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2015年12月31日 (木)

2015年風水害犠牲者の概要

2015年の風水害による犠牲者の概要を整理します.

2015年に総務省消防庁が「災害情報」 goo.gl/GiUOS8 としてとりまとめた主要な風水害は,6月の梅雨前線等,台風第11号,台風第15号,台風第18号(平成27年9月関東・東北豪雨)の4事例.これらによる死者・行方不明者の合計は「11人」となった.

なお,主要事例以外の風水害による犠牲者が上記に合算されてくる可能性があり,概ねの確定値は6月頃に防災白書( goo.gl/cAYMlj ここに消防庁の原因別犠牲者数の集計値が出る)が出るまでわからない.

それにしても,1年間の風水害犠牲者が10人強程度というのは,「犠牲者数が少ない状態が続いている最近20年ほどの間」 goo.gl/cAYMlj でみても,かなり少ない値で,2007年と同程度か,1994年以来最少となるかもしれない.

「なぜ今年は風水害犠牲者が少なかったのか」について,明確な因果関係に基づいた説明は私にはできない.「なぜ少ないのか」,とよく聞かれることがある.それに対して「わからない」と答えると「考えでもいいので言え」と言われる.しかし,根拠のない「考え」は好まないので言いたくない.こういう問題について根拠のある理由を示すことは極めて困難.

ちなみに9月の関東・東北豪雨の犠牲者は8人.これは消防庁が事例別の値を公表している1999年以降の64事例の内で上位から26位.つまり,年に何回かある程度の規模.一方全半壊+床上浸水は11/30現在で8963棟となり,同6位.家屋被害の割に犠牲者数の少ない事例となった.

1人でも犠牲者が出れば,「少ない」という言葉を使うことは気持ちが良くないかもしれないが,事実として,2015年は風水害犠牲者がかなり少ない年となったことは確かである.

災害の統計値(人的被害,家屋被害)はいろいろなものがあって,あまり単純な議論がそもそもできない.この「災害の統計値は単純に議論ができない」ということを論文等にしたいと思いつつ,できていない.15年以上前に書いたきり.

牛山素行:日本の各種災害統計(概要),地形,Vol.20,,pp.419-425,1999.  goo.gl/WXli59

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2015年12月 1日 (火)

自治体防災部署 厳しい立場-人材の育成は不可欠

11月21日付け静岡新聞「時評」欄に掲載された筆者の寄稿記事です.相変わらず行政べったりの御用記事です.自治体防災担当者の苦境を訴えると共に,そうした人たちを支援する目的で静岡大学で開始した育成講座が資金的に限界を迎えつつ有り,「お金がありません」ということも訴えています.

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時評 自治体防災部署 厳しい立場-人材の育成は不可欠
 
 我々住民に関わる防災対策を直接的に執り行う責務を負うのは,基本的に市町村とされている.「避難勧告」が首相でも県知事でもなく,市町村長から基本的に出されるのはこのためである.各市町村には防災関係部署があり,平時の計画策定・訓練,災害時の状況把握・判断,災害後の復旧・復興計画などを行っている.住民の生命,財産に関わる部署だが,現実にはなかなか厳しい環境下におかれている.
 
 まず,配属職員数が決して多くはない.筆者が2014年に全国の自治体対象に行った調査によれば,防災関係部署の専従担当者が0人,つまり兼任担当者のみの自治体が全体の30%に達し,1人(15%),2人(11%)を合わせても過半数の自治体では担当者2人以下という状況である.小規模自治体で担当者が少ない傾向だが,「市」でも専従担当者0人は13%に上る.
 
 専従担当者といっても,防災の専門知識を持った職員という意味ではない.一般的に防災関係部署は総務系部局の一部におかれ,いわゆる事務系の職員が主に従事し,役所の他の仕事と同様に2~3年程度のローテーションで交替している.
 
 防災に関しては,自然科学的,社会科学的な様々な情報や制度が存在するが,担当者は特にこうした基礎知識を持った上で採用されるわけでなく,担当前に特別な教育が義務づけられているわけでもない.しかし,いざ災害となった場合には,様々な専門的情報を活用して重大な判断を迫られる,大変厳しい仕事である.
 
 近年になって,こうした自治体の防災担当者などの実務者を支援することの必要性が指摘されるようになり,内閣府による「防災スペシャリスト養成研修」などの研修制度も始まった.静岡大学でも2011年から静岡県と連携し「ふじのくに防災フェロー養成講座」を実施している.
 
 しかし,こうした研修を継続的に実施するための人員,予算の確保にも課題が生じている.我々の「ふじのくに防災フェロー養成講座」も文科省からの助成が終了し,大学や県からの資金的支援をいただきつつあるが,来年度からはまとまった額の受講料徴収が必要となるなど,予算的には厳しい状況を迎えつつある.
 
 直接的な利益を生む取り組みではないこともあり,資金確保は難しい面が多いが,防災人材の育成は社会として不可欠なことであり,さらに努力を重ねたいと考えている.

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