2008年11月 8日 (土)

栗原市など現地踏査

本日11月8日は,砂防学会の調査団の一員として,岩手・宮城内陸地震で土砂災害が発生した宮城県栗原市などの現場を現地踏査してきました.

8月以降,同地震関係の現場に入っていませんでしたので,3ヶ月ぶりの踏査となりました.かなり土砂除去が進んだところが多く,復旧が確実に進んでいることを感じました.

P1000633_4

P1020221_3 荒砥沢地すべりの現場では,巨大な地すべり土塊の末端部の中にまではいることができました.全体に,地震直後より侵食が進んでいるような印象をおぼえたのですが,あらためて6月の写真を見ると,目に見えて変わっているところは少ないようです.写真左手で6月(左写真)には天然ダムを形成していた尾根状の土塊が11月(右写真)にはなくなっている点が大きな違いで,これは開削したのではなく,決壊(というより実態は侵食と言うべきでしょうが)したとのことでした.

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2008年9月 6日 (土)

8月末豪雨・降水量関係の図を追加

「平成20(2008)年8月末豪雨による災害に関するメモ」に,降水量関係の分布図,グラフを追加しました.

降水量基礎データ
http://disaster-i.net/disaster/20080829/pre1.html

2000年東海豪雨時の分布図やハイエトグラフも合わせて示しています.2000年東海豪雨のすごさをあらためて思い起こさせられました.

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2008年9月 2日 (火)

規模評価の難しい今回の豪雨による浸水被害

今回の豪雨(平成20年8月末豪雨)による全国の浸水被害は,9月2日17時30分現在の総務省消防庁資料によれば,床上浸水1465棟,床下浸水7126棟とのことです.うち,愛知県は同1020棟,2755棟です.なおこのほかに,名古屋市で床上浸水1147世帯,床下浸水7575世帯がある旨が注記されており,これらは合算されていません.多くの場合,世帯数=棟数にはならず,都市部ほどその傾向がありますから単純に合算はできません.愛知県庁で公表されている資料ではこれとは違った値も記載されており,まだ大きく変動する可能性(増えることもあれば減ることもある)もあります.今回の豪雨による浸水被害の規模評価は,少々難しそうです.

仮に消防庁の資料をもとに床上浸水の棟数と世帯数を合算すると,約2000棟となります.愛知県では,床上浸水2000棟以上の事例が1971年以降5事例あり,おおむね10年に1回程度発生していることになります.

愛知県の主要豪雨災害記録 1971-2006
http://disaster-i.net/disaster/20080829/saigai.html

下記は,上の表にも載っている1991年の愛知での豪雨被害があった後の1991年9月下旬の朝日新聞記事の見出し抜粋です.我々は,目先のことにばかりとらわれず,時空間的に長い目で災害に接していくしかない.そんな気がしてなりません.

未明の警報、遅れた対応 東海の豪雨災害 【名古屋】
濁流、住宅街のむ 大雨で東海地方に被害 【名古屋】
水位情報を防災に使えず 春日井市の内津川の堤防決壊 【名古屋】
7000余戸が浸水 名古屋の大雨被害 【名古屋】
「水防システムを徹底」 内津川水害で愛知・鈴木知事 【名古屋】

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人的被害発生現場についてのコメント

岡崎市内の人的被害発生現場についてのコメントを整理しました.

岡崎市城北町の人的被害発生現場
http://disaster-i.net/disaster/20080829/okazaki1.html
岡崎市伊賀町の人的被害発生現場
http://disaster-i.net/disaster/20080829/okazaki2.html

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岡崎市内の被災地現地踏査写真を公開

9月1日に愛知県岡崎市の伊賀川流域の浸水などの被災地を現地踏査してきました.写真を以下に公開します.なお,気象庁により今回の降雨イベントに名前がつきましたので,ページタイトルを「平成20(2008)年8月末豪雨による災害に関するメモ」に変更しました.

平成20(2008)年8月末豪雨による災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080829/
2008/9/1 愛知県岡崎市伊賀川付近現地踏査 (アルバム+地図)
http://disaster-i.net/photo/080901/080901p.htm

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2008年8月31日 (日)

9月1日に岡崎市を現地踏査

8/28-29の豪雨に見舞われた地域のうち,愛知県岡崎市を,明日9月1日に現地踏査することにしました.人的被害が発生した地域などを中心に考えています.

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2008年8月30日 (土)

市民からの通報システムは機能しなかったらしい

定点観測システム機能せず 名古屋では大雨被害通報5件止まり
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20080830/CK2008083002000046.html?ref=related

これは関心のもたれる話です.名古屋市で,あらかじめ登録されている「通報者」から災害時の情報を集めるシステムが稼動していたと言う話は以前から聞いていましたが,今回の豪雨ではその通報は5件にとどまったという記事です.まあそんなものだろうな,という印象を持ちます.

今回の事例は深夜におこっているため,このような通報がなされにくかった面はかなりあるでしょう.しかし,このような双方向の災害情報システムがなかなか機能しないということは,当方も以前から具体例を挙げて指摘しているところです.積極的に通報したいという人がいても,通報すべき事象がそういった人の周囲で起こるとは限らないということもありえます.

双方向情報交換が比較的機能した例として,2005年台風14号災害時の宮崎市がありますが,あの事例も,「整然と運用された」とは思いますが,「どこで,何が起きている」といった,災害時の対応につながるような情報は必ずしも多くはありませんでした.

いつもの話ですが,さまざまな情報システムはそれぞれが,on of them であると考えるべきで,一つ一つを取り上げて役に立った,役に立たないと決め付ける必要はないと思います.

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2008年8月29日 (金)

東海豪雨との比較

今回の豪雨は,その発生場所などから,2000年東海豪雨を連想させる.しかし,端的に言えば,今回の豪雨は,その外力(降水量の規模)も,被害の程度も,東海豪雨とは比較にならない事例だったと言える.

東海豪雨時のAMeDAS観測所の最大24時間降水量は,愛知県の東海で557mmで,今回の愛知県・岡崎での24時間降水量302.5mmよりはるかに多い.降水量の多寡は,地域によって全く異なるので一般的には観測値そのもので直接比較はできないが,東海豪雨時の多雨域は今回の豪雨の多雨域に近接し,かつ地形的にも大きな違いがないので,この場合は直接比較しても大きな問題はない.

また,多雨域も東海豪雨時よりはるかに狭い.AMeDASで24時間降水量300mm以上を観測したのは岡崎のみだが,東海豪雨時には300mm以上の雨域は愛知県ほぼ全域に広がっていた.下記ページ内の図は東海豪雨時の2日降水量の分布図だが,このときの降雨イベントはほぼ24時間以内で終わっており,24時間降水量の分布図と大差はない.

http://disaster-i.net/disaster/20000911/distribution.html

被害の規模も,東海豪雨ほど激しいものには今のところなっていない.東海豪雨による被害は,2000年10月2日現在の総務省消防庁資料によると,全国で死者10名,住家全壊27棟,半壊77棟,一部損壊208棟,床上浸水27180棟,床下浸水44111棟だった.今回の被害はまだ全貌が明らかとなっていないが,床上浸水家屋数で見ると,少なくとも1桁以上は小さな規模である.外力が小さいのだから,その結果としての被害が少ないことも当然と思われる.

筆者は,ことさらに災害を過小に評価する意図は持っていない.過去の災害のことを速やかに忘却し,あたかも全く経験もしたことがないような現象が次々に発生しているかのようなとらえ方がなされることに懸念を持っているだけである.過去の災害の教訓「だけ」を重視することは無論好ましくない.しかし,あまりにもあっさりと過去の災害の実像や教訓を忘却することは,何とか防いでいかなければならないと思う.

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AMeDASでとらえられていない豪雨があったのでは

筆者はこれまでAMeDASデータだけを用いて議論しているが,AMeDAS観測所でとらえられていないところで,もっと激しい現象が発生していた可能性は当然ある.

しかし,「川の防災情報」で参照できる,国土交通省や愛知県の雨量観測所で,岡崎市付近の観測所を参照すると,いずれも,24時間降水量はAMeDAS岡崎より小さな値になっている.少なくとも,今回豪雨に見舞われた岡崎市周辺では,地上雨量観測所でとらえられていない豪雨が広範囲に発生していたとは考えにくい.

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人的被害の特徴

8月29日消防庁第3報の時点では,死者・行方不明者は愛知県で2名である.断定はできないが,いまのところ災害と比較して大きくない.

この2名はいずれも洪水そのものによる犠牲者である.いずれも自宅にいたところ,浸水により遭難したものと思われる.このような避災形態は,洪水による被害形態としては一般的だと思われがちだが,実際にはこのような遭難形態はまれであり,筆者が整備している2004~2008年の豪雨災害による人的被害に関するデータベースによると,この間の犠牲者244名中同様な犠牲者は13名である.

洪水そのものによる犠牲者の多くは,車などでの移動中に遭難している.また,「溺死者」の3分の1以上は,水田などの見回りに行って用水路などに転落した犠牲者であり,洪水や浸水とは関係がない.今回の豪雨では,このような犠牲者がほとんど見られなかった.これはあくまでも類推だが,今回の豪雨は深夜に発生しており,外に出ている人が少なかったことが背景にあるのかもしれない.

豪雨災害時の人的被害に関する研究
http://disaster-i.net/research4.html

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2008年8月29日の前線による豪雨災害に関するメモ

2008年8月29日の前線による豪雨災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080829/

を公開しました.気象データの処理システムが不調のため,降水量分布図などは示せません.文章情報が今のところ主体です.

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昨夜からの東海・関東地方での豪雨について

昨日8月28日夜から29日朝にかけて,愛知県や神奈川県,東京都などで1時間降水量100mmを越えるような豪雨が発生しています.タイミング悪く,当方の降水量データ処理端末が不調で,データを迅速に示すことが出来ませんが,現在関連情報を整理中です.

本年は,1時間降水量など,ごく短時間の降水量に大きな値がたびたび記録されていましたが,24時間降水量などのまとまった時間の降水量ではそれほど大きな値が生じていませんでした.短時間に激しい雨が生じるが,長続きせず,かつ範囲も非常に狭いという豪雨が今年はよく見られていると思います.

短時間の豪雨だけでは大きな被害には結びつきにくいので,結果として,人的被害,家屋被害も,例年に比べれば比較的少ない状況が続いていました.

昨日から本日にかけては,24時間降水量の最大値(1979年以降で観測期間20年以上)を更新したAMeDAS観測所が2カ所(岡崎[愛知],久喜[埼玉])あり,今年の豪雨としては長時間の雨もやや強かったと思われます.まだ降雨が継続している地域もあり,被害状況も不明な点が多いので,まずは情報収集に当たりたいと思っています.

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2008年8月15日 (金)

緊急地震速報に関するアンケート・結果速報を公開

下記報告書を公開しました.

2008年6月14日岩手・宮城内陸地震および
2008年7月24日岩手県沿岸北部の地震経験地域を対象とした
緊急地震速報に関するアンケート調査報告書
http://disaster-i.net/notes/080815report.pdf

調査結果の主な内容は以下の通りです.

●背景・調査手法

  • 2008年7月24日,2008年6月14日にそれぞれ最大震度6強の地震に見舞われた,岩手,宮城県を対象に,緊急地震速報などに関するアンケート調査を行った.
  • 調査は,インターネットを通じた社会調査サービスであるgooリサーチ(NTTレゾナント株式会社・株式会社三菱総合研究所 共同運営)を利用した.2008年8月6日~7日に,岩手県,宮城県在住者と,比較目的で大阪府在住者に依頼メールを配信し,3県それぞれ170件,計510件の回答を得た.
  • 回答者は20代~40代の青壮年に偏っている(84.1%).過半数が1週間あたり平均10時間以上のネット利用者で,情報リテラシーが比較的高いと考えられる回答者.

●選択式設問から

  • 緊急地震速報の名称,内容については,8割以上(85.5%)の回答者が理解しているが,曖昧な理解をしている回答者も少なくない可能性がある.
  • 緊急地震速報は一般論としては役立つと考える回答者が8割弱(76.7%)だが,自分自身で活用できると考える回答者は約5割(49.1%).
  • 6割以上(63.3%~79.9%)の回答者が,緊急地震速報によるメリットを期待するとともに,デメリットに対する懸念も持っている.
  • 地域による回答の差は全般に不明瞭だった.

●自由回答から

  • テレビやラジオをつけていないと緊急地震速報を受信できないことを問題点として指摘する声が目立つ.
  • 携帯電話の基本機能(無料)として緊急地震速報が受信できることがよく知られていない可能性がある.ただし,マナーモードで気がつきにくいなどの問題もある.
  • 技術改善で緊急地震速報をもっと速く伝えることを期待する声もある.
  • 落ち着いて行動できた,など若干の具体的効果も挙げられたが,揺れの直前に伝えられてもどうしようもないことや,かえって焦るなどの問題点も挙げられた.

●コメント

  • 緊急地震速報は,震源近くで発表が間に合わないことはその原理上当然で,これは誤報でもミスでもなく,技術改善による克服も期待できない.過度な期待(逆に過度な失望も)を持たず,様々な災害情報の一つとして活用していくことが望まれる.一般論としては期待する意見が多いが,個人としては活用に不安の声が少なくないことや,短時間では何もできないとの声があることも注目される.
  • 本報告書は速報としてとりまとめたものであり,今後修正される場合がある.

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2008年8月 4日 (月)

都賀川・現地踏査写真を公開

7/31に,神戸市東灘区の都賀川の災害現場付近を現地踏査した際の写真を公開しました.

2008年7月28日の停滞前線による豪雨災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080728/
都賀川現地踏査(2008/07/31)
http://disaster-i.net/photo/080731/080731p.htm

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都賀川災害・過去にあった酷似事例

 今回の災害現場となった都賀川は,地形的に急峻な流域を背後に持っていること,流域の都市化が非常に進んでいることなどから,豪雨の際に流出率が高く流出速度も速いという特徴(災害に対しては素因)を持っていた.また,都市部で河岸が親水公園としてよく整備され,人が集まりやすいところであったという,社会的素因も存在した.ここに,短時間の豪雨という誘因が加わって今回の災害となったものと言える.ただし,このような素因を持つ河川はけっして珍しいものではなく,都賀川が特異な条件を持っていたことによって発生した災害であるとの見方は妥当でない.
 今回の現場が「特別に危険な場所」であったとは考えていないが,過去の事例を調べていたところ,あまりにも酷似した事例があったことに少々驚いた.1998年7月27日付朝日新聞記事に,以下のような記述が見られる.

