検証・大震災:専門家が見て、感じた現実 今村・東北大教授/牛山・静岡大准教授
4月10日付毎日新聞(全国朝刊)に,今村先生と私のコメントが並んで掲載となりました.
検証・大震災:専門家が見て、感じた現実 今村・東北大教授/牛山・静岡大准教授
http://goo.gl/RHPpT
私の「 」内コメント,文字にすると何とも緊張感がない感じですが,確かにこんな言葉を口にしました.何か言葉を出していないとやりきれない感じで.
「想定外」という言葉を私はあまり使いたくありません.「あり得ないことが起こった」という印象を与えるからです.「あり得るけど防災計画の中では想定していなかったことが起こった」が正しいと思います.
防災対策にはハードとソフトがあり,それらは両輪となって防災計画を構成します.ハード構造物には必ず「計画外力」があり,それを無制限に大きくすることはできなません.だからといってハードが無駄なわけではなく,計画超過外力にどう備えるか,ソフト対策とどう組み合わせるかという議論が必要,ということを強調しなければなりません.
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検証・大震災:専門家が見て、感じた現実 今村・東北大教授/牛山・静岡大准教授
[2011/4/10毎日新聞]
「認識が甘かった」「想定を超えたときの対応を考えていなかった」--。東日本大震災は、これまでの地震や津波に対する考え方を覆し、防災対策の抜本的な見直しを迫っている。地震が発生した3月11日、専門家は何を感じたのか。その後、被災地に何を見たのか。
<中略>
◇「想定以上」常に意識を--陸前高田で防災教育、牛山素行・静岡大准教授
視界を遮る建物がほとんどない。がれきと乾いた泥が広がる。津波で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市(人口約2万3000人)。死者・行方不明者は県内の市町村の中で最多の約2400人に上る。
「うわあ、こんなふうに。そこにコンビニが、あっちに橋があったはずだが」
地震発生から3週間後の今月1日。勝手知ったる街の変貌ぶりに、牛山素行・静岡大准教授(42)はほとんど言葉にならない声を上げた。
1960年のチリ地震津波の後に造られた高さ約5メートルの防波堤は跡形もない。沿岸から約1・5キロにわたって広がる平地のほとんどが津波にのみ込まれていた。牛山さんは07年から市民向けの防災教育を始め、毎年2~3回、同市を訪ねてきた。県は過去の津波被害や近い将来起こるとされていた宮城県沖地震に基づき、想定される浸水域を示していた。だが、今回は最悪のケースを大きく上回った。斜面をはい上がった津波の高さ(遡上(そじょう)高)は20メートル以上という。
浸水の恐れがある低地の場所や避難場所を助言してきた市内の気仙町に入った。約500戸あった家屋はほぼ全滅していた。海抜約10メートルにある市の指定避難場所の気仙小を見て、立ちつくした。最上階の3階の窓ガラスが割れ、津波に襲われていたことを物語る。「住民には2階以上に逃げれば大丈夫だろうと伝えていたが、甘かった」と肩を落とした。
今回、指定避難場所に逃げた後、そこも危険と判断し再避難したかどうかで生死が分かれた例が各地で伝えられている。
「自治体が避難場所を見直すのは当然だが、住民も想定以上の事態が起こることを常に意識し、状況に応じて行動を判断することが重要だ。多くの犠牲を無駄にしないために、研究者も徹底的に調査し、有効な対策を提案していかなければならない」
自然の力に圧倒され、無力感にさいなまれているが、今後も陸前高田市に足を運ぶ決意だ。【福永方人】
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