2009年10月 8日 (木)

警報になりそうなとき[覚え書き]

これも覚え書きです.

現在発表される気象に関する注意報・警報では,「今のところ注意報だけれど,今後警報になる可能性がある」場合には,その旨があらかじめ発表されるようになっています.

たとえば,10月7日19時35分に静岡地方気象台から発表された情報の一部を挙げます.
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平成21年10月 7日19時35分 静岡地方気象台発表

富士山南東 [発表]雷,高潮注意報 [継続]大雨,強風,波浪,洪水注意報
 特記事項 8日未明までに大雨警報に切り替える可能性がある
      土砂災害注意 浸水注意
      8日明け方までに暴風警報に切り替える可能性がある
      8日明け方までに波浪警報に切り替える可能性がある
      8日未明までに洪水警報に切り替える可能性がある
 高潮 8日6時頃から8日9時頃まで ピークは8日8時頃
   最大潮位 内浦 TP上 1.2メートル
 土砂災害 7日夜遅くから8日昼過ぎまで
 浸水 8日未明から8日昼前まで 雨のピークは8日明け方
    1時間最大雨量 50ミリ
 風 8日未明から8日夜のはじめ頃にかけて 以後も続く 北東の風のち西の風 ピークは8日明け方
   最大風速 陸上 20メートル 海上 25メートル
 波 7日夜遅くから8日夜のはじめ頃にかけて 以後も続く ピークは8日朝
   波高 7メートル
 洪水 8日未明から8日昼前まで
 付加事項 竜巻 うねり
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静岡県の「富士山南東」地区(御殿場市,三島市,沼津市など)は,この時点で雷,高潮注意報が新たに発表され,大雨,強風,波浪,洪水注意報が引き続き発表されている,という内容になっています.この地区ではこの時点では警報は発表されていないわけですが,「特記事項」として,今後,だいたいいつ頃に,警報に切り替えられる可能性があるという情報が挙げられています.

「まだ注意報だから大丈夫だと思っていた.警報になりそうなときはあらかじめ知らせて欲しい」という意見を聞くことがあります.

★そのニーズはすでに満たされています★

無論,現象の変化が急激で,本当に急に警報発表となる場合もありますから,常にこのような発表形態になるとは限りません.しかし,情報が進歩していることも確かです.情報が足りない足りないと嘆く前に,探してみましょう.聞いてみましょう.

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高潮・高潮警報[覚え書き]

高潮とは,台風などの発達した低気圧が海岸付近に接近した際,風によって海水が陸側(湾側)に吹き寄せられたり,気圧の低下により海水面が上昇したりすることによってもたらされる現象です.

気象庁による高潮の解説
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/4-1.html

目に見える形態としては,津波のように,海水面全体が高くなり,陸上に洪水のように押し寄せるものとなります.単なる浸水ではなく,激しい流れを伴うことが多いため,同程度の面積が浸水したとしても,河川の洪水より構造物などに被害がもたらされやすくなります.

今回の台風2009年18号では,東海地方で高潮の発生の危険性があり,一時愛知県などに高潮警報が出ていました.8日9時時点で,静岡県遠州南には高潮警報が出ています.

Lvl_3_20091008Dev_3_20091008 浜松 市にある舞阪潮位観測所(気象庁)の潮位観測記録を,気象庁webより引用します.左が観測値で,赤線が観測された潮位,青線が天文潮位,すなわち台風等の影響がない場合の潮位です.7日18時頃から観測潮位が天文潮位を上回り始め,8日6~7時頃にピークを迎えていることがわかります.これが高潮です.右図は潮位偏差,つまり天文潮位と観測潮位の差で,台風によってもたらされた潮位の上昇の大きさに当たります.潮位偏差のピークは6~7時頃ですが,天文潮位のピーク,つまり満潮時刻はこれより若干後(8:23)になっています.満潮と,潮位偏差のピークが重なれば,実際の潮位はさらに高くなることになります.

