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2007年9月30日 (日)

岩手日報で報道されました

9月25日付岩手日報に,当方の豪雨災害による人的被害に関する研究の紹介記事が掲載されました.

豪雨災害死、目立つ事故型 県立大が調査
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20070925_2

岩手県でも被害があった9/17~18の豪雨災害の事例にも触れ,今後の教訓といった位置付けの記事になっています.文中では紹介がありませんが,9/26の自然災害学会での発表内容をベースにしていただいています.

あんまり明るい研究テーマではないのですが,基礎的な事で,誰かがやり続けなければならないテーマだと考えて取り組みを続けています.

2007年9月28日 (金)

自然災害学会の予稿を公開

9/22付け本欄
https://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_d5fe.html

で紹介しましたように,9/25~26の間,札幌市の北海道大学大学院工学研究科で,第26回日本自然災害学会学術講演会が開催され,出席,発表してきました.予稿集原稿を,以下のように公開します.

牛山素行,2005~2007年の豪雨災害による人的被害の分類,第26回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,pp.219-220,2007年9月26日.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/2007JSNDS.pdf

今年から,若手の表彰制度がスタートしたためもあってか,大学院生など若手の発表がやや増えた感じがしました.分野的にも,以前より幅が広がっている気がします.災害研究に関する基幹となるべき学会だと思いますので,ますますの発展を期待したいところです.

2007年9月23日 (日)

東京新聞で報道されました

少し遅ればせになりましたが,9月13日付の東京新聞・中日新聞に,当方のコメントが報道されました.web上では,中日新聞のサイトで見ることができます.

洪水に備えて ハザードマップ活用 通行止め、浸水想定区域を把握
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2007091302048408.html

内容はご覧いただけば分かりますが,当方で行っている,豪雨災害時の人的被害に関する話題です.

若干補足説明をいたしますと,文中の,

「財産の被害は防ぎきれないが、生命は情報・知識で守られる。土砂崩れの危険がない限り、家の中にいた方が安全な場合が多い」

というくだりは,少々誤解を受けやすいかも知れません.「土砂災害の場合は自宅での被災が多く,洪水,事故型など他の被災形態の場合は自宅外の屋外での被災が多い」という調査結果を記事にしていただいた部分ですが,「家の中にいた方が安全な場合が多い」とまで言い切るのは少し難しいかも知れません.「家の中にいた方が安全な場合もある」というところでしょうか.

災害時にどう行動するか?,は,単純化・共通化した「正解」がありません.それぞれの辞書材場所や災害の種類によって,「どうすべきか」が変わります.日頃から「自分はどうすべきか」という想定を,少しでも多く行っておくことが重要ではないでしょうか.

2007年9月22日 (土)

自然災害学会

日本自然災害学会学術講演会が,9/25~26に,北海道大学にて開催されます.

第26回日本自然災害学会学術講演会およびオープン・フォーラムのご案内
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsnds/contents/20070925/

牛山は,26日に「2005~2007年の豪雨災害による人的被害の分類」のタイトルで発表の予定です.また,26日の第3会場第5セッションでは,座長を務めさせていただく予定です.

2007年9月21日 (金)

秋雨前線豪雨・現地踏査写真を追加

2007年9月秋雨前線豪雨災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20070917/

に,下記の現地踏査写真を追加しました.

  • 岩手県盛岡市 北上川・木賊(とくさ)川の状況(2007/9/17,18)
  • 岩手県盛岡市三本柳(2007/9/18) 水位の下がりはじめた北上川
  • 岩手県盛岡市三本柳 都南幼稚園付近(2007/9/18) 浸水による避難勧告が出された地域.道路に残る浸水.
  • 岩手県一関市 一関遊水池(2007/9/19) ほぼ全面的に冠水した一関遊水池,狭窄部を流れる北上川.
  • 岩手県西和賀町川舟付近(2007/9/19) 橋の落下と斜面崩壊.
  • 岩手県雫石町 山伏峠付近(2007/9/19) 県道沿いに多く見られた土砂流出
  • 岩手県紫波町甘木(はたふく)(2007/9/19) バイクで走行中の男性が行方不明となった現場.洪水流による路肩擁壁の崩壊.

降水量について,被害についてのコメントも若干追加しています.

2007年9月19日 (水)

2007年9月秋雨前線豪雨災害に関するメモ作成開始

2007年9月秋雨前線豪雨災害に関するメモ
http://www.disaster-i.net/disaster/20070917/

を作成開始しました.

本日19日は,いくつかの被災現地を踏査してくる予定です.

