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2011年1月16日 (日)

防災には科学が必要

防災というのは典型的な「学際・総合領域」の学問・技術分野だと思います.防災にも様々なシーンがあり,必要とされる知識,技術も異なってきますが,ことに狭義の「防災」,つまり災害をもたらす外力(hazard)による影響を未然に少しでも軽減できるように取り組むことを考える上では,「科学的知識」が必須であると筆者は考えます.

無論,一昔前のように,「防災教育=hazardのメカニズム教育」というあり方は適切だとは思いません.しかし,「防災というのは人を対象とした取り組みなのだから理系の難しい話しはいらない(重要ではない)」という考え方にも賛成できません.

ではどの程度の「科学的知識」が必要なのか? これは難しい問題で,まだまだ考えていかなければなりません.大学レベルの数学や物理が必須とは思いません(そんなのは私も怪しい).しかし,数値データ,数式,グラフといった類の情報を目にするだけで拒否反応を示すような反応は行き過ぎではないでしょうか.「人や社会」を対象にする場合でも,さまざまなデータが存在します.それは,数量的なものもあるし,質的なものもありますが,客観的なデータが必ず存在します.主観的な「思い」だけではどうにもなるものではありません.

防災のために様々な取り組みが存在することは重要なことです.そのことを否定するものではありませんが,「防災には科学的知識が必要だ」という考え方が,近年はやや軽視されてきているように筆者は感じています.我々は,科学技術も進み,科学技術が生み出した様々な情報が公開された現代日本に生きています.これらを活用しないことは「もったいない」のではないでしょうか.そして,これらの情報を活用するためには,(その程度については検討の必要がありますが)科学的知識が必要だと筆者は考えます.

私にも「熱い思い」はあります.今我々が始めようとしている「ふじのくに防災フェロー養成講座」は,このような「思い」にもとづいて進めているものです.無論これだけが正しいことだと考えている訳ではありません.防災に対する取り組みのメニューの一つとして提案しているものです.どうしても共感を持てないという方がいても,それは当然なことだと考えています.

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