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2018年9月14日 (金)

平成30(2018)年7月豪雨による人的被害等についての調査(速報)(2018/09/10版)

 9月10日に行われた,防災学術連携体シンポジウム「西日本豪雨災害の緊急報告会」で発表した,下記資料を公開しました.これまでに速報会等で公表した資料を,最近の資料を加えて加筆修正したものです.

平成30(2018)年7月豪雨による人的被害等についての調査(速報)(2018/09/10版)
 
 当方の,平成30年7月豪雨に関する調査関係の資料は,下記ページに整理しています.
 
平成30(2018)年7月豪雨による災害に関するメモ
 
 上記ページに整理しているのはこのブログ内の記事です.このブログのタグ「2018年7月豪雨」で,一連の記事を参照できます.
 

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時評=西日本豪雨の避難情報ー早期勧告 生かされず

 9月5日付け静岡新聞「時評」欄に下記記事を寄稿しました.平成30年7月豪雨に関しての「(避難勧告が出ていたのに)避難指示への切り替えが遅い!」という批判に対する違和感を書いたものです.
 
これまでの「時評」記事
 
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時評=西日本豪雨の避難情報ー早期勧告 生かされず
 
 平成30年7月豪雨に関する様々な報道の中で「避難指示が遅かった」といった趣旨の論調が見られたことが気になった.たとえば7月15日付読売新聞は,主に洪水により死者52人(8月14日現在)が生じた岡山県倉敷市の市長記者会見を伝える記事中で「6日深夜から7日未明に出した避難指示の判断が遅かったとの声もあるが、『市として、その時にできる判断をしたと思っている』と述べた」と,やや批判的に報じている.
 
 避難に関する情報は「避難準備・高齢者等避難開始」→「避難勧告」→「避難指示(緊急)」の3段階が用意されている.避難準備は,避難に時間のかかる人や危険な場所にいる人の避難開始を,避難勧告は対象地域全員の速やかな避難を,避難指示は極めて危険な状況であることから直ちに避難を,それぞれ呼びかけるものだ.なお「避難」とは「避難所へ行く」事だけではなく,差し迫る危険から様々な手段で安全確保を図ることを意味する.
 
 避難準備は早期の行動開始を促すいわば予備的とも言える情報だが,避難勧告と避難指示は何らかの安全確保行動の実施を明確に呼びかけるかなり重い情報である.それゆえに,空振りを恐れるなどして避難勧告の発令をためらううちに被害が生じたケースが相次いだことなどをふまえてガイドラインの整備が進み,ここ1,2年は避難勧告が早期に出るようになった.
 
 倉敷市では同市真備地区全域に避難指示を出したのが,堤防からの越流・決壊が生じ始めた後の7月7日01時30分だったことが批判されているが,その数時間前の6日22時にすでに避難勧告は出されていた.
 
 倉敷市のケースは例外的ではなく,今回の豪雨では比較的早期に避難勧告が出されていたケースが他にも見られている.災害後に避難勧告が出ることもしばしばあった数年前と比べれば飛躍的な改善とも思える.この状況下で「避難指示が遅い」と批判するのは,避難勧告の軽視のようにも感じられる.
 
 気象情報や避難の情報は,その精度を高める,早期に出すなどの改善を図っても,情報の受け手である我々国民が活用しなければ効果を発揮しない.被害軽減のために,我々自身も最善を尽くすことの重要性がますます高まっているのではなかろうか.

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2018年9月 2日 (日)

8月29~30日広島県内現地踏査雑感

 平成30年7月豪雨被災地の第6次現地踏査,今回はもっぱら広島県内.写真は8月29日.東広島市河内町下河内で,山陽本線と県道が,斜面崩壊と河川(沼田川)の側岸浸食の影響を受け,損壊した箇所.仮復旧が進んできた. この付近では通行中の車が川に転落し,複数名が犠牲となった可能性がある.避難とか様子を見にといったことでなく,ごく日常の移動中だった可能性が報じられている.避難or在宅という単純な話では無く,ごく普通の生活の中で突然難に遭うというケースも,珍しいことではない.痛ましい.

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 竹原市内でも死者4人の人的被害が生じている.いずれも土砂災害によるものとみられる.写真は竹原市東野町.この谷筋では土砂により複数の家屋が倒壊し,1人が死亡している.付近では所々崩壊地が見られたが,ここは少し離れたところからでもはっきり見える規模だった.

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 今回,面的にやや規模の大きな土砂流出が見られた印象があるのが呉市安浦町中畑.空中写真では,集落付近のほとんどが土砂に覆われ,複数の家屋の流失が読み取れる.地理院地図空中写真
 呉市安浦町中畑の現地写真.やはり,面的な土砂流出が見られる.この地区内で3人が死亡.ただし,流失家屋の関係犠牲者は1人.他の二人は屋外で遭難した模様である.

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 今回は島嶼部にも行ってみた.橋でつながっている倉橋島ではあるが.写真は呉市音戸町早瀬で,土砂災害により家屋が倒壊し2人が死亡.ここでは,谷筋の集落に上がる道が軽自動車すら通れない細く急で,こうした道が珍しくないことが印象的.この道で機敏に避難など,ちょっと難しかろう.

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 8月30日,呉市天応西条3丁目.土石流によると思われる被害.住家5棟程度が倒壊し,3世帯6人が犠牲となったと思われる.流失・倒壊に至らないが,損壊している家屋も複数見られる.

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 天応西条の被害は坂町小屋浦とよく似ている.上流側で土石流により家屋が損壊する被害.土石流が到達しない下流では,家屋が倒壊流失はしないけど,低所を中心に土砂濃度の高い洪水に見舞われて土砂が堆積する状況.

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 こちらは広島市安芸区上瀬野.ここはかなり大規模な土石流.写真奥に向かって道路が続き,左手には家屋があったのだけどえぐられるように侵食されている.元の様子が全く分からない.この場所ではないが,付近では2世帯4人が犠牲となっている.

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 もう少し上流側.土石流により,基礎を残して完全に家屋が流失している.住家3棟があったと思われるがすべて流失したと思われる.土石流の破壊力を示す典型的な光景という印象.地理院地図の空中写真はこちら

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