2009年9月 9日 (水)

岩手・宮城内陸地震の犠牲者に関する論文公開

自然災害科学28巻1号では,次の論文も掲載されました.

牛山素行・太田好乃,2009:平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震による死者・行方不明者の特徴,自然災害科学,Vol.28, No.1, pp.59-66.
http://disaster-i.net/notes/2009JSNDS28-1b.pdf

こちらも口頭発表はしている内容です.2008年岩手・宮城内陸地震は,人の生活圏での建物被害などが比較的少なかったのですが,その割には多くの人的被害が生じました.そのほとんどが山間部の屋外滞在中の遭難者でした.このような形態はけっして今回初めて現れたものではないことを指摘しています.また,非常に難しいものの,被害軽減の可能性に関しても検討しています.

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2009年9月 8日 (火)

緊急地震速報関係の論文を公開

少し時間が経ってしまいましたが,自然災害科学28巻1号で刊行された下記論文をweb公開しました.

牛山素行・矢守克也・篠木幹子・太田好乃,2009:緊急地震速報に対する情報利用者の認識に関する探索的研究,自然災害科学,Vol.28, No.1,pp.47-57.
http://disaster-i.net/notes/2009JSNDS28-1a.pdf

すでに学会口頭発表はしているものですが,これが一応のまとめです.緊急地震速報に対する認知は進みつつあるようです.そして,緊急地震速報の実像である,「地震のごく直前にしか伝えられない情報である」,「間に合わないこともある」という性質が理解されるにつれ,そのような情報が現実にはなかなか使いにくいことを実感している人が多いことが示唆されています.

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2009年8月 4日 (火)

報告書の一部訂正

昨日公開した,

市町村役場における豪雨災害情報の利活用状況について[報告書]
http://disaster-i.net/notes/090803report.pdf

ですが,一部文言を訂正します.

P.24 結果の要点
【誤】
1)広域かつ詳細な水位・雨量情報を得ることができるサイトである「川の防災情報」の存在は,市町村防災担当者の9割以上に認知されるようになった.
【正】
1)広域かつ詳細な水位・雨量情報を得ることができるサイトである「川の防災情報」の存在は,市町村防災担当者の約9割に認知されるようになった.

現在公開されている報告書は上記のように訂正されています.

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2009年8月 3日 (月)

市町村防災担当者を対象としたアンケートの速報公開

牛山が調査代表者となって,静岡大学防災総合センター・岩手県立大学総合政策学部地域政策講座・日本自然災害学会災害情報委員会の共同による,全国の市区町村防災担当者を対象としたアンケート調査を行いました.現在その結果を解析中ですが,主な集計結果を速報として公表します.

「市町村役場における豪雨災害情報の利活用状況について」
アンケート調査結果(速報)の公表[概要]
http://disaster-i.net/notes/090803release.pdf

市町村役場における豪雨災害情報の利活用状況について[報告書]
http://disaster-i.net/notes/090803report.pdf

主なポイントを挙げておきます.

  • 洪水・土砂災害対応のハザードマップの作成率は大きく向上し全市町村の約7割に
  • リアルタイム雨量水位情報やハザードマップのWeb公開,防災メールの整備など,一般にも使える豪雨防災情報がさらに充実
  • 小規模自治体でのハザードマップ整備が進まない.地域への専門的人材による支援が重要に.
  • 「空振り」を懸念して避難勧告をためらう市町村も少なくない.単に「空振り」「見逃し」を非難するのではなく,日頃から情報のあり方について地域での意識共有を.

当方では,類似の調査を過去4回ほど実施してきました.今回の調査では,特に2005年に実施した調査結果と比較しています.みなさまのご参考になれば幸いです.

この調査結果についてご関心をお持ちの方は,当方までご連絡をいただければ幸いです.

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2009年7月11日 (土)

豪雨災害人的被害に関する参考資料公開

筆者は,ここ何年か,豪雨災害による人的被害の発生状況に関する研究を続けています.

豪雨災害時の人的被害に関する研究
http://disaster-i.net/research4.html

これまでの整理結果をまとめた図表などは,

牛山素行,2008:2004~2007年の豪雨災害による人的被害の原因分析,河川技術論文集,Vol.14,pp.175-180.
http://disaster-i.net/notes/2008kasen.pdf

にまとめていますが,同文献に掲載した図表は2007年までの被害を元にしたものでした.このたび,2008年の被害及び未調査だった2004年の一部被害を追加して図表のみを書き直した資料として下記を公開しました.

2004~2008年の豪雨災害による人的被害の原因分析(参考資料)
http://disaster-i.net/notes/2008higai.pdf

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2009年6月16日 (火)

「消防科学と情報」誌に寄稿

財団法人消防科学総合センターから刊行されている季刊誌「消防科学と情報」に,下記記事を寄稿しました.

牛山素行,2009:平成20年8月末豪雨から考えること,消防科学と情報,2009年春号(No.96),pp.28-32.

この豪雨災害事例については,

平成20(2008)年8月末豪雨による災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20080829/

に簡単にまとめてありますが,ここでの主張をとりまとめた記事となっています.「消防科学と情報」は,発刊後2ヶ月ほどすると同センターwebで公開され,誰でも見ることができるようになっています.

消防科学総合センター機関誌「消防科学と情報」 目次
http://www.isad.or.jp/cgi-bin/hp/index.cgi?ac1=IB17&ac2=mokuji&Page=hpd_view

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2009年6月11日 (木)

学校防災教育関係の報告公開

下記の論文等を公開しました.

牛山素行,2009:岩手県における学校防災教育の実施状況について,津波工学研究報告,No.26,pp.85-96.
http://disaster-i.net/notes/2009tsunami.pdf

2008年1月に行ったアンケート調査の報告の一部で,2008年8月にwebで先行して公表した,

岩手県における初等・中等教育段階での防災教育の実施状況について
http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-37e2.html

に,防災教育実施状況と学校種別の関係などを一部加筆した内容となっています.

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2009年4月28日 (火)

「標高」に対する人の認識に関する論文を公開

下記の論文を公開しました.

太田好乃・牛山素行・吉田亜里紗,2009:地形認知と津波リスク認知の関係について,災害情報,No.7,pp.101-110.
http://disaster-i.net/notes/2009JDIS_ohta.pdf

「自宅の標高はどれくらい?」という情報は,意外に把握しづらいものですが,津波災害をはじめとして,流れるものがある災害に際しては重要な情報となります.この研究では,海岸近くに住む人がどのくらい自宅標高を認知しているのかを調べた上で,自宅標高の認知の程度と,各種防災行動の間に関係がありそうだという結果を導き出しています.

ちなみに著者の太田さんは現在,岩手県立大学総合政策学部の学部4年生です.つまり,学部3年の夏頃にこの論文を書いています.学部3年で査読論文を通すというのは,大変立派なことです.

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2009年4月25日 (土)

ワークショップの効果に関する論文公開

下記の論文を公開しました.

