2009年10月10日 (土)

降水量ってなんですか

07_  地表面に降った降水が、浸透、流出したり、蒸発したりせず、そのまま地表面に溜まったとした場合の水の深さをmm(ミリメートル)単位で計測したものを降水量といいます。最も簡単な方法,あるいは考え方としては、入口からそこまでの形が変化しない容器(たとえば茶筒)を地表面に置き、雨を貯め、貯まった水の深さをはかることによって観測することができます。貯まった水の「量」を測るものではありませんから,容器の大きさによって観測値が変わったりする事はありません。雪などの固形降水の場合は、それを溶かしてできた水の深さを測ります.

 雨量という言葉もよく使われますし,間違った言葉ではありません.専門分野によっては雨量という言葉の方が一般的である事もあります.厳密に考えるのであれば,降水量という場合は,雪などの固体降水の形で降ってきたものも含めたものであり,雨量というのは液体の水で降ってきたもののみを指す事になります.雨なのか雪なのかわからない観測値が含まれている場合は,降水量と言った方が適切でしょう.例えば,明らかに冬は雪が降る札幌で,「年雨量は**mm」と言うのは適切ではなく,「年降水量は**mm」と言うのが適切です.

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2009年10月 8日 (木)

警報になりそうなとき[覚え書き]

これも覚え書きです.

現在発表される気象に関する注意報・警報では,「今のところ注意報だけれど,今後警報になる可能性がある」場合には,その旨があらかじめ発表されるようになっています.

たとえば,10月7日19時35分に静岡地方気象台から発表された情報の一部を挙げます.
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平成21年10月 7日19時35分 静岡地方気象台発表

富士山南東 [発表]雷,高潮注意報 [継続]大雨,強風,波浪,洪水注意報
 特記事項 8日未明までに大雨警報に切り替える可能性がある
      土砂災害注意 浸水注意
      8日明け方までに暴風警報に切り替える可能性がある
      8日明け方までに波浪警報に切り替える可能性がある
      8日未明までに洪水警報に切り替える可能性がある
 高潮 8日6時頃から8日9時頃まで ピークは8日8時頃
   最大潮位 内浦 TP上 1.2メートル
 土砂災害 7日夜遅くから8日昼過ぎまで
 浸水 8日未明から8日昼前まで 雨のピークは8日明け方
    1時間最大雨量 50ミリ
 風 8日未明から8日夜のはじめ頃にかけて 以後も続く 北東の風のち西の風 ピークは8日明け方
   最大風速 陸上 20メートル 海上 25メートル
 波 7日夜遅くから8日夜のはじめ頃にかけて 以後も続く ピークは8日朝
   波高 7メートル
 洪水 8日未明から8日昼前まで
 付加事項 竜巻 うねり
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静岡県の「富士山南東」地区(御殿場市,三島市,沼津市など)は,この時点で雷,高潮注意報が新たに発表され,大雨,強風,波浪,洪水注意報が引き続き発表されている,という内容になっています.この地区ではこの時点では警報は発表されていないわけですが,「特記事項」として,今後,だいたいいつ頃に,警報に切り替えられる可能性があるという情報が挙げられています.

「まだ注意報だから大丈夫だと思っていた.警報になりそうなときはあらかじめ知らせて欲しい」という意見を聞くことがあります.

★そのニーズはすでに満たされています★

無論,現象の変化が急激で,本当に急に警報発表となる場合もありますから,常にこのような発表形態になるとは限りません.しかし,情報が進歩していることも確かです.情報が足りない足りないと嘆く前に,探してみましょう.聞いてみましょう.

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高潮・高潮警報[覚え書き]

高潮とは,台風などの発達した低気圧が海岸付近に接近した際,風によって海水が陸側(湾側)に吹き寄せられたり,気圧の低下により海水面が上昇したりすることによってもたらされる現象です.

気象庁による高潮の解説
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/4-1.html

目に見える形態としては,津波のように,海水面全体が高くなり,陸上に洪水のように押し寄せるものとなります.単なる浸水ではなく,激しい流れを伴うことが多いため,同程度の面積が浸水したとしても,河川の洪水より構造物などに被害がもたらされやすくなります.