二十六日午後二時ごろ、神戸市灘区岸地通一丁目の都賀川の河川敷と中州で、二組の家族連れが増水した流れに立ち往生しているのに近くの灘区民ホールの窪田武館長(六五)が気付き、一一九通報した。灘消防署員らが駆けつけ、中州まで川を横切るようにはしごを渡し、一組の家族連れを河川敷にいた家族連れと合流させ、道路につながる階段まで誘導して救助した。 調べによると、神戸市に住む会社員ら二組の家族計八人で、別々に河川敷でピクニックをしていたが、雨が降り始めたため、川の水面より高くなっている新都賀川橋の橋脚付近で雨宿りをしていた。いずれも乳児を連れており、水かさが増した川の流れに身動きがとれなくなったという。<中略>川の水深は普段、約三十センチだが、この日は降雨のため約六十センチになっていた。

 この事例は,場所も,状況もほとんどそっくりで,日付や発生時刻まで近い.異なっているのは,外力の大きさだけである.1998/7/26の13時~15時の2時間降水量は,神戸海洋気象台(神戸市中央区):2.5mm,AMeDAS六甲山:6mm,AMeDAS芦屋:0mmなど,長峰山(国交省所管・都賀川流域内):8mm,永峰(同):5mmなどとなっており,豪雨の範囲がよりせまく,規模も小さかったように思われる.
 このような事実を見ると何ともやりきれない気持ちになる.過去に起こった災害について,われわれはより積極的に学んで行くことの重要性を,重ねて指摘していくしかない.

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2008年8月 1日 (金)

都賀川を踏査して

P1010514 7月31日午後,28日の豪雨により人的被害が発生した神戸市東灘区の都賀川を踏査してきました.写真については数日中に整理します.

阪神大石駅で下車し,上流側に向かって歩いていきましたが,第一印象は「これは深い」というものでした.確かに河床は整然としたせせらぎが形成され,水に近づきやすくなってはいますが,両岸はほとんど垂直に近い4m前後の護岸(石積みが主体)が続き,所々で計測したところ,護岸の傾斜は70度前後でした.「壁に囲まれた空間」という印象を覚え,やはりここは「川の中」であるという感じがしました.

今回の災害時,この川は溢れたわけではありませんから,これは「洪水災害」とは言えません.しかし,川の中に人がいた,という社会的素因があったため,災害になったものと言えます.踏査時も,周辺にお住まいの方と思われる方がかなり多く散策されており,都市の中で,重要な役割を持つ空間であることは確かです.このような「場」と人がどのようなつきあっていくのか,考えなければいけないと感じました.

写真:遭難現場の篠原橋付近

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2008年7月31日 (木)

本日,都賀川を現地踏査

本日7月31日午後,神戸市灘区の都賀川の災害現場を現地踏査します.

また,明日8月1日16:50からのNHKテレビ「ゆうどきネットワーク」に生出演することが決まりました.話題は都賀川の災害をふまえた,親水公園での防災に関しての内容です.肝心の近畿地方では流れないようなのですが,他の地方はほぼ全国的に放映されるようです.

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2008年7月29日 (火)

7/28豪雨・親水公園の防災対策

2008年7月28日の停滞前線による豪雨災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080728/

より.

 いうまでもないが,親水公園は河道内にある.河道内とは「堤外地」であり,基本的には防災対策の対象外のエリアである.したがって,大前提としては,親水公園は,遊園地などの一般的な意味での「公園」とは少し異なり,少なくとも居住エリアに比べれば,災害リスクの高い場所であるということを,我々利用者は心に留めておく必要があろう.今回の痛ましい犠牲者の存在は,我々にそのことをあらためて警告してくれたように感じられる.

 しかし,だからといって,親水公園は危険な場所だから近づかないようにする,というのも少し話が違うように思われる.一つの方策としては,「親水公園は川の中である」,「川の中であるから,時には危険なこともある」という情報を,看板などいろいろな形で提示するというやり方が考えられる.情報提示といっても,単に危険であることを告げるだけではなく,普段の様子と出水時の様子を写真で並べて掲示するなど,「自然についての学習」といった色彩を持たせることが効果的ではなかろうか.

 何らかの警報システムの導入,という声も出てきそうである.水位が上昇していることを警告するだけが目的であれば,通常の水位計より簡易な機材が利用できるので,可能性はある.しかし,対象となる場所の多さや,日常的なメンテナンスを考えると,あまり現実的とは思えない.

 利用者側の手間をいとわない,という前提であれば,「川の防災情報」(携帯版)に代表されるwebや携帯電話で公開されている河川水位情報やレーダー雨量情報を利用するという方法もある.筆者の調査では,河川の水位が詳細に公開されていることは,ほとんど周知されていない.

牛山素行・吉田亜里紗・國分和香那,2008:豪雨防災情報に対するインターネット利用者の認識,水工学論文集(CD-ROM),No.52,pp.445-450.
http://disaster-i.net/notes/20080305_0075.pdf

 川で遊んでいて,少し雲行きが怪しくなったら河川情報を見る,というのは,必ずしも現実的な光景とは思えないが,一つの理想的な方向としてはあり得るのではなかろうか.

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7/28豪雨・人的被害の特徴

2008年7月28日の停滞前線による豪雨災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080728/

より.

 今回の災害では,神戸市灘区水道筋1丁目の都賀川で,急激な水位上昇により親水公園にいた児童ら3名が流されうち2名が死亡した.都賀川の別の場所でも,保育園帰りの29歳女性と,5歳の園児が流されて死亡している.7月29日現在では状況不明だが,他にも行方不明者が1名いるとの報道もある. 都賀川では,10分間に1.3mの水位上昇が観測されていたとのことで,急激な水位上昇により逃げ切れなかったことが直接的な原因のようである.

 親水公園は基本的に河道内にある.このような,河道内に滞在していた者が,増水によって流されて死亡するといった実例は,かなり少ない.筆者が整理している,2004年以降の豪雨災害による245名の犠牲者に関するデータによると,2004年8月の台風16号災害時に,兵庫県姫路市の市川で,河川敷内に駐車中だった車内で溺死したと思われる35歳男性の例くらいしか見あたらない.ただし,他に,河川敷内で日常生活を送っていたと思われる犠牲者が合わせて3 名見られる.今回のように,河道内でレジャー中の死亡というケースは1例も見あたらなかった.

 今回のような遭難形態は比較的珍しいが,全く存在しないわけではない.比較的規模の大きな事例としては,1999年8月14~15日の豪雨により,神奈川県山北町玄倉川で13名が流されて死亡,津久井町の道志川で2名が死亡または不明,という事例がある.また,2000年8月6日,群馬県水上町の湯桧曽川で,沢沿いに歩いていた5名程度が流され,1名が死亡したというケースもある.

2000/8/6の谷川岳における"鉄砲水"による災害について
http://disaster-i.net/disaster/20000806/

ただ,これらはいずれも山間部のできごとであり,都市の中での遭難という例は少ないように思われる.

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2008年7月28日の停滞前線による豪雨災害に関するメモ

2008年7月28日の停滞前線による豪雨災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080728/

を公開しました.

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2008年7月28日 (月)

住民地震セミナー

昨日7月27日,一関市で開催された地震学会主催によるセミナーに参加してきました.概要は以下の通り.

(社)日本地震学会 平成20年岩手・宮城内陸地震
住民地震セミナー
この地震で「分かっていたこと」「分かったこと」「分からないこと」

プログラム
第一部 分かっていたこと、分かったこと、分かっていないこと
説明者
武村 雅之 鹿島建設小堀研究室プリンシパルリサーチャー(東北大出身)
佐藤 比呂志 東京大学地震研究所地震予知研究推進センター教授(東北大出身)
松澤 暢 東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター教授

第2部 地震についての疑問・質問コーナー
答える人
佐藤、松澤、武村
島崎 邦彦 東京大学地震研究所教授(日本地震学会前会長、地震調査委員会長期評価部会長)
平原 和朗 京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻教授
西村 太志 東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻准教授ほか、地震学会関係者

地震研究者が,広く一般を対象に,今回の地震についての説明を行い,質問に答えるという企画です.26日には全く同じ内容で栗原市でも行われたのですが,私は一関のみに参加しました.

この種の企画は非常に珍しいもので,内容そのものよりも,企画全体がどのように進むかの方に実は興味をひかれていました.「質問コーナー」では,あらかじめ募集されていた質問にまずコメントした後で,会場からの質問を受ける形で行われました.質問コーナー全体で1時間ほど,会場からの質疑は30分ほどでした.

当日の会場からも活発な質問があり,それに対して「答える人」たちが丁寧に対応されていました.よくわからないことは言葉を濁すのではなく,「よくわからない」と明言することが重要だということをあらためて感じました.

たいへんおもしろい企画だったと思います.「べき論」だけでいえば,このような企画は「積極的に行うべき」ということになるでしょう.ただ,地震専門家が地震について語るという,自然科学的要素の大きい内容だったから比較的スムースにいったようにも思います.あらゆる災害に関する話題について同様な企画を行うとすれば,そこには様々な問題がありそうです.

けっしてこのような企画を否定しているわけではありません.ただ,私に関わりが深い分野でこのような企画を行うことは短期的には難しいと思われます.このような企画を行うためにはどのような準備,工夫が必要かを考えていくことが,私にとっては第一歩のように思います.

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2008年7月25日 (金)

24日の記事に関する補足

7月24日0時45分付けの本欄記事に少し言葉遣いがおかしかった点があったとのご指摘をいただきましたので,訂正・補足します.

>さきほど0時26分頃,青森県,岩手県などで強い地震が発生しました.

と書きましたが,これは,

>さきほど0時26分頃,青森県,岩手県などで強い地震がありました.

と書くべきでした.元表現ですと別々の震源を持つ地震があちこちで発生したような感じになりそうです.

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2008年7月24日 (木)

緊急地震速報の覚知に関する補足

先の投稿で,

>緊急地震速報は,ラジオの緊急警報放送(自動的にスイッチが入る放送)で聞
>きました.緊急警報放送がなり始めたときには,もうかなり強い揺れになってい
>た気がします.

と書きましたが,状況認識に誤りがあったので,訂正・補足します.

よく考えたら,今回の岩手県沿岸北部の地震では緊急警報放送(EWS)は発信されていないはずです.この点,私の勘違いでした.

当方の自宅には,大学産業(株)製の「緊急警報放送受信機能付地震警報機デアス」というものがあります(現在は販売されていない模様です).この機械の機能の一つとして,「強い揺れを感じたら(緊急警報放送とは無関係に)自動的にラジオのスイッチをONにする」という機能があります.今回の地震発生時,この機能が作動し,ラジオのスイッチが自動的にONになったものと思われます.当方では,NHK第一が入るように設定されていました.その後,緊急地震速報が発表されたので,NHK第一でこの旨が伝えられ,それを私が聞いた,という状況だったかと思われます.

ちなみに当方では携帯電話でも緊急地震速報を受信する設定にしていますが,地震発生時は携帯電話を別の場所に置いていたため,携帯電話による緊急地震速報の覚知はできませんでした.受信記録を見ると,受信はされていたようです.

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これより現地調査

本日未明の岩手県沿岸北部での地震から一夜明け,いろいろと情報が出てきましたが,今のところ大規模な人的被害,家屋被害に関する情報は出ていないように思われます.

岩手・宮城内陸地震,新潟県中越沖地震,能登半島地震,福岡県西方沖地震,新潟県中越地震など,ここのところのある程度大きな地震はいずれも昼間もしくは多くの人が活動している時間帯に起きていましたが,今回は人の活動があまりない時間帯の地震でした.当たり前のことですが,地震の発生と時間は関係ありません.しかし,発生時間帯によって人間社会の側は大きな影響を受けます.特定災害事例の刷り込みに抵抗感を覚えるのは,災害のこういった特性が忘れられがちになるからです.

本日は,これより沿岸部方面を現地踏査してきます.

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北東北で強い地震

さきほど0時26分頃,青森県,岩手県などで強い地震が発生しました.岩手県内陸北部の深いところが震源だったようです.

地震の時,ちょうど寝始めたところでした.盛岡市内にある自宅では,おおむね1分以上強い揺れを感じました.家具が動くほどではありませんでしたが,上に置いてあった空箱とか,ラジカセとか,室内の軽いものがだいぶ落ちました.ネット接続できていることからわかるように,停電はしていません.

緊急地震速報は,ラジオの緊急警報放送(自動的にスイッチが入る放送)で聞きました.緊急警報放送がなり始めたときには,もうかなり強い揺れになっていた気がします.

とりあえず,情報収集中です.

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2008年6月23日 (月)

現地調査写真を追加

岩手・宮城内陸地震に関する現地調査写真を追加しました.6/21~22にかけて,砂防学会の調査団員として現地入りした際のものです.主な地点は以下の通り.

2008/6/21 栗原市 二迫川・荒砥沢ダム付近,三迫川・行者滝付近
2008/6/22 栗原市花山 一迫川上流付近
2008/6/22 一関市市野々原,矢櫃付近

平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080614/

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2008年6月20日 (金)

報道で伝えられる当方の言動について

岩手・宮城内陸地震発生以来,当方にもマスメディアからの取材が何件かきており,すでに記事や番組として流れたものもあります.

災害という対象に関わっていることから,外向けのコメントは,自分が専門的に責任を持てる範囲内の内容に限定し,かつなるべく誤解を生じないよう慎重に発言しているつもりです.しかし,新聞記事にしろ,テレビにしろ,取材された素材をもとに編集がなされますので,場合によって発言者が意図しない印象を受ける内容になることがあります.私個人としてはある程度やむを得ない面があると思っていますが,場合によると当方の発言により,不快感,不信感を抱かれる場合があるかもしれません.気かつかれた点がございましたら,ご指摘をいただければ幸いです.