牛山素行・吉田淳美・柏木紀子・佐藤聖一・佐藤庸亮,2009:非居住者を対象とした防災ワークショップの参加者に及ぼす効果の分析,自然災害科学,Vol.27, No.4,pp.375-385.
http://disaster-i.net/notes/2009JSNDS27-4.pdf

防災ワークショップ的な取り組みは多数行われていますが,その効果についての客観的な評価はまだほとんど行われておりません.正直なところ,この「効果検証」はかなり難しいと考えていますが,その一つの試行過程をまとめたのが本論文です.

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2009年3月17日 (火)

思い込みに気をつけよう

少し遅ればせですが,消防科学総合センターが刊行している,「消防科学と情報」の2008年秋号に,「巻頭随想」として以下のような寄稿をしました.

牛山素行,2008:思い込みに気をつけよう,消防科学と情報,2008年秋号(No.94),pp.4-6.

消防科学総合センターweb内の以下から全文を参照できます.
http://www.isad.or.jp/cgi-bin/hp/index.cgi?ac1=IB17&ac2=94fall&ac3=5432&Page=hpd_view

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2009年3月16日 (月)

岩手宮城内陸地震関連の論文等公開

下記の論文等を公開しました.

牛山素行,太田好乃,2009:防災の観点から見た磐井川流域の土地利用の特徴,東北地域災害科学研究,No.45, pp.223-228.
http://disaster-i.net/notes/2009tohoku.pdf

天然ダム決壊の影響範囲について,地形分類図を用いた地震直後の緊急的な判定法を提案する内容と,「危険な土地が利用されていない」ことの効果を指摘した内容になっています.

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2009年2月24日 (火)

「川の百科事典」出版

遅ればせのご報告ですが,1月20日付で,丸善から「川の百科事典」が刊行されました.

牛山は,このなかで,「水防」,「水防組織」,「ハザードマップ」,「災害救助法」,「被災者生活再建支援法」の5見出し語の執筆を担当させていただきました.河川,水災害関係の辞典類は案外少ないので,よい資料になると思います.少々高い本ですが,関心のある方はお買い求めいただければ幸いです.

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2008年12月25日 (木)

「地域調査演習」の連載開始

古今書院から刊行されている,月刊「地理」という雑誌がありますが,最新号(2009年1月号)から,「ワークショップ企画や災害調査に役立つ 地域調査演習」という連載を執筆し始めました.目次などは,下記の古今書院のwebから「月刊地理」のリンクをたどってください.

古今書院
http://www.kokon.co.jp/

この連載では,「防災ワークショップを企画する際には,対象地域に関するそれなりの事前調査が必要だ」という立場に立ち,その事前調査としてどのようなことをしたらよいかについて,筆者なりの提案を試みたものです.

本号はイントロで,筆者の考える「防災ワークショップ」とはどのようなものか,また,現状としてどのような課題があるかなどについての内容が中心となっています.

たまたま本号は,特集記事が「地域安全マップ」となっており,この連載と関連の深い内容になっております.関心をお持ちの方は,お手にとっていただければ幸いです.

なお,以下の要領で,送料無料・著者割引(\960)にて購入が可能です.また,近日中に,数はごく限られますが,先着順無料進呈のご案内をする予定でおります.

●著者割引購入方法

  • こちらまでメールにて御連絡下さい.
  • メールの件名は「月刊地理「地域安全マップ」特集注文」としてください.
  • 割引条件は,以下の注文フォームを利用した場合に限ります.
  • 注文受付時に返信メールが届きます.代金は、本に同封されてくる郵便振替用紙で後払いになります。1週間以内に古今書院様に送金願います

 -----<注文フォーム>-----
著者(牛山素行)からの紹介にて,「月刊地理2009年1月号」を注文いたします.

○送付先
郵便番号:
住所:
電話番号:
お名前:
冊数:  冊

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2008年11月19日 (水)

大雨による災害と防災情報に関するアンケート報告書

下記の報告書を公開しました.

大雨による災害と防災情報に関するアンケート 報告書
http://disaster-i.net/notes/081119report.pdf

内容は目新しいものではなく,2007年2月にインターネットアンケートで調査した結果で,

牛山素行・吉田亜里紗・國分和香那,2008:豪雨防災情報に対するインターネット利用者の認識,水工学論文集(CD-ROM),No.52,pp.445-450
http://disaster-i.net/notes/20080305_0075.pdf

としてすでに公表した論文に,素集計表を添付したものです.上記文献の「おわりに」の一部を下記に挙げておきます.

  • 整備から3年以上が経過した「川の防災情報」などの認知率は1割に満たず,この3年間でもほとんど変化していない.
  • これらのwebを具体的に紹介した上で今後の利用意向を尋ねても,積極的な利用意向を示す回答は1割前後.
  • リアルタイム防災情報の存在を周知徹底しても,災害時にそれを利用する人は多数派にはならない可能性は以前も指摘したが,今回の結果を踏まえると,ほぼ確実と言っていい.
  • リアルタイム防災情報を利用しない理由としては,災害の危険があるような場合に,パソコンや携帯電話を利用して情報収集することは現実的でなく,テレビなど他の情報媒体の方が便利であることなどが挙げられた.
  • 今回の調査は,インターネットに習熟した利用者を対象とした結果であり,インターネットに習熟していない人の存在を考えると,状況は更に厳しいであろう.
  • 災害時に詳しい情報が欲しい」というニーズがあること自体は確かであるが,自ら能動的,積極的に情報を収集したいという意向を持っている人はけして多くない.webを中心とした詳細な防災情報は,不特定多数が使う事を期待するものではなく,防災関係者など,状況判断が必要な人に特に利用してもらう必要性が高い情報と位置づけるべきであろう.

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2008年11月17日 (月)

すでに実現していることをもっと生かそう

以下は,10月に発行された日本災害情報学会ニュースレターNo.35に寄稿したものです.

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●すでに実現していることをもっと生かそう

 豪雨災害に限らないが,災害後の「教訓」としてよく語られるのが,「情報不足」に類する話題である.このような「教訓」あるいは「ニーズ」をもとに災害情報の充実が図られてゆく,というのがセオリーのようになっているが,「ニーズ」として語られているものの中に,すでに実現したり,解決しているはずの問題が少なくないことに無力感を感じる.

 典型例は「山の方の雨の降り方が分からないので対応がとれなかった」といった趣旨の話である.もはや,地上雨量観測所のデータに限っても,平地から山間部まで多数の観測所が設置され,そのほとんどがリアルタイム公開されている.レーダーのデータを含めればさらに情報は増え,山の雨量が分からないというのはもはや過去の話である.

 「川の水位は分かるが,これからどう変化するのか見通しがつかない」といった話も聞く.しかし,いまや洪水予報対象河川は増える一方で,それらの河川では,何時頃,どの程度の水位まで達するといった情報が詳細に発表されている.

 

「注意報で油断していたら警報になった.警報になりそうなときはあらかじめ知らせて欲しい」といった意見も聞く.これもすでに実現している.そもそも「警報」は,単に「××地方に警報発表」という情報ではない.必ず「文章情報」がつき,予想される状況などの補足説明がなされ,特に重要な場合は警報とは別に「気象情報」としてさらに詳しい情報が発表される.これらの情報の中で,警報になりそうな場合はその旨予告することや,過去の豪雨に匹敵する雨であるなどの情報を加えるなど,情報の充実は著しく図られている.

