昨日からの奄美地方での豪雨に関し,読売新聞に当方のコメントが出ました.短くまとめられているので「視界がまった
くない状況だっただろう」というのはちょっと変な表現ですが.
なお,「過去30年間で2度だけ」というのはあくまでも2時間降水量について,AMeDAS記録の範囲内のみの話しです.1時間降水量は,今回奄美で記録されている中では大きくても130mm程度で,これはAMeDASの30年間の記録の中で少なくとも8回記録されています.また,AMeDAS以外のデータも含めれば(そういったデータを長期統計できるものが公開されていないのでできないだけなのですが),2時間260mm以上という記録も,もっと存在しているはずです.また,24時間降水量650mm以上というのも,さほど珍しい記録ではありません.今回の豪雨の特徴をまとめると,
・「奄美大島付近の過去の記録と比べると」,1時間,2時間,24時間,48時間,72時間いずれの降水量も1979年以降最大だった.
・2時間降水量については,全国の記録と比較しても,1979年以降の中で上位に位置する規模の記録だったが,1時間や24時間などについてはそれほどまで大きな記録とは言えない.
といったことになります.
記事中にもある「傘はまったく役にたたず、滝
のように降る」などの表現は,気象庁の
雨の強さと降り方
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html
によるものです.
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奄美豪雨は記録的、全国でも30年間で2度だけ
読売新聞 10月21日(木)12時0分配信
強力な台風が秋雨前線を刺激し、記録的な豪雨をもたらした。
気象庁によると、20日午後6時以降、奄美大島付近に前線が停滞。南側の太平洋高気圧や南シナ海を北上中の台風13号から暖かく湿った空気が流れ込み、南西諸島で雨雲を発達させた。
静岡大・防災総合センターの牛山素行准教授(災害情報学)によると、奄美市住用町の雨量計では20日午後、2時間雨量が260ミリを超えた。全国の地域
気象観測システム(アメダス)の記録でも過去30年間で2度しかないという。気象庁は、1時間雨量が50ミリを超えた時点で「傘はまったく役にたたず、滝
のように降る」と説明。80ミリ以上では、「息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じる」としている。牛山准教授は、「住用町などでは、視界がまった
くない状況だっただろう」と推測している。
奄美大島は島のほとんどが山地で、小さな河川が多い。鹿児島大の下川悦郎教授(砂防工学)は「山から一気に下流に押し寄せ、小さな川で収容しきれなくなった大量の水が平地で急にあふれた。避難が間に合わずに孤立した住民も多かったのでは」とみている。