「専門家」としての情報発信
筆者は現在,web,blog,メルマガで災害研究関係の資料,調査研究成果,コメントなどを,実名で発表しています.これらの媒体で私が記述している内容は,災害科学の研究者という「専門家」としての外向けの発言であると考えています.
災害研究と行っても幅はかなり広いですが,筆者の専門は,豪雨を中心とした自然災害にかかわる災害情報に関する話題です.また,時系列的に言うと,「災害が起こる前~まさに起こっている最中」を対象にしています.起こってから少したった後の事象,すなわち,危機管理,救出救援,復旧復興といったキーワードに関しては専門的知見を持ちません.
最近は,「防災」の範疇が広くなってきて,「防災研究をしているなら当然,危機管理の専門家なんだろう(であるべきだ)」と思い込まれることがありますが,残念ながら私はそうではありません.専門的知見を持たない以上,「専門家としてのコメント」をしてはいけないと私は考えています.意識が低い,役立たずと批判されるかもしれませんが,よく知らないことを,専門家のような顔をしてコメントする方が,私はよっぽど無責任であると考えています.
新型インフルエンザに関わる動きは,「危機管理」のターゲットの一つと言えます.私はこのテーマは全く素人なので,内容的なコメントはしませんが,この分野で(おそらく)第一線の専門家であろうと思われる複数の方々が,実名で専門的なコメントを出し続けていることには関心を持っています.
鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集
http://nxc.jp/tarunai/
楽園はこちら側
http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/
新型インフルエンザ・ウォッチング日記
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12
感染症診療の原則
http://blog.goo.ne.jp/idconsult
上記サイトに共通しているのは,それぞれ発信されている方(あるいはそのサポートグループ)が,自分はどこの何者で,何を専門としているかを簡潔に明示した上で専門的なコメントをされていることです.このテーマに関しては,岡本真さんが言っている,「学者や専門家がそれぞれ個人のウェブを管理し,最新の専門知識を競うように公開する時代」が,かなり実現しているような感じがします.
「これからホームページをつくる研究者のために」
https://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post_4de8.html
自然災害研究の分野では,まだまだこういった状況にはなっていません.が,トンネルの出口は意外に近くまで来ているのかもしれません.私自身が取り残されているのでなければいいのですが.
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