高潮に関する潮位の呼びかけは,高潮警報として,8日0時45分に発表されました.実際の表現は以下の通り.
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平成21年10月 8日00時45分 静岡地方気象台発表

中部南」大雨,洪水,暴風,波浪警報」雷,高潮注意報」
中部北」大雨,暴風警報」雷,洪水注意報」
伊豆」大雨,洪水,暴風,波浪警報」雷,高潮注意報」
東部」大雨,洪水,暴風,波浪警報」雷,高潮注意報」
遠州北」大雨,暴風警報」雷,洪水注意報」
遠州南」大雨,洪水,暴風,波浪,高潮警報」雷注意報」
((遠州南では、8日朝の満潮時を中心に高潮に警戒して下さい。県内では、8日朝にかけて非常に激しい雨による浸水害に、また、8日昼前にかけて、土砂災害、暴風、高波に警戒して下さい。))

遠州南 [発表]高潮警報 [継続]大雨,洪水,暴風,波浪警報 雷注意報
 特記事項 土砂災害警戒 浸水警戒
 高潮 8日6時頃から8日12時頃まで ピークは8日9時頃
   最大潮位 舞阪 TP上 1.4メートル
 土砂災害 8日昼前まで
 浸水 8日朝まで 雨のピークは8日明け方
    1時間最大雨量 60ミリ
 洪水 8日朝まで
 風 8日昼前まで 東の風のち南西の風 ピークは8日明け方
   最大風速 陸上 20メートル 海上 30メートル
 波 8日夕方まで ピークは8日朝
   波高 11メートル
 付加事項 うねり 竜巻
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また,満潮時刻などの情報は,「気象情報」として7日から発表されていました.具体的な表現の一例は以下の通り.
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平成21年 台風第18号に関する静岡県気象情報 第7号
平成21年10月7日23時15分 静岡地方気象台発表

(見出し)
台風第18号は非常に強い勢力を保ったまま、8日明け方から朝にかけて静岡県に最も接近するため、暴風、高波、低地の浸水、河川の増水、土砂災害、高潮、竜巻などの激しい突風に警戒して下さい。

(本文)

<中略>

[高潮の予想]
 県内では、台風の接近する8日には、満潮時刻を中心に高潮に注意・警戒
が必要です。
 8日の満潮時刻は、
 清水港 7時56分、御前崎 8時00分
 内浦  7時53分、石廊崎 7時57分
 舞阪  8時23分

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2009年10月 7日 (水)

情報を適当に簡略化するな

先の記事で,台風の「激しさ」は,中心付近の最大風速にもとづく「強さ」と,風速15m/s以上の強風域の半径にもとづく「大きさ」で表現されることを紹介しました.

「強さ」の階級は,分類名称なし→強い→非常に強い→猛烈な,の4段階.「大きさ」は,分類名称なし→大型→超大型,の3段階です.以前は強さの階級に「弱い」,「並の」が,大きさの階級に「小型」や「中型」があり,文字通りの階級表現になっていました.しかし,これらの呼称は警戒心を弱めるといったことを言う人たちがおり,「わかりにくいので」使わないことになり,強そうな表現だけが残っているのです.

この階級表現の仕方には私は賛同しかねますが,ともあれ,客観的に現象の激しさを示す指標は,このように厳然とあるのです.にもかかわらず,それを捨てて,(比較対象の不明瞭な)「最大級」などという,いくらでも乱発できる感覚的表現を用いることに,私は憤りを感じます.情報を感覚的に適当に簡略化することが「わかりやすい災害情報の伝達」だとは私には思えません.

感覚的な情報ではなく,どこで,どのようなことが起こりつつあるのかという,客観的事実を,たとえどんなに「わからない,わからない」と拒絶されようとも,粘り強く伝え続けることが重要だと思います.

7日23時現在,大雨警報,洪水警報などが,関東以西の各地に発表されています.三重県では土砂災害警戒情報も出されています.比較的発表頻度が低い警報として,高潮警報が愛知県に出されているのがやや注意を引きます.全国アメダス観測所では,統計期間20年以上の観測所で各種記録を更新している箇所はありません.