6月17日付読売新聞に掲載された当方のコメントは,前後の文脈の影響から,当方の発言意図とはいささか異なる内容になっておりました.以下,関連部分を引用します.

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 震災発生時には、災害対策本部の設置と被害状況の早期把握が、被災者の救済に直結する。県の高橋誠・防災消防担当課長は「今年4月に約160ヘクタールを焼いた釜石市の大規模林野火災での広域連携の経験が生かせた」と話す。
 しかし、県立大の牛山素行准教授(自然災害科学)は「必要な職員が必要な場所に手当できていたかなどの検証が必要」と話し、今後は課題の洗い出し作業が必要だと指摘する。
 地震発生後、県庁の駐車場は、自主参集した職員が乗ってきたマイカーでいっぱいになり、自衛隊などの応援車両の駐車スペースの確保に苦心した。発生から1時間以内に参集できた職員は3割に過ぎなかった。
 今回は一見してスムーズにいったが、被害状況の把握が遅れれば、被害が拡大していた可能性もある。

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この記事を読みますと,「県はうまくいっていたといっているが,牛山は,そうは言えないから検証しろといっている.その証拠に,職員がマイカーで来たり参集者が少なかったりという問題があるではないか」という趣旨にも読み取れます.これは,私の意図と全く反します.

今回,岩手県庁での職員参集状況に関しての事実関係を私は把握していません.仮に「自主参集した職員が乗ってきたマイカーでいっぱいになり」とか,「発生から1時間以内に参集できた職員は3割に過ぎなかった」ということが完全に事実だったとしても,それが「けしからんことで,改善すべき大きな問題」だなどとは全く思っていません

災害時にそういった混乱があることは当たり前のことで,そのことをいちいちあげつらって批判することは建設的だとは思いません.「計画通りに行かなかった」ことは「失敗」「過失」ではありません.「計画通りに行かせるための新たなマニュアル作り」をするなどというのは,さらにおかしなことだと思います.

様々な経験をふまえて,「必要なことは何か,そのためにできそうなことは何か」を練っていくことが重要なのだと思います.それは,行政機関にだけ求められることではありません.我々個人個人にも求められることだと思います.

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砂防学会調査団にて現地調査の予定

岩手・宮城内陸地震に関して,砂防学会でも調査団が結成され,当方もそのメンバーとさせていただきました.

6月21日(土),22日(日)に調査団としての現地調査が行われる予定です.栗原市荒砥沢ダム上流,同市栗駒ダム付近,一関市磐井川などを現地踏査する予定です.

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2008年6月18日 (水)

「住民でない人」対策はあるのか?

 先にも書きましたように,今回の地震による人的被害は「住民でない人」が中心であることを指摘ました.それは今回の災害の「特徴」として指摘できるとして,では,その対応策はないのか,ということをよく聞かれます.

 地震そのものの直前予知がきわめて困難であることを考慮すると,基本的には「外で行動している,住民でない人」が犠牲になる形態を軽減することも困難であると言わざるを得ません.しかし,あえて指摘するとすれば,「危険箇所の告知」という方策があるのではないでしょうか.洪水災害の場合は,国土交通省による「まるごとまちごとハザードマップ」という取り組みがあり,浸水想定区域内の道路に,その旨の看板をつけるといった手が打たれています.三陸沿岸の国道では,津波の浸水想定区域を同様に看板で掲示している取り組みがあります.

 今回の人的被害の多くは土砂災害です.土砂災害については,主に居住地域においては,「土砂災害特別警戒区域」や,「土石流危険渓流」,「急傾斜地崩壊危険箇所」といった指定カ所の制度があります.すでにこのような形で指定されているカ所については,従来以上にその旨の掲示をするという方策があります.今回の被災現場となった,夏季のみ営業する宿泊施設,観光名所などは,この種の指定制度の対象外となっていることも多いので,今すぐに何かできるということではありません.しかし,地形情報その他から個々の地域においてこのような種類の災害が起こりうるといった情報,すなわち災害素因の情報はある程度把握できると思われます.こういった情報を,単なる「危険情報」として示すだけでなく,「学びの情報」として提示するなどといった方向は,効果は限定的ですが,一つの可能性ではないかなと思います.

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2008年6月16日 (月)

栗原市内を見ての雑感

本日は,若柳金成インターで降り,栗駒総合支所付近→荒砥沢ダム→栗駒ダム→一関インターという経路で現地を見てきました.行政区で言うと,ほとんどが栗原市内です.

栗原市でも,一関市や奥州市同様に外観上明確にわかる家屋の被害は見あたりませんでした.ブロック塀の倒壊,自販機の倒壊などの痕跡もありません.墓石の転倒は,注意深く見ていたら見つかりました.

磐井川流域では,既存斜面の拡大崩壊が目につきましたが,栗原市内では新規崩壊もよく見かけました.いずれも,崩壊の深さは1,2m程度くらいかと思われる,表層崩壊でした.

荒砥沢ダム上流側の地すべりは,その末端部付近を見ることができました.報道映像で見るとおり,形態的にはまさに地すべりです.移動土量は6000万m^3という話を移動中のラジオで聞きましたが,地上からだと末端部しか見えないためか,それほどの規模なのかはよくわかりませんでした.ただ,大きいことは確かで,写真を撮影した場所から見えている地すべり土塊のごく一部だけでも,高さ約80m,長さ約230mという規模です.

主な居住地域内では,至る所に崩壊が見られるというような状況とは思えない,という印象は栗原市内でも変わりません.荒砥沢ダムのすぐ下流側にも集落がありますが,視界内に斜面崩壊は1,2ありますが,道路や水田の亀裂といったものもなく,日常的な光景が見られています.無論,建物の中のことはわかりませんが.

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栗原市付近の現地調査写真を公開

本日現地踏査した,栗原市付近の現地写真を公開しました.よく報道されている,荒砥沢ダム上流側の大規模地すべりを地上から見た画像も含まれています.アルバム版,Googleマイマップ版の同時公開です.

平成20年岩手・宮城内陸地震に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080614/

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2008年6月15日 (日)

Googleマイマップ版を作成

昨日の現地調査写真について,Googleマイマップ版を作成しました.マイマップとして公開されている他の情報との重ね合わせが可能になります.

平成20年岩手・宮城内陸地震に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080614/

よりお入りください.

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災害時のメール雑感

もう,何度も何度も書いてきましたが,「災害時には,携帯メールを普段通りに使うことはできません」.当方の調査結果から挙げるとすれば下記があります.

2005年8月16日宮城県沖の地震時の情報利用に関する調査結果(速報)について
http://disaster-i.net/disaster/20050816/050905rs.pdf

地震直後の私個人のメールの状況は,

http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_5533.html

にも書いたとおり,本当に「直後」はむしろよかったのですが,30分ほどたつと受信しなくなりました.その後も当日午前はメール,Cメールとも配信されない状態が続きました.

発信の方は,10時頃にはできたのですが,これは発信しても相手に届かない状況で,その後12時頃にやってみたら発信自体ができなくなりました(画像付きだったせいかも).特に支障を感じなくなったのは14時頃でした.

「災害直後の情報集積のために,携帯で写真を撮ってwebに蓄積しよう!」というシステムの「提案」をよく見ます.そんなシステムは「災害直後」には稼働しない,と常々批判していますが,その批判は間違っていなかったことを,改めて再認識しました.このブログでも当日の画像を携帯から投稿していますが,最初の投稿が14:19になっていると思います.この写真は12時半頃撮ったのです.撮影後2時間ほどは,「何度も送信を試みたが送信できなかった」のです.

ところで,auの場合,緊急地震速報はCメールで配信される仕様になっています.これは8:44, 9:20, 12:28の3回ともリアルタイムに配信されました.普通のCメールがほとんど配信されなかった時間帯と微妙にずれているので「緊急地震速報は正常に配信された」と言えるかどうかは不明です.

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人的被害の面から

今回の地震災害について,筆者の立場から着目すべき点は何かをいろいろと考えていましたが,一つのポイントは人的被害の発生の仕方についてが挙げられると思います.

総務省消防庁の第21報(6/15 18:30発表)によると,今回の人的被害は,死者9名,行方不明者13名となっています.自宅で被災して死亡または行方不明となったと見なせるのは栗原市の駒の湯関係者のみで,ほとんどが外出中,旅行中に遭難したものと考えられます.

「住民ではない人」が遭難しているケースが案外多く,「住民ではない人」は,年齢などにかかわらず「災害時要援護者」的な性格を持っていることは,豪雨災害に関する筆者の研究でもたびたび指摘しているところです.ハード防災対策は,「住民」も「住民でない人」も隔てなく効果を発揮しますが,災害情報などのソフト防災対策は,主に「住民」が念頭に置かれており,「住民でない人」への対応は難しいものがあります.

今回の事例と共通する,

・山間部での地震災害とそれに伴う土砂災害
・山間部の観光客や作業中の人などが多く遭難した

という特徴を持つ事例としては,1984年の長野県西部地震が挙げられます.この地震では,長野県王滝村で御嶽山が山体崩壊と言っていいほどの大規模な崩壊(崩壊土量約3600万m^3)を起こしたのをはじめ,各所で斜面崩壊を生じました.死者不明者は29名で,その内訳は温泉旅館の流失(消滅というべき状況でした)により4名が不明,移動中やキノコ狩りなどの最中に行方不明となった人が11名,川沿いの生コン工場従業員など作業中に不明となった人が13名などで,ほとんどの犠牲者が「住民でない人」でした.

地震災害の場合,豪雨災害以上に「住民でない人」への対応は困難なものがあります.しかし,「教訓」として考えていかなければいけない課題であることも確かです.

参考文献
全国防災協会編:わが国の災害誌 第4編,2004.

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2008年6月14日 (土)

現地調査写真を公開

現地調査写真を公開しました.一関市磐井川流域,奥州市付近が中心です.

平成20年岩手・宮城内陸地震に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080614/

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現地雑感

先ほど大学に戻りました.これより,写真整理に入ります.

以下,あくまでも個人的に見聞きした範囲での雑感です.

  • 道路の亀裂,橋台前後の段差などは無数に見られる.
  • 斜面崩壊はそれなりにあるが,至る所で崩壊しているわけではない.豪雨のあとにほとんどの沢から土砂が出ているような様子とは違う.
  • 拡大崩壊が目立つように思える.ただこれは新規の小規模崩壊は樹木に隠れて見えにくいといったことが関係するかもしれない.
  • 家屋の被害は非常に限定的.完全に倒伏した建物,外観上明らかに損壊した建物は,非住家も含め,一軒もみられなかった.
  • 至る所に避難所が開設されて,避難者が続々集まっているような様子は全くない.開設されている避難所は,道路寸断による孤立地区を対象としたものが中心と見られる.
  • 少なくとも一関市街地では,普段と何ら変わらない日常が見られる.ショッピングセンター,コンビニ,レストラン等,特に変わった様子なく営業している.周辺部の小さな商店なども同様である.
  • 災害対応で人だかりがしているのは,道路の損壊箇所くらい.

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これから現地に行きます

現在10時30分ですが,これから緊急現地調査に向かいます.おそらく,一関市西部付近を目指すことになると思います.道路事情が不安定ですので,どうなるかはよくわかりません.

前述のように,携帯の通信環境がよくありませんが,可能ならば現地からもブログ更新します.

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地震・携帯メールの輻輳

あくまでも私の環境(au端末)での確認事項です.

8:43の地震の後,9時過ぎくらいまでは特に問題がなかったのですが,9時過ぎ頃からは,携帯メールや(auの)Cメールが全く配信されなくなりました.

10時前後に確認した状況は以下の通りです.

一般有線電話回線→一般有線電話回線の電話 つながる
一般有線電話回線→au電話回線の電話 つながる
au電話回線→一般有線電話回線の電話 つながらない
au電話回線→au電話回線の電話 つながらない

au携帯メールの発信 できる
au携帯メールの受信 9~10時は配信されなかった
 ※10時過ぎに「新着メール問合せ」をすると受信できた
auのCメールの受信 9~10時は配信されなかった

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岩手県南部で強い地震

さきほど8:43頃,岩手県内陸南部を震源とした強い地震が発生しました.

筆者は盛岡市内の自宅にいましたが,小刻みなP波を感じた後,すぐに主要動を感じました.au携帯で緊急地震速報を受信しているのですが,緊急地震速報よりP波の方が早かったです.あたり前か.主要動はさすがに緊急地震速報の後でした.

盛岡市内の私の身の回りでは特に何も被害や変化はありません.

おそらくこの地震については何らかの調査にはいると思います.

とりあえず速報です.

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2008年4月24日 (木)

葛根田地すべり現地踏査

4月20日に発生した,岩手県雫石町の地すべり現場を,本日4月23日午後に
現地踏査してきました.写真を以下に整理しています.

2008年4月20日岩手県雫石町葛根田地熱発電所付近の地すべりに関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20080420/

偶然,昨年9月の豪雨後に撮影した,今回の地すべり地とほぼ同地点の写真がありましたので,併せて掲載しています.また,地すべり土塊上で撮影した360度動画も掲載してみました.

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2008年4月23日 (水)

岩手県雫石町の地すべり

4月20日頃,岩手県雫石町西根の,東北電力葛根田地熱発電所付近で地すべりが発生し,県道194号西山生保内線(冬期閉鎖中)を閉塞し,葛根田地熱発電所の一部を損壊させました.今のところ,人的被害や人家への被害は生じていません.

土砂崩れで発電所が停止 雫石・葛根田(岩手日報)
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080422_2

崩落土砂6万立方メートル 雫石・葛根田(岩手日報)
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080423_3

報道では「土砂崩れ」となっていますが,現地の写真や,周囲の地形から考えると,おそらく地すべりであろうかと思われます.

まずは,現地を見てこようと思います.

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2007年10月 1日 (月)

秋雨前線豪雨・現地調査写真を追加

2007年9月秋雨前線豪雨災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20070917/

に,下記の現地踏査写真を追加しました.