 無論,これらの情報を,住民全員が理解することを目指すのは現実的ではない.しかし,せめて,防災対応に当たる立場の人達は十分に理解してもらいたい.豪雨災害情報に関して「すでに実現していること」はたくさんあり,そのことを情報提供者側は自信を持ってアピールして欲しい.災害情報は整備しただけでは役に立たない.整備された災害情報をよく知り,自信を持って活用できる人材を,息長く,粘り強く育成していくことこそが,「教訓を生かす」ことではないだろうか.

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2008年10月24日 (金)

陸前高田市防災意識に関する調査の報告書を公開

岩手県陸前高田市気仙町地区の全世帯を対象に実施した,災害に関する意識などについてのアンケート調査の結果概要を報告書として公開いたしました.

岩手県陸前高田市気仙町地区における防災意識に関する調査
http://disaster-i.net/notes/081031report.pdf

なお,アンケートの果然回答者のみなさんにも配布した,2ページの概要版も公開しました.
http://disaster-i.net/notes/081031report_2.pdf

この調査は,岩手県大船渡地方振興局との共同調査として実施したものです.主な注目点を以下に示します.

  • 自宅が自然災害によって被害を受ける可能性については,地震,津波で危険側の回答が約4割,大雨・洪水,がけ崩れ・土石流で約3割だった.一般的な地区と比べれば危険側の回答が多いが,対象地区では主要集落のほとんどが津波浸水想定区域であり,洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域なども多いことを考えると,自然災害に対してやや楽観観的な見通しが持たれていることが示唆される.
  • 明治三陸地震津波,昭和三陸地震津波,チリ地震津波についてのイメージを尋ねたところ,古い時代の災害ほど,具体的なイメージを持つ回答者(量的な被害を挙げる回答)が少なくなった.また,3事例ともに中高生の方が具体的なイメージを持つ回答者が少ない.明治三陸地震津波では,中高生の35.3%が「名前も聞いたことがない」と回答した.
  • 「強い地震の後に『津波警報』が発表された」場合に「すぐ避難する」という回答者は38.6%,「強い地震の後に『避難勧告』が発表された」で61.0%だった.対象地区の場合,津波警報の発表は,状況の切迫性が高く,かつかなり深刻な状況であるが,すぐに避難行動を起こす人は半数に満たないようである.
  • 何メートルの津波予報が発表されたら避難するかを尋ねたところ,津波注意報や,津波警報(津波)に相当する2m以下の津波予報で避難する人は20.3%,極度に大きな値である「10m以上」の値を挙げる人も25.1%に上った.

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2008年9月22日 (月)

「豪雨の災害情報学」刊行

このたび,古今書院から「豪雨の災害情報学」という本を出すことになりました.

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書  名:豪雨の災害情報学

著   者:牛山素行(岩手県立大学)
発 行 所:古今書院  http://www.kokon.co.jp/
 *トップページのカバーをクリックすると、内容紹介に入れます。
発 行 日:2008年10月10日
本体価格:\3,500(税込 \3,675)
図書符号:ISBN 978-4-7722-3114-5
備  考:A5判 180ページ
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牛山がこれまでに行ってきた豪雨災害に関する研究の中から,主なものを取り上げ,整理したものです.

  • ・過去の災害事例にもっと目を向けよう
  • ・災害情報は整備しただけでは使われず,生かされない
  • ・災害情報による減災効果は残念ながら限定的

など,牛山が日頃から強調していることの背景となった調査結果を紹介しています.内容は,これまでに学術論文などで発表した原稿を整理したものが中心となっていますが,状況が変わっているものは書きあらためるなどしています.特に第1章は,牛山が考える「豪雨災害情報」という概念を紹介するために,書き下ろしたものです.

少々お値段が高くなりまして恐縮ですが,以下の方法で注文すると,著者の紹介ということで,著者割引(2割引)+ 送料無料 (税込 \2,940) で購入できます.

【申込方法】 
この本の編集担当の 関 秀明 さんまでメールにて御連絡下さい.メールの件名は「豪雨の災害情報学 注文」としてください.

seki@kokon.co.jp

割引条件は、著者の紹介かつ以下の注文フォームを利用した場合に限ります.

-----【注文フォーム】-----
 1. この情報を知った媒体名を以下から選んでください
  (a)disaster-i.net(牛山のホームページ)
  (b)disaster-i.net News・ある自然災害科学研究者の活動(牛山のメールマガジン)
  (c)豪雨災害と防災情報を研究するdisaster-i.net別館(牛山のブログ)
  (d)各種メーリングリスト[ML名                 ]
  (e)牛山個人からの紹介

