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2020年4月23日 (木)

「豪雨による人的被害発生場所と災害リスク情報の関係について」を公開

 最近刊行された,「自然災害科学」Vol.38, No.4に掲載された当方の論文「豪雨による人的被害発生場所と災害リスク情報の関係について」Photo_20200423224501 公開しました.
http://www.disaster-i.net/notes/2020jsnds38-4.pdf

 要旨は下記の通りで,ここのところ私が強調している「洪水・土砂災害による犠牲者は基本的には起こりうるところで発生している」という話の基礎となる論文です.

  • 日本の豪雨災害による死者・行方不明者(犠牲者)の発生位置と,災害リスク情報(ハザードマップや地形分類図等)の関係について解析
  • 筆者は1999~2018年の豪雨災害犠牲者1259人分についてのデータベースを構築している.本研究ではこのうち,洪水や河川に接近などの水関係犠牲者と,土砂災害による犠牲者767人を解析対象.
  • 土砂災害犠牲者の87%は,土砂災害危険箇所の付近で発生していた.一方,洪水等の水関係犠牲者で,浸水想定区域付近で発生した者は42%だった.
  • ただし,水関係犠牲者について地形分類図による情報との関係を検討すると,犠牲者の85%は地形的の洪水の可能性がある低地で発生していた.
  • 洪水などの水関係犠牲者や,土砂災害犠牲者のほとんどは,地形的に災害が起こりうるところで発生していると言っていい.ただし,ことに居住地付近の洪水の危険性を理解するためには,現在のハザードマップだけでは不十分である.地形分類図に関する分かりやすい情報の整備が重要である.

なお,要旨では上げていませんが,昨年の台風19号等で話題となった,「土砂災害危険箇所等に指定されていない場所で土砂災害による犠牲者が発生」というケースについても検討しています.調査対象期間中の土砂災害犠牲者497人中32人が該当し,少数ではあるもののこれまでも発生していることを示しています.また,これらの内訳は,32人中16人は,緩やかな斜面や小さな谷など,土砂災害危険箇所等に指定されにくい場所であったこと,他は,制度的に土砂災害危険箇所等の対象とならないところなどであったことも示しています.

何を今更,と思うかもしれませんが,原稿自体は昨年の台風19号より前に投稿していたものですが,査読,掲載までは時間がかかるものです.

 

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