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2011年5月12日 (木)

市町村長は津波警報を発表することができる

大雨警報,津波警報などの「警報」は,気象業務法では次のように定義されています.

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第二条
7  この法律において「警報」とは、重大な災害の起るおそれのある旨を警告して行う予報をいう。
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警報は予報の一種ですが,気象庁以外の機関が出すことはできません.予報業務を許可されている気象会社であっても警報は出せません.つまり,「津波が来るぞ」という情報を出すことが許されているのは気象庁だけ,ということです.このことについて,気象業務法では次のように記述されています.

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(警報の制限)
第二十三条  気象庁以外の者は、気象、地震動、火山現象、津波、高潮、波浪及び洪水の警報をしてはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。
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ちなみに,「避難勧告」「避難指示」は警報とは直接関係のない全く別の情報で,これらは市町村長しか出すことができません.

気象庁以外の者が警報を出すことができる,ほぼ唯一の例外と言っていいものに津波警報があります.気象業務法施行令に以下の記述があります.

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(気象庁以外の者の行うことができる警報)
第八条  法第二十三条 但書の政令で定める場合は、津波に関する気象庁の警報事項を適時に受けることができない辺すうの地の市町村の長が津波警報をする場合及び災害により津波に関する気象庁の警報事項を適時に受けることができなくなつた地の市町村の長が津波警報をする場合とする。
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つまり,市町村長(市町村と言い換えてもいいでしょう)は災害によって通信事情が悪化したなどの切迫した場合においては,「津波が来るぞ」と公式に言うことが認められています.

今回の津波は,手続きや記録などは残らなかったでしょうが,実質的な意味での「市町村(長)による津波警報」が行われた初めての例となったと言っていいのかも知れません.

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