中日新聞で報道されました
平成20年8月末豪雨に関する当方のコメントが,9月11日付中日新聞に掲載されました.
<寸断された情報・下> 頼れぬ行政 地域に対応を丸投げ
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/ntok0065/list/CK2008091102000243.html
関係箇所を引用します.
結局、頼れるのは行政ではなく、自分と地域の力しかないのか。災害情報学が専門の岩手県立大の牛山素行准教授(40)は「住民側にも普段からの備えが必要」とした上で疑問を投げかける。「直接住民の安全にかかわるような被災状況の把握や対応などを『自助・共助』の名の下に、行政は都合よく丸投げしてはいないか」
豪雨を教訓に、行政が河川改修や通信機器の整備などハード面に手を付けていったとしても、最後に鍵を握るのは人間でしかない。
あまり真意が伝わらなさそうな表現になっていますが,仕方のないところでしょうか.筆者は「丸投げしている行政機関」を批判する意図は全くありません.「行政は頼りにならないから自助,共助が大切」とは思いません.「防災は行政の仕事」から「防災は地域で」といった,極端な方向転換に疑問を抱いているものです.
「自助・共助とは,どこでも,誰でも,簡単にできて,効果の大きい防災対策」といったイメージを持って,過去の特定の災害事例(阪神大震災など)「のみ」の教訓をもとに,現代の技術・情報や地域性を無視したマニュアル的な「ぼうさいへのとりくみ」をすることに強い懸念を抱いています.
ハード対策,ソフト対策,いずれも万能ではありません.しかし,ハード対策に限界があるからといって,いきなり,「自助・共助」と称して,「だれでも,簡単にできる対策」にばかり奔るのは,いかがなものでしょうか.
現代は,整備された災害情報がいろいろとあります.災害情報といっても,リアルタイム雨量のような動的情報ばかりでなく,ハザードマップに代表される「個々の地域の災害素因を表す情報」,いわば静的情報も重要です.すでにある情報を生かさずに,「自助,共助」ばかりを強調するのは,「竹槍戦術」のようにおもえてなりません.
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