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暴風域の「赤い円」だけに注目しないで

台風接近時の報道を見るたびに思うことなのですが,

「暴風域の『赤い円』ばかりが強調されるのはなんとかならないものか」

,と思います.全く同じ事を2年ほど前にも書いていますが.

http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_f5f9.html

2年前の記事をさらに再掲しますが,

●暴風域=豪雨域ではありません●
●豪雨域は台風の中心よりずっとはなれています●

これらは,今回の台風の特徴ではなく,台風が日本列島付近に近づいた場合は,多くの場合このような状況が見られます.

091800 20091007210000 20091007210000mtsat 10月7日21時の台風の位置と,同時刻の解析雨量(レーダーによって観測した雨量を地上観測所のデータで補正した雨量)の図,気象衛星画像を,気象庁webより引用します.

台風の中心は四国沖にあります.「赤い円」は四国や紀伊半島南部にかかろうとしているところです.一方,多雨域は四国付近には見られず,紀伊半島東側に見られます.雨域自体も,中心から同心円状に広がっているのではなくて,台風の中心の北東側に広がっているのが一目瞭然です.気象レーダーは,陸から離れた海上の降雨を十分とらえ切れない場合がありますが,衛星画像で見ても,発達した雲域(白色度の高い箇所)は「赤い円」の中にあるのではなく,それより北東側にあることがはっきりとわかります.

率直に言いますが,

「台風の中心がまだ遠くにあるから大丈夫だ」

という認識は改めるべき認識です.今は,レーダーもあるし,地上観測網も充実しているし,衛星画像だってあるのです.「台風の中心位置」などという,極言すれば「30年くらい前に有力だった災害情報」に依存するのではなく,今,どこで,との程度の雨が降っているのか,どの程度の風が吹いているのかという,「現代の災害情報」を元にした事実を把握しましょう.

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2009年9月16日 (水)

佐用豪雨災害・現地再訪

昨日9月15日,8月9日に豪雨災害に見舞われた兵庫県佐用町の現地踏査をしてきました.今回は聞き取りなどが中心だったため特に公開資料は用意しません.

災害から1ヶ月あまりがたち,外見上は町の元の姿を取り戻しつつあるように見えましたが,いろいろな問題はこれからというところでしょう.この事例は非常に重大な教訓を残していると考えており,今後も調査を進める予定です.

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2009年8月15日 (土)

佐用豪雨災害・現地調査写真

昨日8月14日,兵庫県佐用町の被災現場を踏査してきました.現地写真を整理しています.

2009年8月台風9号(台風0909号)豪雨災害 研究関係情報
http://disaster-i.net/disaster/20090809/
http://disaster-i.net/photo/090814/090814p.htm

今回の災害では,人的被害の発生状況に大きな特徴があります.以下に整理します.
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  • 8/15までに整理した情報を元に検討すると,今回の災害による死者・行方不明者の原因別内訳は,洪水19名(+3名となる可能性あり),事故型 2名,土砂1名などとなっており,洪水そのものによる犠牲者が非常に多い.1980年代以降で見ると,2004年台風23号(洪水による犠牲者32名),昭和57年7月豪雨(長崎豪雨・同約30名)に次いで3番目の規模である.
  • 2004年台風23号の洪水による犠牲者は近畿・四国を中心に広域で生じており,ほぼ1自治体内で集中的に発生したケースとしては,長崎豪雨に匹敵する.
  • 洪水による犠牲者は,1名を除き全員が,自宅など屋内ではなく,屋外を移動中に遭難している.近年の洪水による犠牲者の多くは屋外を移動中の遭難であり,このこと自体は一般的な傾向と言える.
  • 洪水による死者行方不明者19名中,少なくとも11名は避難先への移動中に遭難している.筆者の2004~2008年の豪雨災害犠牲者 262名を対象とした調査によると,何らかの避難行動をとっていたものが25名,うち,避難先への移動中だったものが14名である.すなわち,今回の災害では,最近5年間の「避難先への移動中の遭難者」の総数と同程度の犠牲者を1回の事例で生じてしまったことになる.まだ精査していないが,1回の事例で,このような形態の遭難者が10名以上も生じた事例は,1980年代以降初めてだと思われる.

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2009年8月12日 (水)

大学周辺を簡単に現地踏査

本日8月12日午後,静岡大学周辺を現地踏査してきました.付近では,地震による外見上の変化はほとんど見られません.