  • 盛岡市玉山区薮川(2007/09/30)
    • 自宅前の川の様子を見に行った59歳男性(後日死亡確認)が川に転落したと見られる現場

付近の民家,道路,河道に目立った被害はありません.人的被害だけが発生した現場です.

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2007年9月21日 (金)

秋雨前線豪雨・現地踏査写真を追加

2007年9月秋雨前線豪雨災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20070917/

に,下記の現地踏査写真を追加しました.

  • 岩手県盛岡市 北上川・木賊(とくさ)川の状況(2007/9/17,18)
  • 岩手県盛岡市三本柳(2007/9/18) 水位の下がりはじめた北上川
  • 岩手県盛岡市三本柳 都南幼稚園付近(2007/9/18) 浸水による避難勧告が出された地域.道路に残る浸水.
  • 岩手県一関市 一関遊水池(2007/9/19) ほぼ全面的に冠水した一関遊水池,狭窄部を流れる北上川.
  • 岩手県西和賀町川舟付近(2007/9/19) 橋の落下と斜面崩壊.
  • 岩手県雫石町 山伏峠付近(2007/9/19) 県道沿いに多く見られた土砂流出
  • 岩手県紫波町甘木(はたふく)(2007/9/19) バイクで走行中の男性が行方不明となった現場.洪水流による路肩擁壁の崩壊.

降水量について,被害についてのコメントも若干追加しています.

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2007年9月19日 (水)

2007年9月秋雨前線豪雨災害に関するメモ作成開始

2007年9月秋雨前線豪雨災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20070917/

を作成開始しました.

本日19日は,いくつかの被災現地を踏査してくる予定です.

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2007年9月18日 (火)

秋雨前線による北東北の豪雨

昨日9月17日より,秋雨前線の活動により,岩手県,秋田県などで豪雨が発生しています.統計期間20年以上のAMeDAS観測所で,24時間降水量を更新した観測所が,岩手県,秋田県で21箇所に上っています.

P1030290 盛岡市周辺でも避難勧告が各地で出されました.昨夜,今朝と何カ所か現地踏査してきました.写真は今朝(9/18)6時半頃の岩手県盛岡市三本柳,都南幼稚園前の浸水状況です.位置図を下記に示します.

本日はもう作業ができませんが,本日深夜頃をめどに,webの方にもメモをまとめたいと考えています.

拡大地図を表示

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2007年9月11日 (火)

東海豪雨の現地調査写真を高解像度化

今日は9月11日.2000年東海豪雨から7年が経過しました.当方が作成した,

2000年9月東海豪雨 研究関連情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20000911/

のページは,現在でも比較的多くのアクセスがあるページです.最近もこのページに関しての問い合わせをいただきましたので,少し思い立って(別の仕事うまくいかないので現実逃避気味ですが),このページ内の,

現地調査写真
http://disaster-i.la.coocan.jp/photo/20000911/

に収録している画像のサイズを,640*480ピクセルに拡大しました.

2001年頃までの当方管理のページでは,現地調査などの写真を320*240サイズで公開していました.当時はサーバ容量に厳しい制約があったためですが,今となってはさすがに小さすぎ,情報の価値が下がっていると,前から気になっていました.全てを修正するのは難しそうですので,とりあえず,アクセスの多い東海豪雨関係のみに手を入れてみました.ページ自体は,目に見えるところはほとんどいじっていませんので,なんとも素朴な作りが恥ずかしいのですが.

なお,

2007年9月台風9号(台風0709号)災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20070907/

にもいくつか加筆しています.

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2007年9月 9日 (日)

台風9号被災箇所の現地調査

昨日9月8日に,台風9号接近時に「土砂災害警戒情報」がだされ,かつ実際に土砂災害発生が見られた岩手県南部のいくつかの場所などを現地調査してきました.

現地調査写真などを,

2007年9月台風9号(台風0709号)災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20070907/

に追加しています.

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2007年9月 7日 (金)

2007年台風9号災害に関するメモ作成開始

2007年9月台風9号(台風0709号)災害に関するメモ http://www.disaster-i.net/disaster/20070907/

を公開しました(21時).現時点では,ほぼ表紙だけです.今後もあまり充実はしないと思います.

今回の災害では,今のところ集中的に大きな災害は発生していないようですので,本格的な調査への取り組みの予定はありません.

ただ,土砂災害警戒情報発表地域の状況と,利活用状況に多少関心が持たれます.おそらく,岩手県内など,近場での調査を少しすることになるかと思います.

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2007年9月 6日 (木)

暴風域の「赤い円」だけに注目しないで

台風0709号が本州中部に接近中です.

台風接近時の報道を見るたびに思うことなのですが,

「暴風域の『赤い円』ばかりが強調されるのはなんとかならないものか」

,と思います.少し時間が違いますが,ちょうど,下記ページにレーダーによる降雨域の画像と,台風の暴風域や進路予想の図が並んで表記されています.

チーム森田の“天気で斬る!”
http://blogs.yahoo.co.jp/wth_map/49220559.html
http://blogs.yahoo.co.jp/wth_map/49217220.html

見比べると一目瞭然ですが・・・

●暴風域=豪雨域ではありません●
●豪雨域は台風の中心よりずっとはなれています●

これらは,今回の台風の特徴ではなく,台風が日本列島付近に近づいた場合は,多くの場合このような状況が見られます.

そして,人が死ぬのは,強風より,おもに豪雨(による土砂災害や洪水)です.

牛山素行,2005:2004年台風23号による人的被害の特徴,自然災害科学,Vol.24, No.3, pp.257-265.
http://www.disaster-i.net/notes/2005JSNDS-t23hd.pdf

牛山素行・國分和香那,2007:平成18年7月豪雨による人的被害の分類,水工 学論文集(CD-ROM),No.51,pp.565-570.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/20070308_0095.pdf

天気図しかなかった時代ならいざ知らず,今は,衛星画像でも,レーダーでも,いくらでも情報があります.それなのに,「赤い円」ばかりが気にかけられる状況は何とかならないものか,と思います.

被害が広がらないことを祈っています.

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2007年8月22日 (水)

岩手県内で初の土砂災害警戒情報発表

200708221724h 本日8月22日10時30分,岩手県花巻市,西和賀町を対象に,土砂災害警戒情報が発表され,同日15時45分に解除されました.今年,岩手県内で土砂災害警戒情報が運用されるようになって初めての発表となりました.東北地方を横断した,寒冷前線に伴う豪雨によるものでした.

岩手県総合防災室の資料によりますと,この豪雨による人的被害,家屋の被害はないようです.また,道路の通行規制も生じていないようです.

大雨、洪水警報発表に伴う対応状況
http://www.pref.iwate.jp/%7Ehp010801/index/saigai08-22-1700.pdf

岩手県内では,避難勧告などの動きはなかったようですが,この情報がどのように運用されたかに関心が持たれます.直接調べる事ができるかどうかは分かりませんが,可能な範囲で情報を集めたいと思っています.

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2007年8月 3日 (金)

台風0705号

8月2日から8月3日にかけ,台風0705号が西日本を通過し,3日夕方時点では北陸地方の日本海側付近を通過中です.

8月3日12時現在の総務省消防庁資料によれば,この台風による被害は,死者・行方不明者0名,住家の全壊0棟,半壊4棟,床上浸水2棟,床下浸水133棟などとなっています.いつも書きますように,被災した当事者にとっては災害の規模の大小などはありませんが,全国的な規模という観点で見ますと,結果的には,比較的軽微な被害であったと考えられます.

人的被害がほとんどありませんでしたが,住家の被害がごく僅かであったことから,「早期の情報によって被害が軽減された」という状況であるとは考えにくいと思います.降水量などのHazardの規模(外力の規模)が比較的小さかった結果かと思います.例によって,AMeDASの更新観測所を示しますが,2時間降水量の最大値を更新した観測所が6箇所(統計期間20年以上)とやや目につきますが,24時間降水量などの長時間降水量の更新は8月2日に北海道の稚内,8月3日に大分県の温見,熊本県の大金峰の3カ所で見られたのみでした.

2007/8/2の降水量最大値更新観測所
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/08/02/now-e.html
2007/8/3の降水量最大値更新観測所
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/08/03/now-e.html

私自身としては,8月2日深夜から3日未明にかけて,周防灘付近での満潮時に台風が最接近することになったことから,高潮が発生することを最も懸念していました.結果的には,最も多くの浸水被害が発生した山口県宇部市で,床下浸水14棟という規模でした.

宇部市 台風5号情報
http://www.city.ube.yamaguchi.jp/saigai/2007_8_2.html

私は,災害の規模をことさらに過小評価する意図はありません.当事者の方に対しては大変言いにくいことながら,被害規模には大小があり,その大小には,「外力規模の大小」がかなり関係しているということを,その都度確認しようしているものです.「『記録的』な台風という割にはたいしたことないじゃないか」という油断をしないように,我々は気をつけていかなければならないと思っています.

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2007年7月19日 (木)

新潟県中越沖地震と携帯

新潟県中越沖地震については,情報収集は行っていますが,特に詳しく調べを進める予定はありません.

この災害で,筆者の専門に関わることで気になったこととしては,携帯電話に関する状況が挙げられます.今回の災害では,基地局自体の被災・停電により,音声通話,メール共に使えなくなる状況が発生しました.7月17日配信の時事通信によると,

「ソフトバンクモバイルでは、電話の電波を中継する基地局計90カ所が機能しなくなり、新潟県13市2町3村と長野県6市3村の一部で会話、パケット通信ともできなくなった。」
「NTTドコモでは、新潟県柏崎市の9つの基地局が、停電が原因とみられる障害で停止し、同市の一部で携帯電話が全くつながらなくなった。「au」ブランドのKDDIも3基地局が稼働停止に追い込まれ、新潟県上越、柏崎両市の一部で不通になった。」

とのことでした.
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070717-00000002-jij-soci

「災害時に携帯メールは強い」という認識が,一部かなり強く出回っていると感じます.音声通話とパケット通信が切り分けられているので,輻輳の影響を受けにくいということで,2004年の新潟県中越地震の時にほとんど問題がなかったとも言われます(ただし,その後の第3世代機ではau以外では切り分けができなくなったともいわれます).

新潟県中越地震の被災地に学ぶ“強い通信”の実際
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041113/152537/?ST=bcp

関東の震度5強で露呈した携帯電話の弱点
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20050801/165634/

災害時の携帯メールのことについては,これまでにも何度か書いてきましたが,「音声通話よりましで,送信に成功すればいつかは届く」事は確かですが,けっして「普段通りに使える」とは考えられません.

8月16日宮城県沖の地震時の情報利用に関する調査結果(速報)について
http://www.disaster-i.net/disaster/20050816/050905rs.pdf

また,音声・パケットの切り分けがどうこうに関わらず,基地局に被害(あるいは停電)が発生してしまえば,使えなくなってしまいます.今回の事例は,報道で見る限り,基地局に各種の障害が生じ,通信が確保できなくなったものと思われます.予想外でも何でもない,当たり前のことが起こったと思っています.

携帯メールは,災害時の情報伝達手段の有力な一つであることは間違いありません.特に,緊急の状態を脱した後の復旧,復興過程では有効だと考えています.しかし,あくまでも「手段の一つ」です.

  • 災害時の携帯メールは,「普段と全く同様にスムースに使える」事は期待できません
  • 基地局が被災すれば,復旧までの間,完全に使えなくなります.

こんな当たり前のことに目をつぶって,「災害時に携帯メールは強い」などという希望的観測を信じる人がなぜいるのか,筆者には本当によく分かりません.

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2007年7月18日 (水)

地図+写真の表示

以前から,災害調査報告ページにもう少し効果的に地図を入れたいと思い,いろいろと試していましたが,中越沖地震のレポートなどをみて,今はgooglemapsが良さそうだと感じ,試作してみました.あまりgoogleにとりこまれていくのはどうかとも思うのではありますが.

2006年8月18日岩手県雫石町土石流に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20060818/

昨年の岩手山御神坂土石流のページです.トップページにgooglemapsを使った位置図を入れると共に,現地踏査写真を地図上に展開してみました.

http://www.disaster-i.net/disaster/20060818/Omisaka.html

googlemapsは奥が深くてまだよく分からないのですが,当面必要と思われる情報表示はできたように思います.

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2007年7月17日 (火)

梅雨前線及び台風4号による豪雨・追記

梅雨前線及び台風4号による豪雨について,「AMeDAS最大値を更新した観測所が多くなかった」と指摘しました.今回の更新観測所数は,

1時間:8箇所,24時間:5箇所,48時間:4箇所

でした.あるいは,「最近豪雨が多いから,更新されにくくなっているのではないか?」と思われるかも知れません.そこで,「2000年以降に第1位が記録され,2007年7月に第2位を記録した観測所数(統計期間20年以上)」を集計したところ,1時間:2箇所,24時間:3箇所,48時間:7箇所,が確認されました.したがって,これらの観測所で2000年以降に豪雨が発生していなかったとすると(かなり無理のある想定ですが),今回の事例での記録更新箇所数は,

1時間:10箇所,24時間:8箇所,48時間:11箇所

となります.これでも,けして多いわけではありません.たとえば,

2006/7/17~23に降水量最大値を更新したAMeDAS観測所
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/pre11.html

のような例は少なくありません.

また,これらの観測所はいずれも別々の観測所であり,「1時間降水量も24時間降水量も更新した」とか,「24時間も48時間も更新した」という観測所はほとんど増えません(24時間と48時間の更新観測所が1箇所増えるのみ).

見方を少し変えても,「AMeDAS最大値を更新した観測所が多くなかった」という傾向は変わらないように思えます.

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梅雨前線及び台風4号による豪雨・人的被害

梅雨前線及び台風4号による人的被害についての情報(ニュース記事等)を整理してみました.7/15付け本欄でも挙げたように,今回の災害による死者は5名,行方不明者は1名とされています.

筆者は,近年の豪雨災害による人的被害に関する情報を集積,整理しています.最近のまとまった文献としては下記があります.

