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2018年9月14日 (金)

時評=西日本豪雨の避難情報ー早期勧告 生かされず

 9月5日付け静岡新聞「時評」欄に下記記事を寄稿しました.平成30年7月豪雨に関しての「(避難勧告が出ていたのに)避難指示への切り替えが遅い!」という批判に対する違和感を書いたものです.
 
これまでの「時評」記事
 
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時評=西日本豪雨の避難情報ー早期勧告 生かされず
 
 平成30年7月豪雨に関する様々な報道の中で「避難指示が遅かった」といった趣旨の論調が見られたことが気になった.たとえば7月15日付読売新聞は,主に洪水により死者52人(8月14日現在)が生じた岡山県倉敷市の市長記者会見を伝える記事中で「6日深夜から7日未明に出した避難指示の判断が遅かったとの声もあるが、『市として、その時にできる判断をしたと思っている』と述べた」と,やや批判的に報じている.
 
 避難に関する情報は「避難準備・高齢者等避難開始」→「避難勧告」→「避難指示(緊急)」の3段階が用意されている.避難準備は,避難に時間のかかる人や危険な場所にいる人の避難開始を,避難勧告は対象地域全員の速やかな避難を,避難指示は極めて危険な状況であることから直ちに避難を,それぞれ呼びかけるものだ.なお「避難」とは「避難所へ行く」事だけではなく,差し迫る危険から様々な手段で安全確保を図ることを意味する.
 
 避難準備は早期の行動開始を促すいわば予備的とも言える情報だが,避難勧告と避難指示は何らかの安全確保行動の実施を明確に呼びかけるかなり重い情報である.それゆえに,空振りを恐れるなどして避難勧告の発令をためらううちに被害が生じたケースが相次いだことなどをふまえてガイドラインの整備が進み,ここ1,2年は避難勧告が早期に出るようになった.
 
 倉敷市では同市真備地区全域に避難指示を出したのが,堤防からの越流・決壊が生じ始めた後の7月7日01時30分だったことが批判されているが,その数時間前の6日22時にすでに避難勧告は出されていた.
 
 倉敷市のケースは例外的ではなく,今回の豪雨では比較的早期に避難勧告が出されていたケースが他にも見られている.災害後に避難勧告が出ることもしばしばあった数年前と比べれば飛躍的な改善とも思える.この状況下で「避難指示が遅い」と批判するのは,避難勧告の軽視のようにも感じられる.
 
 気象情報や避難の情報は,その精度を高める,早期に出すなどの改善を図っても,情報の受け手である我々国民が活用しなければ効果を発揮しない.被害軽減のために,我々自身も最善を尽くすことの重要性がますます高まっているのではなかろうか.

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