国土審議会の資料として研究成果をご利用いただきました
2月21日に,国土交通省が設置している,国土審議会・政策部会・第3回長期展望委員会が開催されました.人口減少等の影響を考慮した,日本の国土の長期展望についての報告がなされており,いくつかのメディアで記事となっています.
2050年には人口25%減、約6割の地点で人口が半減に 国交省長期展望
産経新聞 2月21日(月)18時54分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110221-00000565-san-bus_all
この委員会の資料の一部として,当方が行っている豪雨災害に関する人的被害に関する研究成果の一部が図として掲載されました.
第3回長期展望委員会・配付資料
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudo03_sg_000028.html
のなかの,
資料4 「国土の長期展望」中間とりまとめ(案)≪図表≫
http://www.mlit.go.jp/common/000135833.pdf
→48ページ
参考資料3 第2回長期展望委員会における各委員からのご意見
http://www.mlit.go.jp/common/000135836.pdf
→8ページ
あたりに掲載されています.この件についての問い合わせがあり,あらためて集計してみたのですが,犠牲者が高齢者に偏在していることは従来からも各方面で指摘され,私も指摘していたところですが,65歳以上と言うより,特に70代以上で顕在化しているようです.
ただ,これも従来から指摘しているところですが,「高齢者に犠牲が偏在」ということは,「要援護者が多く犠牲になっている」ということを意味しません.体が不自由であったり,寝たきりであるなど,「歩行困難あり」と認められる犠牲者は,2004~2010年の豪雨災害犠牲者387名のうち14名(3%)です.「歩行困難あり」で,かつ一人暮らしだった犠牲者は5名でした.
無論,災害時要援護者支援などどうでも良い,ということをいいたいのではありません.ただ,災害時要援護者支援が完璧に実施されたとしても,残念ながら豪雨災害の犠牲者を飛躍的に減少させることはできないとは言えそうです.「高齢者の犠牲者」の大半は,「日常生活に特に支障のない高齢者」です.このような人たちにこそ注意が必要なのだと思います.