 2. 送付先
  郵便番号:
  住所:
  電話番号:
    ※メール便にて届きます

 3. 注文の書名・冊数
  『豪雨の災害情報学』    冊
-------------------

・注文受付時に返信メールが届きます。
・代金は、本に同封されてくる郵便振替用紙で後払いになります。1週間以内に古今書院様に送金願います。

●『豪雨の災害情報学』目次

第1章 豪雨災害と災害情報に関する基礎的概念
 1.1 自然災害の構造
 1.1.1 HazardとDisaster
 1.1.2 素因と誘因
 1.1.3 災害のライフサイクル
1.2 防災の構造
 1.2.1 防災・減災
 1.2.2 ハード防災とソフト防災
 1.2.3 ハード防災とソフト防災の決定的相違
1.3 災害情報の基礎的概念
 1.3.1 災害情報と災害情報学
 1.3.2 情報の位置付けと災害情報
 1.3.3 情報の価値と災害情報
 1.3.4 災害情報の価値は相対的かつ個別的
 1.3.5 災害情報の価値は組織化によって増大する
 1.3.6 災害情報の価値は周知によって低下する
1.4 豪雨災害情報
 1.4.1 豪雨災害と豪雨災害情報
 1.4.2 観測値・統計などの情報
 1.4.3 警告的な情報(warning)
 1.4.4 災害の素因や災害への対応に関わる情報
 1.4.5 人の知識や経験に関わる情報
 1.4.6 情報伝達システム
1.5 まとめ
第2章 73年前にもあった豪雨
2.1 1999年広島豪雨災害
 2.1.1 概要
 2.1.2 降水量の特徴
 2.1.3 被害の特徴
2.2 広島市周辺における降水量の経年変動
 2.2.1 検討の方針
 2.2.2 利用資料についての検討
 2.2.3 暖候期降水量の経年変動
 2.2.4 豪雨の発生傾向
2.3 既往豪雨災害記録からの豪雨事例の抽出
2.4 本章のまとめ
2.5 補足
第3章 認知されない・使われないリアルタイム水文情報
3.1 2002年頃の豪雨災害情報を巡る情勢
3.2 2002年台風6号豪雨災害
 3.2.1 総観気象の概要
 3.2.2 降水量の特徴
 3.2.3 全国の被害概要
 3.2.4 岩手県東山町付近の浸水災害
3.3 市町村におけるリアルタイム雨量・水位情報の利用に関する調査
 3.3.1 調査手法
 3.3.2 雨量・水位等の情報取得・利用状況
 3.3.3 土砂災害危険度表示システムの認知
3.4 岩手県東山町・川崎村における住民の防災行動に関する調査
 3.4.1 調査手法
 3.4.2 住民の水害経験
 3.4.3 避難の状況
 3.4.4 家財の保全行動
 3.4.5 リアルタイム雨量・水位情報の利用実態
 3.4.6 雨量・水位情報の取得と被害軽減行動
 3.4.7 ハザードマップに対する評価
3.5 本章のまとめ
第4章 リアルタイム水文情報の具体的活用例を初確認
4.1 2003年7月19日~21日の九州における豪雨災害
 4.1.1 概要
 4.1.2 降水量の特徴
 4.1.3 7月19日九州北部の豪雨
 4.1.4 7月20日熊本県南部付近の豪雨
 4.1.5 全国の被害状況
 4.1.6 福岡県内の被害状況
 4.1.7 熊本県水俣市における被害状況
4.2 リアルタイム雨量・水位情報を活用した減災例
 4.2.1 福岡市博多駅前のホテルにおける防災対応
 4.2.2 福岡市防災対策ホームページ
 4.2.3 水俣市の事例との対比
4.3 本章のまとめ
第5章 情報による減災効果の限界
5.1 本災害の概要と人的被害原因解析の意義
5.2 2004年台風23号による豪雨災害
 5.2.1 総観気象状態の概要
 5.2.2 10月20~21日の降水量の特徴
 5.2.3 被害状況
5.3 人的被害の特徴と災害情報による減災効果の推定
 5.3.1 調査手法
 5.3.2 死者・行方不明者発生場所の特定
 5.3.3 死者・行方不明者の発生原因
 5.3.4 死者・行方不明者発生原因と年代・性別・被災場所
 5.3.5 防災情報による減災の可能性
5.4 本章のまとめ
第6章 避難により人的被害はまぬがれたが
6.1 本災害の概要と日之影町の事例に着目する意味
6.2 2005年台風14号および前線による豪雨災害
 6.2.1 総観気象状態の特徴
 6.2.2 降水量の特徴
 6.2.3 被害の概要
 6.2.4 人的被害の特徴
 6.2.5 機能した宮崎市災害掲示板
6.3 宮崎県日之影町における被害軽減とその背景
 6.3.1 調査手法
 6.3.2 日之影町御影地区の被災状況
 6.3.3 降水量と大雨警報・記録的短時間大雨情報
 6.3.4 大雨警報[重要変更]
 6.3.5 水位情報
 6.3.6 災害対策本部設置と避難勧告
 6.3.7 避難行動と消防団の活動
 6.3.8 ハザードマップ等の整備状況
 6.3.9 集落の歴史と災害経験
6.3.10 その他の特記事項
6.4 本章のまとめ
第7章 災害情報研究のこれから
7.1 ハード対策とソフト対策の構造的相違をまず意識しよう
7.2 災害情報は公開しただけでは効果を発揮しない
7.3 災害情報は認知されただけでは活用されない
7.4 「分かりやすい情報」・「高精度な情報」が減災に直結しない
7.5 災害情報によって軽減できる被害は限られる
7.6 ますます重要になる「限界の説明」
7.7 長い眼でみることの重要性
7.8 災害情報という「防災対策」はじつにやっかいな代物
7.9 では「災害情報」はどこへ行くべきか

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2008年9月18日 (木)

防災教育に関するアンケートの報告書公開

岩手県内の全小,中,高校を対象に実施した,防災教育などに関するアンケート調査の結果概要を報告書として公開いたしました.

岩手県における初等・中等教育段階での防災教育の実施状況について
http://disaster-i.net/notes/080827report.pdf

この調査は,岩手県大船渡地方振興局との共同調査として実施したものです.主な注目点を以下に示します.

  • 地域に関わる自然災害についての紹介や学習を,教科教育・総合的学習の時間・特別活動などの場で実施しているか尋ねたところ,「津波災害」は実施率35.8%,「将来発生が予想される災害」同36.3%,「台風災害」同25.6%と,必ずしも高くなかった.
  • 「内陸」「沿岸」で実施率を比較すると,ほとんどの項目で沿岸が高かったが,最も高い「津波災害」でも55.2%と半数強程度だった.
  • 「総合的な学習の時間や特別活動などの教科教育以外の時間に取り上げる題材・テーマとして,『自然災害』や『防災』は,他の様々な題材と比較すると,どの程度の重要性があると思いますか」に対しては,「非常に重要性が高い」と「重要性はやや高い」を合わせても37.8%にとどまった.
  • 防災教育の重要性に関する認識でも,「非常に重要性が高い」と「重要性はやや高い」の合計が,沿岸57.7%,内陸27.8%と,内陸と沿岸で明瞭な差が見られた.

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2008年6月10日 (火)

河川技術論文集に論文刊行

6月5日~6日,東京大学を会場に土木学会による河川技術に関するシンポジウムが行われ,「2004~2007年の豪雨災害による人的被害の原因分析」のタイトルでポスター発表をしてきました.

河川技術に関するシンポジウムでは,講演会と同時に査読付き論文集(河川技術論文集)が刊行されます.この論文を以下に公開しました.

牛山素行,2008:2004~2007年の豪雨災害による人的被害の原因分析,河川技術論文集,Vol.14,pp.175-180
http://disaster-i.net/notes/2008kasen.pdf

当方で行っている一連の豪雨災害による人的被害の研究に関するもので,今回は2004年以降の15事例,239名を対象とした集計です.

近年の事例についてもまだまだ十分とは言えないのですが,そろそろ少し昔の事例にも手を伸ばしたいと考えています.

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2008年4月25日 (金)

「地域防災のための水文・気象情報活用の手引き」

少し時期が前後してしまいましたが,以前から公開しておりました,「地域防災のための水文・気象情報活用の手引き」の改訂版を公開いたしました.

地域防災のための水文・気象情報活用の手引き 2008年版
http://disaster-i.net/notes/tebiki2008a.pdf

前版は2005年版(同年版で2回改訂)ですが,ここに最低限の加除(水位情報の読替,土砂災害警戒情報,大雨洪水警報の改訂など)を加えたものです.

「防災情報についての説明資料」を頻繁に改訂しなければならないという状況は,本当にいかがなものかと思います.情報の呼び名や内容がコロコロと変わっていくことが,「防災情報の質的改善」なのでしょうか.本当に?

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2008年3月 7日 (金)

水工学講演会で発表

3月5日~7日の間,広島大学で土木学会水工学講演会が行われました.日程の都合上,5日のみの参加でしたが,「豪雨防災情報に対するインターネット利用者の認識」のタイトルで発表をしてきました.

水工学講演会では,講演会と同時に査読付き論文集が刊行されます.この論文を以下に公開しました.

牛山素行・吉田亜里紗・國分和香那,2008:豪雨防災情報に対するインターネット利用者の認識,水工学論文集(CD-ROM),No.52,pp.445-450.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/20080305_0075.pdf

あまり余裕がないので,内容的なコメントは省略させていただきます.

