2015年10月 3日 (土)

御嶽山噴火1年で信濃毎日新聞が遺族の方などにアンケート

御嶽山の噴火から1年が経過したなかで,信濃毎日新聞が遺族の方と,噴火当時山頂にいて助かった方を対象にアンケート調査をしたことが9月27日付け紙面で報じられている.なかなか興味深い結果が出ていると思う. http://goo.gl/TYiMaI

 
電子版には掲載されていないが,紙面では当方の下記のようなコメントが掲載された.相変わらず上から目線でエラそうで,人の心のわからない学識者である.
 
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<自ら情報取ることも重要>
 
 牛山素行・静岡大防災総合センター教授(災害情報学)=諏訪市出身=の話
 
 アンケート結果では、火山の観測、監視や情報伝達の体制整備に期待が寄せられている。これらの対策を進めていくことは重要だ。
 
 しかし、現在の科学技術の範囲内で最大限に整備したとしても、昨年の御嶽山噴火の被害を完全に防ぐことは難しかっただろう。
 
 火山に限らず、災害に関わる情報は、誰かが「知らせてくれる」のを待つのではなく、自ら取りに行くことも重要になる。身近に存在したり、訪れたりする山については、私たち皆がどの山が活火山であるかをあらかじめ知っておく必要があると考えている。
 
 噴火を完璧に予知することは難しいが、火山活動に変化があれば情報が出ている場合があり、火山の近くで暮らす住民や登山者は、こうした情報に注意を払いたい。
 
(2015/9/27信濃毎日新聞)

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静岡県内市町防災担当者に静岡新聞がアンケート

10月3日付け静岡新聞,県内市町にアンケート調査「大雨時避難発令の判断「不安」9割 静岡県内市町の防災担当者」 http://goo.gl/X5UXEe 関連記事として「危機感、住民に届かず 9月の浜松・大雨避難指示」 http://goo.gl/xiTaS8
 
後者の記事には,当研究室関係者で防災フェローの,浜松市小林正人さんが登場.電子版にはないけど,紙面ではこれら記事の横に私のコメントが,下記のように掲載されていた.
 
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9月中旬に鬼怒川が氾濫した茨城県常総市の現場を視察した牛山素行静岡大防災総合センター教授(災害情報学)に、避難勧告などの判断・伝達に関する課題を聞いた。
 
 -常総市の教訓は。
 
 「常総市は危険度の高い箇所から優先的に避難勧告などを発令しようと試み、結果的に最も被害が大きかった地区に避難指示を出せなかった。対象区域の単位を細かくしすぎては適切とは言えない。浸水想定区域や土砂災害警戒区域などを基に、各市町が実現可能な単位で対応することが大事」
 
 -「早めの判断」に何が必要か。
 
 「“空振り”にも妥当性が必要。各市町で過去のデータを検討し、気象・防災情報に基づく量的基準を決めておくことも重要。『年に1度くらいの空振り』は、われわれも受け入れていいのでは」
 
 -垂直避難は有効か。住民の理解は十分か。
 
 「常総市でも致命的な影響を受けた家屋は限定的。浸水が始まった後で外へ避難するより、屋内にとどまった方が安全な場合は多い。住民自身が居住地の危険性を事前から把握し、どういう避難行動を取ったらいいか決めておく必要がある。全国統一的な基準ではなく、各市町で地域ごとに、行政と住民の間で防災情報についての共通理解を形成しておくことが重要だ」
(2015/10/3静岡新聞)

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2014年9月 5日 (金)

NHK名古屋「豪雨・台風からどう身を守るか」 出演感想

NHK名古屋局制作・東海北陸スペシャル「豪雨・台風からどう身を守るか」 http://goo.gl/McP0XP に出演.私の話は別として,ビデオ紹介された本巣市などの事例がなかなか面白く,東海以外の地域で流れないのがもったいない感じだった.なかなか興味深い番組だったので出演の感想をメモ.
 
