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2010年5月26日 (水)

砂防学会にて口頭発表

5月26日に,長野市で開催された平成22年度砂防学会にて,下記タイトルの発表を行いました.

牛山素行・高柳夕芳,近年の土砂災害による犠牲者の特徴,平成22年度砂防学会研究発表会概要集,pp.162-163
http://www.disaster-i.net/notes/20100526sabo.pdf

2010年5月17日 (月)

「津波の高さ」とは

ちょっと時間が経ってしまいましたが,5月4日付け静岡新聞「時評」欄に,当方の下記寄稿が掲載されました.記事では図が掲載できませんでしたので,図も添付しておきます.
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100504 「津波の高さ」とは

 去る2月28日に日本に到達したチリ地震津波の前後,津波に関する様々な知識が伝えられた.津波はあまり身近な現象ではないため,その姿についてわかりにくいところがあるかと思われるので,この機会に基本的な言葉を再確認しておく必要がありそうだ.

 筆者が非常にわかりにくいと思うのは「津波の高さ」である.津波警報の場合,気象庁から発表される解説文は「高いところで2m程度の津波が予想されますので,警戒してください」となる.これを聞いて「2mの波なら,標高2mより高いところにいれば大丈夫だな」と考えるのは誤解である.「高いところで2m程度の津波」とは,海岸付近で海面の高さが普段の高さより2m程度高くなる,という意味である.

 これは満ち潮の際に静かに海面が高くなるような現象ではなく,海面が高くなるとともに激しい流れで海水が陸上に上がって来るのだ.これを「遡上」という.遡上した津波が最終的に到達した地点の標高を「遡上高」と言い,これが「津波の高さ」より高くなることは珍しくない.たとえば,1983年5月26日に発生した日本海中部地震津波の際に秋田県能代港の験潮所(海水面を測る観測所)で観測された「津波の高さ」は最大1.94mだったが,能代港の北方数百mの海岸付近に残された痕跡からは「遡上高」7.85mが測定されている.

 

各地で過去に「×mの津波が来た」と伝えられている数字は,ほぼ「遡上高」であり,その際の「津波の高さ」はもっと小さな値であった可能性が高い.また,津波ハザードマップには,「津波の高さ」,「遡上高」,「浸水深」など,地域によって異なる値が示されていることもある.

 「津波の高さより遡上高の方が大きいのなら,遡上高を発表して欲しい」と思われるかもしれない.しかし,遡上高は「津波の高さ」に比べごく細かな地形など,ちょっとした条件の違いで大きな差が出やすく,津波発生後の詳細な調査研究段階でも再現できないことも多い.ましてや,地震直後の短時間で的確な予測を行うことは極めて困難である.また,地域による差が極めて大きいので,仮に的確な予測情報が出せたとしても,その情報をどう伝達できるのかという問題も大きい.

 想定東海地震などによる津波が到達する範囲がどのくらいかについては,静岡県が公表している「静岡県第三次地震被害想定」に津波浸水想定区域として示されている.これはあくまでも一つの想定結果で,条件の違いによっては異なる範囲に到達することもあるが,相対的に危険な地域の見当をつけることはできる.津波予報の「×m」という数字だけを見るのではなく,様々な情報を参考に津波に対する行動を考えておきたい.

2010年5月 5日 (水)

静岡新聞で報道されました

4月28日の「静岡防災情報連絡会」での当方の講演が,4月30日付け静岡新聞で報道されました.以下に引用いたします.

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警報、注意報の新発令方法 「理解進んでいない」-静岡防災連絡会

 静岡地方気象台や防災機関、報道機関などでつくる「静岡防災連絡会」が28日、静岡市葵区駒形通の県地震防災センターで開かれた。5月27日から気象警報と注意報が市町単位で発表されるようになることについて、連絡会のメンバーから「県民の理解は進んでいない」などの声が上がった。

 警報と注意報は、同日午後1時から全国一斉に切り替わる。県内は現在、中部南、遠州南など8区域ごとに発令されている。35市町37区域に分けることで、「各市町が的確に避難勧告などの防災対応を取ることができるようになる」(同気象台)という。

 静岡大防災総合センターの牛山素行副センター長は、大雨災害について、インターネットを通じて実施したアンケート結果を報告した。639件の回答のうち85・3%が「市町村警報」を知らないと答えたことなどを挙げ、「利用しやすくなったと感じている人は限られている。まずは防災関係者が活用できるようになることが大切」と指摘した。

2010年5月 1日 (土)

中日新聞で報道されました

当方で行った「市町村警報」などに関するアンケート結果に関して,4月27日付中日新聞静岡面で報道されました.以下に転載します.

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“気象警報”市町村単位で発表へ 認知度が低く、新方式へ課題
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20100428/CK2010042802000121.html?ref=rank

 気象庁は5月末から気象に関する警報・注意報の発表区域を現行より細分化して発表する。行政の効果的な災害対応に役立つといった期待の一方で、新方式への移行は一般市民にあまり知られておらず、それ以前に現行の気象警報自体が正しく理解されていない現状が、災害情報学の専門家の調査で明らかになった。細分化した情報を市民がどう正確に理解し、避難の呼び掛けがあった場合の行動に移せるか。課題は多い。

 静岡大防災総合センターの牛山素行准教授が、各種災害情報について認知状況や利用意向などを調べた。3月に調査会社を通じ、静岡、盛岡、名古屋の3市住民を対象にウェブアンケートし、計539人の回答を速報値としてまとめた。

 その結果、「気象警報」の正確な意味を問う項目で、正解にあたる「重大な災害が起こる恐れがあることを警告」を選んだのは全体の45・8%だった。45・3%は、注意報にあたる「災害が起こるおそれがあることを注意する情報」(39・7%)「災害が起こるほどではないが念のため注意すること」(5・6%)と答え、警報について本来の意味より軽く認識していた。

 5月から警報・注意報の発表区域が細分化されることは「知っていた」と答えたのが14・7%の79人で、460人は「知らない」と回答。現在の発表区域は「市町村単位くらい」(33・8%)などと誤って認識していた人が、全体の半数近くに上った。

 また雨量や水位状況を提供する「川の防災情報」や全国の河川水位が公開されていることは、それぞれ8割以上が知らなかった。

 「今ある情報すら一般の人はよく知らない」と牛山准教授。警報・注意報の発表区域細分化について「一般の人に『警報とはこういうもの』と正しい理解をするきっかけになれば。情報の出し手は、根気よく災害情報に対する認知を高めていく努力を」と求めた。

警報・注意報の改善 大雨や洪水などの警報・注意報の発表区域は5月27日以降、現行の全国375区域から原則として市町村単位の1777区域に細分化される。静岡県内は現在の8区域から37区域に。発表区域を細分化することで警戒に必要な市町村が明確になり、住民への注意喚起や自治体の避難指示・勧告の判断支援や効果的な防災対応につながるとされる。

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