浸水想定区域内に防災施設があることは珍しくありません
阪神・淡路大震災の日の前後のためか,防災関係の記事が多くなってきています.本日の報道で目についた記事は下記.
都内の食糧備蓄庫に浸水の恐れ、政府が移転などを検討(Yahooニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070117-00000105-yom-soci&kz=soci
「国や東京都が食糧などを備蓄している都内の倉庫19か所のうち、過半数の10か所が大規模水害時の浸水想定区域内にある」などと紹介されています.似たような調査を当方でも行っています.2005年に全国の市町村を対象として行った調査では,洪水ハザードマップを作成している市町村の内,ハザードマップ作成前の時点で「浸水想定区域内に指定避難場所があった」という市町村が,有効回答398件の53%ありました.
牛山素行・新村光男・召田幸大・山口兼由,2006:市町村による豪雨防災情報活用の実態分析,河川技術論文集,Vol.12,pp.163-168.
http://www.disaster-i.net/notes/2006kasen.pdf
このことを批判する気はありません.地形的に,市街地のほとんどが浸水想定区域内にあるような都市はまったく珍しくないでしょうから,「浸水想定区域内に避難場所を置かざるを得ない」ことも十分あり得ます.また,浸水の可能性が低い遠方に指定避難場所を置いても,実際には利用されないといったケースもあり得るでしょう.
「浸水想定区域内に防災施設を置かない」というのは,実現困難な理想論だと思います.それぞれの地域の実情に応じた具体策(どこそこ避難所は浸水するから避難者の受け入れはするが,資材は低層階に置かないことにする,など)を考えていくしかないと思います.肘用に面倒で時間はかかりますが・・・
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