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2019年10月31日 (木)

2019年台風19号災害時の災害情報に関するアンケート【2019/10/29速報版】

当方では,台風19号による影響を受けた,神奈川県,長野県,静岡県の一部を対象に,台風接近前後の対応や,防災情報に対する認識などについての調査を実施しました.主な結果は以下のようになります.

  • 警戒レベルの数値と,避難勧告等の言葉の関係を適切に認知は3~4割
  • 「災害発生情報」という言葉は,レベル1や2と認識の回答が4割で,危険性の高い情報と受け止められていない可能性
  • 「狩野川台風に匹敵」という情報は8割前後の回答者が聞いていた.狩野川付近で大きな被害というイメージにある程度つながった可能性
  • 居住市町村での被害は神奈川,静岡では6割程度がイメージ.長野では3割程度
  • 自宅の停電,暴風の被害は比較的多くの回答者がイメージ,洪水をイメージした回答者は少
  • 実際には特別警報が発表されていない地域でも6割前後が発表と認識
  • 台風上陸当日の外出予定を何らかの形で取り止め・変更した回答者は,神奈川,静岡では8割以上が実施だが,長野では6割程度

調査結果概要スライド - 20191031report.pdf

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2019年10月29日 (火)

2019年台風19号による家屋被害と人的被害

2019年台風19号の被害について,10月28日現在の消防庁資料を元に,死者・行方不明者数と主な家屋被害の関係を散布図にした.消防庁資料には10/25の豪雨による被害が合算されているが,同じ資料に内数が示されているので除いてある.まだ数値は大きく動くと思われ「なんとも言えない」が正直なところだが,台風19号による被害は,近年の主な風水害と比較して,家屋の被害規模の割には犠牲者数が少ない事例だった可能性もある.

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降水量はその量的な意味が地域によっても大きく異なるし,人がたくさんいるところか否か,ということでも被害の出方は変わってくるので,降水量の多寡だけで洪水・土砂災害の「規模」を表すことはなかなか難しい.一方,家屋は「避難」できないし,人がいるところには家屋も多くあるわけだから,家屋の被害の大小は,個々の洪水・土砂災害事例において,「社会がどの程度激しい外力を被ったか」という指標の一つになり得るだろう.この散布図はその意味で作成してある.

ただし家屋被害の指標である「全壊」などの意味や判定の仕方は時代とともに変化していて,それぞれの数字の大小関係をそのまま比較する事は適切でない.近年では床上浸水を全半壊に判定し直すケースが多く見られるので,長期的な比較には「全壊+半壊+床上浸水」の合計を見るのが良いと思われる.このあたりについて詳しくは下記に記述してある.

牛山素行:日本の風水害人的被害の経年変化に関する基礎的研究,土木学会論文集B1(水工学),Vol.73,No.4,pp.I_1369-I_1374,2017.
http://www.disaster-i.net/notes/20170317_0229.pdf

 

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2019年10月24日 (木)

洪水ハザードマップの補完としての地形分類図とその問題

台風19号災害で,洪水関連の犠牲者の一部が,洪水浸水想定区域の範囲外で発生したのでは,という見方がある.この見方については現時点ではまだなんとも言えないけど,こうしたケースがこれまでの災害で少なくないことはたびたび指摘している.

洪水ハザードマップを保管する情報として有力だと考えられるのが地形分類図だと思うのだけど,地形分類図はいろいろ面倒くさい.現状でまあ普通の人にも勧められそうなのは,地理院地図の「地形分類(自然地形)」かと思うけど,これは整備範囲がハザードマップのありそうなところに限定されていて,洪水ハザードマップが未整備のことがよくある山地中小河川がカバーされない.

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本州以南のおおむね全国を縮尺1:50000でカバーしているのが,重ねるハザードマップで見られる「土地分類基本調査(地形分類図)」なんだけど,これが強烈で,県によって凡例は違うわ,用語は違うわ,図幅の境界で整合しないわと.さまざまな歴史的経緯によって作られてきた図ということもあって,仕方がないことだ,と受け止めているけど.でもこれが出てきたときは本当に感動した.地理院,水資源局でこの件推進したみなさんには本当に心から拍手を送りたい.