牛山素行・國分和香那,2007:平成18年7月豪雨による人的被害の分類,水工学論文集(CD-ROM),No.51,pp.565-570.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/20070308_0095.pdf

今回の事例における死者5名は,いずれも当方の分類で言うところの「事故型」,すなわち「移動や避難の目的ではなく,自らの意志で危険な場所に接近したことにより,溺れる,または生き埋めになるなどして死亡した者」でした.単なる災害情報の伝達では解決しにくいタイプの遭難形態です.

今回の犠牲者のうち1名は,冠水した橋の通行止め標識を設置しようとして川に転落した,熊本市職員の方です.殉職,といってよいでしょう.最近の豪雨災害での殉職者例としては,2004年台風23号による,2004年10月20日の京都府京丹後市での洪水に流されたと見られる警察官や,2003年7月20日の熊本県水俣市での避難誘導中に土石流に巻き込まれた消防団員などが挙げられます.危険を冒して責務を果たしている方達が,常にたくさんいることを,私たちは忘れてはいけないと思います.

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2007年7月15日 (日)

梅雨前線及び台風4号による豪雨

200707141224h_2 200707131224h200707151224h_1   先週末(7/6頃)から,西日本を中心に,梅雨前線の活動により断続的に豪雨が発生していました.また,13日頃からは,台風4号の接近により,梅雨前線の活動が活発化すると共に,台風本体による降雨も続きました.

梅雨前線および台風4号による一連の豪雨等による被害は,7月15日17時40分発表の総務省消防庁の「平成19年7月5日からの梅雨前線及び台風による被害状況(第15報)」によると,死者・不明者6名,住家の全壊18棟,半壊18棟,一部損壊168棟,床上浸水205棟,床下浸水1610棟となっています.

消防庁災害情報(リンク先のファイルは順次更新されます)
http://www.fdma.go.jp/detail/742.html

災害は当事者にとっては「被災した」か「被災しなかったか」の決定的に異なる二つのうちのどちらかであり,その災害事例全体としての「規模」はあまり関係がありません.外野の観察者が災害の「規模」をうんぬん言うのは,当事者にとっては不愉快なことであろう事は重々承知しています.その上で,いささかの後ろめたさを感じつつ書きますが,今回の豪雨による被害は,比較的大きくならなかったように思われます.

最近20年間(1986年以降)の全国主要豪雨災害・全国イベント別
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/d-table.html

人的被害は6名で,ここ数年の豪雨災害の中でも特筆されるような規模ではありません.また,今のところ全てが「河川または用水路に転落」という遭難形態であり,災害をもたらす外力そのもの(ハザード.例えば,洪水や土石流など)による犠牲者ではないようです.

「早期の避難の効果で人的被害が軽減されたのでは?」という見方もあるかも知れませんが,全壊家屋数(屋内に人がいれば人的被害に結びつく可能性がある),浸水家屋数なども,いまのところ近年の事例と比較して目立って多いということはなく,「人はうまく逃げたが,家屋の被害は甚大であった」という状況であるようにも思われません.このあたりは,今後数が増えてくる可能性もありますので断言はできませんが.

実は,外力そのもの(ここでは降水量だけに注目します)もそれほどまでは大きなものではありませんでした.

降水量最大値を更新したAMeDAS観測所
7月11日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/11/now-e.html
7月12日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/12/now-e.html
7月13日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/13/now-e.html
7月14日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/14/now-e.html
7月15日
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/15/now-e.html

上記期間中の更新観測所数(統計期間20年以上)は,
1時間:8箇所,24時間:5箇所,48時間:4箇所,72時間:1箇所
となっており,近年の豪雨事例と比べてけして多くありません.また,複数の長さの降水量を記録したところはかなり少なく,24時間降水量と48時間降水量を更新したのが高知県の窪川と千葉県の勝浦の2箇所,1時間と24時間を更新したのが宮崎県の西都の1箇所でした.

あえて言うとすれば,(特に陸上での)外力が比較的大きくならず,そのことも手伝って,被害もそれほどは大きくならなかった,というのが今回の事例の特徴ではないでしょうか.

無論,これはあくまでも結果論です.たとえば,九州南部で豪雨が続いていた頃,レーダーで見ていますと,海上に優勢な豪雨域があるが,陸地にはその一部しかかかっていない,といった状況が見られましたが,これなど,あと少し雨域がずれていれば結果が大きく変わった可能性があります.

「最強の台風」と盛んに言われましたが,まずそもそも「(7月としては)最強の台風」です.

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000015-maip-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000006-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000000-maip-soci

そして,その台風によってもたらされた外力は,近年の豪雨事例と比べてもけして「記録的」と言えるほどのものではありませんでした.その結果の被害です.「最強の台風なのにこの程度の被害って,気象庁は大げさじゃないの」とか,「最強の台風なのに対策が進んでこの程度の被害ですんだ」とかいった印象が出てくることを懸念しています.

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2007年7月 7日 (土)

九州方面での豪雨

200707071224h 7月6日より,熊本県などを中心に,梅雨前線の活動によりやや強い雨が続いています.量的に降水量が多いところとしては,7日16時20分現在の72時間降水量が,熊本県の俵山で529mm,阿蘇山で419mm,甲佐で416mmなどとなっています.値だけ見ますと大きそうですが,ちなみに俵山の72時間降水量上位記録は下記のようになっています.

725mm 1987/7/20
704mm 1997/7/10
656mm 1982/7/14
降水量の「激しさ」を,絶対量だけで理解できないことがよく分かると思います.また,豪雨はここ数年に起こってばかりいるわけではないこともよく分かると思います.

今回の豪雨によるAMeDAS観測所の観測開始以降(1979年以降,統計期間20年以上)最大記録を更新した観測所数は,7日16時現在で以下の通りです.

7月6日 1時間:1 2時間:2 24時間:0 48時間:0 72時間:0
7月7日 1時間:1 2時間:0 24時間:2 48時間:0 72時間:0

詳細は下記からもご覧いただけます.ただし,7日分は7月8日02時頃以降にご覧いただけます.
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/06/now-e.html
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/rain/efile/2007/07/07/now-e.html

6日に1時間降水量を更新したのが熊本県の大金峰,2時間降水量を更新したのが大金峰と甲佐です.7日の24時間降水量の更新も甲佐です.AMeDAS観測所の位置は,ネット上では気象庁のページ,

http://www.jma.go.jp/jp/amedas_h/map62.html

が見やすいでしょう.いずれの観測所も,上で挙げたもっとも量的に多い降水が記録された俵山とは別の場所であることがわかると思います.

被害状況は,消防庁の7日18時の資料によると,熊本県を中心に,死者不明者1(愛媛県),全壊5,半壊1,床上浸水36棟,床下浸水451棟とのこと.テレビでは,孤立した集落からの救出の様子がよく伝えられていますが,これは熊本県美里町のようです.7日10時0分付けの毎日新聞によると,「熊本県中部の美里町早楠、坂本、洞岳、葛之尾地区では計約130世帯が橋の流失などで孤立」とのことです.

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070707-00000000-maip-soci

地図で見ると,これらの地区は,緑川水系の上流域で,南北方向に流れる小さな谷が東西方向に並ぶ,別々の流域に位置しており,どこか一カ所の主要な道がとぎれたのではなく,複数の箇所で崩壊,落橋などが発生した状況かと思われます.


http://base.alpslab.jp/?s=250000;p=32/35/14.26,130/53/24.2

熊本日日新聞にも記事があります(無料登録制)

http://kumanichi.com/news/local/index.cfm?id=20070707200028&cid=main

これによると,家屋の損壊,浸水などの被害が出ているのも,やはり緑川流域の山都町,美里町,甲佐町,熊本市など(熊本市は緑川流域だけではありませんが)が中心のようです.

先に挙げたAMeDAS大金峰,甲佐は美里町の近傍です.降水量が単に多かったところではなく,「その地域にとって激しい降水量が記録されたところ」で災害が発生したことを示しているように思えます.このことは珍しいことでも何でもなく,いつもいつも繰り返されている,ごく当たり前のことです.本欄ではしつこいくらい述べていますが,降水量は,量そのものではなく,「その地域にとってどの程度激しいか」を見ましょう.それを見るための情報はもういろいろとあります.

「一日に**ミリ以上降ったら災害が起こりやすい」などといった,一見わかりやすそうだけど的外れな「教訓」は,もうやめていただきたいものです.


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2007年3月25日 (日)

能登半島沖地震

本日3月25日09時42分頃に石川県能登半島沖で発生した地震に関しては,報道メディアを中心として情報収集を行っています.現時点で,当方として何らかの調査を行う見込みはありません.

当方の災害調査に関する方針
災害調査実施の方針

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2007年1月19日 (金)

171は携帯しか持っていない人は使えません

NTT東西両社が用意している「災害用伝言ダイヤル171」というサービスがあることは,ご存じの方も多いと思います.

災害用伝言ダイヤル(NTT東日本)
http://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/index.html
災害用伝言ダイヤル(NTT西日本)
http://www.ntt-west.co.jp/dengon/

大規模災害時に,電話回線が輻輳し,通常の方法では有線談話,携帯電話相互の通話が困難となった場合に,音声を録音しておくことによって間接的に連絡を取り合うことができるシステムです.1998年の栃木・福島豪雨の時に初めて実践運用され,その後,大規模災害のたびに開設されています.

毎月1日には,体験利用ができるほか,防災とボランティア週間(1/15~21)などにも体験利用ができます.1月は,正月三が日も体験利用ができますので,1年でもっとも体験利用のチャンスがある月となっており,いろいろなところで紹介もされています.

災害用伝言板・伝言ダイヤルの体験利用実施中
http://rescuenow2.cocolog-nifty.com/bousai/2007/01/121_29cc.html

ここ数日のブログを見ても,いくつか取り上げている記事が見受けられます.

追憶
http://okage.blog37.fc2.com/blog-entry-220.html
171を知っていますか
http://angel.ap.teacup.com/pinkcandies/338.html
1.17メモリアルデイ
http://dbfactory.exblog.jp/6350399
阪神大震災から12年
http://flyingace.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_2f6e.html

171は認知度も上がってきており,当方の2005年8月の宮城県での調査では,9割の回答者がその存在を認知していました.

8月16日宮城県沖の地震時の情報利用に関する調査結果(速報)について[PDF]
http://www.disaster-i.net/disaster/20050816/050905rs.pdf

災害情報においては,「よく認知されている」ということは極めて重要なことで,どんなに優れた情報(あるいは情報システム)であっても,認知されていなければ何の役にも立ちません.その意味で,171はたいへん期待の持てる災害情報システムに成長したと考えています.

ただ,注意しなければならないのは,「171は,携帯電話しか持っていない人には利用できない」ということです.

「ウソつけ,NTTのページに『災害用伝言ダイヤルがご利用可能な電話は、加入電話・公衆電話・ひかり電話及び、災害時にNTTが避難所などに設置する特設公衆電話になります。携帯電話・PHSからも利用できますが、詳しくはお客様がご契約されている通信事業者へご確認をお願いします。』と書いてあるじゃないか」,と思われるかも知れません.

「携帯電話・PHSからも利用できます」は間違いではありません.携帯電話から171へかければつながりますし,伝言を録音することも確かにできます.しかし,171では,伝言の録音の際のID兼パスワードとして,「被災地の有線電話の電話番号」が使われ,この「電話番号」として携帯電話の番号は使用することができません.従って,被災地内に有線電話回線を持っており,携帯電話も持っている,という人は,携帯電話から171に伝言を録音することができます.しかし,被災地内に居住し,携帯電話しか持っていないという人は,171に伝言を登録することはできません.

ややこしいと思うでしょうが,ともかく,体験利用の日に,携帯から171に電話をかけ,携帯の番号で伝言が登録できるかを試してみてください.おそらく,できないはずです.

携帯電話各社は,「災害用伝言板」というサービスを用意しています.これは,災害時でもつながりやすくなっていると言われていますので,選択肢の一つになるでしょう.ただ,あらかじめ「災害用伝言板」をブックマークに入れておいた方がよいでしょう.通信混雑時には,携帯各社のトップページ(iメニュー,EZトップメニューなど)にたどり着けない可能性がありますので.

「災害時にはメールが使える」とも言われます.これもウソではありませんが,誤解があると思います.何度もリトライしないと送信できなかったり,配信にかなりの時間がかかるなど「音声通話よりはましだが,普段通りには使えない」ことが,上記の調査でも確認されています.

災害時の連絡手段で,「普段通りに使える」ようなものはないと思うしかありません.各自の必要性,利用可能性を考慮して,複数の手段を考えておく,くらいが,我々にできる「備え」かもしれません.

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2007年1月17日 (水)

浸水想定区域内に防災施設があることは珍しくありません

 阪神・淡路大震災の日の前後のためか,防災関係の記事が多くなってきています.本日の報道で目についた記事は下記.

都内の食糧備蓄庫に浸水の恐れ、政府が移転などを検討(Yahooニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070117-00000105-yom-soci&kz=soci

 「国や東京都が食糧などを備蓄している都内の倉庫19か所のうち、過半数の10か所が大規模水害時の浸水想定区域内にある」などと紹介されています.似たような調査を当方でも行っています.2005年に全国の市町村を対象として行った調査では,洪水ハザードマップを作成している市町村の内,ハザードマップ作成前の時点で「浸水想定区域内に指定避難場所があった」という市町村が,有効回答398件の53%ありました.

牛山素行・新村光男・召田幸大・山口兼由,2006:市町村による豪雨防災情報活用の実態分析,河川技術論文集,Vol.12,pp.163-168.
http://www.disaster-i.net/notes/2006kasen.pdf

 このことを批判する気はありません.地形的に,市街地のほとんどが浸水想定区域内にあるような都市はまったく珍しくないでしょうから,「浸水想定区域内に避難場所を置かざるを得ない」ことも十分あり得ます.また,浸水の可能性が低い遠方に指定避難場所を置いても,実際には利用されないといったケースもあり得るでしょう.

