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2016年5月 1日 (日)

平成28年熊本地震に伴う土砂災害関係死者・行方不明者について・5/1現在メモ

 熊本地震において,土砂災害で亡くなった方は9人.場所は大別するといずれも南阿蘇村内の立野地区(2人),河陽地区の高野台団地(5人),長野地区の宿泊施設(2人)の3箇所となる.また,南阿蘇村の阿蘇大橋付近で斜面崩壊に巻き込まれたとみられる人が1人おり,5月1日現在行方不明のままである.

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 立野地区の被災現場は古くからの集落で,被災世帯は少なくとも1967年の空中写真で現在位置にほぼ同じ形状の建物が確認できる.土石流危険渓流の範囲内ではないが数十m程度の位置で範囲近傍にあり,土砂災害警戒区域内に位置する.図は熊本県土砂災害情報マップより.図中「431-1-001-5」の文字の付近(あえて詳述しません)が被災世帯の場所で,イエローゾーンの範囲内.

 
 高野台団地の被災世帯は,空中写真からは1997~2003年の間に建設されたと推定される.土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域の指定範囲ではない.長野地区の被災した宿泊施設は,空中写真からは2003~2004年の間に建設されたと推定される.この場所も土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域の指定範囲ではない.
 
 4月30日付け毎日新聞によると,「熊本県によると、高野台団地と火の鳥温泉周辺の斜面は傾斜が30度未満で、過去に地滑りが起きた形跡がなく、土石流を起こしやすい地形でもないことから、警戒区域の指定を見送っていた」とのことで,土砂災害警戒区域の指定対象外の場所だったようである.
 
 土砂災害警戒区域等は有効な情報ではあるけど,その対象とならない場所でも土砂災害が起こることは,他の災害同様,当然あり得ることで,「見逃し」を少なくするための技術開発がさらに必要なことは当然のことである.しかし,立野地区の被災世帯に見るように,地震起因の土砂災害であっても,全く予想もつかないようなところで発生するケースばかりではない.既存の土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域といった情報は,地震による土砂災害の発生箇所を警戒する上でも有効だと思われる.

 豪雨災害についての調査ではあるけど,私の調査では土砂災害の犠牲者の9割前後は,土砂災害危険箇所の範囲内もしくはその近傍で発生している. http://goo.gl/Y3yLbJ 範囲外の場所での被害も生じることは当然あり得るが,大局的には有効な情報として活用すべきと思う.なおこの調査で土砂災害危険箇所「範囲外」と判別された犠牲者が比較的多かった事例の一つが,2012年九州北部豪雨の阿蘇市である.豪雨起因の土砂災害も含め,火山地帯の土砂災害警戒区域等指定にはさらに工夫が必要かもしれない.ただし,技術的な方法論については,専門外なので詳述できない.
 
 また,阿蘇大橋付近の斜面崩壊のように,住家等がない場所では地形的に土砂災害の可能性があっても土砂災害警戒区域等の指定対象となりにくいことも注意が必要.土砂災害警戒区域等ではないから,山間部であっても安全な場所という訳ではない.ハザードマップを見るだけではなく,土砂災害関係部署から情報を得て考えていくことが重要だろう.

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