本巣市の台風12号接近時の対応事例は,早期に市内に広く避難準備情報を出し,その後,確実に孤立化しそうにな地区が出た時点で地域を絞った早めの避難指示.勧告等の基準に固執せず(ここが特にいい),いろいろな情勢を基に決断し,避難指示を受けた住民もスムースに周囲に伝えていた.
 
福井市蔵作の2004年福井豪雨時の対応事例は,住民が異様な豪雨に早く気が付き,近くの川の様子を確認(ここは見方によっては少し危ういが),川が尋常でないことをトリガーに,自主的に避難を呼びかけた.この事例は,「におい」とかの「前兆ならぬ発生情報」でなく,豪雨と川の増水という「単純明快な前兆」をつかんだところに感服.川が尋常でない程度に増水している時は土砂災害だって起こるものと考えていい.
 
蔵作の場合は,2004年からさらに5年ほど前の豪雨災害の記憶が生きたらしい.直近の経験をもとに,素因を理解していたと解釈できる.経験だけには頼れないが,経緯はともかく素因を知り,怖れを持っていたことは大変重要.
 
そもそも2004年当時だと,洪水も土砂も,ハザードマップは今ほどは作成されていなかった.今なら素因の理解にハザードマップ「も」使える.この十数年で「できることはすごく多くなった」ことを改めて実感.「今までのやり方が通用しない」どころではない.我々の社会が「通用させていない」だけではないか.
 
そうそう,本巣も,福井も,「快晴の屋外でヘルメットをかぶった防災に熱心なリーダーの方」が登場したりせず,ごく普通の方が淡々と語っていたことが特に好感を持った.

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2014年8月24日 (日)

読売新聞記事「[論点スペシャル]広島土砂災害」より

8月23日付け読売新聞の,当方インタビュー記事.こちらの考えていることをうまくまとめていただいたので,私の関係部分を引用紹介します.
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[論点スペシャル]広島土砂災害
 広島市北部の豪雨に伴う土砂災害は、大規模な被害をもたらした。災害が変わりつつあるのか。我々は今後、どう向き合っていけばいいのか。災害研究の専門家に聞いた。〈本文記事1面〉
 ◆危険箇所に住宅密集
 ◇牛山素行氏
 今回の土砂災害を引き起こした雨は、記録としては大きな数字ではない。総雨量も3時間雨量も、全国の雨量の中では全く目立たない。どの程度の雨で災害が発生するかは地域によって違うので、今回の雨は広島にとっては非常に大きい雨だったとも言えるが、自然災害としては、そこまで激しいものではない。
 にもかかわらず、人的被害がここまで広がった要因として指摘するべきは、土砂災害の起きるような場所に、家がたくさん張り付いていたことだ。都市部の住宅密集地が山の近くまで広がっているのは、広島市の特徴だろう。
 21日に現場入りし、安佐南区の八木、山本地区、安佐北区の可部東地区などで被害の状況を確認した。谷筋を下った土砂が家を流す一方で、土砂が流れた場所から数メートル離れるだけで、状況は全く違っていた。土石流は谷筋に沿って流れ下るから、谷の出口から土砂の流れる方向に対して直角方向に、たとえ家1軒分でも避難しなくてはならないということだ。最近は、洪水なら2階に避難するのも次善の策として容認されると強く言われるが、土砂災害では家ごと流されることもあり、2階が安全とは言い切れない。
 土砂災害が起こりうる場所は、地形からある程度わかり、公表されているケースが多い。被災地域は土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域には指定されていないが、ノーマークだったわけではない。危険箇所は、いろんな形で網掛けが行われ、今回の被災地域も、様々な法律に基づき危険箇所に指定されている場所ばかりだ。
 大雨警報は前夜の9時台、土砂災害警戒情報は当日午前1時台に出ている。都市部では防災情報が伝わりにくいので、様々な伝達手段を用意することが重要だ。(聞き手・編集委員 服部真)
 ◇うしやま・もとゆき 静岡大学防災総合センター教授。専門は災害情報学、自然災害科学。豪雨災害や津波災害時の情報伝達などに詳しい。46歳。
<以下略>

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2014年3月11日 (火)