今回の台風2009年18号では,東海地方で高潮の発生の危険性があり,一時愛知県などに高潮警報が出ていました.8日9時時点で,静岡県遠州南には高潮警報が出ています.

Lvl_3_20091008Dev_3_20091008 浜松 市にある舞阪潮位観測所(気象庁)の潮位観測記録を,気象庁webより引用します.左が観測値で,赤線が観測された潮位,青線が天文潮位,すなわち台風等の影響がない場合の潮位です.7日18時頃から観測潮位が天文潮位を上回り始め,8日6~7時頃にピークを迎えていることがわかります.これが高潮です.右図は潮位偏差,つまり天文潮位と観測潮位の差で,台風によってもたらされた潮位の上昇の大きさに当たります.潮位偏差のピークは6~7時頃ですが,天文潮位のピーク,つまり満潮時刻はこれより若干後(8:23)になっています.満潮と,潮位偏差のピークが重なれば,実際の潮位はさらに高くなることになります.

高潮に関する潮位の呼びかけは,高潮警報として,8日0時45分に発表されました.実際の表現は以下の通り.
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平成21年10月 8日00時45分 静岡地方気象台発表

中部南」大雨,洪水,暴風,波浪警報」雷,高潮注意報」
中部北」大雨,暴風警報」雷,洪水注意報」
伊豆」大雨,洪水,暴風,波浪警報」雷,高潮注意報」
東部」大雨,洪水,暴風,波浪警報」雷,高潮注意報」
遠州北」大雨,暴風警報」雷,洪水注意報」
遠州南」大雨,洪水,暴風,波浪,高潮警報」雷注意報」
((遠州南では、8日朝の満潮時を中心に高潮に警戒して下さい。県内では、8日朝にかけて非常に激しい雨による浸水害に、また、8日昼前にかけて、土砂災害、暴風、高波に警戒して下さい。))

遠州南 [発表]高潮警報 [継続]大雨,洪水,暴風,波浪警報 雷注意報
 特記事項 土砂災害警戒 浸水警戒
 高潮 8日6時頃から8日12時頃まで ピークは8日9時頃
   最大潮位 舞阪 TP上 1.4メートル
 土砂災害 8日昼前まで
 浸水 8日朝まで 雨のピークは8日明け方
    1時間最大雨量 60ミリ
 洪水 8日朝まで
 風 8日昼前まで 東の風のち南西の風 ピークは8日明け方
   最大風速 陸上 20メートル 海上 30メートル
 波 8日夕方まで ピークは8日朝
   波高 11メートル
 付加事項 うねり 竜巻
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また,満潮時刻などの情報は,「気象情報」として7日から発表されていました.具体的な表現の一例は以下の通り.
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平成21年 台風第18号に関する静岡県気象情報 第7号
平成21年10月7日23時15分 静岡地方気象台発表

(見出し)
台風第18号は非常に強い勢力を保ったまま、8日明け方から朝にかけて静岡県に最も接近するため、暴風、高波、低地の浸水、河川の増水、土砂災害、高潮、竜巻などの激しい突風に警戒して下さい。

(本文)

<中略>

[高潮の予想]
 県内では、台風の接近する8日には、満潮時刻を中心に高潮に注意・警戒
が必要です。
 8日の満潮時刻は、
 清水港 7時56分、御前崎 8時00分
 内浦  7時53分、石廊崎 7時57分
 舞阪  8時23分

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2009年5月13日 (水)

「専門家」としての情報発信

筆者は現在,web,blog,メルマガで災害研究関係の資料,調査研究成果,コメントなどを,実名で発表しています.これらの媒体で私が記述している内容は,災害科学の研究者という「専門家」としての外向けの発言であると考えています.

災害研究と行っても幅はかなり広いですが,筆者の専門は,豪雨を中心とした自然災害にかかわる災害情報に関する話題です.また,時系列的に言うと,「災害が起こる前~まさに起こっている最中」を対象にしています.起こってから少したった後の事象,すなわち,危機管理,救出救援,復旧復興といったキーワードに関しては専門的知見を持ちません.