2007年9月18日 (火)

秋雨前線による北東北の豪雨

昨日9月17日より,秋雨前線の活動により,岩手県,秋田県などで豪雨が発生しています.統計期間20年以上のAMeDAS観測所で,24時間降水量を更新した観測所が,岩手県,秋田県で21箇所に上っています.

P1030290 盛岡市周辺でも避難勧告が各地で出されました.昨夜,今朝と何カ所か現地踏査してきました.写真は今朝(9/18)6時半頃の岩手県盛岡市三本柳,都南幼稚園前の浸水状況です.位置図を下記に示します.

本日はもう作業ができませんが,本日深夜頃をめどに,webの方にもメモをまとめたいと考えています.

拡大地図を表示

2007年9月17日 (月)

リアルタイム豪雨表示システムの停止・復旧

当方管理の,リアルタイム豪雨表示システムは,ネットワーク機器故障の影響で,2007/9/15 08時頃から停止していましたが,2007/9/17 07時頃以降,概ね復旧しました.48時間降水量については,9/18 07時頃まで,72時間降水量については9/19 07時頃までエラーが残ります.

リアルタイム豪雨表示システム
http://www.disaster-i.net/rain/

2007年9月11日 (火)

東海豪雨の現地調査写真を高解像度化

今日は9月11日.2000年東海豪雨から7年が経過しました.当方が作成した,

2000年9月東海豪雨 研究関連情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20000911/

のページは,現在でも比較的多くのアクセスがあるページです.最近もこのページに関しての問い合わせをいただきましたので,少し思い立って(別の仕事うまくいかないので現実逃避気味ですが),このページ内の,

現地調査写真
http://disaster-i.la.coocan.jp/photo/20000911/

に収録している画像のサイズを,640*480ピクセルに拡大しました.

2001年頃までの当方管理のページでは,現地調査などの写真を320*240サイズで公開していました.当時はサーバ容量に厳しい制約があったためですが,今となってはさすがに小さすぎ,情報の価値が下がっていると,前から気になっていました.全てを修正するのは難しそうですので,とりあえず,アクセスの多い東海豪雨関係のみに手を入れてみました.ページ自体は,目に見えるところはほとんどいじっていませんので,なんとも素朴な作りが恥ずかしいのですが.

なお,

2007年9月台風9号(台風0709号)災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20070907/

にもいくつか加筆しています.

2007年9月 9日 (日)

台風9号被災箇所の現地調査

昨日9月8日に,台風9号接近時に「土砂災害警戒情報」がだされ,かつ実際に土砂災害発生が見られた岩手県南部のいくつかの場所などを現地調査してきました.

現地調査写真などを,

2007年9月台風9号(台風0709号)災害に関するメモ
http://disaster-i.net/disaster/20070907/

に追加しています.

2007年9月 7日 (金)

2007年台風9号災害に関するメモ作成開始

2007年9月台風9号(台風0709号)災害に関するメモ http://www.disaster-i.net/disaster/20070907/

を公開しました(21時).現時点では,ほぼ表紙だけです.今後もあまり充実はしないと思います.

今回の災害では,今のところ集中的に大きな災害は発生していないようですので,本格的な調査への取り組みの予定はありません.

ただ,土砂災害警戒情報発表地域の状況と,利活用状況に多少関心が持たれます.おそらく,岩手県内など,近場での調査を少しすることになるかと思います.

2007年9月 6日 (木)

暴風域の「赤い円」だけに注目しないで

台風0709号が本州中部に接近中です.

台風接近時の報道を見るたびに思うことなのですが,

「暴風域の『赤い円』ばかりが強調されるのはなんとかならないものか」

,と思います.少し時間が違いますが,ちょうど,下記ページにレーダーによる降雨域の画像と,台風の暴風域や進路予想の図が並んで表記されています.

チーム森田の“天気で斬る!”
http://blogs.yahoo.co.jp/wth_map/49220559.html
http://blogs.yahoo.co.jp/wth_map/49217220.html

見比べると一目瞭然ですが・・・

●暴風域=豪雨域ではありません●
●豪雨域は台風の中心よりずっとはなれています●

これらは,今回の台風の特徴ではなく,台風が日本列島付近に近づいた場合は,多くの場合このような状況が見られます.

そして,人が死ぬのは,強風より,おもに豪雨(による土砂災害や洪水)です.