岩手日報による長期にわたる震災遺族調査の紹介

岩手日報社は,東日本大震災後,津波による犠牲者のご遺族を対象に,長期にわたる継続的な取材を続けています.その成果を,毎年異なる視点からの記事として3月11日前後に大きなスペースにまとめています.今年も3月9日付紙面に2面にわたる記事が掲載されました.web紙面に掲載されたのは,

「まだ受け止められない」 震災遺族調査、苦悩濃く
http://goo.gl/YZyyoq

のみでしたが,他にも多くの記事が盛り込まれています.私も少しかかわらせていただきましたが,災害に対する意識の変化についての記事もあります.同じ人に取材しているため,パネル調査ができることが,この取材記事の大きな特徴です.

以下に,web版には掲載されなかった記事の一部と,私のコメントを引用します.単純に「意識の低下」「風化」と言えるものではないことが浮かび上がっています.

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■防災への備えは? 「津波堤防越す」減少 前年調査から9.2ポイント低下

 震災から3年が経過する中、津波防災の意識に変化が見られた。今後数十年以内に「津波が堤防を越える」「被災前の自宅付近が浸水・流失」について「可能性は高い」と回答した人が2013年の調査に比べて減少した。防潮堤建設が進む中、津波の犠牲を出さないために、災害の記憶を風化させず次世代に伝える取り組みが求められている。

 意識の変化を比較するため、13年調査と同一の回答者335人に絞った場合、可能性が高いと考える人は「津波が堤防を越える」は前年比9・2ポイント減の56・6%。「被災前の自宅付近が浸水・流失」は同12・7ポイント減の49・8%だった。

 また、今回の津波浸水範囲内にいる時に津波の予想高さが伝えられた場合、「何メートルだったら高台に避難するか」との設問に対して「2メートル以下」を回答した人は57・1%と前年調査より6・6ポイント低下。それ以上の数値は3~5メートルが大半を占めた。

 明治と昭和の三陸大津波で大きな被害を受け、「万里の長城」とも形容された巨大防潮堤が整備された宮古市田老地区。東日本大震災当時、津波が防潮堤を越えることはないと判断し、自宅から避難しなかったり、逃げ遅れた人が相次ぎ、181人が死亡・行方不明となった。

 自宅から避難する際に夫を亡くした同市田老の鈴木ヨシ子さん(70)は「新しい防潮堤は前よりも高くなるため大丈夫だと思う」と以前の自宅付近が浸水する可能性は低いと受け止めつつ、「逃げなかったことを後悔している。津波の怖さを言い伝えることが大事だ」と強調する。

 防潮堤付近にいたとみられる夫を津波で失ったグリーンピア三陸みやこ仮設住宅に暮らす堀子朝子さん(74)は「新しく二重の防潮堤ができたとしても、あの津波を見たからには安全とは思えない。津波の可能性を忘れず、防潮堤を過信しないようにしている」と心境を語る。

 一方、今回の津波浸水範囲内にいた時に震度5強の地震が発生した場合の行動については、「すぐに避難する」と回答した人が60・8%を占め、前年調査から8・6ポイント増加。津波警報や避難勧告が発表された場合の行動も昨年と同様の傾向を示した。

 震災の教訓を伝えるため、宮古市は避難場所・避難所の存在を身近なものにする啓発活動など、ソフト面の対策にも力を入れる。下沢邦彦危機管理監は「子どものころから津波防災に対する意識付けをしていくことが肝心だ」と指摘。防災意識の変化を注視し、対策に反映することが欠かせない。

■意識の変化 追跡重要  
牛山 素行氏(静岡大防災総合センター副センター長) 
危険性、規模 緩和の可能性

 今回注目したのは、津波と防災に関する考え方に、この1年間で若干の変化がみられたことだ。2013年の前回調査と比較すると、問19の震災前の自宅付近の浸水流失可能性について、可能性の高さを指摘する回答が低下。可能性が高い側から可能性が低い側へ変化した人も21%いた。

 問24の高台避難と津波予想の関係もやや低下。2メートル以下から3メートル以上に変化した人が15%確認される。津波の危険性や警戒すべき津波規模の認識が昨年よりやや緩和された可能性がある。

