表で最も大きな値は80mm以上で,「猛烈な雨」とされ,「水しぶきであたり一面が白っぽくなり視界が悪くなる」という状態である.
 
 ただし,降水量の「激しさ」は1時間降水量だけでは表現できない.しばらく雨が降っていない状況下で「猛烈な雨」が降っても1時間程度でやめば,家屋の倒壊や多数の犠牲者発生といった大きな被害につながることはまずない.しかし,弱い雨が降り続いた後で「猛烈な雨」が降る,「猛烈な雨」が数時間続けて降るなどすれば大きな被害につながる可能性が高い.
 
 雨による深刻な被害は,どちらかといえば1日などのまとまった時間の降水量の方が目安としては使いやすい.では,1日の降水量がどの程度になれば要注意なのか.これは地域によって「何倍」という単位で異なり,数字を挙げることが難しい.一つの目安としては,その地域で過去に記録された最大値を見る方法がある.
 
 たとえば1日の降水量について共通の統計がある1976年以降で県内各地の最大値を見ると,静岡は368mmだが,伊豆の天城山では627mmである.一方,西部ではやや値が小さく浜松では223mmである.あくまでも簡単な目安だが,それぞれの地域でこれらの値を大きく超える雨が降れば,災害に結びつく可能性がある.
 
 過去の降水量記録は気象庁ホームページで確認できる.現在の降水量もネット上の各種気象関係のページのほか,テレビのデータ放送でも読み取れる.よく聞くけど案外奥が深い「降水量」について,時には考えてみてはいかがだろうか.

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