なお,上記も含め,論文等のPDFを収録しているサーバを近日中(ここ1,2カ月中がめど)に変更する見込みです.web上のリンクは全て修正しますが,ブログのリンクは修正しきれないと思いますので,ご容赦下さい.

あまり「忙しい」とは言いたくないのですが,それにしても,忙しいです.どうにも余裕のない日々が続いております.

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2008年2月14日 (木)

危険に接近する事故型死をどう防ぐ

2月12日付の,

時事通信「防災リスクマネジメントweb」
http://bousai.jiji.com/

に,下記の記事を寄稿させていただきました.本ブログでは何回か指摘している内容ではありますが,ご紹介させていただきます.

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【ニュース解説】
危険に接近する事故型死をどう防ぐ=豪雨災害の人的被害の現実

牛山素行 岩手県立大学総合政策学部准教授

  豪雨によって生じる人的被害(死者・行方不明者)と聞くと、どのような遭難形態を思い浮かべるだろうか。例えば、「動きのとれない高齢者が自宅に取り残さ れ、家ごと流されて死亡する」といったイメージを抱く人も少なくないのでは無かろうか。そこまで細かくイメージしないまでも、「高齢者に被害が集中してい る」という印象を持つ人は多いであろう。近年の豪雨災害による犠牲者について調査研究を進める中で、2004年以降の191人について整理を行った結果、 一般的にイメージされている「豪雨災害の被害者像」と、集計結果による実態にはいささか乖離(かいり)があることが分かってきた。

◇自宅で遭難型が多い土砂災害、外での犠牲が多い洪水

  まず、豪雨災害による死者で最も多いのは土砂災害によるものである。筆者が調べたデータでは全体の4割だ。このことは、防災白書などでも指摘されているの でご存じの方も多いだろう。土砂災害の次に多いのが洪水による死者で、運転中、歩行中、あるいは在宅中に洪水に流されて死亡した人が2割強だ。
  次に多いのが「事故型」で2割である。「事故型」は筆者独自の分類で、「田んぼの様子を見に行って用水路に転落した」、「川の様子を見に行って川に転落し た」など、「自らの意志で危険に近づいたことにより遭難した犠牲者」である。「事故型」の多くは溺死(できし)者であり、あたかも洪水による犠牲者である かのように思われるが、本来の洪水とは無関係に発生しているといえるものである。高波、強風などに起因する死者はこれらと比べると少なく、合わせて約1割 だ。

 「高齢者に被害が集中している」という見方は、大局的には間違いではない。筆者のデータでも、65歳以上の高齢者の比率は5割以上となり、人口比から考えると高い比率を示している。しかし、もう少し詳細に見ると様相が異なってくる。
  土砂災害の場合は、65歳以上の比率が6割以上だが、洪水の場合は逆に65歳未満が約6割となっている。土砂災害の場合は、高齢者が自宅で遭難するケース がほとんどである。しかし、洪水の場合は、自宅や屋内で遭難するケースは少数で、全体の1割に満たない。ほとんどは、自動車などの運転中や徒歩移動中に遭 難している。「動きのとれない高齢者が自宅に取り残され、家ごと流されて死亡」などという典型的と考えられそうなケースは、実は少なく見て3人、多く見て も5人しか確認できなかった。一方、「事故型」の場合は、65歳以上の比率が6割以上となっている。
 つまり、逃げ遅れて流されるなどして死亡する高齢者より、田んぼの様子を見に行って用水路に転落して死亡する高齢者の方がはるかに多いことになる。

◇危険な外出を避けさせる支援へ

  「高齢者(災害時要援護者)に被害が集中している」、だから「要援護者支援が重要だ」、といった論調はよく耳にする。「要援護者支援が重要だ」ということ に異論を唱えるつもりはない。しかし、実際の被災形態を検討すると、洪水の場合は「要援護者支援」によって軽減が期待される犠牲者は限定的であるようにも 思われる。少なくとも、犠牲者のうちのかなりの割合を占める「運転中・歩行中の遭難者」、「自らの意志で危険に近づいたことによる遭難者」は、「要援護者 支援」ではもちろんのこと、現在整備されている各種災害情報を活用しても、被害の軽減が難しそうである。
 つい最近まで、このような主張をすることはいささかはばかられるものがあった。「要援護者支援」は最近の防災対策の重要なキーワードであり、筆者の主張はその取り組みに水を差すもののように受け止められかねなかったからである。

 しかし、昨年12月に、内閣府防災担当から「自然災害の『犠牲者ゼロ』を目指すために早急に取り組むべき施策」という興味深い資料が公表された。
http://www.bousai.go.jp/oshirase/h19/071218kisya.pdf
  この資料では、「台風や大雨の際の外出時の事故」が多いことを指摘。事例のイメージとして「台風の際に自分の田んぼを見回っていたおじいさんが誤って水路 に転落死」をあげ、2004年の台風23号の犠牲者の45%が外出時に用水路に転落するなどして死亡し、1割以上が田畑や船の見回りでの犠牲者と指摘。対 策として「危険な外出を避けられるように」することを挙げている。このような指摘が、防災機関からなされるようになったことに、大変心強いものを感じてい る。

 「この災害で、この犠牲者はどのように亡くなったのか」を的確に知ることは、災害によって無念にも亡くなった犠牲者に対し、残された者が果たすべき責務の一つだと考えている。今後も、この観点からの調査研究を進めていきたい。なお、このテーマに関する筆者の調査研究成果は、筆者のホームページ内に整理してあるので、関心を持たれた方はご参照いただきたい。

豪雨災害時の人的被害に関する研究
http://www.disaster-i.net/research4.html


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2008年1月16日 (水)

人的被害に関する論文等の公開

過日,自然災害科学(日本自然災害学会誌)に掲載された,下記論文を公開しました.

牛山素行,2007:2006年10月6日から9日に北日本で発生した豪雨災害時に見られた行方不明者覚知の遅れ,自然災害科学,Vol.23,No.3,pp.279-289.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/JJSNDS23-3.pdf

人的被害に着目した研究の一つですが,これは「覚知に時間がかかった行方不明者」,「避難した後で遭難した犠牲者」というケースについての検討です.

ちょっと長くなりますが,「まとめ」から抜粋します.

  • 2006年10月7日から8日にかけて発達した低気圧が本州東方沖,北海道東方沖を通過して豪雨と強風をもたらし,岩手県葛巻町では1名(62歳男性)の人的被害が生じた.避難勧告に応じて指定避難場所に避難したが,10月7日19時頃以降行方不明となった.行方不明と覚知されたのは約2.5日後の10日午前で,翌日遺体で発見された.
  • この犠牲者の特徴として,(1)避難したにもかかわらず遭難したこと,(2)行方不明の覚知に時間がかかったこと,が挙げられる.2004年以降の豪雨災害による犠牲者154名から同様な被災形態を調べたところ,(1)は4名,(2)は3名が抽出され,特異な事例とは言えない.ただし,(2)はいずれも覚知までの時間が1.5日程度であり,今回の犠牲者が群を抜いている.
  • 避難後に遭難した場合,早期の避難自体は実行されており,早期の避難勧告による避難の促進や,情報伝達システム整備などの対策だけでは軽減に結びつかない.
  • 覚知が遅れた行方不明者は,いずれも「要援護者」ではなく,「要援護者が人知れず遭難し,発見が遅れた」といった状況ではない.共通するのは独居者だったことである.高齢者など,典型的な「要援護者」ばかりに目が向けられがちであるが,様々な形で脆弱性を持つ者が存在することにも注意が必要である.

