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2017年7月11日 (火)

朝倉市・赤谷川流域の流失家屋等の写真判読

国土地理院の空中写真 https://goo.gl/r9qEg1 から,今回の九州北部での豪雨による家屋の流失,倒壊状況を判読した.ここで流失,倒壊とは,
 
牛山素行・横幕早季:2014年8月広島豪雨による犠牲者の特徴,自然災害科学,Vol.34,特別号,pp.47-59,2015
 
で定義した「犠牲者が生じ得るような激しい外力が作用した」家屋である.
 
具体的には以下のいずれかを満たすものである.
  • a)基礎より上の部分,または基礎も含めて完全に流失(建っていた場所からほかの場所に移動)し,どこにも建物の形状が確認できない。
  • b)基礎より上の部分,または基礎も含めて完全に流失したが,流失先に建物の原型を一部でも残している。
  • c)建っていた場所から移動はしていないが,建物の5割以上が原形をとどめず倒伏している。
  • d)建っていた場所に建物の原形はとどめているが,建物内は土砂でほぼ満たされている。
利用資料は,国土地理院が7月10日現在で公表している航空写真とゼンリン住宅地図である.特に被害の大きかった,朝倉市杷木の赤谷川流域で公開されている航空写真の範囲を判読した.

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災害前後の航空写真を比較し,上記a(以下では「流失」という)またはb(「変形」という)と読み取れる家屋を判読した.なお現時点では立体視は行っていない.判読対象家屋は,住宅地図で人名,事業所名,地番のいずれかが書かれている建物とした.同一世帯内の複数の建物が被害を受けていた場合は1と数えた.つまり「棟数」ではなく,箇所数あるいは世帯数である.非住家は対象としていない.
 
赤谷川流域の判読範囲で確認されたのは「流失」32箇所,「変形」5箇所の計37箇所だった.写真からの判断であり,見落としや,課題評価が大いに存在する可能性がある.また,撮影範囲以外のことは当然含まれない.位置図は下記の通りである.

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原因外力は,現地調査をしても,人によって判断が分かれる所であり,あまり厳密な議論はできないが,写真の被害状況や地形からごくざっくりと判断した範囲では,山地河川洪水によるものが30箇所,土石流・崖崩れによるものが7箇所で,ほとんどが山地河川洪水による流失・変形と思われた.
 
2014年8月広島豪雨災害時に,人的被害の発生した地区で同様な調査を行った際,「流失」「変形」等と判定されたのは47箇所だったことを考えると,本日判読した限定的な範囲内だけで40箇所弱というのは,かなり被害規模として大きいように思われる.
 
やはり今回の災害は,土砂災害と言うよりは山地河川洪水による災害と言っていいという気持ちがさらに強まった.昨年の岩手県岩泉町,2011年台風12号の那智川流域の災害などと類似している.
 
昨年の台風10号の岩泉は明らかに山地河川洪水災害.グループホームのことばかりが騒がれていたが,「山地河川洪水で家屋が多数流失,人的被害もほとんどが洪水犠牲者」ともっと強く騒いでおくべきだったと悔やまれる.

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