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2010年4月 6日 (火)

地域属性と学校防災教育の関係に関する論文公開

下記の論文を公開しました.

太田好乃・牛山素行,2009:地域特性と学校防災教育の関係について,自然災害科学,Vol.28,No.3,pp.249-257.
http://disaster-i.net/notes/2009JSNDS28-3b.pdf

岩手県内の小,中,高校を対象として行った防災教育の実施状況などに関してのアンケート調査をもとにした解析です.内陸部と沿岸部に2分して傾向を比較すると,沿岸部の方が防災教育に関する取り組みの実施率が高いという結果が得られました.津波災害経験地ならではの結果かも知れませんが,災害に対する危険度認知では,津波以外の災害についても沿岸の方が危険度認知が高く,実際の災害危険度と認識が必ずしも関連していない可能性が示唆されました.

また,沿岸部の中でも,海岸線に近い学校での防災教育に関する取り組みの実施率がより高い傾向も認められ,この地域では津波災害が関心の中心であることが示唆されました.

特定の地域に関して,「災害に対する関心が高い」とか,「防災意識が高い」といったイメージが持たれることがあります.それが事実だったとして,無論そのこと自体は重要なことです.しかし,その関心の方向,恐れている災害の姿が本当に正しいものなのかどうかは,議論の余地があると思います.

このような指摘をすると,「人を馬鹿にしている」といった感想を持たれるかもしれません.無論筆者にそのような意図はありません.ただ指摘したいのは,特定の種類の災害に「だけ」関心を高めるのではなく,当該地域において発生可能性のある様々な災害に対して注意を払うことが重要だろう,ということです.

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