 ただ、これで「警戒心が低下した」とは即断できない。例えば問20の震度5強程度の地震への避難行動は「すぐに避難する」が増加した。筆者はこれと同様の質問を10年チリ地震津波後に各地で調査している。当時の陸前高田市内では「すぐに避難する」が13%、静岡県内の沿岸部3市町では15~17%だった。

 震災前と比べると、「すぐに避難する」は依然として極めて多い。今回の変化は「警戒心低下」というより、津波に過敏に反応していた状況から、現実的な意識への変化と考えるべきかもしれない。

 過去のさまざまな大災害の被災地の経過を見れば、岩手の被災地も時間の経過とともに防災対策への関心が低下することは、ほぼ必然的と予想される。防潮堤建設や避難しやすい都市・道路建設など時間と予算がかかるハード対策は、予算措置などの諸条件が整っている今のうちに議論を尽くし、確実な整備計画の構築が重要。

 

避難計画、情報整備、教育など人の行動に関わるソフト対策は、災害直後の意識を基に社会的負担が大きすぎる方策を取ると、やがて実施されなくなってしまうことも考えられる。例えば「毎月11日に津波避難訓練をする」として、今ならば参加が期待できるかもしれないが、10年後にも実施可能か疑問である。長期にわたり継続可能な方法を編み出していくことも重要だ。

 あらゆる意識を震災直後のままに維持するのは現実的でなく、ある程度の「意識低下」は受け入れねばならない。ただ、「ここまで低下してはまずい」という局面もある。本取材は、同じ方の気持ちが時間とともに変化していく様子を明確に捉えることができる。今後も「意識の変化」を長期的・客観的に見つめ続けることが重要だ。

【調査方法】1月6日~2月26日の間、東日本大震災犠牲者の生きた証しを残す企画「忘れない」の取材に、これまで応じていただいた遺族約2400人のうち500人(男性246人、女性254人)を対象に、本社記者が直接面談224人と郵送276人で実施。年代別は20代13人、30代51人、40代124人、50代132人、60代116人、70代52人、80代12人。500人中、昨年の回答者は335人。

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2013年10月15日 (火)

NHK「特別警報 周知は高齢者ほど遅い傾向」についての当方コメント補足

10月13日放送分のNHKニュースでの当方コメント関係記事と,放送で伝えきれなかった私のコメントを挙げておきます.
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■10月13日放送分
特別警報 周知は高齢者ほど遅い傾向

先月の台風18号による大雨で、気象庁は初めて「特別警報」を発表しましたが、発表の直後に知った人の割合は、年齢が高いほど少なかったことがNHKの調査で分かりました。

NHKは、先月16日、台風18号の大雨で「特別警報」が発表された京都府と滋賀県、福井県の市町村の男女を対象に今月4日から3日間、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、60%余りに当たる1809人から回答を得ました。
それによりますと、当時、「特別警報が出たことを知っていた」と答えた人は69%で、「知らなかった」の25%を大きく上回りました。
「知っていた」という人のうち、午前5時5分の「特別警報」の発表からおよそ1時間後に当たる「午前6時ごろまで」に知ったと答えた人の割合は、▽20代から30代が49%、▽40代から50代が48%とほぼ半数に上りましたが、▽60歳以上では34%にとどまり、年代が高くなるにつれて少なくなりました。
一方、「特別警報」を何で知ったかを尋ねたところ、▽20代から30代では「防災関連のメール」が45%で最も多かったのに対し、▽60歳以上では「テレビ」が62%で最も多く、「メール」は15%でした。
これについて災害時の情報伝達に詳しい、静岡大学の牛山素行教授は「若い世代はメールで『特別警報』を認識した割合が高かったが、高齢者はこうしたメディアを活用していなかったために認識が遅れた傾向があるのではないか。1つの手段に依存するのではなく、高齢者にも迅速に伝わる複数の伝達手段を用意する必要がある」と話しています。
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このNHKの調査では、特別警報という情報自体の認知率は高齢者の方が高いのに、発表当日に発表されたことを覚知した率は高齢者の方が低く、覚知時刻も遅いという傾向が確認されました.一方、特別警報を覚知した情報源は高齢者は圧倒的にテレビだが、若年層はテレビとメールが半々くらい、という傾向でした.高齢者の特別警報覚知率が低く遅いことと、情報源の相違は、直接関係すると断言はできないが、一つの説明にはなりうると考えました.

