山口豪雨災害・降水量に関して追記
2009年7月21日の梅雨前線による豪雨災害研究関係情報
http://www.disaster-i.net/disaster/20090721/
で,降水量関係の記述を加筆修正しました.関係箇所を挙げます.
7/21に,全国のAMeDAS観測所(1979年以降で統計期間20年以上)で,1時間降水量の最大を更新した観測所は2カ所(山口県・桜山,柳井),24時間降水量は同1カ所(山口県・防府),48時間降水量は同2カ所(防府,下松),72時間降水量は1カ所(下松)となっている.すなわち,記録的な豪雨がもたらされた地域は限定的である.1時間降水量の最大値を更新した観測所は,被害の大きかった防府とは別の場所である.
被害の大きかった防府の24時間降水量が最大値を更新しはじめたのは21日17時で,多くの土砂災害が発生した12時時点では 243.5mmと1979年以降2位で,最大値は更新されていなかった.ただし,48時間降水量の最大値を更新したのは同12時だった (257mm->285.5mm).72時間降水量は更新されなかった.1時間降水量は過去30年で2位の63.5mm(1位は68mm)で,大きいことは大きいが,突出した値ではない.
各地で土砂災害が発生した21日12時頃の後も断続的に降雨が続き,21日23時の時点では,24時間降水量275mm(1979年以降最大値250mm),48時間降水量332mm(同257mm)となり,これらが防府におけるあらたな最大値となった.しかし,主な土砂移動現象が生じたのは21日12時頃であり,「21日の最大値」を,今回の災害をもたらした代表的な観測値としてことさらに強調することは適切でない.
ここで用いているのは気象庁AMeDAS観測所の観測値である.AMeDAS防府は,防府市街地の南西にあり,真尾の老人ホームの現場からは南西約10km,下右田の国道の現場からは南に約6kmの位置にある.土砂災害が多発した現場とは降水量が異なっていた可能性もあるが,真尾の現場から西に約1kmの位置にある国交省真尾雨量観測所でも,21日12時の24時間降水量245mm,48時間降水量274mmとなっており,両地点間で雨の降り方に極端な違いはなかったものと判断される.観測所の位置は下記に.
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