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地形分類図は,その種類によって同じ地域についても記述内容が全然違うなんて事も珍しくなくて.もうどう説明していったらいいかわからない,というのが非力な私の感想.以下はその一例.

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水関連の犠牲者で,浸水想定区域内で遭難した人は4割程度にとどまるけど,地形で見ると低地での遭難者が9割以上.地形分類図的情報はある意味飛躍的に危険情報としての精度を高められるとも言っていいだろうから,なんとか活用したいところではあるけど.

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1:50000の地形分類図だと,境界部とか小さな谷とかでは判別が難しいケースもあって,この分類ではそういうところは自分自身で判読したりしているので,そう簡単に使えるとは広く言えないところが弱いけど.なお,この件については現在投稿中の論文で詳しく記述.

こうしたことがあるので,これらの図を単にデジタル化して,広くいろいろなサイトの情報と重ねてしまうというのは,あまりにも危険で,やるべき,と声高には言えない気がしている.

 

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2019年10月22日 (火)

台風19号人的被害の発生場所・10/22共同配信記事からの雑観

10月22日付の中日新聞(共同配信記事)によると,台風19号による死者83人,行方不明11人.内訳は移動中・外出中が36人(うち車は25人),自宅が30人,船舶8人,不明20人とのこと.
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019102202000066.html

状況判明者(船舶遭難除く)の5割強が屋外ならば,これまでの風水害よりやや多いと言える.車内が状況判明者の4割弱というのはかなり多いと言っていい.まだ不明が多いのであまりいろいろなことは言えないが.

何度も出しているけど,当方の調査による1999-2018年の風水害犠牲者の遭難場所の分類結果はこちら.

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車の犠牲者が多いから「車での避難が危険」「避難は徒歩で」とは言えない.屋外犠牲者全体で見れば徒歩行動中が7割.風雨が激しいときには屋外をなるべく行動しない,というとが重要かなと思います.

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2019年10月19日 (土)

長野市穂保の千曲川破堤現場付近の微地形

長野市穂保の千曲川破堤現場,地理院の正斜写真が出てきたので見てみた.被災前後を見比べる(他に住宅地図も参照)と,やはり住家で流失したのは1世帯分か.

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ただ16日の信濃毎日(ネット記事にはない)にはこの近くで流失したお宅(増築分)にお住まいの方の記事が出ていて,新築とあったので,被災前写真にないケースがもう1世帯あったようだ.それを合わせると住家流失は2世帯くらいか.非住家だと「守田神社」が流されている.決壊箇所のすぐ近くに立地する住家が限定的だったことは,あるいは幸運だったのかもしれない.被害が軽微とか,良かった,とかいう話では無いけど.

決壊箇所付近,治水地形分類図(初版)では自然堤防の表記はないけど,陰影起伏図で見ると集落付近はわずかに微高地のような.これは現地の印象と整合.微高地の周りのわずかに低いところに主な洪水流が2方向へ流れたように思われる.

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ただし,現地で見たところでは微高地部分も破堤箇所付近では2.0m程度浸水し,流失家屋はないものの家屋一階は大きく損壊していました.

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2019年10月18日 (金)

これまでの風水害時における車移動中の犠牲者発生状況

台風19号災害犠牲者は,車で移動中のケースが目立ったのでは,という話を聞いたので,これまでの風水害時の屋外犠牲者の遭難状況を集計しました.

1999-2018年の風水害犠牲者1259人のうち,屋外での犠牲者は594人,これらを集計対象としています.土砂災害犠牲者は主に屋内で遭難,水関係犠牲者は主に屋外で遭難,という話は繰り返ししているところです.

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「屋外」犠牲者の形態を当方では,「移動中・車内」「移動中・歩行」「他屋外」に分類してます.「車内」には自動車の他,バイク,自転車,交通機関も含みます.「他屋外」とは,移動はしていないが,屋外にいて被災したケースで,移動していたかどうか不明瞭な場合も含みます.

「屋外」犠牲者全体では,「移動中・車内」は27%,「洪水」は57%に上りました.「河川」は「他屋外」が69%と多くを占めますが,これは川や水田などの様子を見に行ったようなケースを分類していることからかも.「洪水」「河川」を合わせて水関係全体で見ると,「移動中・車内」は33%となります.