IT系メディアをむやみに礼賛するつもりはありませんが、警報的情報の伝達手段として、メール等(特にエリアメール)の有効性がじわじわと高まっている可能性はあるように思います.繰り返すけど、礼賛はしません.いろいろな情報伝達手段の一つとして有効だ、という話です.

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NHK「「特別警報で何もせず」が7割」についての当方コメント補足

10月12日放送分のNHKニュースでの当方コメント関係記事と,放送で伝えきれなかった私のコメントを挙げておきます.
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■10月12日放送分
「特別警報で何もせず」が7割

先月の台風18号による大雨で初めて「特別警報」が発表された地域で、人々がどう行動していたのかNHKが調査した結果、「特に何もしなかった」という人が7割に上ることが分かりました。専門家は「地域の危険性を知り、いざという時にどう行動すべきか、確認しておくことが重要だ」と指摘しています。

NHKは先月16日、台風18号の大雨で「特別警報」が発表された京都府と滋賀県、福井県の市町村の男女を対象に今月4日から3日間、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、60%余りに当たる1809人から回答を得ました。
それによりますと、当時「特別警報が出たことを知っていた」と答えた人は69%で「知らなかった」の25%を大きく上回りました。
「特別警報」を知ってどう行動したか聞いたところ▽「すでに避難していた」と答えた人と▽「避難した」という人がそれぞれ1%▽「自宅で、より安全と思う場所に移動した」と答えた人が18%だったのに対して▽「特に何もしなかった」という人は70%に上りました。
「何もしなかった」という人にその理由を尋ねたところ▽「自分の地域は安全だと思ったから」が70%で最も多く▽「外に出るのは危険だと思ったから」が16%▽「周りの人が避難しなかったから」が8%▽「どうしたらよいか分からなかったから」が4%でした。
災害時の情報伝達に詳しい静岡大学の牛山素行教授は「特別警報が出ている状況では身の安全の確保が必要で全く何もしないのは適切ではない。どういう災害が起こりうるか十分理解できていない場合もあるので、日頃から地域の危険性を認識して、いざという時どうしたらいいか確認しておくことが重要だ」と話しています。
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今回の特別警報に関するNHKの調査は、企画段階にはかかわっていないので調べ方にちょっと?,なところもあります.全体にびっくりするような結果はなく、なるほどこんなものか、という感じ.意義がないということではなく、常識的な結果だったということです.

この調査では,自宅内での退避も含めるという、広めに「対応行動」をとって質問していますが,それでも自分の居住地に避難勧告等が出たと認知した人の6割は何も行動していない.まあこんなものかとも思いますが,原則論としては「適切とは言えない」というところでしょう.ただ、回答者の居住地に関する情報がほとんどないので、「なにもしなかった」が本当に「適切でない」と言えるかどうかは難しいところです.

「特別警報が出たのに何も対応しないのは適切ではない」は原則論であり,コメントとしては重要でない部分です.重要なのは「どういう災害が起こりうるか十分理解できていない場合もあるので、日頃から地域の危険性を認識して」の方です.つまり、「自分のところは安全なので何も対応しなかった」が一概にいけないということではありません.居住地の災害特性に無頓着なまま根拠もなく「安全」と思い込んでいるのであればまずい、ということです.

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2013年8月 3日 (土)

「特別警報相当」の現地市町での受け止め方について

7月28日の山口・島根豪雨時に発表された「特別警報相当」である「記録的な大雨に関する気象情報」が現地市町村にどう受け止められたかについては,7月30日付読売新聞に関係記事が見られた.まず関係箇所を引用します.