 「浸水想定区域内に防災施設を置かない」というのは,実現困難な理想論だと思います.それぞれの地域の実情に応じた具体策(どこそこ避難所は浸水するから避難者の受け入れはするが,資材は低層階に置かないことにする,など)を考えていくしかないと思います.肘用に面倒で時間はかかりますが・・・

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2007年1月13日 (土)

津波警報・注意報解除のタイミング

1月13日13時24分ころ,千島沖を震源とする地震が発生し,13時36分,北海道太平洋沿岸東部とオホーツク海沿岸に津波警報が発表され(他に津波注意報発表地区あり),13時37分に,北海道太平洋沿岸東部とオホーツク海沿岸の予想される津波の高さが1mと発表されました.

11月15日の地震津波とほぼ同様の地域に津波警報,津波注意報が発表されました.一部の地域には避難勧告も出されました.

津波警報,津波注意報がすべて解除されたのは,13日22時10分,最初の津波警報発表から約9時間後となりました.

実際に観測されている津波が0.1mとか0.2mで,実害がないのだから早く解除すべきだ,という意見も出てくるかもしれません.これも無理もないことです.災害に関する警告情報は,「解除」のタイミングが非常に難しいものです.津波注意報が「解除」された後に,0.1m,0.2mでも津波が観測されれば,これはこれでまた「なぜ注意報解除を急いだのか」との批判が出ます.

「観測された津波の高さ」として発表される値は,あくまでも各地にある験潮所の観測値です.験潮所は,せいぜい各県の沿岸部に数箇所程度の密度しかありません.局所的にもう少し大きな津波が到達している可能性は否定できません.残念ながら自然現象である津波を,われわれはそれほど高い空間分解能で把握しているわけではありません.最後は情報利用者側の判断となりますが,情報発信者側としては,念のため,安全側の判断をするというのが,現在も,これからも,基本的な姿勢にならざるを得ないでしょう.

しかし,津波に対応した「避難場所」は,単なる山の斜面などであることも少なくありません.このような場所に,昼間から夜までとどまっていることも現実的ではないでしょう.津波注意報の発表が長期化した場合(あるいは避難勧告が長引いた場合),どのようにするか,ということも考えておかなければいけないのかもしれません.

なお,いまさらですが,「津波警報・津波注意報が発表される」ということと,「避難勧告が出される」ということは,まったく別のことです.「津波警報・津波注意報」は気象庁が発表する「津波が来るかもしれません」という情報であり,「避難勧告」は市町村によって出される,「避難してください」という情報です.津波警報が出ても,避難勧告が出るとは限りません.そして,最終的に避難するかどうかを決めるのはこれらの情報利用者自身です.

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2006年12月30日 (土)

12月27日豪雨被災地を現地踏査

本日12月30日,27日の豪雨で被害が生じた,岩手県沿岸北部の各地を現地踏査してきました.岩手県内では,豪雨の翌日からは断続的に雪となっており,被災地では,流出してきたばかりの土砂の上に雪が積もるような光景が見られました.

P1020703 宮古市内では緑ヶ丘地区などで床上浸水が生じました.同地区は,周囲よりわずかに低地(0.5~1m程度)となっている場所で,住宅が密集していますが,床上浸水が生じたと思われる場所は,ほぼ半径50m程度の狭い範囲内にありました.日常は余り意識しないわずかな高低差が,災害時には影響してくることをあらためて感じさせられました.

P1020721 今回の災害では,土砂災害による住家の全半壊は生じなかったようですが,斜面崩壊や渓流からの土砂流出,水田畦畔の浸食などは各地で見られました.宮古→田野畑→普代→野田と走った範囲内でみられたもっとも規模の大きい土砂流出は,普代村普代地区のものでした.土砂によって損壊した家屋は見られませんでしたが,渓流の勾配がほぼ水平となる国道45号線付近では,渓流の周囲約100m位の範囲に土砂の堆積が広がっていました.

P1020730 1:20万地質図を見ると,付近の基岩は花崗岩類で,流出している土砂もマサ土でした.1999年の広島災害を思わせる光景で,花崗岩地帯での豪雨の恐ろしさをあらためて感じさせられました.すでにかなり後片付けが進んでいますが,おそらく当初は国道上にも堆積していたと思われます.堆積物の中には数十cm程度のレキも見られました.

本日見た限りでは,「思いもかけないところで,思いもかけないことが起こっていた」という状況は確認できませんでした.だから,たいしたことではない,などという話ではありません.災害の起こる可能性のある場所は無数にあり,たまたま生じた条件の組み合わせにより,実際の被害が生じるという,災害の基本的な性質(怖さ,困難さ)をあらためて感じさせられました.

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2006年12月28日 (木)

「12月としては記録的」

200612280024h  12月26日から27日にかけ,発達した低気圧が日本付近を通過し,関東以北に豪雨,暴風をもたらしました.12月28日21時現在,消防庁による集計は発表されておらず,全国の被害概要はよくわかりません.左図は,アメダス観測値を元にした,12月27日24時の24時間降水量分布図です.

 報道では例によって,「12月としては記録的な・・・」といった表現が散見されます.豪雨災害の場合,同じ降水量が6月に記録されようと,12月に記録されようと,その結果(激しい現象であれば災害,被害)に違いが出ることは余り考えられません.しかし,日本の多くの地域では,夏季の降水量と冬季の降水量に大きな差がありますから,「6月の日降水量の過去最大値」と「12月の日降水量の過去最大値」は大きな差があり,太平洋側では一般的に後者の方が少です.「12月としては激しい雨」は,必ずしも「その地域にとって激しい雨」とは限りません.

2006122711re01  ただし,今回の豪雨では,27日11時に,岩手県の普代および釜石で,1時間降水量が,アメダス観測開始(1979年)以降最大値を更新しています.24時間降水量はそれほど大きな値は記録されていません.これらの地域では,短時間降水量については,「12月としては」という限定条件下の話ではなく,文字通り「記録的な」値が観測されたと言っていいでしょう.実際に,岩手県内では被害が生じています.

 岩手県内の被害は,12月28日16時05分現在の同県の資料によると,住家の半壊1棟,一部損壊6棟,床上浸水22棟,床下浸水203棟とのことです.

http://www.pref.iwate.jp/%7Ehp010801/index/saigai12-28-1605.pdf

 この数字はまだ変化すると予想されますが,仮に,床下浸水家屋数200棟以上の記録を見ますと,気象庁の異常気象報告を元に筆者が集計したところによれば,岩手県内では,1970年代に7回,1980年代に8回,1990年代に6回の記録があり,「記録的な災害」とまでは言えそうにありません.ただし,岩手県では,1971年以降で見る限り,12月に住家の浸水の記録はなく,「季節外れの災害」であるとは言ってよさそうです.

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2006年12月 8日 (金)

佐呂間町・北見市常呂付近を現地踏査

少し時間が経ってしまいましたが,12月5日に,北海道の佐呂間町と,北見市常呂町(旧常呂町)付近を現地踏査してきました.10月7~8日にかけて,北東北,北海道東部で発達した低気圧による災害が発生しており,

2006年10月6日~7日の北東北などの豪雨災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20061007/

この災害によってもっとも浸水被害が大きかったのが,佐呂間町,旧常呂町周辺の地区でした.現在,この災害時の地域の対応に関する調査に着手しており,その関連での現地調査でした.

諸般の事情により,災害後2ヶ月という,当方としては異例の出足の遅い現地踏査となってしまいました.現地はすでに数cmの積雪があり,災害時の様子をうかがうことはいささか難しい状況でしたが,やはり,行ってみないと感じ取れないこともありました.

この調査についての詳報は,まだしばらく先になると思います.

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2006年11月16日 (木)

津波避難者は意外に多かった可能性も

はじめにお断りしておきますが,私は津波の専門家ではありません.津波からの避難に関しては,これまでにいくつか調査研究をした経験がある者です.

昨日11月15日20時15分頃,千島列島付近を震源とするM7.9(11月16日12時気象庁資料,当初M8.1)の地震が発生し,これにより,津波が発生しました.気象庁では,20時29分に,北海道太平洋沿岸東部,オホーツク海沿岸に対して<津波警報>を,北海道太平洋沿岸中部,北海道太平洋沿岸西部,北海道日本海沿岸北部,青森県太平洋沿岸,岩手県,宮城県,福島県,茨城県,千葉県九十九里・外房,千葉県内房,伊豆諸島,相模湾・三浦半島,静岡県に<津波注意報>を発表しました.

気象庁の津波予報 第一報
http://www.jma.go.jp/jp/tsunami/200611152029/focus.html

その後,22時43分に小笠原諸島に対して津波注意報が発表されました.

津波は,北海道オホーツク海側と,日本列島のほぼ全域の太平洋側で観測されましたが,結果的に,検潮所で記録された津波の最大波高は北海道の浦河,十勝港などの0.6mが最大でした.

気象庁 2006年11月15日20時15分ころの千島列島の地震について
http://www.jma.go.jp/jma/press/0611/15b/20061115.html

気象庁 2006年11月15日20時15分ころの千島列島の地震の震源要素の更新と津波の観測値について
http://www.jma.go.jp/jma/press/0611/16a/20061116.html

16日11時現在の消防庁資料や,その後,14時頃までのネット上の報道などから見る限り,幸い,特に被害らしい被害は起きなかったようです.

消防庁 千島列島を震源とする地震による津波について
http://www.fdma.go.jp/detail/696.html

相変わらず,「○千世帯対象に避難勧告が出されたが,避難したのは○十人」といった事象が報道されています.比較的詳しい記事を挙げてみると.

岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m11/d16/NippoNews_14.html

北海道では,時事通信によると,「指示の対象者は2市村の557世帯1748人、勧告は21市町村5万3676世帯12万9652人に上った。道に入った報告によると、避難所に身を寄せたのは1万3354人が身を寄せた。」とのこと.

時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061116-00000054-jij-soci

災害直後に出てくる「避難者数」は,行政機関が指定した避難場所に入った人の数です.従って,「何らかの避難行動をとった人」(知人宅へ避難した,屋外に避難したなど,あらゆる形態を含む)は,これよりかなり多くなると見て差し支えありません.筆者が過去に実施した洪水災害に関する調査では,「何らかの避難行動をとった人」は指定避難場所に避難した人の数倍はいたと見られる,という結果もあります.また,2003年7月の三陸南地震を対象とした当方の調査では,「何らかの避難行動をとった人」全てを合わせて1割程度でした.

2003年5月26日「三陸南地震」時の住民と防災情報(基礎資料)
http://www.disaster-i.net/notes/200305e-qr.pdf

特に,北海道では今回,津波警報が出たから,ということもあるとは思いますが,それにしても,直後に出てきた避難者数が対象人口の1割に達しているのは,案外多かったのかもしれません.

さすがに,津波に関しての書き込みをしたブログは相当数に上っています.また,避難勧告対象地区の方で,実際に避難したらしい書き込みもいくつか見られました.例えば下記など.

http://blogs.yahoo.co.jp/mqsrm643/23741179.html
http://v5dreamyoakemae.seesaa.net/article/27586555.html

避難勧告対象地区で実際に避難した人の生の声というのはたいへん貴重で,ネット上で容易にこのような情報が得られるようになったことはたいしたものだと思います.ただ,ブログに限りませんが,ネット上の個人の書き込みは,基本的に「どこで」という場所の情報を得ることが困難です(安全上,個人の住所を推測させるような書き込みはすべきでありませんから,当然のことです).避難する車の渋滞の写真が載っている,

http://blogs.yahoo.co.jp/kitakyushiu1946/60338.html

などはたいへん興味深く,このような写真の位置情報が分かれば,より情報としての価値が上がるのですが,これは,何ともしがたいことです.

ネット上で,あらかじめ組織されていない不特定多数から,災害時の状況についての情報を集めることができる,という指摘は一部にあり,その可能性は以前より高くなったと思います.しかし,あまり過剰な期待を抱くのもどうかと思います.このような情報の使い方についての知見を重ねていく必要があると思います.

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2006年11月 7日 (火)

佐呂間町竜巻災害

本日11月7日13時25分頃,北海道佐呂間町若佐付近で竜巻が発生し,工事現場の宿舎などにいた,少なくとも9名が死亡した模様です.情報源は,主に読売新聞より.

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061107it04.htm

私は,竜巻は専門からかなり遠いので,詳細なコメントはできませんが,竜巻自体は日本でも多くはありませんが,けして珍しいものではありません.しかし,これほどの人的被害を生じた例はかなり希だと思います.竜巻については,気象庁のページに簡潔な統計が示されています.

被害のあった竜巻資料(気象庁)
http://www.data.kishou.go.jp/bosai/report/tatsumaki/index.html

ここからも,1971年以降で4名以上の人的被害を生じた例は確認できません.林・石川(2001)によれば,日本においては「人的被害は33年間で死者は16個の竜巻についてのみ発生し,その合計は19名で」(33年間とは1961~1993年)です.更に古い時代の記録については確認できないので留保しますが,1971年以降で最大の人的被害を生じた竜巻災害であることは確実であり,わが国の近代自然災害史上に残る事例となってしまったものと考えられます.

参考文献
林泰一・石川裕彦:積乱雲に伴う強風,防災学ハンドブック(京都大学防災研究所編),朝倉書店,2001.

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2006年10月17日 (火)

葛巻町被災地現地踏査

P1020146 本日10月17日,岩手県葛巻町の豪雨災害被災現場をいくつか現地踏査してきました.10月11日本欄で触れたように,葛巻町では災害当日の7日に遭難したと思われる男性が,3日後の10日に行方不明であることが確認され,捜索の結果,馬淵下流部で遺体で発見されたという事例が生じました.この事例およびその他の被害に関して,同町役場などで聞き取り,資料収集を行うとともに,被災現場などを踏査しました.

この犠牲者は,7日午後にいったん避難所に移動したものの,その後7日夜のうちに避難所を出て,その後どこかで馬淵川かその支流に転落したものと思われます.ただし,詳しい状況はやはりよくわからないようでした.豪雨時に川に転落して遭難する事例は残念ながら珍しくありませんが,遭難の事実が数日にわたって判明しないという事例はかなり珍しいと思われます.