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2007年10月27日 (土)

2006年10月北日本豪雨災害調査報告書を公開

気象庁札幌管区気象台,北海道開発局,北海道との共同調査として行ってきた,2006年10月の豪雨災害に関する住民対象調査の報告書を公開しました.

2006年10月6日~9日の発達した低気圧による災害に関するアンケート調査 報告書
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/200610gouu_houkoku.pdf

各市町向けの概要版もあります.

佐呂間町
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/saroma.pdf
北見市常呂地区
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/tokoro.pdf
別海町
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/bekkai.pdf
葛巻町
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/kuzumaki.pdf

なお,この調査の報告会について,札幌管区気象台からとりまとめが公表されています.

平成18年10月の発達した低気圧の災害によるアンケート調査報告会
http://www.sapporo-jma.go.jp/topix/houkoku19/houkoku1910/houkoku_sapporo.html


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2007年6月22日 (金)

災害情報に対する幻想からの脱却

公職研という会社から「地方自治職員研修」という雑誌が発行されています.

公職研
http://www.koshokuken.co.jp/

この7月号に,当方の原稿が掲載されました.

牛山素行,2007:災害情報に対する幻想からの脱却,地方自治職員研修,2007年7月号(No.559),pp.45-47.

全文をご紹介するわけにもいきませんので,小見出しのみ挙げておきます.

  • 災害情報は「構築」や「高品質化」が防災に直結しない
  • 災害情報によって軽減できる被害は限られる
  • 電子掲示板の得意・不得意
  • 防災メールの得意・不得意

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2007年4月24日 (火)

森林水文学

これも少し時間が経過してしまいましたが,3月に共著にて下記の図書を刊行いたしました.

『森林水文学 -森林の水のゆくえを科学する-』
森林水文学編集委員会編 森北出版株式会社
http://www.morikita.co.jp/shoshi/ISBN978-4-627-29091-4.html


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2007年3月23日 (金)

自然災害を学ぶ(3.推薦する図書等)

(牛山素行,2007:自然災害を学ぶ,自然災害科学,Vol.25, No.5, pp.442-444. より)

3.推薦する図書等
 以下,筆者の専門領域に近い図書の中から,なるべく「災害そのもの」を学ぶ上で参考になりそうなものを挙げてみたい.

名称:防災事典
著者:日本自然災害学会
発行所:築地書館
寸評:自然災害科学分野の現在最も基本的な用語集.前版の「自然災害科学事典」(1988年刊)に比べて内容が一新されており,「自然災害科学事典」を少し古い時代の事例や概念について知るための用語集として併用すると効果的.

名称:防災学ハンドブック
著者:京都大学防災研究所編
発行所:朝倉書店
寸評:防災に関わる研究者サイドの最新の取り組み,関心分野などを知ることができるハンドブック.用語集としての「防災事典」の内容を掘り下げて知るときに重要になる.

名称:自然災害と防災の科学
著者:水谷武司
発行所:東京大学出版会
寸評:現在刊行されている数少ない「自然災害全般を扱った教科書的出版物」の一つ.地震災害から気象災害までほとんどのハザードを網羅し,それらの基礎的な構造を紹介すると共に,自然災害についての概念にも触れている.

名称:水谷武司
著者:自然災害調査の基礎
発行所:古今書院
寸評:自然災害全般の調査法について紹介した,ほぼ唯一の専門書.「ハザードの調べ方」ではなく,被害や社会の影響に関する調査法に触れており,間違いなく「災害そのものの調査法」の専門書である.1993年刊のため,情報収集法については事情が変わっている部分もあるが,基本的な概念は全く古さを感じさせない.

名称:NHK気象・災害ハンドブック
著者:NHK放送文化研究所編
発行所:日本放送出版協会
寸評:自然災害に関する用語集のひとつ.専門外の読者にも分かりやすい内容となっている.これまで4回刊行されており,既刊は気象用語集的な色彩が強かったが,2005年刊の現行版は,地震,火山,河川に関わる用語も取り上げられ,災害を意識した内容になっている.

名称:自然災害を知る・防ぐ
著者:大矢雅彦・木下武雄・若松加寿江・羽鳥徳太郎・石井弓夫
発行所:古今書院
寸評:「自然災害全般を扱った教科書的出版物」の一つで,「自然災害と防災の科学」よりはやや読み物的な色彩が強く,入門者向け.

名称:自然の猛威
著者:町田洋・小島圭二編
発行所:岩波書店
寸評:岩波書店の「日本の自然」シリーズの第8巻.書名から想像しにくいが,内容は自然災害全般に関する入門的専門書.日本の気象災害分布図など,基本的かつ重要な図表が多く掲載されている.1986年の初版と,1996年刊の改訂版があり,どちらも役立つ.

名称:災害論
著者:高橋浩一郎
発行所やURL:東京堂出版
寸評:気象庁長官を務めた気象・気候学の第一人者によって著された,災害の概念,災害を把握・理解するための考え方について触れた専門書.1977年刊とやや古典だが,けっして古い内容ではない.災害を巡っては,似たような問題意識,似たような議論が繰り返されてきていることを知る上でも参考になる.

名称:そこが知りたい気象と災害の法律知識
著者:気象災害研究会
発行所やURL:オーム社
寸評:気象業務法,災害対策基本法,水防法など,災害に関わる基本的な法律についての重要事項を解説した図書.気象予報士受験者向けの参考書だが,災害に関わる研究者も,この程度の知識は持っておきたい.1997年刊で,その後法改正されている部分があるが,基本的な概念については現在でも十分通用する.

名称:災害情報論
著者:廣井脩
発行所やURL:恒星社厚生閣
寸評:「災害情報」をメインタイトルとした数少ない専門書.情報伝達とその障害,パニック神話,災害時の流言など災害情報に関わる重要なキーワードについて,事例を元に紹介されている.やや入手しにくく,かつ20年ほど前の刊行物だが,同じ著者が分担執筆している,「災害と情報」(東京大学新聞研究所編),「災害と人間行動」(同)も,災害情報分野の基礎概念を知る上では参考になる.

名称:防災・危機管理eカレッジ
著者:総務省消防庁
URL:http://www.e-college.fdma.go.jp/
寸評:防災に関わる,無料で開設されているほぼ唯一のe-learningサイト.一般市民,防災リーダー向けの内容だが,防災についても携わることがあるハザード研究者にもお勧めしたい内容となっている.

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※現在でも入手可能な図書については,ブログ左段の「図書」リストにも掲げました.学術サイトでのアファリエイト利用には批判的なご意見もあるかもしれませんが,情報提示法の一つとして利用しております.