最近は,「防災」の範疇が広くなってきて,「防災研究をしているなら当然,危機管理の専門家なんだろう(であるべきだ)」と思い込まれることがありますが,残念ながら私はそうではありません.専門的知見を持たない以上,「専門家としてのコメント」をしてはいけないと私は考えています.意識が低い,役立たずと批判されるかもしれませんが,よく知らないことを,専門家のような顔をしてコメントする方が,私はよっぽど無責任であると考えています.

新型インフルエンザに関わる動きは,「危機管理」のターゲットの一つと言えます.私はこのテーマは全く素人なので,内容的なコメントはしませんが,この分野で(おそらく)第一線の専門家であろうと思われる複数の方々が,実名で専門的なコメントを出し続けていることには関心を持っています.

鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集
http://nxc.jp/tarunai/

楽園はこちら側
http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/

新型インフルエンザ・ウォッチング日記
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12

感染症診療の原則
http://blog.goo.ne.jp/idconsult

上記サイトに共通しているのは,それぞれ発信されている方(あるいはそのサポートグループ)が,自分はどこの何者で,何を専門としているかを簡潔に明示した上で専門的なコメントをされていることです.このテーマに関しては,岡本真さんが言っている,「学者や専門家がそれぞれ個人のウェブを管理し,最新の専門知識を競うように公開する時代」が,かなり実現しているような感じがします.

「これからホームページをつくる研究者のために」
http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post_4de8.html

自然災害研究の分野では,まだまだこういった状況にはなっていません.が,トンネルの出口は意外に近くまで来ているのかもしれません.私自身が取り残されているのでなければいいのですが.

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2007年12月20日 (木)

自然災害の『犠牲者ゼロ』を目指すために早急に取り組むべき施策

内閣府防災担当から,下記のような資料が公表されました.

「自然災害の『犠牲者ゼロ』を目指すために早急に取り組むべき施策」
http://www.bousai.go.jp/oshirase/h19/071218kisya.pdf

これは,最近私が取り組んでいる,

豪雨災害時の人的被害に関する研究
http://www.disaster-i.net/research4.html

とよく似た内容です.調べてれば比較的簡単に結果の出る話ですので,組織的に取り組まれればすぐに成果が出るだろうな,と思っていましたが,思ったより早く出てきました.少し先を越された感があり,自分の仕事の遅さが恥ずかしくなります.

いずれにせよ,「豪雨災害時の犠牲者→高齢者に集中→だから要援護者支援」という,間違いではないけれどもやや本質からずれたイメージが,少し単純すぎる,という考え方が国レベルでも出てきたことは,今後の防災を考える上でも大変歓迎すべきことだと思います.私自身も,この「豪雨災害時の人的被害に関する研究」に関し,より本腰を入れて取り組んでいかなければ,と考えています.

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2007年9月 3日 (月)

今夏の気温は「高い」で「かなり高い」にはならなかった

気象庁より,8月の天候と,夏(6~8月)の天候が発表されました.

8月の天候
http://www.jma.go.jp/jma/press/0709/03b/tenko0708.html (概要)
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/stat/tenko0708.pdf (詳細)

夏(6~8月)の天候
http://www.jma.go.jp/jma/press/0709/03c/tenko070608.html (概要)
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/stat/tenko070608.pdf (詳細)

8月16日付本欄では,「今年は6月が全国的に高温傾向,7月が逆に低温傾向でした.週間予報では,今週末以降は暑さが和らぐようですから,このまま行きますと,今年の夏季(気候統計では6~8月)全体は,「記録的な暑さ」というような状況にはならないのではないかと思います.」と書きました.

http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_a79a.html

「 夏(6~8月)の天候」の2ページの表にありますように,結果的には,6~8月の平均気温は,北日本(平年比+0.7℃),東日本(+0.4),西日本(+0.5)とも,平年比で「高い」になり,「かなり高い」にはなりませんでした.もう少し細かな地域区分(関東,東北,など)でみても,「かなり高い」地方は一つも現れませんでした.「実感」と違うかも知れませんが,今年の夏全体で見れば,「記録的な暑さ」だったとは言えないと思います.