写真は,この被災者の自宅付近の様子.川は馬淵川支川の元町川.現在は仮復旧されていますが,左手の道路はほぼ流失したようです.位置図へリンク

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2006年10月11日 (水)

岩手県で人的被害の可能性

10月11日付岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m10/d11/NippoNews_5.html
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m10/d11/NippoNews_12.html

によると,岩手県葛巻町葛巻在住の62歳男性が,10月7日16時頃に同地区に出された避難勧告を受けて,同町の「象鼻会館」(指定避難場所かどうか不明)に避難し,同会館で19時頃に目撃された後,行方不明になっていたことが10日に確認され,捜索の結果11日午前に馬淵川で遺体で発見されました.これは,今回の豪雨災害による人的被害である可能性が高いと思われます.

 同人は一人暮らしであったため,行方不明であることの確認が遅れた模様であり,筆者の知る限りあまり類例のないケースと思われます.

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2006年10月 9日 (月)

北東北豪雨・続報

発達した低気圧と前線は,8日には北海道に豪雨をもたらし,6日から8日にかけては,東北,北海道のアメダス観測所14カ所で24時間降水量の1979年以降最大値(統計期間20年以上)が更新されました.1時間降水量の更新はやはりありません.

簡単な内容の情報のみですが,

2006年10月6日~7日の北東北などの豪雨災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20061007/

を作成しました.8日の現地踏査写真も,上記ページ内で少し整理してみました.

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2006年10月 8日 (日)

岩手県北の豪雨被災地を現地踏査

P1020084 本日10月8日,10月6日から7日にかけての豪雨に見舞われた,岩手県北部地方を現地踏査してきました.今のところ,人的被害や家屋の全壊は確認されていないので,避難勧告が出たという二戸市と久慈市,アメダスで1979年以降最大24時間降水量が観測された葛巻町などを見て回りました.写真は,葛巻町沢口で,川からあふれた土砂が水田に堆積し,水田内を流水が流れている状況です.

床上浸水の現場がいくつか確認されたほか,斜面や農地の小規模な崩壊,河道の側岸浸食などはかなり多くの場所で見られました.ただし,いずれも地形的に見て条件の悪いところであると思われ,特に奇異に感じられる現場は確認できませんでした.

また,いまのところ,この災害において特別に注目されるような自然,社会的特徴は見いだせていません.

いまのところ,この災害については,これ以上詳しい調査を行う予定はありません.

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2006年10月 7日 (土)

10月6~7日北東北の豪雨災害

24hp 10月6日から7日にかけて,停滞前線と発達した低気圧により,岩手,青森,秋田などの北東北地方を中心にやや激しい雨が発生しています.10月7日17時現在の24時間降水量の多いAMeDAS観測所を挙げると,袖山(岩手県葛巻町江刈)279mm,下戸鎖(岩手県 久慈市山根町)264mm,八甲田山(青森県 青森市荒川字北荒川山)253mmなどとなっています.

10月6日から7日の間に,全国の統計期間20年以上のAMeDAS観測所で,24時間降水量の観測開始以降最大値を更新した観測所は,温川(青森県),休屋(青森県),鹿角(秋田県),葛巻(岩手県),袖山(岩手県)の5カ所,1時間降水量を更新した観測所はありません.

今回の低気圧および前線の活動により,宮城県沖,茨城県沖で船舶の遭難があり,25名が行方不明となっています.また,宮城県内で,床上浸水16棟などの被害が生じていますが,家屋の全壊や人的被害は7日18時現在のネット上の情報源からは確認できません.

宮城県総務部危機対策課
平成18年10月6日の大雨による被害<第3報 10月7日 16時現在>
http://www.pref.miyagi.jp/kikitaisaku/saigai/061006flood_3.pdf

岩手県,青森県内の被害状況については確認できていません.総務省消防庁では集計表がまだ出ていないようです.

全貌はまだ分かりませんが,たとえば,宮城県の床上浸水家屋数は,最近10年間(1995~2004)で6回記録されている程度の被害となります.

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2006年9月18日 (月)

台風13号および前線による災害

9月15日頃から,台風13号およびその北側の停滞前線の活動により,九州地方を中心として災害が発生しています.AMeDAS観測所の降水量の記録は,統計期間20年以上の観測所で,1時間降水量最大値の更新が3カ所,24時間が1箇所と,それほど目立った記録にはなっていません.

834760917 少し大きめの記録が見られたのは,大分県の蒲江観測所です.9月16日18~19時の1時間に121mm,17~19時の2時間に226mmが記録されました.二時間226mm以上の記録は,全AMeDAS観測所の1979~2004年の当方での集計では,少なくとも4回以上有り,まったくあり得ないような値ではありませんが(最大は283mm),比較的大きな値であったと思われます.同観測所では,1時間,2時間の値は大きかったのですが,降水継続時間も短く,24時間降水量などはそれほど大きな記録とはなりませんでした.

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2006年8月24日 (木)

平成18年7月豪雨現地調査写真(長野県内)

平成18年7月豪雨研究関係情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

に,8/22に行った現地調査に基づき,

現地調査写真(長野県内)
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/photo.html

を追加しました.

前回の調査では入れなかった岡谷市湊三丁目の被災現場,斜面崩壊による人的被害が生じた辰野町飯沼中村地区の現場を掲示しています.また,土石流による人的被害を生じた岡谷市川岸東二丁目の1ヶ月後の状況も掲示しています.

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2006年8月19日 (土)

8月18日岩手県雫石町土石流

8月18日に,岩手県雫石町の県道駐車場で発生した土石流に関し,8月19日に現地踏査を行いました.現地踏査時の写真およびメモを,下記に整理しました.

2006年8月18日岩手県雫石町土石流に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20060818/

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8/18~19の豪雨と災害

220720819_1  8月18日から19日にかけて,台風10号および停滞前線の活動により,九州,四国,北海道を中心に豪雨が発生しています.8月19日8時現在,全国の気象庁AMeDAS観測所で統計期間20年以上の観測所のうち,1時間降水量の最大値を更新した観測所が4箇所,24時間降水量の最大値を更新した観測所が8箇所あります.

 これらの観測所のうち,1時間降水量更新の1箇所が青森県である他は,すべて北海道の観測所です.台風が九州をゆっくり通過したので九州の豪雨の印象が強くなりがちですが,「その地域にとって激しい雨が記録されたか?」という観点から見ると,北海道の方が激しい雨を記録したことになります.上図は,24時間降水量の最大値を最も大きく更新した 仁世宇(北海道沙流郡平取町仁世宇)の降水量の推移です.

 18日午後には,岩手県内の一部でも豪雨があり,雫石町などで土砂災害が発生しました.これについては本日19日に,現地踏査だけでもしてこようと思っています.

 なお,当方では,本豪雨による災害に関しては,これ以上詳細に調査を行う予定は今のところありません.

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2006年8月10日 (木)

平成18年7月豪雨現地調査写真(鹿児島県内)

平成18年7月豪雨研究関係情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

に,8/7に行った現地調査に基づき,

現地調査写真(鹿児島県内)
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/photo2.html
を追加しました.

人的被害を生じた現場を中心に,鹿児島県伊佐郡菱刈町前目,菱刈町下手,大口市原田,大口市神池,大口市堂崎,大口市後村,さつま町中心部,薩摩川内市祁答院町下手,さつま町二渡などの写真を掲示しています.

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2006年7月26日 (水)

平成18年7月豪雨

気象庁は7月26日,平成18年7月15日から24日に発生した豪雨について「平成18年7月豪雨」と命名した.

http://www.jma.go.jp/jma/press/0607/26a/meimei.html

福井豪雨に命名するならば,今回の事例にも命名して当然だと思われます.当方の管理ページ内でも,出来る限り,この名称を入れました.

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梅雨前線豪雨関係資料追加

2006年7月梅雨前線豪雨災害 研究関係情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

のなかに,南九州での豪雨に関する,

2006年7月22~23日梅雨前線豪雨関係参考資料[PDF] 
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~ushiyama/notes/060723report.pdf (URLは将来変更される可能性があります)

を追加しました.また,長野県中部を中心とした災害に関する,

2006年7月17~19日梅雨前線豪雨関係参考資料[PDF] http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/report1.pdf (URLは将来変更される可能性があります)

も順次内容を追加しています.本日追加したのは,48時間降水量の更新状況と降水量最大値更新観測所の分布図などです.これら資料の現在の主な内容は下記の通りです.ただし,南九州豪雨の方は現地調査の見通しがないため写真はありません.

  • 災害概要
  • 過去の災害と比較した被害統計
  • 主要地点の降水量の推移
  • AMeDAS観測所の降水量最大値更新状況(1979年以降で統計期間20年以上)
  • 降水量分布図
  • 現地調査写真

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2006年7月24日 (月)

小学校に土石流

今回の災害で,岡谷市の上ノ原小学校裏で土石流が発生し,体育館などに土砂が流入した.

http://disaster-i.net/disaster/20060719/photo.html

同小学校は指定避難場所となっていたが,当時この付近に避難勧告などは行われておらず,避難所としては使用されていなかったようである.また,生徒の使用する時間帯でもなかった.しかし,これらは偶然の結果であり,仮に早期の避難勧告が行われていたら,たいへん悲惨な結果が生じた恐れもある.

意外かも知れないが,避難場所の災害に対する安全性は必ずしも検討されていない.筆者らの洪水災害に関する調査では,浸水想定区域内に指定避難場所が「ある」,というケースの方が,「ない」というケースよりずっと多い.

牛山素行・新村光男・召田幸大・山口兼由,2006:市町村による豪雨防災情報活用の実態分析,河川技術論文集,Vol.12,pp.163-168.
http://www.disaster-i.net/notes/2006kasen.pdf

これは,避難場所として使用可能な施設が限定されることを考えると,一概に批判は出来ない.被災の可能性がある施設であっても,建物内の位置によっては比較的安全な場所とそうでない場所もありうる.個々の場所に応じた,具体的な検討が重要だと思われる.

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降水量の「激しさ」は絶対値では表現しにくい

7月22から23日の豪雨では,「降り始めからの雨量が1200mmを超えた」などと報じられた.そのひとつは,鹿児島県の紫尾山で18~23日に1237mmとなった.22~23日は683mmで,同地点の48時間降水量の1979年以降最大値が581mmなので,確かにやや大きな値である.

一方,もうひとつの「1200mmを超えた」観測所として,宮崎県のえびのがある.18~23日に1264mm,22~23日に829mmなので,大きな値のように見えるが,えびのの48時間降水量の1979年以降上位3位は1207mm,960mm,907mmで,今回の記録は上位3位にもならない.更にさかのぼれば,1971年に48時間1434mm,72時間1541mmなどの記録も持っている.降水量の「激しさ」は,絶対値の大きさではうまく表現できない.

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「防災情報システム」の効果は

岡谷市では,「防災情報システム」として,緊急時のメール配信サービスを早い時期から(少なくとも2003年頃)行っていた.

http://www.city.okaya.nagano.jp/bousaijoho.htm

これが,今回どのように効果を発揮したのか,関心が持たれる.

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「想定外の災害」と簡単に言えない時代に

今回の長野県を中心とした災害でも「こんな事が起こると思っていなかった」という声が散見されるが,もはや,このようなことは行政側も住民側も軽々しく言えない時代になりつつあるように感じる.主な災害発生箇所について考えてみると以下のようになる.

岡谷市湊三丁目の土石流
住家被害・人的被害が発生した付近を流れる渓流は土石流危険渓流となっていた.土石流発生源頭部の渓流はこの渓流の支流で直接土石流危険渓流に指定されていなかったが,被災場所から見たら本質的な差ではない.

岡谷市川岸東二丁目の土石流
土石流危険渓流で土石流が発生した.

諏訪市中ノ沢川の土石流
土石流危険渓流で土石流が発生した.

岡谷市上ノ原小学校裏の土石流
土石流危険渓流に指定されていなかったが,小学校を土石流堆積域としうる隣接渓流が土石流危険渓流に指定されていた.土石流が発生したのはこの支流.

諏訪市街地の浸水
過去の浸水域とほとんど同じであった.

土砂災害を警告する情報
長野地方気象台は,7月18日20時39分に,松本地域、諏訪地域、上伊那地域、木曽地域に大雨警報の重要変更(過去数年間で最も土砂災害の危険性が高まっています)を発表していた.

情報の公開
上記の土石流危険渓流や,警報情報は,すべてインターネット上で公開されていた.

土砂災害をピンポイントで事前予測すること(なになに集落の裏が何時間後に崩れる,といった情報)は難しい.しかし,上で見たように,全く思いもよらないところで思いもよらないことが起こったかというと,そんなことはない.

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諏訪市街地浸水時の写真

現地調査写真に,諏訪市街地の浸水時の写真を追加しました.

http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

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2006年7月23日 (日)

現地調査写真追加

豪雨災害に見舞われた長野県諏訪地区の現地調査写真を追加しました. 諏訪市中の沢川土石流,岡谷市湊の土石流,岡谷市川岸東の土石流,諏訪市街地の浸水,辰野町小横川の崩壊,箕輪町北小河内の土石流,岡谷市上ノ原小学校裏の土石流,を掲載しています.

2006年7月梅雨前線豪雨災害研究関係情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

2006年7月17~19日梅雨前線豪雨関係参考資料[PDF]
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/report1.pdf

も内容を大幅に更新しました.なお,このファイルのURLは今後変更される可能性があるので,直接リンクはしないで下さい.リンクは上の「2006年7月梅雨前線豪雨災害研究関係情報」のトップページまで.

今日から明日にかけて,九州での豪雨についての情報整理をはじめますが,同一のページで情報集積を行う見込みです.

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2006年7月21日 (金)

現地調査写真など

梅雨前線豪雨による長野県諏訪地区の被災地を現地調査しました.

http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

に現地調査写真を追加しています.また,

2006年7月17~19日梅雨前線豪雨関係参考資料[PDF]
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/report1.pdf

も順次加筆しています.

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2006年7月20日 (木)

長野災害現地調査

梅雨前線豪雨により,長野県中部で発生した災害に関し,筆者は7月21日~22日に現地調査を行う予定です.

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7/18~19豪雨災害 資料2点

梅雨前線豪雨についてのPDF資料を2点公開しました.

