読売新聞で報道されていました(5/25)
5月25日読売新聞(大阪朝刊)では,「市町村警報」に関する当方のコメントが紹介されていました.
私のコメントの趣旨は,「自治体の情報処理能力向上」ではなくて(無論それも重要ですが),我々自身を含む,情報利用者側全体が何らかの工夫をしていくことが必要だろう,ということです.
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[ニュースが気になる!]気象情報・注意報 市町村ごとに 危険迫る地域明確化
大雨、洪水、暴風、高潮などの気象警報・注意報が27日から市町村ごとの発表に変わる。災害の危険が迫る地域を明確にするため、細分化される。増える情報を正しく受け止め、防災に役立てたい。
気象庁は現在、7種類の気象警報と16種類の注意報を全国375区域に分けて出している。たとえば兵庫県は8区域に分けられ、23~24日の大雨でも「阪神」「播磨南東部」といった単位で警報・注意報が出た。それが「神戸市」「芦屋市」といった形になるわけだ。
2008年の神戸・都賀川、09年の兵庫県佐用町など、近年は局地的な豪雨で大きな被害が出ている。実際の降水域に比べて警報の出る範囲が広すぎることが防災上の課題になってきた。ほとんど雨の降っていない市町村が警報の区域に入るケースも目立った。
気象庁は、予報官の判断を支援する新システムを整えるなど、1700余りの市町村ごとに出せるよう体制を強化した。「避難勧告などの権限を持つ市町村長が判断がしやすくなる。警報の解除も早めにできる」とする。自治体側も「大まかな区域では住民にピンと来なかったが、市町村名だと危険な所が分かりやすい」(堺市)と歓迎する。
ただ、情報量が増えることへの戸惑いもある。5区域から43市町村へ増える大阪府は「警報が小刻みに発表されると各市町村への伝達に追われる。ファクス送信に手間取らなければいいが」と心配する。
速報する放送局も、▽アナウンサーが読み上げるのに時間がかかる▽字幕で画面がいっぱいになる--といった事態が考えられる。NHKはなるべく市町村ごとに伝える方針だが、広域の放送では情報量が増えるため、防災上支障のない範囲でいくつかの市町村をまとめて伝えるという。
政令指定市の区ごとの発表はなく、香川県より面積の広い岐阜県高山市から4平方キロ台の大阪府忠岡町まで同じ扱いというアンバランスも生じる。気象条件の違う区域にまたがる大津市、鳥取市など全国26自治体には今後も複数のエリアに分けて発表する予定で、気象庁は「今後、要望があれば対応を検討する」という。
せっかくの情報を防災へ生かすには、市民が正しい知識を持つことも大切だ。
牛山素行・静岡大准教授が3月、インターネット調査で「警報」の意味を尋ねると、回答した539人中、「重大な災害が起こる恐れへの警告」と正解を選んだのは46%。「災害の恐れがあると注意する情報」という注意報の説明を選んだ人が40%で、警報の意味が本来より軽視されていた。
牛山さんは「発表区域の細分化をきっかけに警報の意味を再確認し、災害に備えてほしい。自治体や企業の関係者も、あふれる情報を処理する能力の向上が必要だ」と指摘している。 (科学部 山崎光祥)
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