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台風19号では,「洪水」「河川」といった水関係犠牲者が多かったようです(「洪水」が多い印象だがまだ明言できない).これまでの傾向では,水関係犠牲者の3割,「洪水」犠牲者では6割弱が「移動中・車内」なので,今回こうしたケースが目立ったことはこれまでの事例と整合的なのかもしれません.

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2019年10月17日 (木)

土砂災害危険箇所等「範囲外」での犠牲者発生

群馬県富岡市内匠で土砂災害により人的被害が生じた現場は,土砂災害警戒区域等ではなく,避難勧告が出ていなかったとのこと.

以下は2019年10月16日22時13分のNHK報道を引用.
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台風19号で、群馬県富岡市の内匠地区では裏山の土砂が崩れて住宅8棟に流れ込み、3人が死亡しました。富岡市はこの地区に避難勧告を出しておらず、今後、対応に問題がなかったか、検証することにしています。 <中略> 県などは12日午前9時50分に、富岡市に土砂災害警戒情報を発令し、富岡市は正午すぎから、土砂災害警戒区域や浸水想定区域などに、避難指示や避難勧告を出しましたが、土砂崩れがあった内匠地区はこれらの区域に含まれていなかったため、避難勧告などは出されませんでした。この地区は、緩やかな傾斜地で土砂災害警戒区域に指定されるような急な斜面ではありませんでしたが、今回の台風では土砂崩れが起き、この地区に住む3人が死亡しました。
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富岡市の避難勧告の出し方は標準的なもので,大きな問題があるとは思えない.仮にこの地区に避難勧告を出すと判断するなら,「市内全世帯避難勧告」とでもするしかないのではなかろうか.

群馬県富岡市内匠の土砂災害現場というのは多分ここ.たしかに,土砂災害警戒区域でも,土砂災害危険箇所でもない.重ねるハザードマップ

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土砂災害犠牲者のほとんどは土砂災害危険箇所付近で遭難している,というのは私の調査から繰り返し指摘しているところ.しかし,相手は自然なので完全とはいかず,危険箇所の範囲外での遭難者が13%ほど存在する.

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この土砂災害危険箇所「範囲外」犠牲者について,現在投稿中の論文で分類したところ,うち32人は土砂災害危険箇所・土砂災害警戒区域のいずれについても「範囲外」と判読された.その32人の内訳を分類すると,
①緩斜面・低い斜面(16人)
②高速道路の法面(7人)
③人家のない道路付近(6人)
④分類困難(3人)
となった.

④は例外中の例外.②と③はいずれも土砂災害警戒区域の指定対象外なので少し話が別.難しいのは①緩斜面・低い谷,のケース.こちらは現在の技術では危険箇所としての抽出がなかなか難しいと考えられる.これはその一例で,土石流のイエローゾーンになりそうな気もするが,谷が小さいため対象外となったのかもしれない.

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「緩斜面・低い谷」犠牲者は土砂災害犠牲者478人中16人,3%ほど.こうした難しいケースを予測すること,ましてや技術的バックボーンを持たない自治体が予測して避難を呼びかけるのは,かなり難しいのではなかろうか.

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2019年10月16日 (水)

2019/10/15 台風19号災害 長野県内現地踏査

2019年10月15日,台風19号による被害を受けた長野県内を現地踏査.

長野県東御市の田中橋付近.車が転落して行方不明者が生じている.橋そのものが流されたのではなく,橋の取り付け部の盛土部分が流されたのではないかと思われる.これまでの水害で度々見られた遭難事例.地理院地図

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上田市国分,千曲川の越流箇所はこの付近かと思われる.付近では浸水の被害が見られる.流出した家屋は認められない.深水の痕跡から浸水の深さは,0.4m前後かと思われる.地理院地図

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長野市豊野町蟹沢. 飯山線立ヶ花駅付近.千曲川がここから狭窄部となる付近. 水位観測所もある.
駅付近で浸水の深さは1.0mくらい.飯山線の踏切は遮断桿が撤去されていて.