「夏(6~8月)の天候」の「概要」にもあるように,「月毎の変動の大きい夏」だったと思います.最高気温の最大値を更新した観測所が多かったことから,瞬発的に,厳しい暑さが表れた年,というべきかも知れません.

「夏全体で見てごまかすな,ずっと暑い夏なんて無いんだろう?」と思われるかも知れませんが,「日本中」が「ずっと暑い夏」は少し前にもありました.1994年です.この年は,北日本(平年比+1.4℃),東日本(+1.6),西日本(+1.4)と,今夏とは比べものにならない状況でした.

http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/db/longfcst/table/seasonal/s199408.png

この頃は,今と平年値の統計期間が異なり,今の方が概ね気温の平年値が高くなっています.しかし,夏季の平均気温で見比べると,ほとんどの地点が0~0.3℃程度高くなっている位ですから,全国(あるいは上記の3地方くらいの広い範囲)でみれば+0.2℃程度です.従って,平年値が高くなっていることを考慮しても,1994年夏の方が明確に今夏より「日本中」,「ずっと暑かった」と言えると思います.

平成6年夏の高温・少雨(気象庁)
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/kanman/1994/1994.html

1994年は,西日本を中心に厳しい給水制限が長期化した事を思い出される方もいるかもしれません.暑さ=雨の少なさ,ではありませんが,「ずっと暑い」夏は「ずっと晴れている」夏でもあるので,降水量は少なくなりやすいと言えます.

翻って,今年は「給水制限」というニュースを耳にしたでしょうか? 9月3日現在で,googleニュースで「給水制限」と検索すると,ヒットする ニュースは最近1ヶ月に4件で,いずれも「今年の給水制限」を伝えたものではありません.朝日新聞社の検索サービス「聞蔵」で「給水制限」を検索すると,今年6~8月 のヒット数は1件,1994年6~8月は220件でした.

「聞蔵」で,同様に「猛暑」を検索すると,今年は539件,1994年は1001件でした.「実感」としても1994年は暑かったようです.「94年 AND 暑」で検索すると,2007年6~8月の間にヒットした記事は5件.ただし,いずれも94年に記録された値について単に言及しているもので,わずかに,8月17日付で「気象庁によると、猛暑だった94年8月と04年7月に2日連続で40度を超えたが、3日連続は初めて」という記事が,「1994年も猛暑だった」ということをほのかに伝えているのみでした.

たびたび申していますが,筆者は別に温暖化を否定したり,起こっている現象をことさらに過小評価しようとしているわけではありません.ただ,ほんのちょっと前のことがすぐに忘れられてしまうことが,残念でならない,というだけなのです.

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2007年8月24日 (金)

地図表示のテスト

Google Mapsのブログ等への貼り付けがさらに簡単になったようなので試してみます.

滝沢駅周辺図


拡大地図を表示

Googleマップ、ブログやWebに簡単に貼り付けられる新機能を追加(Internet Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/08/22/16658.html

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2007年8月16日 (木)

「国内最高気温更新」と言ってよいものか

ここ2週間ほど,東日本から北日本を中心に高温状態が続いていますが,本日8月16日は各地でかなり高い気温が記録されました.気象庁HPの「今日の全国観測値ランキング(8月16日) 15時30分現在」をみますと,

埼玉県 熊谷 40.9℃ 14:42
岐阜県 多治見 40.9℃ 14:20

という記録が見られます.この記録を元に,「国内最高気温が更新された」という報道が一斉に為されました.

<国内最高気温>40.9度 岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市(毎日) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000044-mai-soci

埼玉・熊谷も40・9度 日本最高に並ぶ(産経) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000925-san-soci

多治見と熊谷で40・9度…74年ぶり国内最高気温(読売) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000005-yom-soci

この情報は,間違いというわけではありません.「日本の気象官署及びAMeDAS観測所における最高気温」は,1933年7月25日の山形における40.8℃ですから,これを更新したことは確かです.しかし,これより高い気温がいくつか記録されていることも確かであり,よく知られているところでは,1923年8月6日の徳島県撫養における42.5℃という記録があります.