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[7月30日付読売新聞]
 従来の警報、注意報では、市町村による住民への周知は努力義務だったが、特別警報では義務になる。今回、多くの被災自治体は特別警報が発表される前に避難勧告を出しており、特別警報を住民に周知していなかった。
 山口市は、28日午前10時に阿東地区2588世帯6099人に避難勧告を発令し、防災無線などで周知したが、約1時間20分後に気象庁が特別警報を発表した後も特別な注意喚起はしなかった。市防災危機管理課の担当者は「避難勧告を出した後で、新たな呼びかけをする認識はなかった」と話す。
 同様に改めて注意喚起しなかった島根県益田市は「特別警報は報道で認識していたが、正式な情報提供ではなかったので、特別警報を住民に周知するという判断を勝手にするわけにもいかなかった」(危機管理対策課)と語り、突然の運用に戸惑いも見せた。
 一方、山口県萩市は避難勧告を出すとともに防災メールを通じて「非常に危険な状態。浸水や土砂災害に備え、命を守る行動をお願いします」という強い文言で市民に注意を呼びかけた。
 その後、特別警報が出されたが、市防災安全課は「甚大な被害が出る前に危険性を周知しなければ意味がなく、市の判断で強い文言で注意を促した。先手先手で対応した」とした。
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以下,あくまでも,この報道が自治体の回答をそのまま正確に伝えているという前提での論評です.

山口市は,避難勧告を出した後に「記録的な大雨に関する気象情報」をうけとり,すでに自治体として極めて強い情報である避難勧告が出ている状況下で,あらためて「特別警報相当」で注意喚起をする必要性を認めなかった,という判断と読み取れる.このような判断は,実際の運用場面では有りだと私は考えます.

萩市は「記録的な大雨に関する気象情報」を住民に伝えたのかどうか,上記記事では不明瞭ですが,アーカイブが残る萩市防災メールを見る限りでは,明示的に「記録的な大雨に関する気象情報」が出たことを伝えてはいません.しかし,山口市と同様に,「記録的な大雨に関する気象情報」以前に避難勧告を出し,その中で強い表現で危険を告げていることから,ことさらに「記録的な大雨に関する気象情報」を伝えなかったという対応も,私はやはり有りだと思います.

益田市の「特別警報は報道で認識していたが、正式な情報提供ではなかったので、特別警報を住民に周知するという判断を勝手にするわけにもいかなかった」という発言は,もし本当にこの文言通りの発言だったとしたら,大変残念な発言だと思います.「記録的な大雨に関する気象情報」は,少なくとも防災情報提供システム等で自治体には「正式に」伝達されているはずで,それが認識されなかったとすれば,残念と言うしかありません.

「特別警報相当を住民に伝えなかった」という「形式」を単純に批判することは適切だとは思えません.要は,極めて危険な状況であることを知らせることが重要なわけで,「特別警報」等の情報はあくまでもそれをサポートする一手段に過ぎません.

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2013年6月24日 (月)

災害は防げます.防げないのはハザードです.

6月20日付け静岡新聞に下記寄稿をしました.

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時評=災害は防げるか-事前の対策が効果的

「災害を防ぐことはできない、だから『防災』ではなく、災害が起こった後の対応をしっかりやって被害を減らす、すなわち『減災』を目指すべきだ」といった話を聞くことがある。「話」なのでいろいろな言い回し方があると思うが、上記の通りだとすれば、私には賛同できない考え方である。

まずそもそも「災害」という言葉が曖昧に使われているのではないか。災害とは、自然の大きな力(これをハザードとも言う)が人間社会に作用した結果として生じる被害のことである。たとえば地震や台風は、ハザードであって、災害ではない。ハザードを防いだり、消滅させたりすることは不可能、もしくはきわめて困難である。しかし、ハザードによってもたらされる被害は、ハザードが作用する人間社会の側の状況次第で、減らしたり、場合によってはなくしたりすることも可能である。すなわち、「災害は防ぐことができる」はずである。無論、どのような対策を講じても、あらゆる災害を完全に消滅させることはできないが、「防ぐことができない」などということはない。本来,「減災」という言葉が使われるようになったのは,「防災」という言葉が、「対策をすれば災害をゼロにできる」という誤解を生みやすいので、少しでも被害を減らすことを考える事が重要という意味からである.

