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2007年1月19日 (金)

171は携帯しか持っていない人は使えません

NTT東西両社が用意している「災害用伝言ダイヤル171」というサービスがあることは,ご存じの方も多いと思います.

災害用伝言ダイヤル(NTT東日本)
http://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/index.html
災害用伝言ダイヤル(NTT西日本)
http://www.ntt-west.co.jp/dengon/

大規模災害時に,電話回線が輻輳し,通常の方法では有線談話,携帯電話相互の通話が困難となった場合に,音声を録音しておくことによって間接的に連絡を取り合うことができるシステムです.1998年の栃木・福島豪雨の時に初めて実践運用され,その後,大規模災害のたびに開設されています.

毎月1日には,体験利用ができるほか,防災とボランティア週間(1/15~21)などにも体験利用ができます.1月は,正月三が日も体験利用ができますので,1年でもっとも体験利用のチャンスがある月となっており,いろいろなところで紹介もされています.

災害用伝言板・伝言ダイヤルの体験利用実施中
http://rescuenow2.cocolog-nifty.com/bousai/2007/01/121_29cc.html

ここ数日のブログを見ても,いくつか取り上げている記事が見受けられます.

追憶
http://okage.blog37.fc2.com/blog-entry-220.html
171を知っていますか
http://angel.ap.teacup.com/pinkcandies/338.html
1.17メモリアルデイ
http://dbfactory.exblog.jp/6350399
阪神大震災から12年
http://flyingace.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_2f6e.html

171は認知度も上がってきており,当方の2005年8月の宮城県での調査では,9割の回答者がその存在を認知していました.

8月16日宮城県沖の地震時の情報利用に関する調査結果(速報)について[PDF]
http://www.disaster-i.net/disaster/20050816/050905rs.pdf

災害情報においては,「よく認知されている」ということは極めて重要なことで,どんなに優れた情報(あるいは情報システム)であっても,認知されていなければ何の役にも立ちません.その意味で,171はたいへん期待の持てる災害情報システムに成長したと考えています.

ただ,注意しなければならないのは,「171は,携帯電話しか持っていない人には利用できない」ということです.

「ウソつけ,NTTのページに『災害用伝言ダイヤルがご利用可能な電話は、加入電話・公衆電話・ひかり電話及び、災害時にNTTが避難所などに設置する特設公衆電話になります。携帯電話・PHSからも利用できますが、詳しくはお客様がご契約されている通信事業者へご確認をお願いします。』と書いてあるじゃないか」,と思われるかも知れません.

「携帯電話・PHSからも利用できます」は間違いではありません.携帯電話から171へかければつながりますし,伝言を録音することも確かにできます.しかし,171では,伝言の録音の際のID兼パスワードとして,「被災地の有線電話の電話番号」が使われ,この「電話番号」として携帯電話の番号は使用することができません.従って,被災地内に有線電話回線を持っており,携帯電話も持っている,という人は,携帯電話から171に伝言を録音することができます.しかし,被災地内に居住し,携帯電話しか持っていないという人は,171に伝言を登録することはできません.

ややこしいと思うでしょうが,ともかく,体験利用の日に,携帯から171に電話をかけ,携帯の番号で伝言が登録できるかを試してみてください.おそらく,できないはずです.

携帯電話各社は,「災害用伝言板」というサービスを用意しています.これは,災害時でもつながりやすくなっていると言われていますので,選択肢の一つになるでしょう.ただ,あらかじめ「災害用伝言板」をブックマークに入れておいた方がよいでしょう.通信混雑時には,携帯各社のトップページ(iメニュー,EZトップメニューなど)にたどり着けない可能性がありますので.

「災害時にはメールが使える」とも言われます.これもウソではありませんが,誤解があると思います.何度もリトライしないと送信できなかったり,配信にかなりの時間がかかるなど「音声通話よりはましだが,普段通りには使えない」ことが,上記の調査でも確認されています.

災害時の連絡手段で,「普段通りに使える」ようなものはないと思うしかありません.各自の必要性,利用可能性を考慮して,複数の手段を考えておく,くらいが,我々にできる「備え」かもしれません.

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