気象庁・予報用語の改正
気象庁では,4月から天気予報などの気象情報で用いる用語の一部を改正して発表するようになりました.
予報用語の改正について(気象庁web)
http://www.jma.go.jp/jma/press/0703/29b/yougo_kaisei.html
気象庁では,この改正に先立って,用語の見直しについての「ご意見募集」をしていました.
「予報用語」の見直しについてのご意見募集
http://www.jma.go.jp/jma/press/0702/23a/yougo_iken.html
上記「予報用語の改正について」のページでも示されていますが,この「ご意見」に対する気象庁の対応が以下にまとめられています.
予報用語の見直しに対する主なご意見への回答
http://www.jma.go.jp/jma/press/0703/29b/yougo_kaitou.pdf
実は,私もこの「ご意見募集」に意見を投稿していました.投稿した意見は以下のようなものでした.
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■用語名「豪雨」の「用例」について
この語の「用例」では,「「○○豪雨に匹敵する大雨」等の表現を用いる。」とありますが,運用上,かえって誤解を招く可能性があると思います.
言うまでもないこととは思いますが,気温と異なり,降水量は,「激しさの度合い」が,時間的にも(1時間降水量,24時間降水量,等々),空間的にも(A地方,B地方,,,)まったく異なり,「×mm以上が豪雨」という目安を示すことが極めて困難です.
たとえば,24時間降水量400mmという現象を「東海豪雨に匹敵する大雨」と呼ぶこととすると,高知県あたりでは,数年に1回は「東海豪雨に匹敵する大雨」が起こることとなってしまいます.あくまでも,「匹敵する」の比較対象は,同じ地域内であることを,はっきりさせておかなければならないと思います.
「○○豪雨に匹敵する大雨」は,メディアが好みそうな表現であると感じますので,発表すれば,広く伝えられやすいと思います.従って,むやみに発表すると「豪雨」の濫発となり,かえって警戒心を失わせることにもつながりかねないことを懸念します.
用例としては,単に「「○○豪雨に匹敵する大雨」等の表現を用いる。」ではなく,やや迂遠かも知れませんが,「当該地方で過去に発生した「○○豪雨に匹敵する大雨」等の表現を用いる。」などととした方がよいのではないかと思います.
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私の「持論」のようなもので,本ブログではしばしば書いている趣旨の内容です.この意見に対して,「予報用語の見直しに対する主なご意見への回答」に中に言及があり,「当該地方で過去に発生した「○○豪雨に匹敵する大雨」等の表現を用いる。」という部分について,新しい予報用語の指針の中に盛り込んでいただけたようです.取り上げていただけるとはあまり思っていなかったので,少しうれしく思いました.
私も災害に関するアンケートなどで,様々な方の「意見」を聞く機会があります.お恥ずかしいことですが,それらの「意見」に対して,なかなか対応ができないのが現実です.回答者の気持ちをよく考えなければ行けない,と,あらためて肝に銘じました.
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