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2020年3月28日 (土)

時評=災害への備えは人それぞれ 個々に必要性考えて

3月26日付け静岡新聞に下記寄稿をしました.

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時評=災害への備えは人それぞれ 個々に必要性考えて

 取材や講演の際などに,「防災のため住民が備えておくべきものは?」といった質問を受けることがある.筆者は「身近な備え」は専門でないので,「詳しくありませんが」と前置きした上で,「自分にとって必要なもの,使えなくなると困るものを用意しておけばよいのでは」などと答えるようにしている.

 このように答えると(おそらくは筆者の思い込みだろうが)「期待外れ」といった様子の反応を見るような気がする.更に想像を逞しくすると,「○○という防災グッズが有効です,□□災害の教訓では△△が役立ちました」のような「ノウハウ」を聞きたかったのかな,などという気もする.少し申し訳ない気分にもなるが,自分自身があまり重要だと思っていない話を,人にお勧めはできない.

 「自分にとって必要なもの」は,人により様々だと思う.「乳幼児がいる世帯では子ども用おむつの必要性が高いが他の世帯では必要ない」などはわかりやすいだろうが,そう単純な話ばかりではない.備蓄食のように誰もが必要としそうなものでも,実際に自分が食べたいもの,食べられるもの,など具体的に考えていけば,誰もが同じものを備えれば良い,とはならないだろう.あるいは,災害用備蓄食(災害用のグッズ全般かもしれないが)は,量や質の割に高額なこともよくあるが,高額品を揃えるか,なにか他の方法を講じるか,このあたりも人によって考え方が分かれるところだろう.

 「必要なもの」も,それをどう保管するかという問題もある.これは人それぞれの住まいの様子によっても話が大きく変わるだろう.保管に便利だからと地下室に備蓄していたら,急な浸水で備蓄品が真っ先に使えなくなった,などということもあるかもしれない.備蓄を考える以前に,その地域で起こる災害について知っておくことも必要だ.

 災害への備え方は,どのような人が,どこで,どのように暮らしているか,まさに人それぞれだろう.「正解」が何かはそもそも難しく,仮に「正解」があったとしても,それを実際に実施し続けることができるかという問題もある.目新しい「ノウハウ」を求めるのではなく,自分自身のこととして,具体的に考えてみることが重要だろう.

 

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