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2007年3月22日 (木)

自然災害を学ぶ(2.どのように学んできたか)

(牛山素行,2007:自然災害を学ぶ,自然災害科学,Vol.25, No.5, pp.442-444. より)

2.どのように学んできたか
 「自然災害科学」が学問領域として必ずしも確立されていないためなのか,「自然災害科学の基礎的教科書」と呼べるものは,現在でもごくわずかである.筆者の学生時代には更に少なかったように思う.「災害について学びたい」という気持ちは学生時代から強かったが,そもそも「災害について学ぶ」ということはどういう事なのか,何を学べばよいのかがわからず,既に体系化された様々な学問分野のなかから,手探りで材料を探し,学んできたのが実態である.「災害を学ぶためには具体的に何を学ぶべきか」というテーマは,現在の筆者にとっても,まだ未解決の課題である.
 どのように学ぶべきかの指針が存在しない以上,学ぶためには,自分が関心を持った「災害関係の調査研究文献」を読み,その中で使われている知識について探索していくしかなかった.学会の口頭発表を聞くのも,そういった探索の効率的な手法の一つであった.より小規模な研究会に参加することも効果的だった.筆者は学生時代,東京地区の気象・気候系の学生・若手研究者で構成されていた「気候コロキウム」という研究会に参加していた.毎月1回の例会があるのだが,その場での濃密な議論は,極めて刺激的だった.
 そして,もっとも多くのことを学び取れたのは,災害に関わる「現場」だと思う.学生時代には講義・演習科目の一環として数多くの巡検が組み込まれており,新旧の山地崩壊,地すべり,洪水などの跡地を訪ねた.現在の現地を見ると共に,災害当時の様々な記録を読むことから,「昔から似たような災害が各地で繰り返されている.そして,私たちはそのことをすっかり忘れ去っている」という事を感じた.この考えは,現在の私の調査研究活動を方向付ける,基礎原理のようになっている.学位取得後は,各種調査団の一員として,あるいは独自の企画により,最新の災害に触れる機会が増えた.1999年広島豪雨,2000年東海豪雨,2001年台湾の台風,2002年台風6号,2003年水俣土石流,2004年台風23号,2005年台風14号など,それぞれの年の最大規模豪雨災害は必ず現地調査をするよう心がけた.それぞれの災害において,何が問題なのか,を知る最も効率的な方法は現地を歩くことだと思う.現地の観察から,どのような資料収集,どのような解析が必要か見えてくる.被災地は急速に姿を変えていくので,現地踏査は早いほどよい.現在,筆者は遅くとも発災2,3日以内に現地に行くことを目指している.

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2007年3月21日 (水)

自然災害を学ぶ(1.私のバックグラウンドと専門領域)

(牛山素行,2007:自然災害を学ぶ,自然災害科学,Vol.25, No.5, pp.442-444. より)

1.私のバックグラウンドと専門領域
 筆者の現在の専門領域は,豪雨災害を中心とした自然災害科学と,災害情報学である.「気象学」や「水文学」ではなく,「自然災害科学」などという「専門領域」があるのか,というご意見もあるかと思われるが,筆者は,Hazardを専門とするのではなく,災害そのものを専門としたいと考えており,「専門は?」と問われたときは,上記のように答えることにしている.
 筆者が災害や防災に関心を持ったのはいつ頃からかは分からないが,少なくとも小学校高学年時には,台風通過時に天気図を書いたり気象観測を行ったりしていた記憶がある.観測はかなり好きな遊び(?)であり,比較的測りやすい気温などとともに,降水量も自作の簡易雨量計で観測していた.はじめて現実の災害を目にしたのは,中学3年の時である.筆者は当時長野県の諏訪湖付近に住んでいたが,この年,台風にともなう豪雨により,諏訪湖が溢水し周辺の市街地が広範囲にわたって浸水した.自宅は被災しなかったが,この激しい現象に強い関心を抱き,浸水した地域を踏査した.この時見たり経験した様々なことが,結果的にはその後の筆者の生き方を決めたように感じている.
 大学は,信州大学農学部の森林工学科に入学し,砂防工学系研究室に所属した.もっとも,砂防そのものはあまり研究したことがなく,学部の頃は雨氷という着氷現象の一種による森林被害に関する研究を行っており,気象観測や,被害林分に関する統計解析などを行っていた.博士課程では,豪雨災害による被害の統計解析や,当時萌芽期にあったネットワーク通信による(人と人との)災害時の情報交換に関する研究を行っていた.このようなことをしていた学生を置いてくれた,当時の先生方には本当に感謝している.
 学位取得後,ポスドクとして東京都立大学の地理学教室にお世話になった.当時の仕事は災害と関係ないものだったが,もともと関心のあった地理学の専門家と身近に接し,議論を交わすことができた事はたいへん有意義だった.その後,京都大学防災研究所にポスドクとして異動することができた.この時に所属したのが土木の水文系の研究室(当時は洪水災害分野)であり,以来,土木分野の仕事が多くなっていった.京大の後にお世話になったのが,東北大学災害制御研究センターの津波工学研究室だった.地震系のハザードについては素人同然であり,津波そのものの研究をしたわけではなかったが,津波災害に伴う避難など,災害と人の関わりに関する調査研究を行う機会を与えていただいた.現在所属している岩手県立大学総合政策学部は,いわゆる学際系の学部であり,そのなかで,地域災害論という,災害そのものについての専任教員として活動させていただいている.

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解説記事2件が掲載

最近,下記の記事が刊行されました.

登内道彦・牛山素行,2007:気象ビジネスII 応用気象と気象災害,天気(日本気象学会誌),Vol.54, No.2, pp.123-128.

牛山素行,2007:自然災害を学ぶ,自然災害科学,Vol.25, No.5, pp.442-444.

いずれも,学会誌の解説記事です.一つめの方はあと2ヶ月ほどすると学会web上でも公開されますので,その時あらためて紹介いたします.ふたつめの方は短文ですので,この後ブログ上で何回かに分けて掲載したいと思います.

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2007年1月23日 (火)

平成18年7月豪雨による災害の特徴・刊行

Web上では既に公開しておりましたが,下記速報が刊行されました.

牛山素行・國分和香那,2006:平成18年7月豪雨による災害の特徴,自然災害科学,Vol.25,No.3,pp.393-402.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/2006JSNDS.pdf

pdfファイルを,学会誌をスキャンしたものに差し替えております.

ちなみに,こういった原稿はほとんど「業績」としては認められません.そのことは重々承知の上で,災害の度にこのような原稿を書いております.「速報」の場合,印刷媒体に比較的早く掲載されること,「研究」として見なされない分,問題提起など,内容が比較的自由に書ける事などに価値を感ずるためです.災害調査速報を,少しでも「研究」に近づけるためには,更に別の原稿にしなければならないわけですが,これがなかなか進まず,悩むところです.

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2006年12月12日 (火)

内閣府広報「ぼうさい」に紹介記事

内閣府が発行している「ぼうさい」という広報誌がありますが,その最新号(第36号)に当方の研究内容が紹介されました.

広報「ぼうさい」No.36
http://www.bousai.go.jp/kouhou/pdf/kouhou036.pdf

誌面の19ページ付近です.紹介されている内容は,災害情報学会で発表した津波予報に対する避難意向についての調査結果です.この話題,これほどいろいろと紹介をいただけるとは思っていませんでした.