牛山素行,2005:2004年台風23号による人的被害の特徴,自然災害科学,Vol.24, No.3, pp.257-265.
http://www.disaster-i.net/notes/2005JSNDS-t23hd.pdf

牛山素行・國分和香那,2007:平成18年7月豪雨による人的被害の分類,水工 学論文集(CD-ROM),No.51,pp.565-570.
http://disaster-i.la.coocan.jp/notes/20070308_0095.pdf

天気図しかなかった時代ならいざ知らず,今は,衛星画像でも,レーダーでも,いくらでも情報があります.それなのに,「赤い円」ばかりが気にかけられる状況は何とかならないものか,と思います.

被害が広がらないことを祈っています.

2007年9月 3日 (月)

今夏の気温は「高い」で「かなり高い」にはならなかった

気象庁より,8月の天候と,夏(6~8月)の天候が発表されました.

8月の天候
http://www.jma.go.jp/jma/press/0709/03b/tenko0708.html (概要)
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/stat/tenko0708.pdf (詳細)

夏(6~8月)の天候
http://www.jma.go.jp/jma/press/0709/03c/tenko070608.html (概要)
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/stat/tenko070608.pdf (詳細)

8月16日付本欄では,「今年は6月が全国的に高温傾向,7月が逆に低温傾向でした.週間予報では,今週末以降は暑さが和らぐようですから,このまま行きますと,今年の夏季(気候統計では6~8月)全体は,「記録的な暑さ」というような状況にはならないのではないかと思います.」と書きました.

https://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_a79a.html

「 夏(6~8月)の天候」の2ページの表にありますように,結果的には,6~8月の平均気温は,北日本(平年比+0.7℃),東日本(+0.4),西日本(+0.5)とも,平年比で「高い」になり,「かなり高い」にはなりませんでした.もう少し細かな地域区分(関東,東北,など)でみても,「かなり高い」地方は一つも現れませんでした.「実感」と違うかも知れませんが,今年の夏全体で見れば,「記録的な暑さ」だったとは言えないと思います.

「夏(6~8月)の天候」の「概要」にもあるように,「月毎の変動の大きい夏」だったと思います.最高気温の最大値を更新した観測所が多かったことから,瞬発的に,厳しい暑さが表れた年,というべきかも知れません.

「夏全体で見てごまかすな,ずっと暑い夏なんて無いんだろう?」と思われるかも知れませんが,「日本中」が「ずっと暑い夏」は少し前にもありました.1994年です.この年は,北日本(平年比+1.4℃),東日本(+1.6),西日本(+1.4)と,今夏とは比べものにならない状況でした.

http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/db/longfcst/table/seasonal/s199408.png

この頃は,今と平年値の統計期間が異なり,今の方が概ね気温の平年値が高くなっています.しかし,夏季の平均気温で見比べると,ほとんどの地点が0~0.3℃程度高くなっている位ですから,全国(あるいは上記の3地方くらいの広い範囲)でみれば+0.2℃程度です.従って,平年値が高くなっていることを考慮しても,1994年夏の方が明確に今夏より「日本中」,「ずっと暑かった」と言えると思います.

平成6年夏の高温・少雨(気象庁)
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/kanman/1994/1994.html

1994年は,西日本を中心に厳しい給水制限が長期化した事を思い出される方もいるかもしれません.暑さ=雨の少なさ,ではありませんが,「ずっと暑い」夏は「ずっと晴れている」夏でもあるので,降水量は少なくなりやすいと言えます.

翻って,今年は「給水制限」というニュースを耳にしたでしょうか? 9月3日現在で,googleニュースで「給水制限」と検索すると,ヒットする ニュースは最近1ヶ月に4件で,いずれも「今年の給水制限」を伝えたものではありません.朝日新聞社の検索サービス「聞蔵」で「給水制限」を検索すると,今年6~8月 のヒット数は1件,1994年6~8月は220件でした.

「聞蔵」で,同様に「猛暑」を検索すると,今年は539件,1994年は1001件でした.「実感」としても1994年は暑かったようです.「94年 AND 暑」で検索すると,2007年6~8月の間にヒットした記事は5件.ただし,いずれも94年に記録された値について単に言及しているもので,わずかに,8月17日付で「気象庁によると、猛暑だった94年8月と04年7月に2日連続で40度を超えたが、3日連続は初めて」という記事が,「1994年も猛暑だった」ということをほのかに伝えているのみでした.

たびたび申していますが,筆者は別に温暖化を否定したり,起こっている現象をことさらに過小評価しようとしているわけではありません.ただ,ほんのちょっと前のことがすぐに忘れられてしまうことが,残念でならない,というだけなのです.

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