2006年7月17~19日梅雨前線豪雨関係参考資料[PDF]
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/report1.pdf
本災害webに記載の図表等をとりまとめ.降水量等値線図はこちらに収録.

川に見る地域の特徴 -諏訪市街地を例として-[PDF]
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/suwa-river.pdf
筆者が2002年に執筆した諏訪地区の豪雨災害についての記事.1983年豪雨災害や,諏訪の長期降水量記録なども収録.

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7/18~19豪雨災害の概要

2006年7月15日頃から,梅雨前線が中国,北陸,中部地方付近に停滞し,断続的に豪雨をもたらした.24時間降水量のAMeDAS観測開始以降最大値 (統計期間20年以上)が記録されるようになったのは18日以降(同日は3カ所)であった.19日に24時間降水量最大値を更新したAMeDAS観測所は長野県 を中心に11ヶ所(1時間降水量更新は同日無し)となった.18日から19日にかけて,島根,福井,長野などで,主に土砂災害による人的被害や家屋の損壊 が発生した.20日08時の消防庁資料によると,この災害による死者・不明者は全国で20名となっている.最も被害が多かったのは長野県で,11名が死亡または行方不明,床上浸水1043棟などとなっている.長野県で直接的に豪雨災害 によって10名以上の被害が生じたのは1981年以来のことであり,浸水被害も1981年8月,1983年9月の事例に匹敵する規模になるものと思われる.

http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

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2006年7月19日 (水)

長野県中部・1983年の豪雨災害

長野県中部では,1983年にも今回と大変よく似た豪雨災害に見舞われている.諏訪湖が氾濫し,周辺部の斜面で土砂災害が発生した.降水量もそれほど大きくは変わらないが,被害は今回の方が大きくなってしまった.

台風198310による長野県諏訪市の出水
http://www.disaster-i.net/disaster/1983T8310/T198310p.html

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「たくさん雨が降ったところで災害が発生」ではない

    19日19時のNHKニュースでは,「400mm以上の大雨が降ったところで災害が多発した」と報じていた.「たくさん雨が降ったところで災害が発生」するのではない.「その地域にとってたくさんの雨が降ったところで災害が発生」するのである.「400mm以上の大雨が降ったところ」の図だと,御嶽山とか,上高地とかが「豪雨域」になってしまう.今回,災害が多発している諏訪地方など長野県中部の24時間降水量は200mmそこそこで,多雨地の記録と比べると極小さなものである.

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長野県中部・豪雨空白域での豪雨

    7/19に24時間降水量最大値を更新した長野県内のAMeDAS観測所の多く(松本,立科,諏訪,木曽平沢,辰野)は,「暖候期降水量に比べて24時間降水量のAMeDAS最大値がやや小さい」観測所で,筆者は「豪雨空白域」と呼んでいた地域である.

牛山素行,2005:2004年新潟・福島,福井豪雨と豪雨空白域,水工学論文集,No.49,pp.445-450

また,この地域では,AMeDAS観測開始後の最大値も古い時代(1983年)に記録され,その後更新されていなかった.今回と同程度の人的被害を伴う豪雨災害も,1983年以降発生していなかった.このような地域では,災害に対する関心が低下している可能性もあり,被害軽減行動にマイナスの要因となっていなかったか,関心が持たれる.

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避難途中の被災

NHKの報道によると,「出雲市では車で避難場所に向かった70歳代の夫婦と15歳の孫の3人の所在がわからなくなる」事例があり,19日13時のNHKニュースでは,このうち15歳の孫が遺体で発見されたとのことであった.避難途中に遭難・死亡するケースは実際には多くはない.しかし,「被害軽減行動」とはイコール避難とは限らないことも,考えなければならない.

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2006年7月梅雨前線豪雨災害研究関係情報

2006年7月梅雨前線豪雨災害研究関係情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

を公開しました(09時).現時点では,ほぼ表紙だけです.

18日午後から19日朝にかけて24時間降水量最大値を超過するところが増えてきました.被害は,一定の場所で大規模なものは発生していませんが,広範囲で散発的に人的被害も生じつつあります.本日は,上記ページの更新が続くと思います.

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2006年7月18日 (火)

7/18時点の豪雨の状況

0607182224hp 本日7/18は,24時間降水量最大値を更新したAMeDAS観測所が島根県で3箇所記録されるなど,7/17までとは少し状況が変わってきました.気象庁webの情報を見ると,72時間降水量の最大値を更新した観測所が,中部,北陸,山陰を中心に,23時現在で39箇所(統計期間10年以上)生じています.

いまのところ,長時間降水量も大きく,かつ短時間降水量も大きいという地域は生じていませんが,雨は降り続いており,今後の状況は気がかりです.

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2006年7月17日 (月)

7/14~17の豪雨について

7月14日ころから,日本海側の中国,北陸地方や北海道などで比較的強い雨が続いています.本日17日は北海道で,15日には石川県内で,1時間降水量のAMeDAS観測開始(長いところで1976または1979)以来最大値を更新した観測所がいくつかありますが,24時間などの長い時間の降水量については特筆するような記録は生じていません.

被害も生じ始めていますが,今のところそれほど大きなものにはなっていません.たとえば,7月15~17日の石川県の被害は,石川県庁ホームページによると,人的被害なし,全壊・半壊なし,床上浸水12棟,床下浸水102棟とのことです.

石川県庁
7月15日からの大雨に関する被害の状況について(第3報)
 [平成18年7月17日 18時30分現在]
http://www.bousai.pref.ishikawa.jp/press/20060717_01_press.htm

この種の被害は時間とともに増える場合も少なくありませんが,およそ2倍として,石川県において床上20棟かつ床下200棟以上の被害が生じた事例を気象庁資料から抽出しますと,1970年代7事例,1980年代3事例,1990年代3事例,2000年代0事例となります.大まかな言い方をすれば,「数年に1回程度は起こってきた程度の被害」となるでしょう.

だから,たいしたことはない,深刻に考える必要はない,という話ではありません.

全国的に見ていれば,この規模の災害は珍しくないのです.「いつでも頻発している」とでも言いましょうか.梅雨期から台風期にかけて,少し関心を持って報道を目にしていれば毎年,何回でも目にすることができるでしょう.ただ,現代が少し昔と違うのは,それらの情報を簡単に,詳しく目にすることができるようになったということです.その結果「昔はこんなことはなかった」と思い込みやすい状況が生じていると思います.

Damage7104 「温暖化で豪雨が頻発」という話をよく聞きます.「その結果災害が頻発」という話も耳にします.でも,「だからこれまでの災害への経験や備えが役に立たない」という話が出るとしたら,それは思考停止ではないかと思います.「豪雨が頻発」は,統計のとり方によってはそのように見ることもできます.しかし,「その結果災害が頻発」はかなり疑わしいです.豪雨災害による人的被害や浸水被害は,量的には増減を繰り返しつつ,長期的には減少しています(左図).無論,浸水による経済被害など,質的な変化が生じていることは忘れてはいけませんが.

「降水量記録」,「被害の量的大きさ」から見ると,「これまで経験しなかったような豪雨災害」などは起きていません.過去にどのようなことがあったのか,それぞれの地域ごとに見つめなおしておくことは,今後の災害に備えるためにきっと役に立つと思います.

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2006年7月15日 (土)

台風0514号による宮崎県日之影町での災害に関する論文公開

disaster-i.net本館にて,下記の論文を公開しました.

牛山素行,2006:台風0514号災害時の宮崎県日之影町における避災と災害情報,第3回土砂災害に関するシンポジウム論文集
http://www.disaster-i.net/notes/2006dosya.pdf

本論文は,土木学会主催の,

第3回 土砂災害に関するシンポジウム
http://www.jsce.or.jp/branch/seibu/sirase/h18_07dosya_frame.htm

で発表するものですが,すでに査読終了し,受理されましたので,先行公開します.

台風0514号による災害の際,宮崎県日之影町では,34棟の全壊家屋を伴う洪水,土砂災害に見舞われましたが,死者・行方不明者はまったく生じませんでした.いわば,避災の成功例と言え,この「成功」の要因について検証を試みたものです.この事例では,最近整備された「災害情報」は,特別な役割は果たしていなかった,というのが結論です.

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2006年7月13日 (木)

「最多記録」表現には慎重に

本日配信の共同通信の記事にこのようなものがありました.

東北南部と北陸で大雨 福島・西会津で最多記録

 梅雨前線が停滞している東北南部と北陸にかけて13日、局地的に激しい雨が降った。<中略>福島県の西会津では、正午すぎまでの1時間雨量が31・0ミリと、7月の時間雨量としては1976年の観測開始以来、最多となった。<後略>
(共同通信) - 7月13日18時22分更新

間違いではないものの,「記録」あるいは「最多記録」という言葉の安易な使用法の例だと感じました.AMeDAS西会津の,過去の1時間降水量の上位記録は以下のようになっています.

●過去の記録上位3位
統計期間:1979-2005
○1時間降水量[mm]
40:2001/08/24
40:2002/10/01
37:1995/08/02
○24時間降水量[mm]
223:1995/08/03
138:1981/06/22
133:2005/08/10

31mmはこの観測所の過去の1時間降水量の上位記録に及びません.「7月の1時間降水量としては」やや大きな値が観測されましたが,この地域として「記録的な1時間降水量」が観測されたわけではありません.豪雨は,春~秋のどの時期にも発生しえます.特定の月の記録だけと比較して大小を議論しても,少なくとも災害情報としてはあまり意味のある話ではありません.

ちなみに7月13日18時現在,AMeDAS西会津の24時間降水量は99mm.24時間降水量で見ても,全く「記録的」なものではありません.

ついでながら「最多」という言葉もおかしな感じです.「最多」では「頻度が高い」といった意味合いになりそうです.降水量の記録は「年最大1時間降水量」のように,「最大」を使う方が一般的のように思います.気象気候の分野では「極値」という言葉も使いますが,これは専門用語でしょうね.「多雨」という言葉は使います.これは,時空間的に分布している降水量の中で量的に多かった期間(例:「今年は多雨傾向」)や場所(例:「××地方は多雨地帯」)を指すときに使います.逆に「大雨傾向」とか,「大雨地帯」とは言いません.今回のケースでは,ある観測所で記録されているいくつかの「大きな降水量の記録」のなかで「最も大きい記録」ということですから,「最大」の方が適当だと思われます.

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2006年7月 8日 (土)

7/5~6鹿児島県における豪雨災害

7月5日~6日にかけて,鹿児島県内で豪雨災害が発生し,同県垂水市を中心に全壊9棟,床上浸水82棟,床下浸水251棟などの被害が生じています.

7月5日~7日の大雨・洪水警報による被害状況(鹿児島県庁)
http://www.pref.kagoshima.jp/home/bosaika/2006disaster/0706/07071500.htm

南日本新聞の記事
http://373news.com/2000picup/2006/07/picup_20060707_2.htm

全壊家屋数,浸水家屋数について鹿児島県の過去の記録と比較すると,おおむね数年に1回程度発生する規模の被害と言えます.

883310706降水量についてみると,この期間の豪雨で,1979年以降(統計期間20年以上)の最大1時間降水量を更新した観測所は,九州では,いずれも鹿児島県内の牧ノ原,高峠,輝北,大隅,吉ケ別府,志布志の6観測所でした.しかし,最大24時間降水量を更新した観測所は1箇所もありませんでした.代表例として 輝北(位置図:Mapion) のグラフを←に貼っておきます.短時間降水量は激しかったものの,長時間の降水量はこの地域としてはそれほど大きなものにはなっていなかったと言えそうです.

この豪雨による死者行方不明者は発生していません.早期の避難が成功して人的被害に結びつかなかったものかどうかに関心を持っていますが,今の時点ではよくわかりません.

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2006年6月26日 (月)

6/26の熊本県における豪雨災害

200606262224h 6月26日未明から,九州西部を中心にやや強い雨が断続的に降っています.06時には熊本(地方気象台)で84mm,益城(熊本空港)で105mmが降りました.益城は統計値が1年しかないので直接比較できませんが,熊本県内の気象庁アメダス観測所では,観測開始(1979年)以降,1時間降水量が100mm以上の記録は過去2回ですから,この地域としてもやや強い雨が降ったと言えます.

この結果,熊本県には記録的短時間大雨情報が発表されました.記録的短時間大雨情報は,気象庁HPの説明では「大雨警報が発表されている時に、数年に1回程度発生する激しい短時間の大雨を観測、または解析したことを発表する情報。」とあります. 大雨警報が出て,記録的短時間大雨情報が出され,さらに「過去数年間でもっとも土砂災害の危険性が高まっている」という情報までが出される状態になると,豪雨災害に関してはきわめて危険な状況になっていると考えなければなりません.このあたり,詳しくは拙著

地域防災のための水文・気象情報活用の手引き 2005年版 

をご覧ください.

26日のケースでは,1時間などの短時間降水量は激しかったのですが,幸いと言うべきか,24時間降水量など,少し長い時間の降水量がそれほど大きくなっていません.26日21時現在,統計期間が20年以上とれるアメダス観測所で,24時間降水量の最大値を更新した観測所は1カ所もありません.報道等で,「降り始めからの降水量」として,5,6日間の降水量を用いて,大きな値(500mm以上)を挙げ,ものすごい雨が降っているかのような伝え方をしている事例を目にしましたが,あまり適当だとは思えません.たとえば26日21時現在,熊本(熊本市)の24時間降水量は172mm,甲佐で213mmです.しかし,これらは,それぞれの観測所における1979年以降の上位3位にも満たない値です.

ただ,だからたいしたことはないというわけではありません.九州西部では断続的に豪雨が続いています.今のところ,雨域の移動速度が速く,同じ場所で数時間にわたって豪雨が生じる状況になっていませんが,今後も同様な状況が続くかはわかりません.もっとも簡単な目安となるのは,それぞれの地域における過去の豪雨の記録でしょう.しばらくは,現地の状況も含めたあらゆる情報を用いて,警戒を続けなければならないと思います.

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2006年6月14日 (水)

2006年6月沖縄地すべり災害に関するメモ

disaster-i.net本館で,

2006年6月沖縄地すべり災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20060612/

を公開しました.

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