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長野市穂保の 破堤箇所付近. 大きな落堀が形成され,土砂が堆積しているが,家屋が比較的少なく,住家の流失は限定的か.写真の範囲内では,左写真右手の木がある付近にあった神社の建物が流失したとみられる.地理院地図

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長野市長沼支所前付近.一カ所,住家と思われる家屋の流出箇所が認められた.この付近で浸水深は道路面から2.6mほど.

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2019年10月14日 (月)

降水量は単純な合計値よりも既往最大比が重要では

※この記事の図及び数値に大きな誤りが見つかりましたので,修正しました.(2019/11/11)

台風19号に伴う大雨で,気象庁のAMeDAS観測所の24時間降水量の既往最大値に対する比が150%以上に達している地点があることが,私の集計で分かった.

今回特に大雨が記録された東日本の12都県のAMeDAS観測所のうち,統計期間20年以上の観測所273箇所について集計したもので,比が大きかったのは栃木県の葛生189%,長野県の立科164%,神奈川県の相模湖で175%など.概算値であり,今後修正となることがある.

単純な24時間降水量の分布を見ると,静岡県や関東山地などの値が大きくなるが,既往最大比の分布は長野県東信・北信や,東京・神奈川・埼玉の山間部,栃木県の一部,福島・宮城県境など,洪水などの被害が目立っている地域で値が大きくなっているように読み取れる.

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降水量は地域によって降りやすさが大きく異なり,普段から多くの雨が降っている地域と少ない地域では,同じ降水量でも災害へのつながりやすさが異なるため,単純な値の大きさでは危険性を読み取ることが難しい.過去の記録と比べてみることが重要.

普段からよく降るところでは,絶対値として大きな雨が降ってもそれほどひどいことにはならないけど,同じ量の雨が,ふだんあまり降らないところでは大きな被害をもたらすこともあるというのが定性的な傾向.これは,社会側の「防災力」によるというよりは(ハード対策の計画規模が違ってくるから無関係とまではいわないけど),自然の側がどれくらいの雨に耐えれるようになっているか,という問題.たとえば,雨の多い地域では,もともと河川の幅も広いというような話.だからこそ,大雨警報なんかの基準値(今はとても難しい指数になっちゃって簡単に説明できないけど)は,地域によってかなり異なっている.「100mm降ったら災害に注意」なんてのはどこでも言えることではない.

気象庁の「洪水警報の危険度分布」や「土砂災害警戒判定メッシュ情報」は,過去の降水量記録などから地域ごとの雨の降りやすさ(雨に対するその土地の弱さ)を考慮した段階表示になっており,単純な降水量より,防災重要な指標なのかもしれない.

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2019/10/13 台風19号災害静岡市・箱根町現地踏査

10月13日,静岡市内と箱根を現地踏査.高潮により陸上まで海水の遡上が見られた清水港付近。道路面からセンチ前後程度のところまで深水の痕跡が認められる。この付近では建物が流出したり損壊したりした様子は認められない。

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2017年の台風の際には高潮高波で漁港の施設にも被害が生じた由比漁港。漁港の建物にも外観上大きな被害は認められない。

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芦ノ湖の湖尻水門。平常時の様子を知らないので比較ができないけれども川底の植生などから考えると水が上がっていることはわかる。

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14時20分頃現在、芦ノ湖の水はまだ高い状態で、湖畔の一部は浸水している。痕跡などから、ピークよりは水は30センチ程度下がっていると思われる。

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当然元箱根付近も湖畔付近は浸水しています。一方でやっているお店もあります。とても静かな箱根が堪能できるかもしれません。

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今回の台風で最大の24時間降水量を記録し、さらにこの値はアメダス全地点全期間の24時間降水量として第2位となったアメダス箱根のある箱根町芦之湯付近。文句なしの記録的な大雨を記録した時点ではあるけれども、その場所で大規模な土砂災害が起こったり、洪水が生じたりするわけでは必ずしもないというのが,降水量という指標の難しいところ.

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これが今回の箱根の降水量と既往記録の比較.箱根の既往記録と比べると1-3時間降水量は既往最大と同程度で,4-48時間は既往を更新,72時間は既往最大以下.12時間はAMeDAS全地点全期間最大を超過し,24時間は同程度.量的にも記録的な大雨と言っていいでしょう.