この撫養の記録を「非公式の記録」と呼んでいる例が散見されますが,同意できません.この記録は,区内観測所と呼ばれる,AMeDAS観測網展開(1970年代中頃)以前に,気象庁が各地の役所や個人などに委託して観測を行っていた観測所で記録されたものです.気象庁と全く関係のない組織が独自に行っていた観測というわけではありませんし,昔の気象庁の刊行物(「観測所気象月報」など)には部内のデータとして掲載されていたものです.

気象庁HPの,「ホーム > 気象統計情報 > 過去の気象データ検索  > 歴代全国ランキング」には確かにこの記録は載っていません.しかし,このページに載っているものが「公式記録」で,それ以外は「非公式」だなどということは,気象庁HPには書かれていません.

このページの掲載条件としては,「全国の現在観測を行っている観測所について、観測開始または移転等により観測環境が変わった時からの観測史上1位の値を地点ごとに比較し、大きい順(または小さい順)に上位10位を示しました。」とありますから,AMeDAS化の際にほぼ全てが移転・観測環境が変化した区内観測所のデータが載っていないのは当たり前のことで,「公式」とか「非公式」といった次元の話ではありません.百歩譲って,区内観測所が「気象庁の職員により直接管理された観測所ではないから,非公式観測所」だと考えるとしても,やはりこのページに掲載されている記録のみが「公式記録」であるとは思えません.「気象庁の職員により直接管理された観測所」であり,現在は全廃された,「気象通報所」の記録が,このページには収録されていないからです.このページに収録されているのは,電子化されたデータ,と言った方がよいかと思います.

ちなみに,この記録は「気象庁監修 気象業務支援センター発行 気象年鑑」には掲載されています.

無論,今日が記録的な暑さだったこと自体を否定するつもりはありません.また,昔の百葉箱での気温観測では,晴天時には気温が高めに出る傾向があるという問題もあり,撫養の記録を無条件で現代の記録と比較することにも難しい面があります.ただ,区内観測所の記録のような,先人が汗水垂らして蓄積してきたデータがあっさり踏みにじられる(無視される)ことに対して,どうしてもやりきれない思いがする,というだけです.

昔のことや,目立たないことがあっさり忘れられる,というのは,なにも数十年も前の話だけではありません.ここ数日のメディアだけを見ていると,「今年は猛暑,地球規模で暑い」という印象が持たれそうです.

この記事など完全にその論調.
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070813-00000933-san-soci

Tem5dhi00_2 Tem30dhi00 5日平均気温で見ると,東日本,北日本での平年偏差が非常に高くなっています.しかし,西日本太平洋側などはそれほどのことはなさそうで,厳しい暑さは「地球規模」どころか,「全日本」ですらなさそうです.更に,30日平均でみると,ほとんど平年並みの所ばかりのようにすら見えてきます.今年の7月が比較的低温だったためです.

「実感と違う,データを使ったごまかしじゃないか」と思うかも知れませんが,気候統計とはこういうもので,逆に言えば,「目先の印象の影響を受けやすい我々人間に知恵をつけてくれるために気候統計が存在する」と言ってもいいでしょう.

今年は6月が全国的に高温傾向,7月が逆に低温傾向でした.週間予報では,今週末以降は暑さが和らぐようですから,このまま行きますと,今年の夏季(気候統計では6~8月)全体は,「記録的な暑さ」というような状況にはならないのではないかと思います.

6月の天候(気象庁)
http://www.jma.go.jp/jma/press/0707/02a/tenko0706.html
7月の天候(気象庁)
http://www.jma.go.jp/jma/press/0708/01b/tenko0707.html

人間は忘れやすいものです.それは仕方がありません.また,広い範囲に目を行き届かせるということも容易なことではありません.私自身,けっして人に偉そうなことが言える者ではありません.しかし,だからこそ自戒を込めて言いたいのです.あと少し,ほんの少しでいいのです.◆時間的に,空間的に広い眼を持ちたい◆

ここ数日,過去の豪雨災害による人的被害の整理分析をしていました.あとほんの少しでよいから,時間的・空間的に広い眼で自然(災害)をみていたら・・・,と悔やまれる事例をいくつも見ました.今日の記事がいつにもまして感情的なのは,このためかも知れません.失礼いたしました.