P1030238 久能山の南方,海岸沿いの静岡市駿河区平松,安居地区では,比較的古い家屋の一部で,屋根瓦のズレが見られました.

この後,三保半島付近や,清水港などの港湾施設もざっと見てきましたが,墓石やブロック塀などの転倒,道路の亀裂,岸壁の損壊などは確認できませんでした.

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災害への調査対応について

昨日の静岡での地震,9日からの兵庫県等での豪雨など,災害が続いています.それぞれ情報収集中ですが,割ける力は限られており,いい加減な仕事はしたくありませんので,焦点を絞った調査研究をしたいと考えています.

兵庫県内での豪雨災害は,洪水による犠牲者が多いこと,避難途中の犠牲者が目立つことなど,近年の豪雨災害にあまり見られなかった特色を持っており,極めて重大な教訓を与える事例であると考えています.このため,本事例に関しては,今後,人的被害の発生状況に関してを中心に,調査を進める予定です.さしあたり,14日(金)に最初の現地調査を行う予定です.

静岡での地震に関しては,当方の専門からやや離れますので,できることは限定されそうです.今のところ,各人の災害への備えとその効果に関してなどを,アンケートなどによって緊急に調査することを考えております.他の観点からの検討も考えていますが,今のところは具体的な案はできていません.

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兵庫豪雨関係・朝日新聞で報道されました

兵庫での豪雨に関係して,当方の市町村防災担当者対象のアンケート結果が,8月11日付朝日新聞朝刊で紹介されました.以下に関係箇所を引用します.

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(時時刻刻)避難路、勧告時に冠水 住民、暗闇を移動 集中豪雨被害の兵庫・佐用

<中略>
 ●高齢者対策、課題残す
 総務省消防庁などのまとめによると、7月に山口県などであった豪雨被害と今回とを合わせた死者は43人。身元が確認できた人のうち、65歳以上が6割近くを占める。
 観測史上最多の10の台風が上陸した04年の被害でも、土砂災害や洪水で200人以上が死亡したうち、お年寄りが7割に及んだ。雨の音もあって防災無線が聞こえない。家族は老いた夫婦だけで思うように移動できない。避難所へ移動中に被害に遭ってしまった――。そんな事例が報告され、国は要援護者の避難対策についてのガイドラインを作成。高齢者や障害をもつ人たちについてリストをつくり、有事の際は早めの避難を呼びかけるよう自治体に求めた。
 しかし、取り組みは思うように進んでいない。消防庁の調査では、今年3月末現在、要援護者の避難計画を立てている市区町村は576と全体の3割強にとどまる。
 静岡大学防災総合センターの牛山素行准教授らが実施した全国調査では、避難経路や避難場所などを盛り込んだハザードマップを7割の自治体が整備していたものの、一方で住民向けの説明会や講習会などを開いていたところは4割にとどまっていた。そして、防災行政に取り組む専任者を一人も置いていない市町村が3割程度あったという。
 リアルタイムの雨量・水位情報も含め、行政が住民に提供する情報は増えてきた。しかし牛山准教授は、勘どころをつかみ、生きた防災活動につなげられる職員が不足している、とみている。「市町村が専任の職員を多く置けるよう、国や県が支援することが必要だ」
 住民側の問題も浮かぶ。「ここは大丈夫だろう」「あの時も平気だったから」。特に、年齢が高い層で「経験」が判断のマイナス要因になり、甘くとらえる傾向があるという。
 田中淳・東大総合防災情報研究センター長は「家の近くで水がつからない安全な場所はどこかなど、事前に家族で話し合っておくことが大事だ。その時にハザードマップを参考にすればより安全な場所がわかる」と指摘する。「行政も、携帯電話への防災メールなど伝達手段を多様化する必要がある」

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2009年8月11日 (火)

東海地方で地震

今朝,静岡県を中心に強い地震がありました.私自身は現在新潟市におり,静岡の状況は詳しくはわかりません.今連絡が入っている範囲では,私の周囲では特に被害などは出ていないようです.

今後の予定はまったく未定です.

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