災害が起こった後の対応、すなわち狭義の「危機管理」が重要であることは間違いない。しかし、「災害は防げないから危機管理で対応」というのもおかしい。危機管理によって期待される効果は、「被害の拡大を防ぐ」ことである。災害後の危機管理をいくら完璧に行ったとしても、ハザードが作用したそのときに生じる被害を減らすことはできない。地震を例に取れば、地震発生後に、避難所の居住環境の悪化で亡くなる犠牲者などは事後の「危機管理」のあり方次第で減らすことが期待できる。しかし、地震の揺れによって倒壊した建物の下敷きとなって即死状態で亡くなるような犠牲者(阪神・淡路大震災ではこのタイプの犠牲者が全体の9割)は、事後の「危機管理」では減らすことができない。このような犠牲者を減らす為には、建物の耐震化を進めること、すなわち事前の防災対策が効果的である。

災害は防ぐことができる。防ぐためには「起こったときにどうするか」にばかり目を向けるのではなく、「起こらないようにするためにできること」を重ねておくことが必要である。
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さらに言うならば,わたしは「減災」も好きではありません.ましてや「耐災」とは.「防災」の何がいけないのでしょう.災害が無くせると誤解される,とい うことですが,それは誤解を生じないように説明すればいいことだと思います.災害を全くなくしてしまう「滅災」とか言っているわけではないのですから.で も,調べてみたら「滅災」という言葉も一部で使われているのですね.もうめちゃくちゃではないでしょうか・・・

私は誇りを持って「防災研究者」をやっています.

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2013年3月29日 (金)

優先対策見極める材料 牛山素行・静岡大准教授に聞く

3月19日付け中日新聞(東海本社版)に下記記事が掲載されました.よくまとめていただいたのですが,ネット上にも,また中日の記事データベースにも掲載されないので,紹介しておきます.

南海トラフ被害想定(経済被害)を受けての私のコメントです.

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優先対策見極める材料 牛山素行・静岡大准教授に聞く

 「最新の科学的知見に基づく最大クラスの地震」を前提とした今回の被害想定を、どう受け止めるべきか。静岡大防災総合センター副センター長の牛山泰行准教授(災害情報学)は「大きな数値に踊らされるのではなく、やれる対策をやることに尽きる」と訴える。

-今回の被害想定をどう見ればいいか。
 数値はあくまで対策を考えるための目安にすぎない。地震の規模や震源域の評価次第で大きく変わるものであり、それを基に想定される地震や津波が大きくなったからといって、その通りの現象が必ず起きるとか、状況が切迫しているわけではない。被害を軽減するために、どこが弱いかや何をすべきかを確認したり計画したりするための資料だ。

-講ずべき震災対策が必ずしも変わるわけではない、と。
 そう。大きい数値が出たから従前の対策が役立たなくなるわけではないし、われわれの社会はこれまで完ぺきに対策を取ってきたわけでもない。これまでに想定されている規模の現象に対してもやらねばならないことは多い。
 数値に一喜一憂したり「何もできない」と思考停止になったりしてはならない。被害想定には典型的な被害が挙げられている。数値より起こりうる現象の種類に目を向けるべきだ。ただし、次の災害ではまた新たな課題が顕在化する可能性もあることには注意が必要だ。

-行政はどう対策の優先順位を付けるか。
 優先順位は必要。しかし絶対的な正解はなく、行政でなく政治の問題だ。すべて完ぺきに対策を取るのは無理だし、その点は社会的にも認めるべきだ。今回の被害想定は、それぞれ被害の大小関係を比べ、対策の優先度を見極める判断材料の一つになる。

-原発事故は考慮に入れられなかった。
 今の段階では仕方がない。種類が違いすぎる。原発事故は地震がなくても起こりうる。今後時間をかけて、それぞれ被害を評価した上で重ね合わせていくしかないのではないか。東京電力福島第一原発事故を教訓にすると称して今回の被害想定に盛り込んだとしても、それは一つの特定ケースの想定にすぎない。

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