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2007年5月 8日 (火)

八幡平市大更地区の流れ山など

Dscf0695 5月4日に,岩手県八幡平市内を中心に,岩手山が作った地形などの観察をしてきました.私は火山が専門ではないので,説明がいささかあやしいですが,岩手山は第三紀以降少なくとも6回の山体崩壊を起こしており,山麓部に様々な火山特有の地形を見ることができます.

写真は,八幡平市大更地区でみられた流れ山の姿です.この付近では大小様々なサイズの流れ山を見ることができます.地質調査総合センター刊行の岩手山火山地質図によると,約7千年前に発生した,平笠岩屑なだれ(岩手山としては最新の山体崩壊)の痕跡の一部のようです.

岩手山火山地質図
http://www.aist.go.jp/RIODB/db099/volcmap/13/

平笠岩屑なだれの堆積物は,岩手山北東側の旧西根町付近に広く堆積しており,一部は盛岡市街地にも見られます(これが山体崩壊と同時に流下したものか,後日流下したものかは確定されていない模様).岩手山南東~南側山麓には,約12万年前の大石渡・小岩井岩屑なだれの堆積物などが広く覆っており,滝沢村,盛岡市,雫石町などのかなりの部分が岩屑なだれ堆積物の上に立地していることになります.岩手県立大学もまさにその中にあります.

山体崩壊は,発生すればその影響範囲の生物,人口構造物はほぼ壊滅すると思われ,現代の防災技術で対処できることはほとんどありません.早期避難による人的被害の軽減くらいでしょう.その発生する確率が,通常 の火山噴火や被害をもたらす程度の地震などに比べれば非常に低いこともあり,具体的な対策はほとんど考えられていないと言っていいでしょう.

このような破局的な災害に対してどのように「備え」をするかについては,まだ議論の緒についたばかりであり,様々な意見が存在しているのが現状です.このようなテーマに取り組んでいる,知り合いの火山学者の方々のページをご紹介しておきます.

静岡大学 小山真人研究室
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Welcome.html

群馬大学 早川由紀夫研究室
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/index.html

私自身,「こうすべきだ」という考えは固まっていません.少なくとも「ここではこういう事があり得る(過去にはこういう事があった)」という事を知っておくことだけは必要だ,とは思います.ただ,それが単なる脅し,恐怖心の植え付けに終わってしまってはだめだとも強く思います.できることは必ずある.けして希望は捨てずに,具体的な対策を考える,というところでしょうか.考え方の基本は,他の災害とまったく同じだと思います.

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2006年6月18日 (日)

紫波地域気象観測所

P1000772気象庁の紫波地域気象観測所(AMeDAS).

 2006/06/17訪問.城址の公園内にあります.このように多くの人がすぐ近くまで接近しそうなAMeDASは割に珍しいと思います.紫波町中心街の近傍にありますが,中心街からは比高80mほどの丘の上にありますので,冬季の冷え込んだときなどは気温がやや高め(「低め」の間違いではありません.晴天で放射冷却が強いときは冷気が盆地底にたまりやすいので低地の法が気温が低くなります)に出ることがあるかもしれません.建物のすぐ脇にあるので,風向によっては降水量が少なめに出るかもしれません.

●観測所諸元(気象庁作成の地域気象観測所一覧表より)
都府県支庁    岩手
管理官署    盛岡
観測所番号    33501
種類    四要素(気温,降水量,風,日照時間)
観測所名    紫波
カタカナ名    シワ
所在地    紫波郡紫波町二日町字古舘地内 
緯度(度)    39
緯度(分)    33.8
経度(度)    141
経度(分)    10.4
海面上の高さ(m)    170
観測開始年月日    昭52.1.1

観測所位置図(Mapion)

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