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2006年10月30日 (月)

災害情報学会予稿原稿を公開

本年および昨年の日本災害情報学会の予稿集原稿を公開しました.

吉田淳美・牛山素行,津波経験地域における住民の危険認知について,日本災害情報学会第8回研究発表大会予稿集
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/2006JSDIS_Y.pdf

牛山素行,2005年8月16日宮城県沖の地震時の住民による情報利用実態,日本災害情報学会第7回研究発表大会予稿集
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/2005JSDIS.pdf

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2006年10月20日 (金)

平成18年7月豪雨・とりまとめ速報の公開

下記の論文等をPDF版にて公開いたしました.

牛山素行・國分和香那,2006:平成18年7月豪雨による災害の特徴,自然災害科学,Vol.25,No.3,(受理済み).
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/2006JSNDS.pdf

平成18年7月豪雨による災害についての当方の調査結果をとりまとめたものです.日本自然災害学会誌「自然災害科学」の次号に掲載予定の原稿ですが,査読完了し掲載決定いたしましたので公開いたします.

平成18年7月豪雨研究関係情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20060719/

に掲示している情報をとりまとめたものですが,今回公開したものの方が,読みやすくなっていると思います.

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2006年8月15日 (火)

「消防防災」誌に寄稿

東京法令出版の発行している「消防防災」誌に,下記の寄稿が掲載されました.発行は7月30日付けでした.

牛山素行,2006:災害情報に対する誤解,消防防災,2006年夏季号(Vol.5, No.3),pp.71-77.

「消防防災」誌のweb
http://www.tokyo-horei.co.jp/bosai/
http://www.tokyo-horei.co.jp/bosai/200607/

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2006年8月 4日 (金)

洪水ハザードマップと防災情報に関する調査報告書の公表について

 岩手県立大学総合政策学部牛山研究室では,社団法人日本損害保険協会(会長 児玉 正之)と共同で、全国市町村に対して、洪水ハザードマップをはじめとする防災情報の整備・活用の実態にかかるアンケート調査を実施し、その結果を分析した「洪水ハザードマップと防災情報に関する調査報告書」を取りまとめました。

損害保険協会によるリリース文
http://www.sonpo.or.jp/action/release/news_06-020.html

この調査の主な結果は以下の通りです.

1.調査手法(概要)
 全国市町村の防災担当者を対象に、郵送送付・郵送回収法で実施。調査票は、2005年7月19日に送付、10月11日到着分で締切。調査対象は、2005年6月20日現在で存在した2393市町村(東京都23特別区を含む),有効回答は1089件、回収率45.5%。

2.調査結果速報(抜粋)

  • 洪水ハザードマップ作成率は2003年調査と比べ明らかに向上したが、25%程度.未作成市町村の7割は作成に向けた具体的な行動を起こしていない。作成されているハザードマップの76.3%は2001年以降に発行されたものであり、水防法改正などの法制度の整備による好影響は明らかに出ている。
  • ハザードマップ作成後に何らかのフォローアップを行った市町村は、2003年調査に比べやや増加したが、33.8%。ハザードマップは作成・配布がゴールではなく、作成後の活用方法の検討、提案が必要である。
  • 82.0%の市町村がハザードマップ作成や普及のための人材が不足していると考えている。ガイドラインの整備や、自主的な取り組みを期待するだけではなく、国などによる流域一括作成など、市町村に対する、技術的、人的面でのより積極的な支援が望まれる。
  • 防災マップ作りなどの防災ワークショップは15.1%の市町村で実施されている。防災マップの作成市町村のうち、40.2%が「住民だけ」で作成していると回答した。住民だけで取り組むことが「自助・共助」ではなく、問題点の見落としや、技術的な誤解が生まれる可能性も否定できない。より広範な専門家との協働が望まれる。
  • ハザードマップ作成後に、指定避難場所の変更を行ったのは、浸水想定区域内に指定避難場所があった市町村の3割程度.避難勧告を出す際に、ハザードマップを参考にした市町村は、避難勧告を経験した市町村の4割程度.まずは、市町村自身が活用できるハザードマップを作成することが必要.
  • 2003年7月の水俣土石流災害時に指摘された、夜間・休日の市町村役場における初動体制に関する課題関連の改善を最近2年間に行った市町村は、10%前後に止まった。災害の教訓は、報道等で伝えられるだけでは他地域に波及しにくいと推測される。

3.備考

  • 本調査の一部は,2006年6月8日開催の「2006年度・河川技術に関するシンポジウム」(主催:土木学会)にて発表を行いました.また,今後,11月13~14日に群馬大で行われる日本自然災害学会などで発表する予定です.
  • 報告書に関しては,ご希望があれば無料にて進呈いたします.

○問い合わせ先
岩手県立大学総合政策学部 牛山研究室
牛山 素行 助教授
E-Mail ushiyama@disaster-i.net(最も確実です)
Fax & Tel 019-694-2722
http://www.disaster-i.net/

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2006年8月 1日 (火)

10年前のインターネット事情など

以下の2点の文献を電子化(PDF)し,公開しました.

牛山素行・松村哲也・井上裕・俣野敏子,1996:南箕輪キャンパス内の情報交換におけるコンピューターネットワークの活用[PDF],信州大学農学部紀要,No.33,pp.27-39.
 http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/1996kiyou.pdf

牛山素行・安部祥・金田資子・今村文彦,2004:地域型防災マップ作成ワークショップに関する基礎資料[PDF],津波工学研究報告,No.21,pp.83-92.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/2004tsunami_WS.pdf

前者はもはやかなりの「古典」で,表記してある内容もかなり時代を感じさせます.少し調べ物をしていて思い出した文献でしたので,一つの記録として公開することにしました.

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2006年7月15日 (土)

台風0514号による宮崎県日之影町での災害に関する論文公開

disaster-i.net本館にて,下記の論文を公開しました.

牛山素行,2006:台風0514号災害時の宮崎県日之影町における避災と災害情報,第3回土砂災害に関するシンポジウム論文集
http://www.disaster-i.net/notes/2006dosya.pdf

本論文は,土木学会主催の,

第3回 土砂災害に関するシンポジウム
http://www.jsce.or.jp/branch/seibu/sirase/h18_07dosya_frame.htm

で発表するものですが,すでに査読終了し,受理されましたので,先行公開します.

台風0514号による災害の際,宮崎県日之影町では,34棟の全壊家屋を伴う洪水,土砂災害に見舞われましたが,死者・行方不明者はまったく生じませんでした.いわば,避災の成功例と言え,この「成功」の要因について検証を試みたものです.この事例では,最近整備された「災害情報」は,特別な役割は果たしていなかった,というのが結論です.

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2006年6月 6日 (火)

河川技術に関するシンポジウム

 6月7日~8日に,土木学会 主催による河川技術に関するシンポジウム が行われます.

 牛山は,日本損害保険協会との共同研究による,下記研究を,8日に発表します.

牛山素行・新村光男・召田幸大・山口兼由,2006: 市町村による豪雨防災情報活用の実態分析,河川技術論文集,Vol.12

論文へのリンク
http://www.disaster-i.net/notes/2006kasen.pdf

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