12月27日豪雨被災地を現地踏査
本日12月30日,27日の豪雨で被害が生じた,岩手県沿岸北部の各地を現地踏査してきました.岩手県内では,豪雨の翌日からは断続的に雪となっており,被災地では,流出してきたばかりの土砂の上に雪が積もるような光景が見られました.
宮古市内では緑ヶ丘地区などで床上浸水が生じました.同地区は,周囲よりわずかに低地(0.5~1m程度)となっている場所で,住宅が密集していますが,床上浸水が生じたと思われる場所は,ほぼ半径50m程度の狭い範囲内にありました.日常は余り意識しないわずかな高低差が,災害時には影響してくることをあらためて感じさせられました.
今回の災害では,土砂災害による住家の全半壊は生じなかったようですが,斜面崩壊や渓流からの土砂流出,水田畦畔の浸食などは各地で見られました.宮古→田野畑→普代→野田と走った範囲内でみられたもっとも規模の大きい土砂流出は,普代村普代地区のものでした.土砂によって損壊した家屋は見られませんでしたが,渓流の勾配がほぼ水平となる国道45号線付近では,渓流の周囲約100m位の範囲に土砂の堆積が広がっていました.
1:20万地質図を見ると,付近の基岩は花崗岩類で,流出している土砂もマサ土でした.1999年の広島災害を思わせる光景で,花崗岩地帯での豪雨の恐ろしさをあらためて感じさせられました.すでにかなり後片付けが進んでいますが,おそらく当初は国道上にも堆積していたと思われます.堆積物の中には数十cm程度のレキも見られました.
本日見た限りでは,「思いもかけないところで,思いもかけないことが起こっていた」という状況は確認できませんでした.だから,たいしたことではない,などという話ではありません.災害の起こる可能性のある場所は無数にあり,たまたま生じた条件の組み合わせにより,実際の被害が生じるという,災害の基本的な性質(怖さ,困難さ)をあらためて感じさせられました.