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2019年10月12日 (土)

風水害ではどのように犠牲者が生じているのか(2019/10/12版)

私が専門的に調べている,洪水・土砂災害でどのように犠牲者が生じているか,というお話をします.1999-2018年の風水害による死者・行方不明者1259人分の集計結果です.

犠牲者を生じた原因外力で相対的に多いのは土砂災害で全体の5割弱,それに次ぐのが洪水(川からあふれた水で流された),河川(増水した川に近づいた)です.風や,海岸付近での波などによるケースは,合わせて1割程度です.「増水した川に近づいた」と聞くと,「田んぼの様子を見に行き,用水路に転落」というケースが思い浮かぶかもしれませんが,こうしたケースは全体の5-6%くらい.日常の中で車や徒歩で移動していて川に落ちたケースの方が多くなっています.

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土砂災害では,土石流による被害が特に激しい様相を見せます.この写真のように,3件あった住家が跡形もなくなってしまうようなことは,決して珍しいものではありません.

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土砂災害のうち,いわゆるがけ崩れでも犠牲者が生じます.この写真のように,崩れた土砂の量が少なくても,人的な被害につながることもよくあります.斜面と反対側の部屋にいるかどうかで運命が分かれるようなこともあるようです.

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平野部の比較的新しい家屋では,浸水だけで家が流されて犠牲者が生じるようなことはほとんどありません.流されるとすれば,堤防が決壊した周辺などに限定されます.ただ注意が必要なのは,決壊する場所は最後まで分からないことです.堤防沿いはどこでも可能性があるとも言えます.ところによっては「家屋倒壊危険ゾーン」といった範囲が示されていることもあり,一つの目安にはなります.

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堤防がないような,山間部の中小河川は洪水と無縁ではなく,むしろ破壊力は大きいとも言えます.この図のように,元あった河川が横方向に河岸を浸食し,河川沿いの家屋を流失させて犠牲者が生じることもあります.

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水の流れだけで家屋が流されてしまうことは稀ですが,車や人は簡単に流されてしまいます.これは8月末の佐賀の豪雨のケース.道路を通行中の車が右手の水田の方に流されて犠牲者が生じたようです.こうしたケースをよく見かけます.

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河川に近づいて亡くなるケースでは,河川沿いの道路の路肩が崩れ,それに気がつかず車が転落するケースをよく見かけます.橋は流されなかったが,取り付け部の盛土が流されてそこに転落というケースもありますし,小さな側溝で犠牲者が生じることもあります.

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犠牲者全体で見ると,遭難した場所は屋内と屋外がほぼ半々.風水害犠牲者の約半数は,何らかの形で屋外行動中に亡くなっている,とも言えます.屋外行動中といっても避難中というケースは少数で,多くは様々な移動などで屋外にいたところ遭難したケースです.

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何らかの避難行動をとったが亡くなった,という方は全犠牲者の1割弱です.

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原因外力別に見ると,土砂災害犠牲者は屋内で亡くなった人が8割ですが,洪水,河川の水関連を合わせると7割,風や波の関係では8割が屋外です.危険な場所にある家屋からどこかへ避難することも重要ですが,移動する距離はなるべく短くした方がいいのかもしれません.

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土砂災害による犠牲者は,9割弱がハザードマップ等に示された土砂災害危険箇所かその近傍(地図の誤差の範囲内程度)で亡くなっています.

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一方,洪水,河川といった水関係の犠牲者は,ハザードマップ等に示された浸水想定区域付近での犠牲者は4割程度です.中小河川などでは浸水想定区域の指定が進んでいない場合がある事などが背景として考えられます.行政は何やってるんだケシカランとかは全然思いません.

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ただし,地形的に見れば,水関係の犠牲者は,洪水の可能性がある低地(標高×m以下の低い土地という意味ではありません.地形分類上の低地です)で亡くなっている人がほとんどです.でも地形分類の情報は使うのがなかなか難しいです.

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特に,堤防などがない中小河川では,相対的に川と同じくらいの高さにある場所は,洪水の影響を受けうる,と理解しておくのも一つの考え方かもしれません.

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